院長の休日

アマゾンプライム400円

 うちの奥さんが怒っています。
 私、何もしていないのに、
 アマゾンプライム会員になっている。
 どうして?
 もうアマゾンで買わない!(×3乗)

 89歳のばあさんは、
 アマゾンプライムで3900円を取られました
 もうアマゾンでは買わないそうです。
      ■         ■
 うちの奥さんは、
 そら君の餌をアマゾンで買っています。
 もう8歳なので
 高齢犬用のエサです。
 安いのから、
 高いのまで、
 アマゾンにはたくさんの種類があります。
 便利だと思います。
      ■         ■
 犬のエサは、
 買って持って帰るのはちょっと大変です。
 家まで配達してくれるアマゾンは便利です。
 本間家では、
 ずっとネット通販で買っています。
 うちの奥さんは、
 PCでアマゾンにログインして、
 エサを選んで買っています。
      ■         ■
 (そら君がお腹をこわしたので)
 ちょっと高いエサにしてみたけど、
 …変わらないようだから、
 また元のエサに戻した。

 …と言ってました。
 うちの奥さんは、
 買い物をする時によく迷う人です。
 一度、買い物かごに入れたのを、
 戻しに行くことがあります。
      ■         ■
 私はスーパーでも、
 ネットでも、
 買い物かごに入れたものを、
 戻すことはまずありません。
 どうやら、
 うちの奥さんが、
 一度、買い物かごに入れたあたりで、
 プライム会員になったと想像しています。
      ■         ■
 12月まではお試し無料だったので、
 私がプライム会員退会手続きをしました。
 美容整形も、
 無料ほどこわいことになります。
 アマゾンさんにお伝えします。
 不注意で、
 簡単にプライム会員なる方法はおやめください

 お客さんを失うことになりますょ。 

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医学講座

灯油やガソリンの値上がり2017

 平成29年11月9日、北海道新聞朝刊の記事です。
 冬間近、灯油やガソリンの値上がりどこまで
 2年3カ月ぶり水準
 道内で灯油やガソリンがじわじわと値上がりしている。資源エネルギー庁が8日発表した道内の1リットル当たりの平均価格は灯油が78.8円、ガソリンが135.9円で、いずれも6週連続上昇し2年3カ月ぶりの高値水準となった。産油国が協調して減産を続けている影響などで、世界的な原油価格の上昇は続くとみられている。冬本番を控え、暖房が欠かせない市民や、人手不足にも悩む運送業者から「厳しい冬になる」と心配する声が上がっている。
 「いったいどこまで上がるのか…。心配です」。7日に灯油の宅配を受けた札幌市中央区の主婦(48)がホームタンク前で顔を曇らせた。一軒家に4人暮らし。「朝晩に暖房をつける時間を短くするしかないが、高齢の両親の体調を考えると限度がある」とこぼす。
 中央区の本田燃料電器は今週、宅配灯油を1リットル76~77円で販売。本田利博社長(42)は「石油元売りの卸値を考えれば80円台に上げたいが、灯油は庶民の生活に欠かせないだけに、消費者も値動きに敏感。需要期の始めから値上げするわけにもいかない」と漏らす。
 石油情報センター(東京)によると、道内は2016年に灯油が1リットル60円、ガソリンが110円を一時下回る水準だったが、今年1月に石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの産油国が協調減産を始め、価格は上昇。減産は続くとの見方から、先物市場の取引価格も上がっている。中東最大の産油国サウジアラビアで今月、政府が王子や閣僚ら数十人を汚職の疑いで拘束し、政情不安が高まったことも理由という。
 燃油価格の上昇は運送業者にも痛手だ。業界あげて人手不足を是正しようと、運賃値上げやドライバーの待遇改善に取り組んできた。約1030社が加盟する札幌地区トラック協会の担当者は「ようやく荷主の理解も得られてきたところで、燃油高を運賃に転嫁するのは難しい」と気をもむ。
 価格はどこまで上がるのか。石油情報センターの担当者は「米国のシェールオイルは生産に余力があり、価格がある程度上昇したら増産に踏み切る可能性がある」と指摘。「2013~2014年の高騰時のように灯油が1リットル当たり100円、ガソリンが160円を超える可能性は低いのでは」とみる。
 市町村が低所得者を対象に灯油の引換券などを交付する「福祉灯油」は、1リットル90~100円程度に値上がりしたら実施する自治体も多い。1リットル100円を目安にする帯広市は「現在、予算措置をしていないが、価格動向を注視する」としている。


 

ホームタンクに給油する業者。消費者も業者も、価格動向に神経をとがらせている=11月7日、札幌市中央区
(以上、北海道新聞より引用)

      ■         ■
 札幌美容形成外科の売上に影響するのが、
 灯油価格です。
 不景気な北海道では
 保険診療の形成外科でも、
 ぜいたく品です。
 灯油価格が100円を超えた年
 過去最低の売上でした
 まぶたが開かなくて、
 多少見えにくくても、
 灯油を買うほうが先です
      ■         ■
 暑いのも困りますが、
 寒いと凍死します。
 眼科の白内障手術も、
 不景気だと減る傾向にあると聞いたことがあります。
 多少見えにくくても、
 寒くて凍死すると困るので、
 春になってあたたかくなってから考えます。
      ■         ■
 灯油と電気が値上がりすると、
 北海道ではほんとうに困ります
 北海道新聞の写真にあるように、
 一軒家には、
 ホームタンクという大きな灯油タンクがあります。
 写真のタイプですと、
 450ℓくらい入ります。
 1ℓ70円で計算すると400ℓで28,000
 1ℓ80円で計算すると400ℓで32,000
 1ℓ100円で計算すると400ℓで40,000

      ■         ■
 灯油を切らすと大変なので、
 北海道の家では、
 定期配送をお願いする家庭が多いです。
 家の広さと断熱性能で、
 タンクが空になるまでの時間が違います。
 断熱が効いた家ですと、
 大きなお屋敷でも灯油の消費量が少ないです。
 私が高校生の頃に住んでいたような
 すきまだらけの家だと、
 いくらストーブを強にしても寒いのです。
 灯油もすぐに無くなります。
 お願いだから灯油価格が高くならないでほしいです。

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医学講座

美容外科医は臆病者であれ

 昨日の院長日記、
 臆病者の美容形成外科医になる
 私はもともと慎重な人間ではありませんでした。
 中学生の頃には、
 ちょっとしたミスを、
 テストの時によくしていました。
 大学受験には失敗し浪人しました
      ■         ■
 予備校生の頃に、
 私の机の前には、
 注意一秒、ケガ一年
 指差確認しさかくにん】
 …と書いた紙を貼ってありました。
 自分なりにミスを防ぐために考えました。
      ■         ■
 よくうっかりミスをする人がいます。
 医療の世界でうっかり薬を間違えると大変です。
 手術する部位を間違えた先生もいました。
 悪くないところを手術されると大変です。
 薬の使い方も先生によって違います。
 メーカーから説明を聞いただけで使う先生もいます。
 私は副作用のこともよく考えてから処方します。
      ■         ■
 私に美容外科を教えてくださったのが、
 十仁スピリット
 十仁スピリット2017
 …に書いた、
 中央クリニック新宿院の日高士郎先生でした。
 日高先生は東海大学卒業後に十仁病院へ入職。
 私が形成外科医として経験したのと同じ歳月を、
 美容外科医として活躍された、
 生粋の美容外科医です。

      ■         ■ 
 日高先生に形成外科の講義をなさったのが、
 東海大学形成外科の谷野隆三郎教授でした。
 谷野教授が、
 第94回日本美容外科学会で、
 美容外科にとって必要な
 医療安全と医事法制について、
 ご自身のご経験を踏まえた講演がありました。
 美容外科は簡単ではありません。
      ■         ■
 私に臆病であることの大切さを教えてくださったのが、
 日高士郎先生でした。
 美容医療は、
 健康な人を相手にする医療です。
 健康な人に、
 美容目的で、
 失明、
 死亡、
 重大な後遺障害

 …はダメです。
      ■         ■
 美容外科医にもいろいろな先生がいます。
 いけいけどんどんの先生
 お客さんの希望なら、
 どんな手術でもしてくれる先生
 好みは人それぞれです。
 私は、
 その手術はまだ必要ありません
 …という先生をおすすめします。

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医学講座

臆病者の美容形成外科医になる

 私は63歳の美容形成外科医です。
 あと10年くらい働こうと思っています。
 形成外科医は70代でも手術をしている先生がたくさんいます
 私のように、
 偏屈でがんこな医者でも、
 頼っていらしてくださる患者さんがいる限りは、
 診療を続けようと思っています。
 院長日記も続けます。
 本間仮説でも情報を提供するためです
      ■         ■
 私が自分の院長日記で気に入っているのが、
 臆病者と言われる勇気
 2009年7月19日の朝日新聞、
 天声人語からの引用です。
 ▼1966年、日本の空は大事故が相次いだ。3月にはカナダの旅客機が濃霧の羽田への着陸に失敗して炎上し、64人が犠牲になった。その事故の直前に、羽田への着陸を断念して福岡に向かった日航機があった。
 ▼ハワイから飛んできた瀬戸号である。降りるにはぎりぎりの気象だった。2度着陸を試みたが滑走路がよく見えない。安全に自信の持てなかった機長は行き先を変更する。東京を目の前にしての事態に、乗客からは落胆の声が上がったそうだ。
 ▼福岡での入国手続きが手間取ったために不満は募った。だが、機内で待たされてロビーに出た乗客はそこで、炎上するカナダ機のテレビ映像を目にする。不満は一転して機長への感謝に変わっていったという。
 ▼そして、「臆病者と言われる勇気を持て」という格言が航空界に広まっていった。人間や、人間の造った文明をひねりつぶすことなど、自然には造作もない。空に限らず海でも山でも、謙虚な勇気が必要な時は少なくないはずだ。
 ▼あすの「海の日」へ続く連休で、今年も夏休みシーズンの幕が開いた。北海道の遭難は悪天をついての強行が大きな原因と聞く。今年だめでも山は逃げず、海も逃げない。臆病なほど相手の機嫌をうかがう構えが、自然との遊びには肝要である。
 (以上、朝日新聞より引用)

      ■         ■
 激安と安全2015
 …も私が好きな院長日記です。
 航空業界は競争が激しいです。
 瀬戸号の機長さんがいらした日本航空も倒産して、
 新しい会社に変わりました。
 スカイマークも2015年2月に民事再生法の適用を東京地裁に申請しました。
 2015年3月1日に株式の上場を廃止しました。
 世界中の航空会社が、
 格安で大変です。
      ■         ■
 私は、
 激安
 と
 安全
 は
 両立が難しい
 …と考えます。
      ■         ■
 医療機関にも同じことが言えます。
 日本の国公立病院で赤字ではない病院は、
 数えるほどしかありません。
 黒字に見える病院も、
 多額の補助金や、
 一般会計からの援助を受けています。
 病院経営は楽ではありません
      ■         ■
 ごくふつうの市民は、
 公立病院で、
 経営が問題になっているとは、 
 ご存知ないと思います
 多くの公立病院の院長は、
 いかに病院を黒字にするかで悩んでいます。
 赤字の病院は要らないと議会で追及されます
      ■         ■
 大きな病院で部長会議というようなのがあります。
 診療科長会議とかいろいろな名称で呼ばれます。
 どんなことが議題になるかというと、
 いかに病院の収入を増やすか
 いかに病院の赤字を減らすか?
 いかに病院の経費を減らすか
 こんなことが議論されます。
      ■         ■
 臆病者の機長さんが、
 着陸をあきらめて、
 羽田から福岡へ向かうと、
 航空会社は大損をします。
 乗客の宿泊費や、
 福岡から羽田までの便の手配も必要です。
 福岡まで飛んで行く燃料費もかかります。
      ■         ■
 悪天候でも、
 かなり無理をしてでも、
 強行に着陸してくれる機長さんだと、
 会社の負担は減ります。
 病院も同じです。
 もうかる手術を、
 たくさんやってくれる先生は、
 病院の黒字に貢献します。
      ■         ■
 何分説明しても、
 一時間かけて説明しても、
 再診料しかもらえないのに、
 親切丁寧に説明する先生は、
 病院の赤字を増やします。
 リスクが高い手術はしない先生は、
 病院を黒字にはできません。
      ■         ■
 美容外科はもっと顕著です。
 多くの美容外科は相談無料です。
 高い広告宣伝費をかけて、
 ようやく来たお客さんに、
 あなたはワキガではありません
 手術は必要ありません
 …なんて説明したら、
 チェーン店の本部から罰金が来ます
      ■         ■
 私は、
 あなたはワキガではありません
 手術は必要ありません
 …と説明することがよくあります。
 涙を流して、
 私ずっとワキガだと思ってました
 …と言う人もいます。
 相談無料のチェーン店に行ったら、
 あなたは重症のワキガです
 すぐに手術しましょう
 …と言われていたと思います。
 私は悪天候でも、
 無理に着陸する飛行機には乗りたくありません

 美容外科でも必要がない手術はすすめません。
      ■         ■
 私は形成外科の技術と知識を生かして、
 安全
 確実
 …な治療を、
 リーズナブルな価格で提供したいと思っています。
 手術は必要ありませんと言うこともよくあります。
 迷っている人には手術はすすめません。
 そんな臆病者の美容形成外科医として
 残りの人生を生きるつもりです。

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医学講座

失明の原因2017

 昨日の院長日記、
 ヒアルロン酸のトラブル2017
 …の続きです。
 私が院長日記で取り上げても、
 なかなか原因究明も、
 対策もできていないのが日本です。
 残念なことです。
      ■         ■
 下に引用したのは、
 2014年のAesthetic Surgery Journalに投稿された論文です。
 カナダのClaudio DeLorenzi先生が書いたものです。
 ネットで検索すると、
 全文を読むことができます。
 その中には、
 ヒアルロン酸が血管内に入って、
 それが原因で失明したり、
 皮膚が壊死になったりする例が出ています。
      ■         ■
 安全対策として、
 ヒアルロン酸溶解剤が推奨されています。
 残念なことに、
 日本で認可されたヒアルロン酸溶解剤がありません。
 厚生労働省は、
 いくつくかのヒアルロン酸注入剤を認可しています
 私は、
 国とメーカーの責任で、
 ヒアルロン酸溶解剤を、
 すぐに準備するべきだと思います。
      ■         ■
 失明の医療事故は、
 一瞬でおきます。
 なんちゃって美容外科医
 なんちゃって美容皮膚科医
 英語の論文を読んで、
 すぐに対処できる準備をするべきです。
 YouTubeには、
 ヒアルロン酸トラブルの動画も出ています
 勉強していただきたいです。
      ■         ■
 Complications of Injectable Fillers, Part 2:Vascular Complications
 Claudio DeLorenzi, MD, FRCS
 Aesthetic Surgery Journal, 2014, Vol. 34(4) 584–600
 Abstract
 Accidental intra-arterial filler injection may cause significant tissue injury and necrosis. Hyaluronic acid (HA) fillers, currently the most popular, are the focus of this article, which highlights complications and their symptoms, risk factors, and possible treatment strategies. Although ischemic events do happen and are therefore important to discuss, they seem to be exceptionally rare and represent a small percentage of complications in individual clinical practices.
 However, the true incidence of this complication is unknown because of underreporting by clinicians. Typical clinical findings include skin blanching, livedo reticularis, slow capillary refill, and dusky blue-red discoloration, followed a few days later by blister formation and finally tissue slough. Mainstays of treatment (apart from avoidance by meticulous technique) are prompt recognition, immediate treatment with hyaluronidase, topical nitropaste under occlusion, oral acetylsalicylic acid (aspirin), warm compresses, and vigorous massage. Secondary lines of treatment may involve intra-arterial hyaluronidase, hyperbaric oxygen therapy, and ancillary vasodilating agents such as prostaglandin E1. Emergency preparedness (a “filler crash cart”) is emphasized, since early intervention is likely to significantly reduce morbidity.  A clinical summary chart is provided, organized by complication presentation.


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医学講座

ヒアルロン酸のトラブル2017

 ヒアルロン酸注射なんて、
 誰がやっても同じ
 どうせやるなら、
 一円でも安いところで、
 たくさん注射してもらおう!
 こんなお客さんがいます。
 お気持ちはわかります
      ■         ■
 でも、
 美容外科や、
 美容皮膚科など、
 頭に美容の2文字がつくクリニックは、
 要注意です。
 ちゃんと勉強をしていない、
 なんちゃって医師がいます。
 高級優遇の4文字に惹かれて、
 昨日まで美容のびの字も知らなかった医師が、
 いきなり美容皮膚科になることがあります。
      ■         ■
 私たち形成外科医は、
 顔面の血管解剖を詳しく勉強します。
 どこにどんな血管があって、
 どことつながっているかを、
 よく知っています。
 血管の勉強をしないと、
 手術ができません。
      ■         ■
 米国の学会では、
 下の写真にあるような討論が真剣にされています。
 ヒアルロン酸やレディエッセなどによる、
 皮膚壊死や失明を防ぐためです。
 日本の学会では、
 残念なことにここまで深く検討されていません。
 下の英語は、
 ヒアルロン酸注射をする前の準備です。
      ■         ■
 もしヒアルロン酸でトラブルが生じたら
 こうすると助かりますという方法が書いてあります。
 残念なことですが、
 日本の厚生労働省が認可したヒアルロン酸注入剤には、
 このことは記載されていません。
 日本には、
 認可されたヒアルロン酸溶解剤がありません
 ヒアルロン酸注射はどこで受けても同じではありません。
 失明することがあります
 安いところでたくさん打ってもらうと、
 ヒアルロン酸顔貌になります。
 注意してください。

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医学講座

ヒアルロン酸は吸収されない?

 私がはじめて美容の世界を見たのは、
 日航ジャンボ機が墜落した、
 1985年でした。
 今から32年前です。
 ヒアルロン酸は100%安全か?
 2015年8月15日の院長日記です。
 米国のベンチャー企業が作った、
 ザイダームという牛コラーゲン注入剤の臨床試験を担当しました。
      ■         ■
 米国で製品化された商品を、
 日本に輸入して販売するための臨床試験です。
 臨床試験の責任者が、
 北大形成外科の大浦武彦先生でした。
 北大形成外科、
 東大形成外科、
 京大形成外科、
 …という国立大学の形成外科が担当しました。
      ■         ■
 米国では美容目的に使われていたコラーゲン注入剤ですが、
 当時の厚生省は美容目的に使うことを禁止して認可しました
 実際には美容目的で多く使われていました。

 この牛コラーゲンは、
 アレルギー反応が問題でした。
 うちの奥さんに皮内テストをして、
 注射した部位が、
 蚊に刺されたように赤くなりました。
 たいそうお怒りでした。
      ■         ■
 うちの奥さんが赤く腫れたので、
 それ以降は、
 目立たない部位(上腕内側など)で皮内テストをしました。
 アレルギー反応以外には、
 大きな問題がなかったザイダームでしたが、
 ザイプラスとという製品が出てから、
 眉間のシワに注射して、
 皮膚が壊死になる例が報告されました。
 血管内にコラーゲン注入剤が入るためです。
      ■         ■
 時代は変わって、 
 コラーゲンからヒアルロン酸になりました
 札幌美容形成外科を開業した頃は、
 コラーゲンもヒアルロン酸も使っていましたが、
 今はコラーゲンは使っていません。
 札幌美容形成外科のHPにも、
 ヒアルロン酸は効果が約6ヵ月から1年です。
 吸収され自然に元に戻るので安全だとお考え下さい。

 …と書きましたが間違っているようです。
      ■         ■
 エビデンスがない本間仮説です、
 長年通院してくださっている患者さんを見ると、
 コラーゲンからヒアルロン酸にしたことにより、
 明らかに注射の回数が減っているのです。
 中には吸収されやすいヒアルロン酸もあるようですが、
 私の感触では、
 ヒアルロン酸は吸収されにくく、
 効果が減るのは、
 周囲組織へ拡がるためだと思います

      ■         ■
 近年は、
 ヒアルロン酸をより深い層に注射する方法が流行りました。
 その結果として、
 顔が丸くなる、
 ヒアルロン酸顔貌
 …と呼ばれる患者さんがいらっしゃいます。
 いろいろなクリニックで、
 ヒアルロン酸は吸収されるから
 安全
 …と注射を受けた方たちです。
 札幌美容形成外科のHPも次回の更新時に書き換えます。
 ヒアルロン酸は吸収されません

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医学講座

方波見先生、第71回北海道新聞文化賞受賞

 平成29年11月3日、北海道新聞朝刊の記事です。
 第71回北海道新聞文化賞の受賞者が決まった。社会部門は長年、地域医療に従事し、その発展に貢献した医師 方波見康雄(かたばみやすお)さん(91)=空知管内奈井江町=、学術部門は胆振管内むかわ町で大型恐竜の化石の発掘を指揮し、全国的にもまれな全身骨格の発見につなげた北大准教授小林快次(よしつぐ)さん(45)=札幌市=、経済部門は道内を中心に地域密着のコンビニチェーンを展開する株式会社セコマ=札幌市=。贈呈式は11月9日午前、札幌市内のホテルで行い、正賞の安田侃氏制作「意心帰(いしんき)」(ホワイトブロンズ)と副賞100万円が贈られる。受賞者のこれまでの歩みと喜びの声を紹介する。
社会部門 方波見康雄かたばみやすおさん_地域医療一筋60年
 生まれ育った空知管内奈井江町で、父の荘衛(そうえい)さんが1924年(大正13年)に開業した診療所「方波見医院」を引き継いで58年半。地域の人々の“生老病死”に、同じ地域に暮らす一人の人間として、開業医として、寄り添ってきた。
 診療所に来る人は「患者さんではない」と言う。「地域で生きる人間。たまたま病気になった。一人一人違う生身の人間をみるのが町医者の仕事」。だから話にじっと耳を傾け、笑顔にして診察室から送り出す。そして、最期までみる。
 北大卒業後も大学でがんの免疫を研究し、その後、内科で学んだ。研究者か大病院の勤務医になる将来図を描いていたが、父が病気になり、奈井江で医院を継ぐことに。「夢にも思わなかった」。32歳だった。
 開業医のイロハも知らない青年医師に、「人間をみる」ことのやりがいを教えてくれたのは故郷の人たちだった。医院を継いで数年後、「腰を据えよう」と決意した。「毎日、一流の医学専門誌を読んで勉強する」「世界のどこでも通用する総合医になる」。この時立てた二つの志は、91歳の今も失っていない。
 先駆的な取り組みも進めた。緩和ケア、ターミナルケア(終末期医療)、死の臨床など、専門的な用語や概念が国内で普及する前に診療所で実践していた。
 地域で老いを共にみる仕組みを作ろうと、町立国保病院に入院した患者を、かかりつけ医が診療できる「開放型共同利用」を町長に提案し、1994年に実現。地域包括ケアシステムを、いち早く実現した形だ。
 受賞には「おやじが一番喜んでいるでしょうね」。週1回の外来診療をずっと続けたいと願っている。「今の私をつくってくれたのは奈井江の人たち。古里に戻って、開業医になって、よかった」と語った。
    略 歴
 1926年 空知管内奈井江町で出生
 1945年 旧制岩見沢中(現岩見沢東高)を卒業。北海道帝国大予科医類に入学
 1952年 北大医学部を卒業。大学でがん免疫抗体の研究に、さらに内科の臨床に従事する
 1959年 北大から奈井江町に戻り、父荘衛さん(1979年死去)が開業した方波見医院を継ぐ。その後北大非常勤講師や藤女子大教授を兼ね生命倫理や死生論などを教える。道医師会常任理事も歴任
 1994年 町長に提案した開放型共同利用が、町立国保病院で実現。後に介護福祉施設に拡大
 2006年 院長の職を次男の基雄さん(59)に譲る。北海道新聞生活面にエッセー「いのちのメッセージ」を書き始める

「早いものですね。(奈井江に戻ってからの58年半は)あっという間でした」と医院の診察室で振り返る方波見康雄さん
(以上、北海道新聞より引用)

方波見医院(Googleより引用)

      ■         ■
 2017年11月1日の院長日記でご紹介した先生です
 親子3代でお医者さんはすごいです。
 ご子息もすばらしい先生だと思います。
 私が持っている、
 北大医学部同窓会名簿には、
 方波見姓の先生が3人いらっしゃいます。
 北大医学部に、
 親子で入学するのはとても難しいことです。
      ■         ■
 親→子への継承も難しいです。
 美容外科でも、
 親子で仲良く開業していらっしゃるのは、
 ほんの一部の先生だけです
 私が尊敬する先生です。
 これからも奈井江町の地域医療のために、
 方波見医院が発展することをお祈りしています。
 方波見先生おめでとうございます

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院長の休日

孫娘に教わりネット満喫

 平成29年11月2日、北海道新聞朝刊への投稿です。
 孫娘に教わりネット満喫
 竹田悦夫87(渡島管内松前町)
 パソコンを始めたのは69歳だった。その頃ネットの接続まで手は伸びなかった。今年、妻に先立たれ、時間はたっぷりある。多くの方と交流の輪を広げたくてネットを始めた。
 分からない事ばかり。孫娘が遊びに来たので早速指導を依頼した。宛先設定、送信、それの確認、保管などの素早い便利な操作を教えてもらった。めい、おいからの受信は毎朝確認する。メル友がいつもそばにいるようで元気が出る。
 さらに、この辺はラジオ民間放送の難聴地帯だが、セットしてもらったらいろいろな放送局が入る。ぼんやりしている間に世の中便利になったものだ。今まで知らずに人生を過ごしてしまったのだから自分の責任と悔やんでいる。
 孫娘がいつの間にこんなに成長したのかと驚いた。「今はこれが普通なのよ」と言われれば返す言葉もないが、孫娘からいっぱい教えてもらって文明の利器を楽しんでもう少し生きたい。冬は寒くて外に出ることもないのでなおのことだ。
 (以上、北海道新聞より引用)

      ■         ■
 朝からいいお話しを読ませていただきました。
 奥さんに先立たれた87歳の男性が、
 お孫さんのお嬢さんに教えていただき、
 ネットを始められた。
 なんてすばらしいことでしょうか。
 北海道の南端、
 松前町です。
 桜がきれいな街です。
 優しいお孫さん♡に感謝です。
      ■         ■
 函館中央病院に勤務していた頃に、
 松前城の桜を見に行きました。
 函館からでも松前はかなり距離があります。
 ラジオ民間放送の難聴地帯もわかります。
 場所によっては、
 北海道の民放より、
 青森県の民放が入るところもあります。
      ■         ■
 私の母親も89歳でパソコンを使っています。
 たまにアマゾンで失敗することもありますが、
 ネットで株をやっています。
 株のことは私よりずっと詳しいです。
 私の安否は院長日記で確認しているようです。
 クリニックが赤字になったと心配したり、
 さくらんぼさんのコメントに感謝しています。
 松前町の竹田様にはもっとネットを活用していただきたいです。
 朝からいいお話しをありがとうございました。

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医学講座

医療とは「声」聴くこと

 平成29年11月1日、北海道新聞朝刊の記事です。
 医療とは「声」聴くこと
 特別編「Fan-Funフェスタ」の講演から=2017年10月29日、札幌・道新ホール
 道民の皆さんに感謝の気持ちを伝える「どうしんFan-Funフェスタ『ありがとうの日。』」(北海道新聞社主催)の一環として、方波見康雄さんの講演会が2017年10月29日、道新ホールで開かれ、約650人の聴衆が方波見さんの話に耳を傾けた。講演の一部をお届けする。
 「医療とはなにか」を皆さんと一緒に考えてみましょう。私が父の方波見医院を受け継いだのは、昭和34年(1959年)4月。それまでは大学で当時としては最先端のがんの免疫研究に携わり、地方のことはまったく知りませんでした。大学病院では難しい病気の患者さんしか診ていなかった。奈井江では「まるごとの人間」、つまり地域に住みつき、生活する、生まれも育ちも違う「人間」が受診に見えたのです。
 東京で、永井友二郎という先生が「実地医家のための会」という勉強会を立ち上げ、私はすぐ入会しました。永井先生は「人間を部分としてでなく全体として、生物としてでなく社会生活をいとなむ人間として、みてゆかなければならない」「病気の初期の姿をきちんと診ること」がマチのお医者さんの大切なことであると言われた。私が考えていたことと同じでした。
 初期の診断は非常に難しい。症状は軽いが、よくよく診ると大きな病気が潜むことがある。マチの医者はそれをきちんとキャッチする必要がある。そのためにも感性と経験、生涯の勉強が求められるのです。
 マチのお医者さんは「迷医」のほうが良い。私はいまだに迷っています。迷うから勉強する、仲間の医師の意見を聞く。自分でさらに調べる。かつて東京大学の有名な内科教授が、ご自身の患者さんで亡くなられた方の4割に誤診があったと発表されました。医療は完璧ではなく、発展途上の学問なのです。各専門学会で出す臨床医の「診療ガイドライン」は、定期的に書き換えられます。医者は今持っている知識が最高であると考えるのは大間違い。医学知識は絶えず更新されると思わないといけない。
 故郷での地域医療60年の経験から、医療とは「病気を患う人間のいのちの声に耳を傾けることである」と考えています。「声にもいのちがある」と言ってもよい。私は、患者さんが診察室に入って来られるときに、体の動き、座り方、声、表情、目つきなどの立ち居振る舞いの変化を一つの声として受け止めるように努めています。
 最初は勢いよくお話になっても、途中から声が小さくなる方もいる。つらそうな顔をしていたが、話をしているうちに表情が穏やかになり、にこにこして診察を終えられる方もいらっしゃる。さまざまな声を音楽家のように深く聴き取る。専門的に耳を傾ける。知覚・聴覚などの五感すべてを動員して向き合うのが実地医家の医療と考えています。
 風邪だけで大病院を受診する方がいますが、考え直したほうがいいですね。高血圧や糖尿病、風邪などの病気は、マチのお医者さんにかかったほうがいい。ゆっくりお話できます。大病院とマチの医師がお互いに時間のやりとりをしあって、大病院の有能な専門医が、ご自分の専門医療に専念できるようにしてあげたい。お互いの見逃しを補うためにも大切なことです。
 みなさん、かかりつけ医をお持ちになってください。そして、必要な時には紹介状を持参して専門医を受診する。すると主治医が2人になり、互いに連携しあうようになります。大いに活用したほうが、ご自分のためになります。(方波見康夫=かたばみ・やすお、方波見医院医師・空知管内奈井江町)

聴衆を前に医師としての自らの経験を語る方波見康雄さん
(以上、北海道新聞より引用)

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 早いもので今日から11月です。
 先日、
 えりーさんからコメントをいただいた、 
 方波見康雄かたばみやすお先生のご講演です。
 方波見先生は、
 北大医学部を1952年(昭和27年)にご卒業されました。
 北大医学部28期です。
 私の恩師、大浦武彦先生より5期上です。
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 1926年(大正15年)、
 北海道空知郡奈井江町生まれ、
 代々お医者さんの家系です。
 亡くなった私の父と同じ、
 寅年生まれです。
 まだ現役で診療をなさって、
 精力的に講演活動もなさっていらっしゃいます。
 素晴らしい先生です。
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 私が方波見先生の講演で大切だと思ったのは、
 医療は完璧ではなく、
 発展途上の学問なのです。
 各専門学会で出す臨床医の
 「診療ガイドライン」は、定期的に書き換えられます。
 医者は今持っている知識が最高であると考えるのは大間違い。
 医学知識は絶えず更新されると思わないといけない

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 その通りです。
 私がほぼ毎日している、
 眼瞼下垂症手術もとても難しいです。
 患者さんには申し訳ありません。
 私も「迷医」です。
 迷うから勉強する、
 仲間の医師の意見を聞く。
 自分でさらに調べる。

 これの繰り返しです。
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 私は自分が勉強しなくなった時、
 学会に参加しなくなった時が、
 自分が仕事を辞める時期だと思っています。
 日本形成外科学会には、
 京都の冨士森良輔先生のように、
 まだ現役で仕事をなさっていらっしゃる先生がいます。
 私も「迷医」で、
 これからも勉強を続けます。
 素晴らしい講演を記事にしてくれた、
 北海道新聞社に感謝いたします。

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