医療問題

中国臓器移植

平成19年11月16日朝日新聞朝刊の記事です。
 中国 臓器移植なぜ厳格化?
 「不透明な提供過程」批判受け
 中国で臓器移植手術の仲介をしていた日本人男性が、臓器売買などの疑いで中国当局に逮捕された。この男性を通じ、多くの日本人患者が、日本よりも容易に手術ができるという中国で移植を受けていた。米国に次ぐ世界第2の「臓器移植大国」と呼ばれている中国だが、なぜ管理強化へと姿勢を転じたのか。(瀋陽=古谷浩一)
      ■         ■
 今年9月11曰、上海の浦東国際空港。フィリピンへ向かうため出国審査を受けていた50代の日本人男性が突然、多数の公安関係者に囲まれ、拘束された。
 男性は遼寧省瀋陽に本部を置く「中国国際臓器移植支援センターの長瀬博之代表。2日後、瀋陽の公安当局に身柄を移された後、逮捕された。
      ■         ■
 中国公安省の10月中旬の発表によると、逮捕容疑は、長瀬容疑者が代表を務める瀋湯の経営コンサルタント会社が同センターの名義で臓器移植に関する業務をしたのは、登録の範囲を超えた活動に当たる、という「不法経営」。さらに「臓器売買を禁じる衛生省の関連規定に違反」というものだった。
      ■         ■
 同センターはウェブサイトで腎臓や肝臓の移植手術を紹介していた。これを通じ、2004~2005年に上海や瀋陽で手術をした日本人は100人以上に上る。拠点を中国に構えたのは、日本の臓器移植法が営利目的での海外での臓器あっせんを禁じているためだった。
      ■         ■
 中国は「臓器移植大国」である。
 90年代以降、留学帰りの医師らが多臓器同時移植や小児肝移植といった難しい手術を次々と成功させた。「2006年の肝移植は計3千件以上」(衛生省幹部)という。
 ただ、制度づくりは遅れている。国際人権団体は、臓器提供の過程が不透明だと批判。臓器の多くが死刑囚のものと言われ、死刑執行にかかわる役人の腐敗行為も指摘されている。
      ■         ■
 批判を受け、中国政府は今年5月、臓器売買を厳格に禁じる臓器移植法を施行した。衛生省は、臓器移植は「中国公民の需要を優先する」とし、特別許可がなければ外国人への移植手術を禁止すると通知した。
 衛生首の黄潔夫次官は「中国の臓器移植の発展は急速で、多くの倫理問題が出ている。臓器売買を行い、ネツト上で患者を募るといった問題も生じている」と中国メディアに語る。こうした取り締まり強化の流れの中で、長瀬容疑者の逮捕は起きた。
      ■         ■
 捜査関係者は事件の詳細を明かそうとしない。
医療関係者に現金を渡した疑いが持たれているのは確かだが、長瀬容疑者は「日本人患者に早く手術の機会を回してもらうためで、臓器売買行為とは違う」と主張している模様だ。
      ■         ■
 日本では臓器提供を何年も待つ患者がいるが、同センターを利用すれば、申し込みから数週間で手術を受けることもできた。費用は腎臓移植で600万~750万円。米国などで手術を受けるのに比べ格安だった。
 紹介を受け、腎臓移植をした日本人男性(63)は日本で移植を受けるのがあまりにも難しいことが問題だ」。別の60代の男性は「今でも長瀬さんには心から感謝している」と語る。
      ■         ■
 勾留中の長瀬容疑者はこう漏らしているという。「信念を持ってやったこと。やりがいのある仕事だった」
長瀬容疑者一問一答
 長瀬容疑者は昨年初め、瀋陽市内の事務所で朝日新聞記者の取材に応じていた。
 悩んでいる人助ける
 中国水準極めて高い
-なぜ中国で?
「中国に来れば、悩んでいる人を助ける機会があると思った。中国へ手術をしに行くのは死にに行くようなものだと言う人がいるが、まったく違う」
-いつ始めたのか。
「2003年11月。友人の肝臓移植を巡って状況を知りたいと思い、こちらの病院を調べた」
-死刑囚の臓器を使っているのか。
「関知していないので分からない。別の問題だ。全部がそういうものではないだろう」
-ひどい仲介業者もいるようだが。
「高額の仲介料で質の悪い医療機関を紹介する者もいるのは事実だが、中国でも医師と病院を選べば水準は極めて高い。あまり待たずに手術ができるのは患者にとって大きなチャンスだ」
(以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 中国で腎臓移植を受けて、元気に働いている日本人がかなりいます。
 病院さえ選べば、中国でも‘安全’に手術を受けられました。海外で修行を積んだ中国人医師の医療技術レベルはかなり高いです。形成外科でも同じです。
 問題なのは、死刑囚の臓器を不法に入手している?という疑惑でしょうか?
 日本人が、もっと多くドナー登録をして、臓器移植が進まなくては移植医療は進歩しません。
 私のように死んで灰になるより、誰かの体の中で生き延びよう考えるのは、生命倫理に反しているのでしょうか?

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昔の記憶

弟のキズ

 私には弟が一人います。昭和33年1月に、弟も市立札幌病院で生まれました。
 年齢差は3歳4ヵ月です。
 現在は、本州に住んでいます。サラリーマンです。
      ■         ■
 小さい頃は、弟とよく喧嘩をしました。私が大きくて強かったので、いじめていました。
 弟の左眉にキズがあります。キズのところだけ毛が生えていません。
 小さい頃に、私がケガをさせてできました。
      ■         ■
 今だったら、毛が生えていない部分も、キレイになおしてやれますが、当時は形成外科がありませんでした。
 悪いことをしたと子供心にずっと気にしていました。
 ふざけて遊んでいたつもりでしたが、血が出ていたのを見てびっくりしました。
      ■         ■
 元、看護婦さんだったマーちゃんのおばさん(お母さん)に助けていただきました。
 母が、「あんた何やったの!マーちゃんのおばさんを呼んできて!」と叫びました。
 マーちゃんのおばさんは落ち着いていました。さすがです。
 その後、外科の先生に診ていただきました。
      ■         ■
 結局、弟のケガは縫合せずに治しました。
 今でしたら、全身麻酔で丁寧に縫合するか?当時と同じように、縫合せずに薬で治して、気になれば修正するか?といったところです。
 ケガをして、泣き叫んでいる子供を丁寧に縫合することは不可能です。
 手術台の上に横にさせるだけでも、手をバタバタ、足をバタバタで大変です。
      ■         ■
 全身麻酔を安全にかけるためには、胃の中が空っぽでなくてはできません。
 麻酔をかけている時に、吐いてゲボが肺に入ると危険だからです。
 一刻を争うような緊急手術でしたら、リスクを承知で全身麻酔をかけることがあります。
 食事をしたばかりで、お腹いっぱいの状態を麻酔科ではFull Stomach(フルストマック)と呼びます。
      ■         ■
 顔のケガでしたら、後日修正手術も可能ですので、よほどでなければ、Full Stomachで全身麻酔をしません。
 50年前でも、今でも弟が受けた治療は同じだったと思います。
 その結果、弟の左眉には5㎜程度のキズが残りました。
      ■         ■
 何歳ころまでかは忘れましたが、弟に『兄貴がつけたキズだ』と言われたことを覚えています。
 形成外科医になってから、弟に『お前のその眉のキズ治そうか?』と言ったことがありました。
 弟は『…?…?』といった感じでした。
 兄貴、今頃何言ってんの?って感じに受けとめました。
 私はそのキズのことをずっと覚えていましたが、弟は私より気にしていなかったと、その時に思いました。
      ■         ■
 たった5㎜程度の小さなキズでも、人によっては‘忘れられない’‘気になる’キズのことがあります。
 キズは、皮膚の表面にもつきますが、人の心の中にも残ります。
 私たち、形成外科医は、皮膚の表面についた小さなキズを治すことで、心に残ったキズも治るように努力しています。
 もし、気になるキズがあれば一度形成外科専門医に相談なさるとよいと思います。

私3歳、弟3ヵ月
ケガをする前です

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医療問題

60代も妊娠

 平成19年11月14日、朝日新聞朝刊の記事です。
 卵子提供で60代も妊娠
 高リスク、出産現場に戸惑い
      ■         ■
 海外で卵子を購人し、体外受精で妊娠した高齢者の出産が、日本のお産現場に戸惑いを広げている。
 最近も、米国で受精卵の提供を受けて妊娠した独身の60歳代女性が帰国後、診察してくれる医療機関を探しまわったものの、断られ、長野県のクリニックに行き着いたケースが明らかになった。
 産科医の間では「受け入れ拒否もやむを得ない」との声も出ている。なぜなのか。(岡崎明子、武田耕太)
      ■         ■
 「本来こうしたやり方は勧められない。米国に渡る前だったら、やめるよう説得していた」
 60歳代の女性の出産受け入れを決めた諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長は先月初め、東京都内であった記者会見で強調した。
 医学の進歩で、閉経後も女性が妊娠できるようになった。しかし、自然妊娠はできず、高齢の女性は、他人から卵子提供を受け、出産するのが「最後の手段」だ。
 ただ、日本産科婦人科学会は指針で認めておらず、国内の医療機関では基本的に、卵子の提供は受けられない。
      ■         ■
 このため、卵子を求めて海外に渡る高齢女性もいる。今回の場合、女性は独身で、使われた精子も他人という異例さだ。
 総合周産期母子医療センターに指定されている日赤医療センター(東京都渋谷区)で昨春、米国で卵子提供を受けた57歳の女性が帝王切開で出産した。その際、8㍑を超える出血があり、集中治療室で1週間の治療を受け退院した。
      ■         ■
 センターーでは2002~2006年に、海外で卵子提供を受けた14人の出産を受け入れた。このうち、45歳以上が9人で、50歳代も2人いた。双子や、妊婦に塞栓症があるなどリスクが高いものも多く、11例で帝王切開をしている。
 杉本充弘産科部長は「閉経後の妊娠ができるようになったことで、完全に生殖のルールが壊れた」と話す。
      ■         ■
 また、多くの産科医が、生殖年齢を超えた出産のリスクに大きな懸念を抱いている。
 ハイリスク出産を多く扱う愛育病院(同港区)の中林正雄院長は「20代に比べ、50代の母胎死亡のリスクは100倍近い」と指摘する。
      ■         ■
 年を取ると血管がもろくなり、脳出血や心筋梗塞などの合併症を起こす確率が高くなる。子宮の弾力性も悪くなり、子宮破裂を起こすこともある。妊娠の確率を高めようと、複数の受精卵を体内に戻し多胎妊娠になる例もあるため、さらにリスクが高まる。
 それでも「子どもがほしい」との思いに応えたいとの理由で、独自に動いているのが、国内の一部の不妊治療クリニックだ。大阪府のクリニックはロサンゼルスに拠点を置く卵子バンクと提携し、患者を紹介している。「リスクを冒しても産みたいという気持ちは止められない」という。
      ■         ■
 都内のクリニックは海外の卵子バンクを利用する女性に、受精卵を戻す前の検査を実施してきた。出産は扱っていないため、近くの病院に紹介状を書いてきたという。 だが、このクリニックは、最近、海外の卵子バンクとの関係を解消したという。
 理事長は「妊婦の受け入れを断られるケースが出てきた。このため、安全な出産を確保できない」と理由を打ち明けた。
      ■         ■
 周産期医療の現場からは厳しい声が上がる。
 医師不足の厳しい労働環境の中、都内のある病院の産科部長は「出産リスクの高い妊婦を、不妊治療クリニックがつくっておきながら、リスクを引き受けず、病院に回す構造はおかしい」と話した。
 今は受け入れている病院も「断れるものなら断りたい。受け皿がなくなれば、海外で卵子提供を受けようとする高齢女性がいなくなるかもしれない」と本音を漏らす。
      ■         ■
 今夏ヽ都内であった日本学術会議の生殖補助医療のあり方を検討する委員会。この場でも海外で卵子提供を受けて妊娠したハイリスク出産の妊婦を、国内で引き受ける現状が議論になった。
 委員会は年明けに報告書をまとめる予定で、産科医から「しわ寄せが来ている現場の声を十分に反映してほしい」との声があがる。卵子提供の是非が盛り込まれることを期待する声が出る一方、 「海外のケースまで縛れないのではないか」と懐疑的な意見もある。
(以上、朝日新聞から引用)
      ■         ■
 命がけでも、‘自分が生んだ自分の子供’が欲しいという気迫が伝わってくる話しです。
 日本の‘実子’と‘養子’に対する、目に見えない‘差別’のような気がします。
 卵も他人のもの、精子もだれのかわからない他人のもの。自分が生んだということだけが‘事実’です。
 国民性の違いもあると思いますが、もっと養子縁組が一般的になれば、このような問題が解決するのでは?と考えるのは私が‘男’だからでしょうか?

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愛妻弁当

 平成19年11月14日朝日新聞-ひととき-への投稿です。
 弁当に詰めた「愛情」
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 夫の弁当を作り続けて44年になります。「衣」「住」は不得手な私ですが、料理だけは若いころから大好き。弁当作りも私の生きがいのひとつでした。
 2人の息子の学生時代には、夫の分とあわせて3個の弁当を作るのが、朝の日課でした。中学から高校、長男は大学に入ってからも弁当を持参し続けました。
      ■         ■
 44年間にはさまざまな弁当の歴史がありました。息子が区立小学校から、弁当の必要な私立中学に入った時、私は幼稚園時代のイメージでさまざまな食品を少しずつ彩りよく入れました。が、これが不評。
 息子からは「おかずは1品でいいからたっぷり入れて」と言われてしまいました。当時は夫も働き盛りでしたので、息子たちと同じようなボリューム弁当でした。
      ■         ■
 やがて夫1人の弁当に戻り、弁当の中身にも、健康を気遣う年齢となりました。79歳の夫は今も現役の開業医です。
 ただ、最近は夕食を外で済ます機会が多いので、弁当はなるべく野菜中心。自家製のはりはり漬けや切り干し大根、ひじきなどを彩りよく合わせてのヘルシー弁当です。
      ■         ■
 専業主婦であることに焦りを抱いた時期もありますが、こうして夫が元気で働けるのも、少しは長年の弁当作りのおかげかな。
 今朝も夫の健康を祈りながら、お弁当を持たせて送り出しました。
 東京都世田谷区 主婦 75歳
 (以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 私は毎日家内が作ってくれた弁当を持参して通勤しています。
 病院で昼食を準備してくれていた、地方の病院以外は、26年間、家内の弁当を食べています。
 一番、充実していたのは新婚の頃でした。同期の先生が毎日、今日はどんな弁当だ?と見に来たくらいでした。
      ■         ■
 子供が中学・高校と弁当を持参していた頃は、子供と同じ内容の弁当になっていました。
 今は、たまに子供が弁当を持参する程度ですから、私専用の弁当です。
 弁当を作るのは大変だと文句を言いながらも、毎日作ってくれています。
 家内が作った弁当を食べていると調子が良いので感謝しています。
      ■         ■
 夫婦喧嘩をした日は弁当がないので、職員にすぐに気付かれます。
 たまたま、喧嘩していないのに、弁当がない時は、「あのぉ~、今日喧嘩したんじゃないから!」と断っています。
      ■         ■
 弁当のおかずは、夕食のおかずの残りも入ります。
 たまに、とんかつ弁当もあります。夕食にカツや牡蠣フライが出ると、次の日も弁当に入ります。
 私は牡蠣フライが好きなので、夕食の残りでも喜んで食べています。
      ■         ■
 家内には、いろいろと口うるさいとか、よく文句を言われますが、ただ一つだけ褒められていることがあります。
 私は、よほど忙しくない限り、自分が食べた弁当箱は、自分でキレイに洗っています。
 気が利く優しい職員が『先生、私洗います!』と言ってくれますが、時間がある時は自分で洗っています。
 帰りには、職員が弁当箱を拭いて、私の鞄に入れてくれています。
      ■         ■
 私は小さい時からお腹が弱いので、家内の弁当には感謝しています。
 関西出身の家内と結婚して良かったと思うのは味付けです。口うるさい私ですが、食べ物にはあまりうるさく言いません。
 私は薄口の関西風が好きです。うどんは絶対関西風です。
      ■         ■
 ひとときに投稿なさった奥様のように、79歳まで現役で働ける先生はすごいと思います。
 私たち外科医の医師としての寿命は、内科医よりずっと短いといわれています。
 何歳まで働けるかわかりませんが、今のところ家内の弁当のおかげで元気に働いています。

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医療問題

女性のやせすぎ

 平成19年11月11日朝日新聞日曜版の記事です。
 女性のやせすぎ 栄養偏れば脳にも悪影響
 「太りすぎ」に厳しい目が向けられています。メタボリックシンドロームについても肥満対策が柱の一つです。でもその裏で深刻化している問題があります。「やせすぎ」です。
      ■         ■
 厚生労働省の国民健康・栄養調査(2005年)では、20~30代の女性の2割が 低体重(BMI18.5未満)です。
 ダイエットを始めて、体重計に乗るたびに数値が下がると、うれしくなる。周りか らも「やせたね」と言われる。
 とくに周囲の目が気になる思春期は、その「達成感」にはまりやすい。2002年の国民栄養調査では、15~19歳の女性で、低体重だった人の4割が「さらに体重を減らしたい」と考えていたほどだ。
      ■         ■
 その結果―。無月経になったり、不眠になったり、集中力が低下したりして、日常生活に支障が出ることもしばしばだ。拒食症などの病気になってしまうことだって少なくない。
      ■         ■
 「肥満のデメリットに対し、やせすぎがなぜいけないか、発信が少なすぎた」こう指摘するのは女子栄養大の武見ゆかり教授(食生態学)。
 食生活も「控える」ことに焦点があたり、「適量」という考えが伝わっていないのが気になるという。
      ■         ■
 武見さんらは2003年、主食、主菜、副菜を並べ、東京都内の小学生の母親34人に「適量」と思う量を選んでもらった。いずれにおいても、必要と考えられる量より少なかった人が6割以上にのばった。
 母親たちは主に30~40歳代とみられるが、「10代に抱いた『食事は控えめに』という感覚を、そのまま引きずっているのではないか」と武見さんはみている。
      ■         ■
 ダイエットと摂食障害に詳しい大阪市立大の切池信夫教授(神経精神医学)は「若い女性の多くはやせていることを美しさと成功の象徴ととらえている。」
 「でも、その考え方が行きすぎたとき、どれだけ健康を損ねるかを考えてほしい」という。
      ■         ■
 切池さんによると、「OOだけ食べる」といった単食ダイエットや炭水化物を抜くなどのダイエットは栄養不良につながる。
 脳にも悪影響を及ぼし、うつの傾向が強くなることもあり、結局、長続きせずにリバウンドしやすい、という。
      ■         ■
 減量が必要な場合は、3食規則正しく食べたうえで運動を心がける。食事の量を全体的に1割カットし、月1㌔程度の減量を維持していくことを勧めるという。
 「やせた女性がいいとみる世間の風潮、男性の価値観を変えなければいけません」
      ■         ■
 東京女子医大東医療センターの片井みゆき准教授(性差医療部、女性専門外来担当)は「体重だけではなく、一度は骨密度を測ってみてほしい」と呼びかける。
 骨がもろくなる骨粗鬆症は閉経後の女性に多い。女性ホルモンの減少で、骨密度が急速に下がるためだ。腰痛や姿勢の変化をきたし、骨折の危険性が高まる。寝たきりになる割合も高くなる。
 だが、やせすぎの若い女性で、骨密度が70代以降の平均と同程度の人も少なくないという。「目先の外見だけでなく、生涯にわたって若々しく健康でいることの重要性も考えてほしい」と話す。(武田耕太)
      ■         ■
 どんな物をどれだけ食べるのが適量なのか。
  「食事バランスガイド(http://www.j-balanceguide.com/)も参考になる。
 妊娠しても太りたくないと思う妊婦から低体重の赤ちゃんが生まれるケースも問題になっている。
 厚生労働省の指針は、やせ気味(BMI18.5未満)の人は9~12㌔、普通(同上8.5以上25未満)の人でも7~12㌔太るのが適当としている。
      ■         ■
 やせすぎが心身に及ぼす悪影響
・脱毛
・脳萎縮
・聴覚過敏
・不眠
・集中力低下
・ゆううつ気分
・味覚障害
・低血圧
・不整脈
・無月経
・冷え症
・歩行困難
・むくみ
・脱水
・うぶ毛の密生
・皮膚乾燥
・肝・脾機能障害
・腰痛・便秘
・骨粗鬆症
・低身長
 (以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 BMIとはボディ・マス・インデックスのことです。
 これは体重(kg)/身長(m)2で求められます。
 私は体重62kg、身長171㎝なので、62割る、1.71の二乗(1.71×1.71=2.9241)。
 62÷2.9241=21.2です。BMI指数の標準値は22.0です。私の体型は普通ということになります。
 こちらで計算してくれます
      ■         ■
 BMIが
・18.5未満 やせ
・18.5~25未満 標準
・25~30未満 肥満
・30以上 高度肥満 です。
      ■         ■
 私は、5年前から平成19年4月まではスポーツクラブに通っていました。ほぼ毎日、少しですがスイミングをしていました。
 その時の体重が、60㎏でした。体調は好調でした。
 最近、寒くなって冬物のズボンを出して履いたところ、ウエストがきつくなっていました。ショックでした。
 家内は、『それ以上痩せたら、ますますガリガリになって、みすぼらしくなる』といいます。
      ■         ■
 ただ、ウエストがきついのはイヤなので、元の60㎏にしようと考えています。
 試着した、パンツが入らなかったので、脂肪吸引をしたいという女性の気持ちがわかりました。
      ■         ■
 確かに「やせすぎ」はよくありません。が、出てきたお腹は気になります。
①規則正しい食事。
②バランスのとれた内容。
③適度の運動。
 この3つが健康な体に必要な条件です。
 家内に何といわれようと、私は60㎏に戻して、維持したいと思っています。
 またスポーツクラブに通ってスイミングを続けることを考えています。

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昔の記憶

マーちゃんの家

 平成19年11月1日の幼少時の記憶の続きです。
 私が小さいときに一番仲がよかったのが、小山(オヤマ)先生の家のマーちゃんでした。
 マーちゃんは私より4~5歳年上で近所のリーダーでした。
 マーちゃんのおじさん(お父さん)は内科の先生でした。
      ■         ■
 小山昌正(オヤマヨシマサ)先生。もうお亡くなりになりましたが、北大医学部25期(昭和24年卒業)。
 砂原(サワラ)町名誉町民でした。優しい立派な先生でした。
 小山先生が北大医学部の学生だった頃に、私の母方の祖母の家の近くに親戚があり、よく遊びに来ていたそうです。
      ■         ■
 私の祖母が、マーちゃんのおじさんのことを、‘ヨシマサさん’。
 マーちゃんのおじさん(先生)が、祖母のことを‘おばさん’と呼んでいたのを、子供ながら不思議に思っていました。
 今になって考えると、マーちゃんのおじさんも、卒後10年目程度で、現役バリバリの内科医だったのがわかります。
      ■         ■
 手稲療養所は、アットホームな雰囲気で、職員同士の仲がよかったと思います。
 私の家は、家族ぐるみでマーちゃんの家と仲良しでした。
 マーちゃんのおばさん(お母さん)は、明るく優しい方でした。
 『今日は、おじさんが当直でいないから泊まりにいらっしゃい!』と泊まりに行ったことがありました。
      ■         ■
 私は記憶にないのですが、母から『あんたは、マーちゃん家(チ)にお泊りに行って、お客さん用のフトンにおねしょをした!』と何度も言われました。
 子供だから、おねしょくらいするでしょ!と今なら反論できますが、何度か傷ついた記憶があります。
      ■         ■
 マーちゃんは、背が高くて、頭がよくて、母からよく『あんたも、マーちゃんみたいになりなさい』と言われていました。
 マーちゃんはリーダーでカッコよかったので、私もいつかはマーちゃんに追いつきたいと思っていました。
      ■         ■
 私が子供だった、昭和30年代の初めは、今のようにパン食が普及していなかったように思います。
 何歳の頃かわかりませんが、ようやくトースターが出始めました。
 焼けたらポンと飛び出るトースターがすごく目新しく思った記憶があります。
      ■         ■
 マーちゃんはよくパンを食べていたので、背が高くなったと私は思っていました。
 マーちゃんの家で美味しいパンをごちそうになった記憶があるので、そう思い込んでいたのかも知れません。
      ■         ■
 マーちゃんの家に行くと、わが家にはなかったテレビがあり、ピアノがありました。
 子供心に、お医者さんの家はすごいなぁ~と思っていました。でも、自分がお医者さんになるとは夢にも思っていませんでした。
 小さい頃の私は、体が弱くよくお医者さんのお世話になっていました。
 私は、注射が大嫌いでした。だから、自分がお医者さんになって注射をするなんて考えもしませんでした。
      ■         ■
 私は小さい頃から神経質な性格だったのでしょう。
 よく自家中毒という病気になりました。
 周期性嘔吐症、アセトン血性嘔吐症ともいわれる病気です。
 これになると、最後は必ず注射でした。注射は看護婦さんがしてくれました。
 コソノさんという婦長さんが一番上手でした。コソノさんが注射してくれると安心で泣きませんでした。
      ■         ■
 よく病気をしていたらしいのですが、自分自身はあまり覚えていません。
 覚えているのは、マーちゃんのおばさんに助けてもらったこと。
 マーちゃんの家のポチとよく遊んだこと。
 手稲の自然が好きだったことなどです。

昔はこんなソリで遊んでいました

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消費税

 平成19年11月10日朝日新聞朝刊に興味深い記事がありました。
 税を問う 高率消費税暮らしは?
2025年17%になったら…
バター断念→マーガリン
分譲マンション閑古鳥
      ■         ■
 社会保障の給付水準を保つには、2025年度に消費税率を最大17%にする必要がある、という試算を内閣府が公表した。
「消費税17%社会」の姿を予想すると―
      ■         ■
 2025年4月1日、消費税率が、10%から一気に17%になった。5年ぶりの引き上げだった。
 この日の夕、専業主婦のAさん(42)は近所のスーパーで買い物をした。
 無人のレジに買い物かごを置くと電子画面に文字が浮かび上がった。
  「総額2757円(内税257円)」
 ビール、バター、菓子の計1100円分には17%の標準税率が適用され、消費税額は187円。牛乳と卵、野菜、鶏肉の計1400円分は5%の軽減税率で消費税額は70円だった。
      ■         ■
 Aさんは考え込んだ。
「今度からバターはやめて税金が安いマーガリンにしようかしら」
      ■         ■
 年金暮らしの男性Bさん(74)は朝、テレビで政府広報を見た。2大政党の大連立に支えられ、消費税増税を実現した福沢首相がいつにない神妙な面持ちで語りかけた。
 「今日から消費税が上がります。これは社会保障の財源として大切に使われます。幅広い世代が『広く薄く』負担して支え合う暮らしの安心。皆様のご理解をお願いします」
 Bさんは複雑だ。「年寄りが増えると仕方ないのかもしれないが、大変な時代になったもんだ」
      ■         ■
 派遣社員の女性Cさん(25)はこの日の夜、インターネットで検索した。
 討論サイトには「業者の『益税』問題があるのに」との書き込みが。ただ、特に気になったのは「低所得者層の負担が重くなる『逆進性』がある」という指摘だった。
 Cさんの月収は約23万円。先月の消費税額は約1万2千円。17%になると、8千円ほどの負担増だ。「自分のような安月給にも増税なんて……」
      ■         ■
 分譲マンションのモデルルームは3月上旬までにぎわったが、今は閑古鳥が鳴く。営業担当の男性Dさん(35)は「需要を先食いした。しばらくは商売あがったりだ」。
 エコノミストも「住宅着工数の落ち込みが長期化し、景気への悪影響も避けられない」と指摘する。
 (以上、朝日新聞より引用)
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 医療は保険診療は非課税。自由診療は課税です。
 消費税を上げなければならない最大の理由は少子高齢化に伴う、社会保障費の増大といわれています。
 私の両親を含めて、現在の高齢者はかなりの額の年金をいただいています。
 この年金を支えているのが、現役世代の社会保険料です。医療費もそうです。
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 年金は自転車操業なので、現在受給している人たちが払った‘貯金’ではないのです。
 言葉は悪いですが、若者から前金を取って、それを原資にして払っているのが、今の年金です。
 NOVAと一緒で一生懸命払ったのに、気がついたら年金会社は倒産してたのではやってられません。
 2025年になると、私は71歳になっています。生きているか死んでいるかわかりませんが、もう手術も仕事もしていません(おそらく)。
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 人口に占める高齢者の割合が増えていますので、今と同じ年金水準を維持しようとすると、若者が払う社会保険料が莫大になります。
 消費税は1%上げると、2.5兆円も税収が増える、魔法のつえだそうです。
 消費税の値上げを繰り返して、税収のつじつまを合わせていては、若い人が勤労意欲をなくします。
 社会保障費の無駄や、補助金の使い方を見直して、制度を変えなくては住みよい日本になりません。
 防衛省以上に官と民の癒着が強いのが厚生労働省です。第二の守屋さんは厚労省にもいると思います。

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医療問題

日鋼記念病院

 平成19年11月10日朝日新聞朝刊の記事です。
 カレスアライアンス理事長解任余波
 日鋼病院止まらぬ医師退職
 救命センター休止に現実昧
 救急搬送他病院の負担増す
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 9月に起こった医療法人社団「カレスアライアンス」の理事長解任劇の余波が収まらない。
 同法人が運営する室蘭市の日鋼記念病院では医師の退職が相次ぎ、今月末に予定される循環器科医師らの退職で、懸念される救命救急センターの休止も現実味を帯びる。
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 これによって、西胆振地方の医療体制に影響が出る可能性もある。
 発端は、カレスアライアンスが所有する札幌市の天使病院を、同法人と関係が深い特定医療法人「カレスサッポロ」に移管しようとした問題。同法人の理事長を務めていた西村昭男医師が主導した。
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 だが、天使病院の産婦人科医師らが「移管の理由がよくわからない」「サッポロの経営状況が不透明」などと反発し、一斉に退職する意向を表明。その後、9月11日に聞かれたアライアンスの臨時理事会・臨時総会で、西村氏が理事長を解任される事態に至った。
 これにより、天使病院の産婦人科医師の一斉退職は避けられた。だが、余波はアライアンスが運営し、西村氏がかつて院長を務めていた日鋼記念病院に及んだ。
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 同病院では今年3月末に脳神経外科医2人が辞め、産婦人科もー人残っていた医師の退職で休診。
 西村氏の解任後は、脳神経外科医ら6人が退職した。一部は補充できたが、今月末にはさらに循環器科の医師4人全員と内科の医師3人が退職する。医師がゼロになった脳神経外科は今月から休診。循環器科も医師を確保できなければ12月から休診する。
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 一方、アライアンス側は医師の確保に奔走している。「救命救急センター」の存続にも大きくかかわるからだ。
 同センターは、交通事故や心筋梗塞、脳卒中などの重篤な救急患者の治療にあたる3次救急医療機関。地域の指定要請を受けて知事が指定し、道内には10力所ある。
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 胆振地方は日鋼記念のみで、脳神経外科と循環器科の医師がいなくなればセンターの休止を余儀なくされる。
 アライアンスの林茂常務理事は「(両科で)医師が最低2人ずついれば機能は維持できる」と話すが、現時点で確保の見通しは立っていない。
 同市内には肺炎や脳梗塞などの患者の治療にあたる2次救急医療機関の市立室蘭と新日鉄室蘭の二つの総合病院のほか、脳神経外科病院もあり、医療環境は比較的充実している。
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 だが、同市消防本部の佐藤武雄消防長は「救命救急センターが休止になれば、2次救急の病院にするか、札幌など管外へ搬送するか判断が難しくなる」と話す。
 市内の医師の1人も「ほかの救急病院への負担が大きくなり、大きな事故や災害の発生への対応に不安が出る」と懸念する。
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 今年1~8月の同市内の救急搬送件数は、3月末に産婦人科医や脳神経外科医の退職が相次いだ日鋼記念が前年同期比233件減った。
 これに対して市立室蘭は80件、新日鉄室蘭は30件、脳神経外科病院は53件の増加。すでに他の病院が負担増になり、この傾向は9月以降も続いている。
 (以上、朝日新聞より引用)
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 10月22日付けで、カレスアライアンスの勝木良雄理事長が理事長の交代に関する経緯をHPに掲載しています。
 その中で、
①国の医療費抑制策の結果として、日本中の殆どの急性期病院が赤字経営を余儀なくされている。
②医師不足による各診療科医師の地方基幹病院からの撤退など、病院運営は困難な状況に追い込まれている。
③カレスアライアンスにとって大きな不利益をもたらすM&A(Mergers and Acquisitions、企業の合併・買収)を避けるために起こった理事長交替であった。
 ①~③の理由が書かれていました。
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 医療機関が‘儲かった時代’は終わりました。
 医療法人はもともと‘利益’を出すための法人ではありません。ただ、赤字になっては存続すら危うくなります。
 地域医療に必要な医療法人は、行政の力を借りてでも存続させて欲しいと願っています。

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医療問題

薬害肝炎

 血液製剤による肝炎が問題になっています。
 新聞報道にはあまり名前が出てきませんが、問題の製剤を作って売ったのは、ミドリ十字という会社でした。
 赤十字(日赤)のマークが赤いです。ミドリ十字のマークはミドリでした。血液製剤では圧倒的なシェアを持っていました。
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 私はフィブリノゲン製剤を使ったことはありませんが、免疫グロブリン製剤は使いました。
 重症の外傷、特に熱傷では重篤な感染症を起こします。今でも、免疫グロブリン製剤は使われています。
 ミドリ十字の免疫グロブリン、ヴェノグロブリンI(アイ)は、日本で一番良いと言われていた製剤でした。
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 ミドリ十字については、薬害エイズを作った会社だとか、フィブリノゲン製剤で肝炎を作ったとか、たくさんの批判があります。
 ミドリ十字のマイナス面だけが報道されていますが、血液製剤の研究・開発では優れたものを持っていた会社でした。
 問題があったのは厚生労働省との癒着です。優秀な社員もいましたが、天下り官僚が悪かったように思います。
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 私が市立札幌病院に勤務していた時に、事故で下腿がグチャグチャになってしまった子供さんが搬送されて来ました。
 整形外科の先生と一緒に手術をして、下肢の切断は免れました。
 重篤な感染症を起こし、救急部でミドリ十字のヴェノグロブリンIを投与しました。
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 幸い、感染症はおさまり、下肢も切断しなくて済みました。
 極めて重症でしたが、輸血は行いませんでした。
 救急部から、私が勤務していた病棟へ転科して、皮膚の処置とリハビリを行っていました。
      ■         ■
 ある日、C型肝炎の抗体検査をしたところ、輸血もしていないのに陽性になっていました。
 当時は肝炎ウイルスそのものを検査することは、保険ではできませんでした。
 C型肝炎の抗体(HCV抗体)が陽性ということで、C型肝炎に感染したことが考えられました。
      ■         ■
 輸血もしていないし、肝炎にかかるような薬剤も投与していませんでした。
 お父さん、お母さんの血液も検査してみましたが陰性でした。
 いろいろ検査したところ、ヴェノグロブリンIが疑われました。
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 薬剤の添付文書を読んでも、ヴェノグロブリンIを投与して、HCV抗体が陽性になるとは書いていませんでした。学会報告もありませんでした。
 ミドリ十字に電話で問い合わせたところ、あっさりと因果関係を認めました。
 そして、HCV抗体が陽性になっても肝炎にはかからないと説明を受けました。
 ヴェノグロブリンIを製造する時に、HCV抗体が陽性の人の血清を使ったのが原因でした。
      ■         ■
 私はミドリ十字本社(大阪)から責任者を札幌まで呼んで、その子供さんの両親に説明していただきました。
 ご両親は、肝炎にかかっていないし、将来も肝炎になる心配がないならと納得してくださいました。
 その子供さんは大きくなり、現在は立派な社会人になられています。
 もちろん、C型肝炎にはなっていません。
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 どんな薬にも副作用はあるし、不可抗力というのもあります。
 ただ、厚生労働省とミドリ十字という会社には隠蔽体質があり、医師や患者に必要な情報を与えていませんでした。
 ヴェノグロブリンIで命が助かった人はたくさんいます。
 優秀な研究者もいました。私が知っているミドリ十字の社員はとても優秀な方ばかりでした。
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 残念なのは、必要な情報を十分に与えてくれなかった点です。
 もし、C型肝炎にかかった人から採取した血液から作った製品だと知っていたら、私たちはヴェノグロブリンIを使いませんでした。
 知っていたのは、ミドリ十字の役員と、製造担当者。厚生労働省でした。これらの心ない人たちが、薬害肝炎を作ったと思います。

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医療問題

混合診療

 平成19年11月8日朝日新聞朝刊の記事です。
 保険外診療も併用「混合診療」、禁止は法的根拠なし 東京地裁
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 患者に公的保険が適用される保険診療と、保険が適用されない自由診療を併せて受ける「混合診療」を原則禁じた国の政策が合法かどうかが争われた訴訟の判決で、東京地裁(定塚誠裁判長)は7日、「混合診療の禁止に法的根拠はない」との判断を示した。
 国は患者が混合診療を受けた場合、「一体化した医療行為」とみて保険適用分の診療費も自己負担としているが、地裁は保険適用分は給付を受ける権利があるとした。
      ■         ■
 混合診療については「医師と患者に治療の選択を任せるべきだ」との意見と、「安全を保証できない治療まで行われる」などの反対論がある。
 そもそも国の禁止措置に法的根拠がないとする判断は、こうした議論の前提を揺るがすことになり波紋を広げそうだ。
      ■         ■
 訴えていたのは、神奈川県藤沢市の清郷伸人さん(60)。
 がん治療のため、保険が適用されるインターフェロン療法に加え、適用外の療法を受診。全額負担を求められることから、国の政策は健康保険法に違反すると主張し、インターフェロン分は受給の権利があることの確認を求めた。
      ■         ■
 判決は同法の規定について「個別の診療行為ごとに給付対象かどうか判断する仕組みを採用している」と判断。
 「国が複数の行為を一体とみて、混合診療を受けると給付対象分も給付が受けられないと解釈する根拠は見いだし難い」と述べた。
      ■         ■
 国側は、高度な先進医療などで混合診療を例外的に認める制度で給付対象が限定されていることから、それ以外は給付対象にならないとも主張した。
 判決は、制度上の給付対象が「給付に値する組み合わせを全体的、網羅的に見て拾い上げたものではない」として国の主張の正当性を否定。保険診療分については給付を受ける権利が清郷さんにあると結論づけた。(河原田慎一)
      ■         ■
 厚生労働省保険局長の談話
 極めて厳しい判決だ。今後の対応は関係機関と協議の上、速やかに決定したい。
 (以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 読んでいてよくわからないので、眠くなるような記事です。
 「混合診療」とは、歯科でムシ歯を治療して詰め物をする時に、虫歯の治療は保険ですが、被せる詰め物は保険の他に、保険外で高くても良いものを使えますというアレです。
      ■         ■
 歯科では認められている「混合診療」が医科では認められません。
 保険でキズを縫う時に、『キズが目立たない糸があります。保険外で5万円しますが、お使いになりますか?』とか
 麻酔をする時に、『痛くない麻酔があります。保険外で5万円になりますが、どういたしますか?』
 なんてことになると困るので、認められていないというのが国の反論材料になります。
      ■         ■
 実際には、保険診療でもキレイに治る糸を使っていますし、痛くないように麻酔をしても追加料金はいただいておりません。
 差額はすべて医療機関が負担しています。
 保険が効かない抗癌剤や良い薬、良い治療法はたくさんあります。厚生労働省の仕事が最新の医学に追いついていないだけです。
      ■         ■
 政治家や官僚は、もし自分や家族が病気になったら、どういう治療をして欲しいかを考えて国の方針を決めれば、こんな裁判は起こりません。
 医療費をどう使えば、国民が安心して暮らせるかを考えて、政策を立案し実行して欲しいものです。

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