医学講座

注射針の太さ

 注射の針は怖いものです。
 私は子どもの頃に、
 よく‘自家中毒’という病気になりました。
 周期性嘔吐症、
 アセトン血性嘔吐症ともいわれる
 神経質な子どもがかかる病気です。
 これは血管注射という、
 静脈注射が効きました。
 看護婦さんが、
 ケンちゃん、
 痛くないように、
 新しい針で注射してあげる
 と言ってくれました。
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 当時の注射針は貴重品でした。
 注射器はガラス製でした。
 自宅にも注射器がありました。
 煮立ったお湯でグラグラと
 注射器を煮沸(しゃふつ)消毒していました。
 今では絶対にしてはいけない方法です。
 熱湯では死なない病原菌があります。
 今の注射器や注射針は
 使い捨てが常識です。
 特殊な注射器だけは、
 高圧蒸気滅菌という方法で
 滅菌(めっきん)します。
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 看護婦さんが
 新しい針が痛くない
 と言ってくれた意味が、
 子どもの私には理解できませんでした。
 今ならよくわかります。
 新しい針はよく切れるのです。
 包丁やカッターナイフの刃が
 新しいとよく切れるのといっしょです。
 よく切れると…
 皮膚を刺すときに抵抗がなく、
 痛みも少ないのです。
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 日本の病院で医師が使用する針は、
 27G(にじゅうななげーじ)という太さが
 一番細い針です。
 よく皮内テストをする時に使う針です。
 ふつうの病院には、
 27Gまでしかありません。
 採血に使う針は
 23G(にじゅうさんげーじ)か
 22G(にじゅうにげーじ)です。
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 献血に行って刺される針は、
 18G(じゅうはちげーじ)程度の
 かなり太い針です。
 歯科では30G(さんじゅうげーじ)という
 細い針もありますが、
 医科では30Gはめったに使いません。
 美容外科で使用していたのは、
 数年前まで30Gが主流でした。
 G(げーじ)という数字が大きくなるほど
 針は細くなります。
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 私がはじめて美容外科を見学させていただいたのは、
 札幌中央形成外科でした。
 武藤靖夫先生が
 30Gの針を使っていらっしゃるのを見て、
 美容外科は違うものだと
 感心しました。
 私が北大で30Gを使ったのは、
 コラーゲンの臨床試験の時でした。
 美容目的に使うコラーゲンには、
 細い針がついていました。
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 当時は30Gより細い針はなかったと思います。
 ところが…
 この30Gという細い針で注射をしても、
 まぶたや顔は簡単に皮下出血を起こします。
 そこで、
 もっと細い針が出てきました。
 最近の美容外科では、
 32G(さんじゅうにげーじ)とか
 33G(さんじゅうさんげーじ)
 という針が使われています。
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 あまり細いと、
 針が曲がってしまいます。
 また、
 特殊な針なので、
 一般に販売されている
 27Gなどに比べると
 べらぼうに高くなります。
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 美容外科の自費診療でしたら、
 問題はありませんが、
 保険診療で使うのは大変です。
 高い針を使っても、
 料金はいっしょですから…
 でも、札幌美容形成外科では、
 保険診療でも高い針を使って手術をしてます。
 少しでも腫れを少なく…
 痛みを少なくするためです。
 こんなところにも、
 企業秘密企業努力があります。

“注射針の太さ”へのコメント

  1. さくらんぼ より:

    企業秘密と企業努力 公開ですか(@_@;) 私も今でも注射は嫌いですが 疲れた時とか かかりつけの内科医さんが ビタミン剤などの点滴をしてくださいますが なんだか 点滴をしただけで気分的に良くなったような感じになります。
    そんなに細い針に糸は通せるのでしょうか?私は太い針にも手が震えて無理です。糸にも色々あるのですね・・子宮開腹手術の時はホチキスみたいなものでした。背中は見えませんでしたが 抜糸はありました。頸椎は 抜糸がなかったので 溶ける糸だったのでしょうか? 手術の時は麻酔が効いてるので どんな針を使っているのかわかりませんが さすが 形成外科医ですね。整形外科の先生の縫合も見事ですが それ以上に綺麗なのだと思います。 今はバイアスピリンと血圧の薬も飲んでるので 採血の度に 血がもこもこ吹き出る 私です。でも 私が何回 雑巾縫い練習しても うまくならなかったように本間先生には 才能があったのではないかと思います。もちろんプラス努力も でしょうが、、、
    一度 先生の手術見てみたいです。

  2. さくらんぼ より:

    追伸
    本間先生はほんとに 自分の利得より 患者様の事を一番に考えていらっしゃる先生なんだなと改めて思いました。

  3. 函館の看護師さん より:

    看護師になってすぐ「あんたの注射は痛い」と言われたことがあります。
    注射に苦手意識を持った私は外科の先生に注射で痛くない方法を聞いてみたことがありました。
    1・経験
    2・針の太さ
    3・針の向き
    あとは苦手意識の克服・・・といわれました。
    針の太さに関しては針の価格にも影響がありますので、その病院によっては使いやすい針を使いすぎないようにと言われたところがあり、先生のように高価な針を患者さんのために購入しているというのは先生らしさと札幌美容形成外科の特徴であり患者さんにはラッキーですよ!!

    実際にふつうの針と、翼状針という針では価格も違うのでよっぽど細い血管でない人は普通の針を使えと・・・外来のころは言われたもんです。

    この企業秘密と企業努力はほんとに先生らしい努力だと思います。

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