昔の記憶
形成外科を選んだ理由
札幌医大の学生さんから、
『先生はどうして形成外科を選ばれたのですか?』
と訊(き)かれました。
私:細かい作業が好きだったから。
解剖実習の時にも…
最後まで残って、細かい血管や神経を…
キレイに出すのが好きだったから…
医学生なら、
この解剖の話はよくわかると思います。
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解剖実習では性格が出ます。
最初は、全員、こわごわと解剖をします。
解剖実習の実際は、脂肪の中から、
神経や血管を丁寧に出す作業です。
男子学生とか女子学生とか…
性別に関係なく…
学生の性格が実習でわかります。
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ある程度慣れてくると、
ザックざっくと…
大胆に切り刻んで行く人。
細かいところまで…
丁寧に作業をする人など、
実にさまざまです。
私は、解剖の先生に言われたのではありませんが、
丁寧に一本いっぽん血管を出すのが好きでした。
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私たちの時代には、
2人一組で解剖をしました。
私の解剖のパートナーは、
福岡誠二さんでした。
福岡さんは、
名古屋大学工学部へ進学した後で、
札幌医大へ入学されました。
よく、
俺はトヨタへ入って、
エンジニアになっていたかも…?
と話していました。
福岡さんも丁寧に解剖をする人でした。
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福岡さんと呼んでいたのは、
私より年上だったからです。
福岡さんは、
脳外科医になりました。
中村脳神経外科という、
脳外科の大病院で活躍され、
最先端のガンマーナイフのスペシャリストになりました。
今は札幌市清田区で
ふくおかクリニックを開業されています。
■ ■
その福岡さんと、
医学部の6年生の時に、
形成外科について話しました。
北大形成外科へ話しを聞きに行こう
ということになりました。
こちらのページにも書いてあります。
結局、私は形成外科へ、
福岡さんは脳神経外科へ進みました。
私は北大形成外科という、
とてもよい環境で、
形成外科医として育てていただきました。
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恩師の大浦武彦教授からは、
形成外科医としての、
つくる楽しみを教えていただきました。
私がこうして手術ができるようになったのは、
北大形成外科で教えていただいたからです。
よく叱られましたが、
今となっては楽しい想い出の一つです。
私は形成外科を選んでよかったと思っています。
一番のいいのは、
キレイに手術ができた時に、
患者さんと喜びを共有できることです。