医学講座

形成外科と美容外科の境界

 昨日の院長日記、
 美容外科の魅力と魔力に、
 さくらんぼさんから、
 コメントをいただきました
 頭が悪いので 非常に難しく理解するのが困難です。
 申し訳ございません。
 医師向けの抄録なので内容が難しいです。
      ■         ■
 塩谷信幸先生も大森喜太郎先生も、
 厳密に、
 形成外科と美容外科を分けるのは難しい
 …ということ強調されていました。
 私もそう思います。
 形成外科と美容外科の境界は、
 実はあいまいなのです。
 大きな違いは、
 保険適応になるか?
 保険適応にならないか?
 …ということです。
      ■         ■
 この保険適応にも、
 あいまいな部分があります。
 私たち保険医は、
 患者さんに必要な医療を適切に行う義務があります。
 軽度なので保険適応外はありません2016
 私は必ず、
 軽度なので手術の必要はありません
 軽度なので治療の必要はありません
 …と説明しています。
      ■         ■
 ところが、
 【軽度なので保険適応になりません
 あなたの治療には、
 自費50万円(消費税別)の治療をおすすめします。
 …というような美容形成外科もあります。
 私たち形成外科医は、
 少しでも患者さんをよくしてあげたい
 …という想いで毎日手術をしています。
      ■         ■
 公立病院の形成外科にも、
 美容外科手術?
 …と考えられるような患者さんが来院されます。
 形成外科部長といえど公務員です。
 勝手に、
 あなたの手術は自費で30万円(消費税別)です
 …とは決められません。
 料金徴収条例の改正が必要なこともあります
      ■         ■
 公立病院の形成外科部長は、
 困って来院された患者さんを目の前にして、
 患者さんを♡治してあげたい
 …と思います。
 保険適応で治せるものは、
 できるだけ保険で治してあげています。
 …これが形成外科医療の実情です。
      ■         ■
 転倒してケガをして、
 顔にキズが残ってしまった。
 目立つキズでも、
 運動制限のないキズは、
 厳密に言うと保険適応になりません
 そこを何とか手術で治しているのが、
 日本全国の形成外科医です。
      ■         ■
 2017年7月1日の第129回日本美容外科学会仙台で、
 塩谷信幸先生
 大森喜太郎先生

 …が強調されていたことは、
 もうけ
 目先のお金のことばかり考えた、
 金もうけ美容外科医になるな!
 外科医としての喜びは【お金】ではない、
 …と私は理解しました。
 形成外科専門医でも、
 粉瘤一個が自費で15万円(消費税別)
 …というところもあります。
 医者にもいろいろな人がいます。
 気をつけていただきたいです。

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医学講座

美容外科の魅力と魔力

 2017年7月1日の第129回日本美容外科学会仙台
 もう一つ有意義なご発表がありました。
 特別発言
 美容外科の魅力と魔力
 北里大学名誉教授
 ○塩谷信幸
 [抄録]
 形成外科医にとって「再建と美容は車の両輪」、という言い方がよくされます。
 本当にそうでしょうか?まず、再建と美容に線を引くことは可能か、という疑問です。
 これは再建を復元と考えるからで、外傷で失われた鼻を再建する場合、もし、元の鼻が鼻ぺちゃだったとしたら、わざわざ見っともないぺちやんこの鼻を作りますか。いや、本人の喜ぶような立派な鼻、つまり美しい鼻を目指すでしょう。再建と美容と分けるのは、「醜形の原因」が外傷、腫瘍などの病的なものか、生まれつきなのかだけの達いで、目的は「美」にあります。そして手段、つまり「手術方法」も再建と美容で異なることはない。ということを前置きとして、美容外科の魅力の最たるものは造形の楽しさにあると申し上げたい。鼻を例にとれば、数ミリ、1度、2度の角度を変えただけで「決まった」という感じを得た場合の達成感。これこそ何物にも代えがたい魅力といえます。
 その反面、魔力というか落とし穴もあります。まず自由診療のため、とかく「イージー・マネー」としか捉えられない。また、良くも悪くもリスクを冒したくないので、臆病になる。新しいことに挑戦しなくなる。もちろん、怖さを知らない素人美容外科医が、無茶苦茶なことをやらかすのも問題ですが。また、美容の目的は究極はセックス・アピールにつながります。エロスを裏側からメスでマニピュレートしているうちに、倫理観が曖昧になり身を滅ぼすものも過去にありました。そういうわけで美容外科に関わる医師には、美的感覚の他に、患者とのコミューニケーションの能力、厳しい倫理観が再建外科以上に要求されます。こうして再建外科が美容外科の基盤として必要な反面、美容外科の経験が再建外科医をさらに洗練されたものにすると僕は信じています。

      ■         ■
 このご発表に塩谷先生ご自身が、
 ブログで次のように書かれています。
 仙台日帰り
 さすがに今日は疲れました。
「日本美容外科学会」に参加のため、仙台を日帰りしました。
 だが新幹線は早い。はやぶさで東京仙台間わずか1時間半。
 でも行った甲斐はありました。
 僕は特別発言で、「美容外科の魅力と魔力」について20分話させてもらいました。
 美容外科は形成外科医がまともに取り組むべきと我々は考えます。
 造形美の極致、美容外科の魅力はこれに尽きます。その技術で患者さんのニーヅに答えられた時の喜び。
 ヘルタースケルターの蜷川監督が言う「美のヒエラルキー」に苦しられてきた女性を、その「コンプレックス」から救い出す医療。
 だがそれには落とし穴があります。
 自由診療として安易な金儲けの手段に堕することです。
 そのためには他科にも増して、厳しい倫理観が要求されます。
 僕が美容外科を志す若い形成外科医に訴えたかったのがこういう「美容外科の魅力と魔力」です。
 いささかでもこの想いが届いたかどうか・・・

      ■         ■
 塩谷信幸先生は、
 私の恩師、大浦武彦先生と同年代です
 私の主治医、大竹尚之先生の師匠です
 日本全国に、
 たくさんの優秀な美容形成外科医を育てられました。
 日本の形成外科出身の、
 美容外科医の父とも言える先生です。
      ■         ■
 塩谷先生の想いは、
 会場に十分伝わりました。
 残念なのは、
 会場に来られなかった、
 若い形成外科医に、
 ぜひ塩谷先生の想いを伝えたいと思いました。
 技術で患者さんのニーヅに答えられた時の喜び
 私もその通りだと思って毎日手術をしています。
 塩谷信幸先生ありがとうございました。

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医学講座

形成外科創始者は美容外科をしていた

 第129回日本美容外科学会仙台
 日帰りで仙台まで行ってよかったです。
 東北大学形成外科の、
 館 正弘先生、
 今井啓道先生、
 教室員のみな様、
 ありがとうございました。
 とても勉強なりました。
      ■         ■
 一番印象に残ったのが、
 最後の特別講演でした。
 座長の館 正弘(たち まさひろ)教授が、
 以前、大森喜太郎先生のご講演をお聞きしたことがあって、
 とても興味深かったので、
 自分が会長になった時に、
 まっ先に特別講演をお願いしたそうです。
 とても勉強になりました。
      ■         ■
 特別講演のタイトルは 
 我々の分野における手術、非手術項目の役割などについてでした。
 私が特に勉強になったのが、
 形成外科の歴史です。
 おおもりクリニック
 大森喜太郎先生は、
 大森清一先生のご子息です
      ■         ■
 大森喜太郎先生の特別講演で、
 形成外科の創始者とも言える、 
 Harold Gillies先生のことを教えていただきました。
 形成外科医なら知っている、
 ギリスのアプローチで有名な先生です。
 ニュージーランド生まれで、
 英国に渡り、
 たくさんの傷病兵の手術をしました。
      ■         ■
 Gillies先生が治されたのは、
 空軍パイロットです。
 顔面が破壊された兵士たちでした。
 1900年代はじめの頃です。
 彼らは高い位の家庭の生まれで、
 国の英雄でした。
 破壊された顔を、
 なんとか元に復元するのは、
 外科医としての使命でした。
      ■         ■
 Gillies先生は、 
 さまざまな手術法を開発され、
 みごとに破壊された顔を、
 元に戻しました
 …とこの辺までは私でも何となく知ってました。
 大森喜太郎先生から教えていただいたのは、
 その有名なGillies先生が、
 美容外科手術をなさっていらして、
 英国の有名人を何人も若返らせたのだそうです。
      ■         ■
 大森喜太郎先生の特別講演で、
 以前、大浦武彦先生から教えていただいたことがわかりました
 大森清一先生が、
 形成外科と美容外科は車の両輪
 とお考えでした。
 大森先生ご自身も、
 積極的に美容外科手術を執刀され、
 美容外科の重要性は強く認識していらっしゃいました。
 フェイスリフト手術などを…
 山王病院でなさっていらしたそうです。
 形成外科の修行を積んで、
 再建手術もできるようになって、
 それから、
 美容外科に進むのが、
 優秀な美容外科医への道だと思いました。

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医学講座

第129回日本美容外科学会(仙台)

 日本美容外科学会(JSAPS)
 第129回学術集会に参加するために、
 仙台に来ました。
 札幌から日帰りです。
 実は、
 札幌⇔仙台は、
 意外と遠いのです。
      ■         ■
 理由は飛行機の便数が少ないからです。
 札幌⇔東京は、
 早朝から、
 深夜まで、
 たくさんの便があります。
 札幌⇔仙台は、
 東京便の半分以下です。
 それでも仙台はまだ日帰りができます。
 青森とか盛岡はとても大変です。
      ■         ■
 プログラムです。
 日時:平成 29 年 7 月 1 日(土)13:00~18:20
 会場:東北大学医学部内
 星陵オーディトリアム(医学部開設百周年記念ホール)
 〒980-8575
 宮城県仙台市青葉区星陵町2-1 東北大学星陵キャンパス内
 組織会長:館 正弘(東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座形成外科学分野教授)
 13:00-13:40
一般演題1
 座長 田牧聡志(ティーズクリニック)
1.口角形成術で笑顔をつくる
 林原医院
○ 林原伸治、島倉康人、脇田加恵
2.眉毛下アプローチによる眼瞼下垂症手術
 愛知医科大学 形成外科
○ 梅本 泰孝
3. 頭髪を用いて胸部、腹部、ひげ他の体毛移植を行った一症例
 ヨコ美クリニック
○ 今川 賢一郎
4. 当院における性同一性障害患者に対する乳房切除術の工夫について
 東京イセアクリニック銀座院
○ 吉種 克之、立 雅恵、内田 佳孝
5. PRPF 治療に対する問題点の考察
 カメイクリニック
○ 亀井康二、木村哲治
 (休憩10 分)
 13:50-14:50
教育講演 (日本形成外科学会領域講習)
 座長 神谷則昭(晩翠通クリニック)
 皮膚科医が行う顔面のシミの鑑別診断と治療
 東北大学病院 皮膚科 菊地克子
(休憩10 分)
 15:00-15:40
一般演題2
 座長 武田啓(北里大学 形成外科)
6. 溶けない糸リフトによる感染で苦労した1症例
 医療法人形成会 当山美容形成外科
○ 當山 護、山城 栄津子、高間 久美子、當山 拓也
7. 私の40年間のフェイスリフト手術の変遷
 サフォクリニック
○ 白壁征夫
特別発言
 美容外科の魅力と魔力
北里大学名誉教授
○ 塩谷信幸
(休憩10 分)
 15:50-17:20
ビデオ演題
 座長 朝戸裕貴(獨協大学形成外科)
  小室裕造(帝京大学形成外科)
1. 高周波治療機器による腋臭症・腋窩多汗症治療(サーミドライ®)
 ヴィヴェンシアクリニック
○ 野町 健
2. 注入・スレッドリフトの動画紹介
 神田美容外科形成外科医院
○ 征矢野 進一
3. 眼瞼痙攣に対する新しい手術法
 蘇春堂形成外科
○ 野平久仁彦、矢島和宜、新冨芳尚
4. 眼窩隔膜を有効利用する下眼瞼形成術
 よだ形成外科クリニック
○ 依田拓之
 17:20-18:20
特別講演
 座長 館 正弘(東北大学 形成外科)
 我々の分野における手術、非手術項目の役割などについて
 おおもりクリニック
○ 大森喜太郎
(以上、日本美容外科学会(JSAPS)HPより引用)

      ■         ■
 学会が終わりました。
 仙台空港で札幌行きの飛行機を待っています。
 20:45の便です。
 ANA4811便です。
 AirDoとの共同運航便です。
 新千歳空港着は22:00です。
 今日中に家に帰れるのでありがたいたいです。
      ■         ■
 今日の学会は勉強になりました。
 私は、
 おおもりクリニック
 大森喜太郎先生の特別講演が印象に残りました。
 学会長の館正弘教授が、
 大森先生に特別講演をお願いした理由がわかりました。
 形成外科と美容外科の歴史がわかりました。
 若い先生にも聞いていただきたかったです。
 東北大学形成外科の皆さま、
 今日はありがとうございました。

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医学講座

2017年6月30日

 今日は2017年6月30日です。
 今年の6月は寒かったです
 北海道新聞によると、
 6月としては、
 過去2番目に降水量が多く、
 雨の日が続きました。
 小学校の運動会、
 各地のイベント、
 よさこいソーラン祭りも寒かったです。
      ■         ■
 明日から2017年7月です。
 私にとっては、
 大変な月です。
 2017年7月12日(水)13:45から
 建物明渡訴訟の証人尋問があります。
 人生で、
 受験の次くらいに緊張しています。
 今まで院長日記にたくさん書いてあることを、
 正直に話すだけです。
      ■         ■
 平成29年6月30日、北海道新聞朝刊の記事です。
 6月道内異例の多雨 観光・屋外イベント 集客苦戦
 6月の道内は雨の日が多く、一部の地点で記録的な 降水量 となっている。28日までの札幌市の降水量は168.5ミリと平年の約3.6倍に上り、6月の月間降水量では1910年(明治43年)の185.7ミリに次ぐ観測史上2位に。雨天が土、日曜と重なることも多く、かき入れ時を迎えた観光地や、屋外イベントの集客は苦戦を強いられている。
 札幌管区気象台によると、6月の降水量は28日現在、網走市で192.5ミリ(平年比3.6倍)、函館市で181.5ミリ(同2.5倍)、帯広市で128.5ミリ(同1.7倍)に達した=グラフ=。気象台の担当者は「オホーツク海北部に高気圧がとどまった影響で、北からの寒気が入り雨が降りやすかった」と説明する。
 札幌市で7~11日に開かれたYOSAKOIソーラン祭りの観客は188万8千人と前年を8.1%下回り、2年ぶりに200万人を割り込んだ。期間中は雨が降り続け、5日間で降水量がゼロだったのは9日だけ。組織委は「集客が見込まれる土、日曜が雨天だったのが響いた」と話す。
 オホーツク管内遠軽町で11日に開かれた「第45回まるせっぷ藤まつり」も雨にたたられ、来場者は「過去最少かもしれない」(遠軽町産業課)という約1800人。同課の市原英二主任は「数年ぶりに藤の花の見頃とまつりが重なったのに…」と残念がる。10日に函館市で行われた「南かやべひろめ舟祭り」では、漁港内を木舟で競う名物の「舟こぎ競争」が大雨のため中止に。来場者は例年の半分の約4千人にとどまった。
 各地で予定されていた小学校や幼稚園の運動会も、延期やプログラムの短縮が相次いだ。梅雨がないとされる道内だが、6月の降水量は2016年まで3年連続で平年を上回っている。札幌管区気象台地球環境・海洋課は「6月の多雨は数字に表れているが、こうした傾向が続く原因は分からない」と首をひねる。
 気象台によると、7月2日の日曜日も全道的にぐずついた天候になる予報。気象台が29日に発表した1カ月予報では、7月の道内の降水量は平年並みの見込み。暖かい空気に覆われ気温は平年より高い見通しで、特に4日ごろから1週間は平年より2度以上高くなる可能性が高いとしている。

(以上、北海道新聞より引用)

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院長の休日

入国審査の窓口で

 平成29年6月29日、北海道新聞朝刊、いずみへの投稿です。
 入国審査の窓口で
 海外から戻るたび、なぜだろうと思っていたことがある。入国審査では職員が皆、寡黙で表情がないことだ。
 ある時ふと、「ただいま」と言ったらどうなるかと思いつき、ドキドキしながら男性職員に言ってみた。すると職員は私の顔を見て苦笑し、何事もなかったかのようにあくまでまじめに対応した。たぶん私にあきれていたはずだ。
 その後、海外に住む娘の国に「家族呼び寄せビザ」で移住を決意し、私は日本を離れた。だが、住んでみる前は分からなかった生活の違いに疲れ、娘の反対を背にノコノコと帰国した。
 日本は便利で豊かで恵まれている、日本人は実直で勤勉な民族だと再認識して入国審査の窓口に立ち、万感の思いで「ただいま」と担当の女性職員に声をかけた。彼女は驚きを隠しつつ、「お帰りなさい」とあいさつを返してくれた。笑顔はなかったが、うれしくて涙が出そうになった。
 そして、リゾートから帰った先日。20代とおぼしき若い男性職員に「ただいま」と言ってみた。彼は驚き、とっさに「はい」と答えた。(驚かせてごめんなさい)という心境の私。すると彼は、ヘラヘラと遊んできた私に「お疲れさまでした」とねぎらいの言葉を添えて、パスポートを返してくれた。
 すっかり恐縮してお礼を言いながら、日本の玄関で日本人として職務を果たす忠実な姿を頼もしく思った。
杉本洋子(すぎもと・ようこ 69歳・主婦)=北見市
 (以上、北海道新聞より引用)

      ■         ■
 今日は休診日です。
 新聞を読んでいて、
 思わずにっこりしてしまいました。
 北見市の杉本洋子さま、
 素敵な女性だと思います。
 今度、海外から帰国して、
 入国審査があったら、
 私もやってみます。
 ただいま
      ■         ■
 ハワイに行ったことがあります
 入国審査の担当官は、
 とても笑顔が素敵でした。
 思わず、
 アロハ~
 …と言いたくなるような対応でした。
 今は忙しいし裁判もあります。
 海外に行く時間はありません。
 いつかまた海外に行ったら、
 帰国時の入国審査で、
 必ずただいまと言います。
 杉本洋子さま、
 いいお話しをありがとうございました。
 

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医学講座

北大MDカンファレンス

 新しい唇顎口蓋裂の手術法2017
 …を生んだのは、
 医科と歯科の協力
 …のおかげです。
 あんどう矯正歯科クリニック(秋田)
 …の安藤葉介先生のおかげです。
      ■         ■
 今から30年前のことです。
 北大形成外科の大浦武彦先生が、
 医学部と歯学部が協力して、
 唇顎口蓋裂の患者さんを診るチームを作りました。
 すばらしいことでした。
 2010年2月2日の院長日記_顔面骨骨折⑥
 歯科のtetsuko先生からコメントをいただきました。
 卒後在籍した教室は、
 大浦教授時代の形成外科とチームを組んでいたので、
 医科、歯科合同で症例に取り組む良さを実感しました。
 患者さんの口もとを美しくしたい大浦先生側と、
 患者さんにしっかり咬める歯並びを残したい歯科側の先輩とで
 「どの歯を残す?抜く?」
 と激しいやりとりをしていたのを思い出しました。

      ■         ■
 私が北大形成外科に在籍していた頃…
 北大では、
 医学部と歯学部が、
 合同でカンファレンスをしていました
 当時の医学部と歯学部は、
 狭い渡り廊下でつながっていました。
 医学部附属病院外来棟の奥に…
 誰も気づかない扉がありました。
 その扉を開けると、
 冬でも暖房がない渡り廊下でした。
      ■         ■
 そこを通って…
 歯学部へ行けました。
 同じ北大でも、
 医学部と歯学部は組織も異なり、
 当時は附属病院も別でした。
 私は札幌医大を卒業したので…
 口腔外科で抜歯の実習も、
 連続歯牙結紮の実習もありました。
 北大医学部を卒業した同期は、
 北大ではそんな実習はなかったと…
 札幌医大を羨ましがられました。
      ■         ■
 今は北大も変わって…
 医学部と歯学部の病院が一緒になりました。
 30年前に、
 大浦武彦先生がなさった、
 医学部と歯学部の合同カンファレンスは…
 実に画期的なことでした。
 Medical(医科)のM
 Dental(歯科)のDをとって
 MDカンファレンスと呼んでいました。
      ■         ■
 私の恩師である、
 北大形成外科初代教授の大浦武彦先生は、
 素晴らしい先生です。
 良いことは…
 何でも積極的に改革されました
 私の記憶では…
 歯学部の
 矯正科と
 第二補綴(ほてつ)科の先生が、
 カンファレンスにいらしてくださいました。
      ■         ■
 唇顎口蓋裂という、
 生まれつきの病気があります。
 その子どもたちが、
 大きくなると…
 口唇の他に、
 顎骨(がっこつ)や
 歯ならびなどの問題が生じます。
 MDカンファレンスで
 歯学部の先生から
 たくさんのことを教えていただきました。
      ■         ■
 歯学部の先生との協力で…
 私が得たことの一つに…
 咬み合せは歯科の先生の専門分野。
 医科の医師免許で、
 医師は
 抜歯をするべきではない!
 安易に歯は抜くものではない!
 …ということを強く思いました。
      ■         ■
 私たちは0.1㎜の精度でキズを縫います。
 歯科の先生は0.1㎜以下の精度で…
 咬み合せを調整されます!
 北大形成外科には、
 医師免許と歯科医師免許を両方持った
 林利彦先生がいらっしゃいます。
 大浦武彦先生がはじめられたMDカンファレンスは
 今は頭蓋顎顔面(CF)外来として、
 北大形成外科の特殊外来で続けられています。

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医学講座

新しい唇顎口蓋裂の手術法2017

 2017年6月24日(土)
 北海道大学医学部で開催された、
 第33回北日本形成外科学会学術集会
 あんどう矯正歯科クリニック
 院長 安藤葉介先生の特別講演の次は、
 北大形成外科診療教授、
 小山明彦先生のご発表をご紹介します。
      ■         ■
 唇裂口蓋裂同時手術で一度ご紹介しました。
 片側唇顎口蓋裂に対する一期手術
 術式および当科における全59症例の概要
小山明彦1、舟山恵美1、古川洋志1、林利彦1、村尾尚規1、大澤昌之1、山本有平1、岡本亨2
 (北海道大学形成外科1、おかもと矯正歯科クリニック2)
 当科では片側性唇顎口蓋裂に対しraw surfaceを伴わない一期閉鎖術(口唇形成術、歯肉骨膜形成術、口蓋形成術の同時施行)を2008年から行なっており、現在59例に達した。
 うち完全唇顎口蓋裂は39例であり、平均手術時日齢192日、平均手術時間4時間24分であった。
 全例において術後に抜管可能で、気道のトラブル等はなかった。術後に軟口蓋粘膜の創離開が1例に見られたが、自然閉鎖した。今回、手術術式を提示し、外貌、言語成績を含めて、全症例の概要を発表する。

      ■         ■
 素晴らしい手術法です。
 これからの唇顎口蓋裂の治療を変える手術法です。
 唇裂手術は生後3ヵ月で体重6㎏以上
 口蓋裂手術は生後1歳6ヵ月と
 2回に分けて手術をするのが、
 現在の主流です。
 だいたいどこの病院でも
 この時期に2回手術をしています。
      ■         ■
 唇顎口蓋裂の子供さん
 口唇(くちびる)も、
 口蓋(こうがい:口の中)も、
 同時に手術ができたらどんなにいいか?
 長い間、形成外科医の夢でした
 さまざまな手術が検討されました。
      ■         ■
 今までの方法では、
 残念なことに、
 メリット≦デメリット
 同時手術によるデメリットが大きく実現されませんでした
 北大形成外科の小山明彦先生は、
 これを実現されました。
 形成外科医にとっては、
 青色LEDに匹敵する大発見です
      ■         ■
 成功の秘訣は、
 術前顎矯正でした
 北大歯学部矯正科との、
 適切な共同研究が実を結びました
 唇顎口蓋裂の赤ちゃんが生まれたら、
 北大形成外科の小山明彦おやまあきひこ診療教授です。
 北海道まで来る価値があります
 素晴らしい手術法です

小山明彦おやまあきひこ診療教授

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医学講座

あんどう矯正歯科クリニック(秋田)

 2017年6月24日(土)
 北海道大学医学部で開催された、
 第33回北日本形成外科学会学術集会
 特別講演が、
 矯正歯科臨床の基礎と顎変形症患者および
 口唇口蓋裂患者における形成外科との連携治療
 あんどう矯正歯科クリニック
 院長 安藤葉介 先生
でした。
      ■         ■
 安藤先生は、
 北海道大学歯学部をご卒業後、
 北海道大学歯学部歯科矯正学講座に入局、
 北海道大学で歯学博士を取得された、
 矯正歯科のエキスパートです。
 特に医学部形成外科と合同で、
 口唇口蓋裂の患者さんの矯正治療に取り組まれました。
      ■         ■
 私のとって、
 忘れることができない矯正歯科医が、
 安藤葉介先生です。
 私が手術を担当させていただいた患者さんを、
 みごとにきれいな歯にしていただきました。
 特筆すべきは、
 ご実家の秋田で開業され、
 お忙しいのに、
 わざわざ北海道大学病院までいらしてくださり、
 現在も北大医学部形成外科非常勤講師としてご活躍なさっていることです。
      ■         ■
 なかなかふつうの開業歯科医師にはできないことです。
 北大形成外科との連携は30年以上です。
 安藤葉介先生のご講演で、
 矯正治療が素晴らしく進歩していることを知りました。
 顔が曲がっていて、
 形成外科で骨切手術をしなくては治らない?
 …と思うような子供さんが、
 歯科矯正治療だけでみごとに治っていました。
 とてもきさくで優しい先生です
 安藤先生ありがとうございました。

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医学講座

第33回北日本形成外科学会学術集会

 昨日、2017年6月24日(土)
 11:00~17:00まで、
 第33回北日本形成外科学会学術集会が、
 北海道大学医学部学友会館フラテホール
 …で開催されました。
 北大医学部の、
 入学式や卒業式が開催されるホールです。
      ■         ■
 この北日本形成外科学会は、
 東北と北海道の形成外科医が集まる会です。
 東北と北海道で、
 もちまわりで開催されます。
 2014年から北日本形成外科学会に名称が変更されました
 昨年は福島でした。
 北海道と東北6県
 青森県、岩手県、秋田県山形県 宮城県、福島県
 大学医学部の形成外科教室が
 交代で幹事校になります。
      ■         ■
 残念なことに、
 秋田大学と山形大学には、
 形成外科講座がありません。
 旭川医科大学にも形成外科講座がありません。
 秋田県では、
 ・秋田赤十字病院形成外科
 ・平鹿総合病院形成外科
 山形県では、
 ・山形県立中央病院形成外科
 ・日本海総合病院形成外科
 ・山形県立新庄病院形成外科
 …が日本形成外科学会認定施設になっています。
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 2017年現在、
 北海道は152人、
 東北は227人の日本形成外科学会員がいます。
 形成外科だけをしている先生ではなく、
 皮膚科や、
 整形外科で、
 形成外科学会に入会している先生も含みます。
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 日本形成外科学会では、
 全国の大学医学部に、
 形成外科講座を開設してくださいという、
 要望を出しています。
 なかなか実現しません。
 もし山形大学医学部に、
 形成外科講座があったら、
 不幸な医療事故は起こらなかったと思います
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 昨日も、
 弘前大学医学部形成外科、
 岩手医科大学形成外科、
 東北大学医学部形成外科、
 福島県立医科大学形成外科から、
 たくさんの先生がいらしてくださいました。
 たくさんの先生で討論をすると、
 学会が盛り上がります。
 早く山形と秋田にも、
 医学部形成外科講座ができてほしいです

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