医学講座
                        
                            子育て中の手術③                                                    
    
                         埋没法が取れてしまった目を…
 お直ししたいと思うことがあります。
 埋没法は2回まで…
 …って書いてあったなぁ…
 困ったなぁ…
 どうしよう…
 だんなさんには…
 コンタクトで眼瞼下垂症になった
 …って言い訳して。。。…
      ■         ■
 実家のお母さんにだけ相談して…
 切開の手術を受ける決心をしました。
 赤ちゃんは、
 離乳がすすみ…
 母乳も出なくなりました。
 これでお薬の心配もなくなりました。
 勇気を出して…
 切開手術の相談をしました。
      ■         ■
 ここで…
 また大きな問題にぶつかりました。
 切開の手術をしたら…
 目を閉じて安静にしていないと…
 キズが汚くなると言われてしまいました。
 キズはメスで切って…
 糸で縫うと…
 一次的治癒という状態で治ります。
      ■         ■
 看護師さんでも…
 抜糸したらキズはくっついている…
 と考えていらっしゃる方もいます。
 これは大きな間違いです。
 引っぱってもちぎれないくらい、
 キズがしっかりとくっつくのは、
 手術してから3~6ヶ月もかかります。
 その間は、
 キズが硬くなったり、
 つっぱったりすることもあります。
      ■         ■
 目は…
 開けたり…
 閉じたりするだけで…
 動きます。
 動かすと…
 せっかくくっつきかけた組織に…
 力が加わります。
 一週間、目を閉じてじっとしていた方と
 ぱちぱち目を開いて…
 PCを操作していた人のキズは…
 明らかに違います。
      ■         ■
 子どもさんが…
 伝い歩きをして…
 よちよち歩きの頃は…
 一生で一番けがをしやすい時期です
 文字通り…
 目を離せない時期です。
 授乳が済んでいても…
 子どもさんが小さい時期は…
 お母さんの手術には不向きです。
 もしどうしても手術を受けるのでしたら…
 お母さんの手を借りて…
 子どもさんの面倒をみてもらってください。
 これがキレイに治るこつです。
 
 
                        
                        
                     
                                    
                                                医学講座
                        
                            子育て中の手術②                                                    
    
                         子育て中の手術②は、
 目の手術です。
 埋没法で幸せな人生を歩んで…
 素敵な彼が見つかり、
 めでたくご結婚されました。
 幸せいっぱいの毎日です。
 めでたくご懐妊なさいました。
 新しい生命が宿ると…
 体調にも変化が出ます。
      ■         ■
 むくみやすくなったり…
 おしっこが近くなったり…
 少しずつ身体が変化します。
 二重まぶたの手術を受けたことすら…
 すっかり忘れていました。
 ある日…
 瞼に痛みを感じました。
      ■         ■
 コンタクトを入れっぱなしで…
 寝てしまったから…かなぁ…
 まぁ、そのうち治るでしょう…
 と考えていました。
 そのうち… 
 瞼が腫れて赤くなってきました。
 目も充血して…
 うさぎさんの目です。
      ■         ■
 眼科を受診しました。
 瞼に触られるのも痛いです。
 瞼の裏側を見た眼科の先生から…
 『二重の手術をしたことはありませんか?』
 と聞かれ…
 高校を卒業した年の3月に… 
 二重埋没法の手術を受けたことを…
 ようやく思い出しました。
      ■         ■
 ご主人には内緒。
 知っているのは…
 実家のお母さんだけです。
 『お母さん!おかあさん!』
 『どうしよう…』
 『二重まぶたの糸が…』
 『目に炎症をおこしているんだって…』
 『安いところでやったからかなぁ…?』
 『眼科じゃ治せないって…』
      ■         ■
 こんな患者さんが、
 一年に一人くらい…
 眼科の先生から紹介されます。
 私の先輩で…
 埋没法をしない先生がいらっしゃいます。
 こういうトラブルを避けるためです。
 チェーン店の埋没法は…
 大部分が瞼板法(けんばんほう)です。
 札幌美容形成外科の埋没法は…
 挙筋法(きょきんほう)です。
      ■         ■
 瞼板法(けんばんほう)は…
 角膜(かくまく)という…
 目の表面にキズをつけます。
 埋没法の糸が原因で炎症を起こし…
 まぶたに膿(うみ)が溜まることもあります。
 こうなると…
 妊娠中でも…
 授乳中でも…
 手術をしないと治りません。
      ■         ■
 あかちゃんが心配な時は…
 産婦人科の先生に…
 状態をお聞きして手術をすることもあります。
 以前にいらした方は…
 妊娠中には応急処置だけをして…
 授乳が終わってから…
 手術をしたこともありました。
 将来困らないように…
 埋没法でもしっかりと先生を選んでください。
                        
                        
                     
                                    
                                                医学講座
                        
                            子育て中の手術①                                                    
    
                         現在、子育て中です。
 わきが手術はできますか…?
 育児休業中です。
 この期間に…
 手術はできますか…?
 というご質問を受けます。
 残念ですが…
 子育て中の『わきが手術』は無理です。
      ■         ■
 子どもさんが小さい時期…
 女性の一生の中で…
 人生で一番忙しい時期です。
 授乳中は…
 夜間も起きておっぱいをあげます。
 オムツを交換して
 お風呂にも入れてあげます。
 有給休暇も…
 代休もありません。 
      ■         ■
 2007年3月7日から3回、
 妊娠授乳中の手術という日記があります。
 妊娠中・授乳中に手術が可能かどうか?
 のお問い合わせをいただくことがあります。
 厚生労働省や製薬メーカーが出している
 医薬品の添付文書には、
 『妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、
 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、
 治療上の有益性が危険性を上回る
 と判断される場合にのみ投与すること』
 と記載されています。
      ■         ■
 授乳が終わった後でも、
 小さなお子様がいらっしゃる方は、 
 手術後の安静がとれません。
 自分一人でしたら… 
 何をしようと自由ですが…
 赤ちゃんや子どもは待っていてくれません。
 子育て中に…
 一番難しいのが…
 わきが手術です。
 わきが手術の後には安静が必要です。
      ■         ■
 妊娠出産によって
 女性のおっぱいは大きくなります。
 ふだんはAカップより小さいのに…
 BとかC以上になります。
 おっぱいが大きくなると、
 ワキの皮膚も伸びます。
 たとえ
 『母乳で育てないからわきが手術をしてください』
 と依頼されても、
 皮膚の状態は手術には向いていません。
 伸びた皮膚を手術するとシワシワになりやすいのです。
      ■         ■
 授乳期間が終わっても
 子供さんが小さいうちは手がかかります。
 子供が幼稚園や小学校に入るまでは、
 一生のうちでもっとも可愛い頃です。
 その代わり、
 ちょっと目を離すとケガやヤケドをしたり、
 事故に遭ったり、
 誘拐されたりします。
 女性の一生の中でもっとも多忙な時期です。
      ■         ■
 実家のお母さんに120%
 (ふだんの家事+患者さんとなるあなたのお世話)
 手伝っていただくのでしたら話は別ですが、
 子育て中は安静を保てません。
 小さなお子さんがいらっしゃる女性は、
 残念ですがキレイに治りません。
 子供さんが小さいうちは、
 わきが手術は無理です。
 少なくとも一人でお風呂に入れるようになるまでは
 手術をガマンなさってください。
                        
                        
                     
                                    
                                                医療問題
                        
                            将来への不安                                                    
    
                         これからの日本は、
 間違いなく高齢化社会です。
 自分が…
 歳をとって…
 身体が不自由になったら…
 という不安が…
 誰にでもあります。
 私自身にもあります。
      ■         ■
 私がアルバイトに行っていた… 
 老人病院には…
 たくさんの…
 寝たきりのお年寄りがいらっしゃいました。
 家族がお見舞いに来る方も…
 まったく来ない方も… 
 さまざまな人生がありました。
      ■         ■
 介護の現場は、
 たくさんの若い力に支えられていました。
 介護福祉士の方もいれば…
 資格はないけれど…
 看護助手として…
 お年寄りのお世話をしてくださる…
 若い方もいらっしゃいました。
      ■         ■
 まみ子師長さんのコメントのように…
 退職する若い人が…
 かなりいらしたのも事実です。
 重労働です。
 うんこの臭いも…
 辛いものがあります。
 理想と現実のギャップが大きいと
 退職者が多いのも理解できます。
      ■         ■
 日本という国は…
 今のままだと財政破綻します。
 選挙で票を得るための…
 ばらまき政策ではダメです。
 将来を見据えた…
 しっかりとした政策が必要です。
 将来への不安があれば、
 国民はお金を使いません。
 消費は低迷したままで…
 景気は回復しません。
      ■         ■
 歳をとって…
 身体が不自由になっても…
 国が最期まで面倒をみますょ!
 どうか安心してください。
 こんな政策を考えると選挙で勝てます。
 刑務所に入った囚人ですら…
 医療と食事は付いています。
 国が面倒をみているのです!
 真面目に働いて、
 しっかり納税した国民は…
 健康で文化的な生活を営む権利があります。
                        
                        
                     
                                    
                                                医療問題
                        
                            介護を受ける身になったら…                                                    
    
                         私は現在55歳、
 今年9月で56歳になります。
 自分が介護を受ける身になったら…
 ということを…
 真剣に考える年齢になりました。
 下(しも)の世話までしてもらって…
 長生きはしたくないなぁ~
 というのが本音(ほんね)です。
      ■         ■
 私の母方の祖母は…
 30台半ばで夫と死別。
 沖電気の社員だった祖父とは、
 仏壇の前の写真でしか
 会ったことがありません。
 母の一番下の弟(私の叔父)は、
 父親の顔を見たことがないそうです。
 祖母のお腹にいる時に、
 祖父が単身赴任先の中国で病死しました。
      ■         ■
 東京から…
 第二次世界大戦がはじまる前に
 郷里の札幌へ…
 5人の子どもと帰ってきました。
 札幌市北1条西10丁目の借家に住み、
 親や兄弟からの援助をうけながら…
 自分で身につけた和裁の技術で、
 女手一つで5人の子どもを育てました。
      ■         ■
 明るい人でした。
 祖母の周りからは…
 いつも笑い声が聞こえていました。
 晩年は、
 特別養護老人ホームでお世話になりました。
 施設でも、職員の方に、
 太田さん、おおたさんと、
 とても可愛がっていただだきました。
      ■         ■
 特養の職員の方が、
 祖母のために
 回転寿しに
 連れて行ってくださったことがありました。
 施設の車に、
 車椅子を積んで、
 祖母が好きだったお鮨を食べさせてあげたいと、
 わざわざ行ってくださいました。
      ■         ■
 私が大好きだった祖母です。
 残念なことに…
 最後は…
 私が見舞いに行っても…
 『あんた誰だったかねぇ…?』
 『あぁ…けんちゃんだぁ…』
 という状態になってしまいました。
 もちろん…
 下の世話を受けていました。
      ■         ■
 特養の職員の方には…
 ほんとうによくしていただきました。
 今でも感謝しています。
 祖母は…
 特養に入居できるまで…
 かなり長い間待ちました。
 その間は…
 老人病院でお世話になっていました。
      ■         ■
 国は…
 老人介護にかける予算をけちらないで…
 スプリンクラーを付けた、
 立派な施設を作るべきです。
 資産家も…
 ふつうの人も…
 貧乏人も…
 死ぬ時はいっしょです。
 火葬場で焼いたら…
 ただの灰です。
 安心して介護を受けられて…
 安心して死ねる世の中にしてほしいです。

左端が祖母の太田キヨ
30年前です
 
                        
                        
                     
                                    
                                                医療問題
                        
                            介護の大変さ                                                    
    
                         札幌市北区屯田は、
 閑静な住宅街です。
 私が高校生の頃(30年前)は、
 まだ畑がたくさんありました。
 夏になると…
 ひばりがよく鳴いていました。
 遠くに手稲山が見えました。
 火災になったグループホームは、
 二世帯住宅を改造したと報道されていました。
      ■         ■
 私もよく知らないので、
 これから先の記述が誤っていたら、
 コメントで訂正してください。
 介護福祉施設という名前から…
 どんな仕事を想像されますか…?
 老人介護施設…
 お年寄りのお話しに…
 耳を傾けて…
 いっしょにカラオケを歌ったり…
 お食事の介助をしたり…
 ピンク色の…
 ほんわかとしたあたたかい雰囲気…
 を想像されませんか?
      ■         ■
 現実は…
 そんなに甘いものではありません。
 一番大変なのが…
 下(しも)の世話です。
 特に大変なのが…
 うんこです。
 元気な時には、
 一日に一回だけだったのが…
 下痢でもすると…
 シーツやマットまで汚れることもあります。
      ■         ■
 24歳の女性職員が… 
 一人で8人ものお世話をするのは…
 寝る間もないと想像します。
 体重が70㎏もあるような方の…
 おむつ交換は疲れます。
 おむつ交換と
 体位交換をして、
 ベッド周りを整理して…
 あっという間に時間が過ぎます。
      ■         ■
 私は、
 そもそも国の基準が悪いと思います。
 一人あたりの…
 介護報酬が低すぎるのです。
 もともと老人病院で診ていたような方を、
 国の医療費が高騰したという理由で…
 グループホームなどへ移しました。
 一人あたりの報酬が低ければ…
 施設改修にかけるお金もなければ、
 複数の夜勤者も雇用できません。
      ■         ■
 私は…
 厚生労働大臣や、
 厚生労働省のお役人に、
 一週間でもいいから…
 介護福祉施設の夜勤をしてもらい、
 おむつ交換で、
 うんこの臭いが
 髪にしみつく体験をしてもらうと、
 現場がよくわかると思います。
      ■         ■
 今回の火災で、
 24歳の女性職員が負傷して、
 入院されています。
 たくさんの方が亡くなられて…
 精神的にもショックを受けていると思います。
 とてもお気の毒です。
 問題の根幹は…
 消防設備ではなく…
 老人の介護を…
 安くあげようと考えた、
 国の政策にあると私は考えます。
                        
                        
                     
                                    
                                                医療問題
                        
                            グループホーム火災で7人死亡                                                    
    
                         昨日(平成22年3月13日)朝の火災でした。
 朝、札幌駅で読売新聞の号外が配られていました。
 読売新聞の記事です。
 札幌の老人介護施設で火災、7人死亡
 3月13日午前2時25分頃、札幌市北区屯田4の2、グループホーム「みらいとんでん」から出火、木造2階建て延べ約250平方メートルをほぼ全焼し、入居者8人のうち、焼け跡から男性3人と女性4人の計7人が遺体で見つかった。
 女性職員(24)がのどに重いやけどを負った。1階居間の灯油ストーブ付近が激しく焼けており、119番した女性職員が「ストーブから出火した」と話していることなどから、札幌北署はストーブが火元になった可能性があるとみている。施設入所者の多くは体が不自由で自力での避難が困難だったことから、同署は業務上過失致死容疑を視野に施設の安全管理体制についても調べる。
 同署や札幌市によると、「みらいとんでん」は福祉施設運営会社「みらい25」(札幌市中央区、谷口道徳代表取締役)が経営する定員9人の認知症対応型施設。施設管理者はケアマネジャーの笠井雅子さん(58)。
 施設関係者などによると、現在は60~90歳代の高齢者9人が入居。入居者は中程度から重度(要介護度3~5)の認定を受けており、介助がないと自分では歩けない人もいる。出火時は女性入居者1人が外泊中で、室内にいたのは入居者8人と女性職員1人の計9人だった。病院に搬送された女性入居者(83)にけがはなかった。
 焼け跡では、火元の可能性がある1階居間付近の台所などに2人が倒れていたほか、個室で3人が発見された。残る2人は、2階の個室で見つかった。同署が身元を確認している。
 札幌市によると、この施設は2005年12月に介護保険法に基づく介護事業所として指定を受けた。職員数は常勤5人を含む計13人。2008年7月に同市が行った立ち入り調査で、災害時の避難誘導方法などを確認するために施設運営規則で定めた年2回の避難訓練を実施していなかったことが判明。市から改善命令を受け、同年9月に訓練を実施したという。
 また、避難方法などを定めた消防計画を市に提出せず、2009年5月に市から指導を受けたが、その後も提出していなかった。消火用スプリンクラーは取り付けられていなかったが、法律上の設置義務はないという。
 現場はJR札幌駅から北に7キロ離れた住宅街。消火作業で消防車27台が出動し、約1時間半後に鎮火した。
 ◆グループホーム…高齢者や障害者などがスタッフから介護や支援を受けながら少人数で共同生活する施設。認知症の高齢者向け施設は、介護保険法で「認知症対応型共同生活介護事業所」と規定されている。厚生労働省によると、全国で9966か所(2009年12月現在)あり、計約14万3000人が利用している。居間や食堂、台所、浴室などを備え、居室は個室になっている。家庭的な雰囲気の中で個別のケアを受けることができ、認知症の進行を緩やかにする効果があるとされる。
 (以上、読売新聞から引用)
      ■         ■
 亡くなられた7人の方の…
 ご冥福をお祈りいたします。
 とても悲惨な事故です。
 報道によると…
 小さな犬が飼われていたそうです。
 犬の消息までは報道されていませんでした。
 犬も亡くなったのでしょうか…?
      ■         ■
 一般的なことですが、
 認知症のお年寄り7人を、
 一人の夜勤者で連れ出すことは…
 火災でなくても不可能です。
 もし同じような災害が、
 大病院で起こったとしても救出できたでしょうか?
 数人の夜勤のナースで、
 数十人の入院患者を救出するのは困難です。
      ■         ■
 火災によるけがはやけどです。
 私たちは熱傷(ねっしょう)と呼んでいます。
 高齢者の熱傷は…
 救命することが難しいです。
 もし…
 7人のお年寄りが…
 重症熱傷となったら…
 札幌市の救命救急センターだけでは足りません。
      ■         ■
 札幌医科大学高度救命救急センターが、
 熱傷患者の搬入を受け入れていません。
 2010年3月14日現在、
 札幌市内で、
 重症熱傷の治療が可能なのは、
 市立札幌病院と北大病院だけです。
 他には2施設くらいありますが、
 受け入れてくれるかどうか…?
 私にはわかりません。
      ■         ■
 今回の事故のように…
 一度に多くの方が犠牲となる事故は、
 ある程度の確率で起こります。
 航空機事故の炎上→火災。
 大型バスの事故炎上→火災。
 大規模な地震による火災。
 工場などの火災。
 昔は炭鉱事故による熱傷がありました。
      ■         ■
 万一のために…
 消防車や救急車を配備するのは、
 行政の仕事です。
 万一のために…
 救命救急センターを整備するのも…
 行政の重要な仕事です。
 今回の事故では、
 消防設備についての報道が多いようですが、
 重症熱傷は意外と身近に起こります。
 北海道の高橋はるみ知事には、
 ぜひ札幌医大高度救命救急センターのことを…
 善処していただきたいと思います。
 炎に包まれた老人介護施設
 (3月13日午前3時4分)=田村充撮影
 (以上、読売新聞より引用) 
                        
                        
                     
                                    
                                                医療問題
                        
                            勤務医の待遇                                                    
    
                         昨日の日記に、
 看護師さんからコメントをいただきました。
 私は看護師ですが昨年と比較して年収が50万円以上下がりました.
 しかし,近年の世相により医師の待遇改善のため同じ病院の初期研修医の給料は勤続20年以上の私より4月から上がることとなるそうです.私の勤務する病院では能力給ではありませんので,一律の報酬です.
 確かに勤務医の労働条件は改善していかなくては,疲弊していきます.
 でも,医療の世界で医師だけがそうなのでしょうか?
 ほかの職種の犠牲のもとに改善していくのでは,ひずみが生じるのは目に見えています.
 医療の世界では経済的なことを声高に言うのは,なんだか下品なことと捉えられるのか,周りは何も言いません.同じ年代の(他の職業の)人よりも収入はいいのだから,多少年収が下がっても,そんなことは言うなともいわれました.
 私は自分の仕事に誇りを持っています.経済的な問題だけではもちろんありませんが,職種によって評価が下がるのは,納得しかねます.
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 医師の給与という日記に書いてあります。
 私が研修医になった昭和55年(1980年)、研修医の給料が一番安かったのが、なんと慶応病院でした。
 慶応義塾大学病院の研修医の月給が約3万円。北大病院の研修医が約10万円でした。慶応病院はお給料が安くてもたくさんの研修医が集まるため高くする必要がなかったのだと思います。
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 看護師さんのコメントにもあるように、
 ふつうの病院では、
 能力給ではなく,一律の報酬です
 つまり…
 お医者さんは…
 医師職俸給表(ほうきゅうひょう)
 看護師さんは…
 看護職俸給表という‘表’によって…
 免許取得後の経験年数で、
 ○号捧○等級…
 という‘給与’が決まります。
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 どんなに忙しくて…
 重患がたくさんいる病棟も…
 軽症患者しかいない病棟も…
 看護職の‘給料’は同じです。
 違うのは…
 超過勤務手当(超金:ちょうきん)とか
 危険手当(放射線を浴びるとか)の手当です。
 大きく年収の差が出ることはありません。
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 医師職も同じです。
 昼休みに…
 医局のソファーで…
 ‘お昼寝’ができる先生も、
 当直明けでも…
 処置をしたり…
 家族に説明をしたり…
 警察の問い合わせに答えたり…
 解剖に立ち会ったり…
 忙しくしている先生も‘給与’は同じです。
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 国の医療費抑制政策のために…
 医療機関の経営は瀕死状態です。
 たくさんの民間病院が倒産しています。
 病院が儲かった時代は…
 遠い過去のものになっています。
 海外で病院にかかると…
 日本の医療制度が…
 いかに素晴らしいかよくわかります。
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 勤続20年以上の看護師さんは…
 免許取立ての研修医より仕事ができます。
 医療のことについても…
 よく知っていらっしゃいます。
 お怒りもごもっともです。
 コメントをいただいた病院の経営者は、
 (経営者=院長とは限りません)
 他の臨床研修病院と比較して…
 初期研修医の給料を上げたと考えます。
 給与や待遇をよくしないと…
 臨床研修医が集まらないからです。
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 院長や部長クラスの給与は、
 ご存知ないでしょうが…
 私と同年代の‘先生’は…
 位(くらい)が上がるほど…
 近年は給与が下がっています。
 この20年間で…
 一番職位が上がったのが看護職です。
 市立札幌病院では…
 看護のトップが係長職から
 課長職→部長職→理事(副院長)と…
 あっという間に昇進しました。
 時代の流れだと思います。
 看護職は評価されていると思います。
                        
                        
                     
                                    
                                                医療問題
                        
                            医師増だけで救急改善無理                                                    
    
                         平成22年3月12日、朝日新聞朝刊、声の欄への投稿です。
 医師増だけで救急改善無理
 開業医_長尾秀幸(広島県江田島市_56歳)
 4月からの診療報酬改定では重点課題に救急医療の再建などが挙げられている。救急医療では医師の不足や待遇が問題視され、今回の改定では勤務医の待遇改善がなされるが、果たして医師が増えれば解決するだろうか。
 問題は多く、まず、医療機関に十分な医師、看護師、検査技師を確保できるだけの医療収人がないため、現場は少数精鋭で頑張るしかないという現実がある。
 次に、療養型の医療機関の減少で緊急の治療期を脱した患者の新たな収容先がないことが挙げられる。転院したくてもできず、在宅での医療も難しいなどの理由から退院ができないのである。
 さらに大事な点は急性期医療をどこまでするべきかが決められていないことである。進歩する医療の中で治療の限界を決めなくては、老衰と思われる患者でも最善を尽くす現在の医療のあり方からは、救急現場の混乱を回避することは不可能と思われる。これらの改善なくして、医師数だけを増やしても救急医療の再建は望めないと考える。
 (以上、朝日新聞より引用)
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 私は長尾先生とまったく同意見です。
 安全で快適な暮らしには…
 それなりの‘お金’がかかります。
 住宅のセキュリティーを
 警備会社に依頼すると…
 毎月かなりの経費になります。
 ビルの警備なども同じです。
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 自分がもし万一…
 大きな事故に遭ったら…
 救急車は無料が当たり前。
 救急病院で…
 適切な治療を受けられなければ…
 病院を訴えるというのが… 
 現在の風潮のように思えます。
      ■         ■
 一年365日、24時間体制で…
 いつ来るともわからない…
 救急患者のために…
 医師や看護師を雇い、
 高価な医療機器を揃えて、
 救命救急センターのベッドを準備しておくには、
 たくさんの経費がかかります。
 歳入不足の地方自治体には、
 とても余裕がありません。
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 私が医師になって30年です。
 この30年で…
 医師の給与は…
 下がることはあっても…
 上がったという話しは聞きません。
 救命救急に従事して、
 身を削って働いている医師の給与は…
 決して高いとは言えません…
      ■         ■
 医者の3Kは…
 きつい(Kitsui)、
 危険(訴訟が多い(Kiken)、
 給料安い(Kyuryou)、
 だと聞いたことがあります。
 こんな救急医になりたいと思うのは…
 情熱がある若い先生だけです。
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 札幌市の救急医療は…
 情熱がある若い先生に支えられて…
 日本でもトップクラスです。
 私は、
 安全で快適な生活のためには…
 国が税金を投じて、
 救急医療システムを
 確立するべきだと考えます。
 若い先生が救急医を目指すように…
 政策を考えるべきです。
 救急医の待遇が改善されるべきです。
                        
                        
                     
                                    
                                                医学講座
                        
                            埋没法<適応を選ぶ>                                                    
    
                         埋没法はしない先生が…
 いらっしゃいます。
 とても腕の良い先生です。
 老舗で繁盛していらっしゃいます。
 どうして埋没法をなさらないのですか…?
 …と以前の学会で質問がありました。
 埋没法の糸で炎症を起こした人を…
 何人も治療したので、
 埋没法はしない。
 …と答えていらっしゃいました。
      ■         ■
 私が釧路労災病院に勤務していた頃です。
 若い頃に東京で…
 埋没法の手術を受けた女性が…
 形成外科へいらっしゃいました。
 数日前から…
 二重のラインが取れて…
 まぶたに炎症を起こしてきたので、
 治してほしいというご希望でした。
 立派なお仕事をしていらっしゃる、
 素敵な女性でした。
      ■         ■
 炎症を起こしていたまぶたから…
 透明な糸が出てきました。
 私はこの時にはじめて…
 埋没法の糸を見ました。
 糸を取ったら炎症は治りました。
 総合病院の形成外科医をしていても、
 埋没法で二重まぶたの手術はしません。
 埋没法は、
 美容外科で発達した技術です。
 日本が発祥の地です。
      ■         ■
 私がはじめて美容外科で、
 二重の手術を見せていただいたのが、
 札幌中央形成外科の武藤靖夫先生でした。
 まるで手品を見ているようでした。
 (武藤先生は手品の名人でした)
 大学病院や総合病院にしか
 勤務したことがない私は、
 武藤先生の患者さんに対する姿勢を拝見して、
 カルチャーショックを受けました。
 武藤靖夫先生の技術は、
 ご子息の英生先生へと引き継がれています。
 英生先生は優しい優秀な先生です。
      ■         ■
 私は埋没法も切開の手術もします。
 適応を選べば…
 埋没法は素晴らしい結果が得られる手術です。
 埋没法は糸で二重のクセをつけます。
 糸で皮膚を内側へ引っぱって、
 二重のラインを作ります。
 最初は糸が真皮(しんぴ)という、
 皮膚の下で引っぱっています。
 ラインがくっきり見える時期です。
 そのうちに、
 皮膚の下の眼輪筋(がんりんきん)という、
 筋肉の中に結び目が入ります。
 ちょうど落ち着いてラインが安定する頃です。
      ■         ■
 糸の周囲には瘢痕(はんこん)という、
 線維性の被膜(ひまく)ができます。
 この瘢痕(はんこん)でできた被膜(ひまく)が
 糸の代わりに皮膚を引っぱるようになります。
 瘢痕(はんこん)は自分自身の組織ですから、
 糸のように切れたり溶けたりしません。
 ですから、埋没法で手術をしても、
 生まれつきの二重と同じ構造が、
 半永久的にできるのです。
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 一口に埋没法と言っても…
 方法はクリニックによって違います。
 チェーン店でよく行われる、
 瞼板法(けんばんほう)と、
 挙筋法(きょきんほう)に大別されます。
 難易度は挙筋法の方が上です。
 一番大切なのは、
 その人の目に合った手術を選ぶことです。
 埋没法が取れたら…
 切開の手術でしっかり治せることです。
 埋没法で幸せな人生を歩んだ女性は…
 たくさんいらっしゃいます。