院長の休日

ラ・フランス

 私の日記に毎日コメントをくださる、
 山形のさくらんぼさんから
 素晴らしいラ・フランスを送っていただきました。
 私は、昔、北大病院で、
 山形出身の
 川嶋邦裕先生のご両親が送ってくださった、
 ラ・フランスを一口食べてから…
 ラ・フランスの大ファンになりました。
      ■         ■
 2008年6月17日の日記の一部です。
 私が、北大形成外科に在籍していた時、
 今から25年以上前です。
 冷蔵庫に見慣れない梨がありました。
 形は少し、小さめ。
 色も、
 ところどころ茶色。
 どう見ても、‘美人のフルーツ’ではありませんでした。
 それが、
 私がはじめてラ・フランスを見た時の印象でした。
       ■         ■
 秘書さんが、
 この梨は、
 川嶋先生のご実家の山形から送っていただきました。
 『本間先生、すっごく!美味しいので、食べてみてください!』
 と絶賛していました。
 今まで、食べたことがない、
 すばらしい味でした。
 川嶋先生に、
 『先生、あの梨、何て言うの?』
 『今まで食べたことがない、素晴らしい味だった。』
 と言ったのを覚えています。
      ■         ■
 川嶋邦裕先生は、
 『あぁ、あれッスかぁ?』
 『ラ・フランスっていう、洋ナシですょ』
 といつもの口調(少し山形アクセント)で、
 ラ・フランスという名前を教えてくれました。
 当時は、今のように普及していませんでした。
 ネットで検索することもできませんでした。
 私にとって、
 ラ・フランスは、川嶋先生のふるさと、
 山形の偉大なフルーツというイメージでした。
      ■         ■
 その後、毎年秋になると…
 私はスーパーの果物売り場で、
 ひそかにラ・フランスを見ていました。
 たまに、スーパーで、
 3個498円なんて…
 ラ・フランスを購入していましたが、
 北大ではじめて食べた、
 あの感激は二度と味わうことができませんでした。
      ■         ■
 考えてみると…
 スーパーさんには悪いですが…
 私が購入したラ・フランスは安すぎたのでしょう?
 さくらんぼさんから、
 ラ・フランスは上手に食べられるか?
 が大問題。
 ラ・フランスは食べ頃になると柔らかくなるので、
 指先で押して、
 ややへこみ、
 食べた時に少し果汁が出る時が、
 一番おいしいとき
 と教えていただきました。
      ■         ■
 昨日は、25年ぶりくらいに、
 美味しいラ・フランスをいただきました。
 はじめて味わった時以上の感激でした。
 さくらんぼさん
 ご主人様、
 毎日、本当にご苦労様です。
 毎日、重いコンテナを運ばれて、
 腰にもよくないと思います。
 でも、素晴らしい味です。
 日本が世界に誇れる農業技術だと思います。
 世界中どこへ行っても…
 これほどの果物はありません。
      ■         ■
 世の中は、株安や円高で不景気です。
 どこも元気がありません。
 でも、実りの秋です。
 さくらんぼさんが作ってくださった、
 山形の果物は、
 世界一安全で美味しい
 日本が誇れる‘製品’です。
 収穫期は毎日お忙しいことと思います。
 お身体に気をつけて、お元気でご活躍ください。


2008年4月6日
ラ・フランスの木


2008年5月17日
ラ・フランスの実


2008年6月5日
ラ・フランスの実


2008年7月6日
ラ・フランスの実


2008年5月17日
山形の風景

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院長の休日

風邪の予防

 子どもの頃から…
 風邪を引きやすかった私は、
 風邪の予防には熱心です。
 インフルエンザの予防注射はもちろんします。
 手もよく洗います。
 もちろん、うがいもします。
 人ごみにはなるべく出ないようにしています。
      ■         ■
 でも…
 これだけしても、
 風邪を引いてしまいます。
 私が実行している、
 風邪予防法は、
 首に巻くタオル(マフラーでも可)です。
 ネックウォーマーという製品も
 発売されているようです。
      ■         ■
 いつから?
 どうして?
 はじめたのか…?
 記憶は定かではありません。
 私が子どもの頃に、
 祖母が風邪を引いた時に、
 首にタオルを巻いていたのを記憶しています。
 『おばあちゃん!』
 『そのタオルカッコ悪いょ!』
 というような事を言った覚えがあります。
      ■         ■
 ネットで検索すると、
 私の他にも実行なさっていらっしゃる方が
 結構いるようです。
 首が寒くなると、
 鼻や喉の粘膜の血管が収縮し、
 粘膜面にあるせん毛の動きが悪くなる。
 と書いてあったHPもありました。
 確かに、
 風邪やインフルエンザのウイルスは、
 鼻や口などから入ります。
      ■         ■
 タオルを巻くのでしたら、
 立派な高級なタオルよりも、
 少し薄手の100均のタオル程度の方が
 首に巻いた時に楽です。
 マフラーも少し薄手のが良いと思います。
 このタオルのおかげで
 不思議と風邪を引きにくくなりました。
 ちょっと、格好悪いですが、
 寒くなってきたので、
 風邪を引きやすい方はお試しください。
 申し訳ございませんが、
 医学的な根拠についてはわかりません。

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医学講座

新型インフルエンザ

 今日から朝日新聞のコラムで、
 新型インフルエンザが取り上げられています。
 引用するには長すぎるので、
 そこで紹介されていた、
 元小樽市保健所所長、
 外岡立人(とのおかたつひと)先生のHP
 ご紹介したいと思います。
      ■         ■
 私は子どもの頃から体が弱く、
 クラスで風邪やインフルエンザが流行ると、
 真っ先にもらってくるほうでした。
 大夕張の夕張市立鹿島中学校でも…
 札幌西高校でも保健室によくお世話になりました。
 札幌医大に一浪で合格した時に、
 保健室にも挨拶に行きました。
      ■         ■
 保健室の先生から…
 『本間君、おめでとう!』
 『いいお医者さんになってね!』
 『でも、あなたのような…』
 『札付きの軟弱児が…』
 『お医者さんになって大丈夫かしら…?』
 と言われたのを覚えています。
      ■         ■
 確かに、勉強はできないし…
 よく風邪を引いていました。
 高校の修学旅行で京都・奈良を回って、
 帰りの東京でダウンしました。
 たまたま近くに行ったので、
 代々木病院という病院へ行ったのを覚えています。
 友人の安田君が一緒に行ってくれました。
      ■         ■
 本題の新型インフルエンザに入ります。
 朝日新聞や外岡先生のHPによると、
 今からしっかり準備をしておく必要があります。
 実は、
 私は2002年に、
 インフルエンザの予防接種をしたのに、
 お正月にインフルエンザに罹りました。
 薬屋さんに伺って、
 一回だけ接種したのですが、
 12月31日から高熱が出ました。
      ■         ■
 ウンウンうなって、
 苦しいお正月を迎えました。
 とうとう耐えられずに、
 1月2日に病院を受診しました。
 検査結果はインフルエンザでした。
 タミフルというお薬のお世話になり、
 なんとか助かりました。
 1月4日からまた仕事ができましたが、
 本当に参りました。
      ■         ■
 それ以来、
 札幌美容形成外科を開業してからも、
 従業員も全員、
 インフルエンザの予防注射を2回しています。
 外岡先生のHPは、
 私のHPより難しそうに見えます。
 今のところは、
 新型インフルエンザは、
 大丈夫そうです。
 私も外岡先生のHPをbookmarkに入れて、
 定期的にチェックしようと思います。
 季節の変わり目です。
 みなさまもお身体に気をつけてお過ごしください。

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医療問題

産科当直医不足

 平成20年10月25日、朝日新聞朝刊の記事です。
 妊婦死亡 墨東病院のみ当直医不足 都内の9センター
 脳出血をおこした東京都内の妊婦が八つの病院に受け入れを断られ、その後死亡した問題で、最初に受け入れを断った都立墨東病院(墨田区)だけが、都内9カ所ある総合周産期母子医療センターのうち、最低2人とされている当直態勢を確保できていなかったことが分かった。7月以降、当直が1人の土、日曜日、祝日の急患受け入れは原則断ってきており、「センターの機能を果たせていない」との声が出ていた。
      ■         ■
 総合周産期母子医療センターとは、危険性が高い出産や母胎管理のための地域の砦(とりで)的存在の医療機関。都の指定基準によると、24時間体制で産科を担当する「複数の医師」が勤務していることが望ましい、とされている。
      ■         ■
 都によると、墨東病院では6月に産科の非常勤医が辞めた後は2人での当直が維持できなくなり、7月以降は土、日曜日と祝日に限って1人で当直を担当していた。
      ■         ■
 このため、土、日、祝日の妊婦の急患受け入れは原則断り、平日でも2人の当直医のうち上席の医師が外部からの非常勤医の場合は「ハイリスク分娩(ぶんべん)の受け入れが困難なことがある」と地元の墨田区・江東区・江戸川区の産婦人科医会会員に伝えていた。
      ■         ■
 地元の医師たちは「医師不足のなかで、墨東病院も頑張っていた」としながらも、最近の状況については「センターとして機能しないのは異常」との声が出ていた。
      ■         ■
 しかし、墨東以外の8病院に朝日新聞が取材した結果、全病院で2人以上の医師を当直に配置。最大4人の当直を置く病院もあった。
      ■         ■
 都立病院の医師不足について、都病院経営本部は24日に開かれた都議会委員会で「都立病院は給与水準も低く、敬遠される傾向にあった」と説明。都によると、2005年度の都立病院医師の平均給与は、47都道府県と14政令指定市の公立病院のなかで最下位だった。今年度から産科医については年収で200万~300万円上積みしたが、それでも中位程度とみられるという。
      ■         ■
 日本赤十字社医療センター(東京・渋谷)の杉本充弘・産科部長は「かつて都立病院医師の給与は平均的な在京病院より高かった。待遇が悪くて人がいなくなり、仕事がきつくなり、さらに人が来なくなっている」として、「こうした状況を招いた都の責任は大きい」と話した。


(以上、朝日新聞より引用)

      ■         ■

 2007年8月13日に、
 『お父さんの仕事は当直』という日記を書いています。
 産科医が30人いると仮定した、
 総合周産期母子医療センターでも、
 3人で当直体制を組むと、
 一ヵ月に10回の当直が当たることになります。
 現実には、
 大学病院の医局ですら、
 当直ができる先生が、
 30人もいるとことはまずないと思います。
      ■         ■
 文部科学省が認めた教員定数は、
 せいぜい
 教授1
 准教授1
 講師2
 助教4
 の合計8程度で、
 これでも多い方だと考えます。
      ■         ■
 地域の総合周産期母子医療センターでは、
 どんな難産や異常産にも
 対応できるベテランの先生が…
 10人以上も揃っているところは無いと思います。
 私たち、医師にも…
 勤務医には、労働基準法が適用されます。
 救急外来など常に患者さんが来るところは別として、
 夜間に仮眠が取れる状態でする当直は、
 『断続的な宿直又は日直勤務』
 に該当します。
 この宿直ですら、
 所轄の労働基準監督署長の許可が必要です。
 しかも、認められるのは週に一回です。
      ■         ■
 労働基準監督署が、
 病院の医師当直(宿直)回数について、
 監査とか指導をしたことなど…
 聞いたことがありません。
 大部分の産科医は、
 週に2回も3回も当直をして、
 翌日も外来勤務や手術をして、
 クタクタになるまで働いています。
      ■         ■
 われわれ医療者の間では、
 今の産科医不足の原因を作った一つが、
 福島県で起きた、
 医師の逮捕であったと考えています。
 逮捕する必要のない医師を逮捕したので、
 医学生や臨床研修医は、
 産科医になるのが怖くなったのです。
      ■         ■
 もし国が、
 本気で産科医を増やそうと考えているのなら、
 ①産科医の待遇の改善
 ②産科医が安心して働ける、訴訟に対するシステム作り
 この2つを早急に実現すべきです。
 そうしないと、
 日本では安心して子どもが産めなくなります。
 一人のベテラン産科医を育てるには、
 長い年月がかかります。
 早く、このことに気付いて欲しいと願っています。

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医療問題

医者不足、国の責任

 平成20年10月25日、朝日新聞朝刊の記事です。
 舛添厚生労働相が「東京都に任せられない」と言えば、
 石原慎太郎都知事は「医者が足りないのは国の責任」と反発。
 妊婦が8病院に受け入れを断られて死亡した問題で、
 大臣と知事が10月24日、
 責任のなすりつけ合いを演じた。
      ■         ■
 舛添厚労相は閣議後の会見で、
 「週末に1人しか当直医がいなくて
 総合周産期母子医療センターと言えるのか」と批判。
 「事故の情報も都から上がってこない。
 とてもじゃないけど任せられない」と声を張り上げた。
      ■         ■
 これに対し、
 石原知事は定例会見で、
 年金問題への舛添厚労相の対応を踏まえて
 「あの人は大見えきったつもりでいつも空振りする」とし、
 「医師不足にしたのは誰だ。
 東京に任せられないじゃなく、
 国に任せられない。
 厚労省の医療行政が間違って、
 こういう体たらくになった」と言い返した。
 (以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 まったく…
 石原東京都知事のおっしゃる通りです。
 年金問題、
 医師不足、
 看護師不足、
 療養病床廃止で、
 特養(特別養護老人ホーム)が入居5~6年待ち。
 すべて、厚生労働省の失策です。
      ■         ■
 医療費の抑制ばかり考えています。
 どうしたら国民が安心して、
 不安なく暮らせるか?
 豊かな老後を迎えられるか?
 なんてことは考えていないのです。
 そもそも、
 国の政策は行き当たりばったりです。
 高齢者が増加して医療費が増えることは、
 何十年も前からわかっていたのです。
      ■         ■
 国民が安心して暮らせるというのは、
 国家にとって一番重要なことの一つだと思います。
 病気になって…
 困った時に、
 誰も助けてくれない世の中は悲しいものです。
 歳をとって、
 身体が不自由になった時に、
 適切な医療が受けられないのは、
 国家として実に情けないことです。
      ■         ■
 週末に一人しか当直医がいないと言いますが、
 その当直医だって、
 週末に当直をして、
 土曜日も日曜日も働いても…
 代休なんてとれないのです。
 完全に労働基準法違反です。
 そんな産科医に…
 誰がなりたいと思いますか?
      ■         ■
 舛添さんの子どもが、
 医師?医学生?だったら、
 自分の子どもを、
 そんな劣悪な環境で働かせたいと思いますか?
 少子高齢化対策をするのでしたら、
 すべての日本の女性が、
 皇族の方がお産をなさる時のように…
 万全の医療体制で産めるようにすべきです。
 生まれてくる生命に、
 貧富の差があってはならないのです。

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医療問題

産科医を増やすには?

 東京で妊娠9ヵ月の女性(36)が、
 救急搬送を断られた末に
 都立墨東病院(墨田区)で
 出産後に亡くなったことが、
 大きく報道されています。
 亡くなられた女性のご冥福を、
 心からお祈りいたします。
      ■         ■
 受け入れを拒否した病院は、
 都立墨東病院(墨田区)のほか、
 大学病院など7病院でした。
 ①都立墨東病院(墨田区)
 ②順天堂大学医学部付属順天堂医院(文京区)
 ③東京慈恵会医科大付属病院(港区)
 ④日本赤十字社医療センター(渋谷区)
 ⑤日本大学医学部付属板橋病院(板橋区)
 ⑥慶応大病院(新宿区)
 ⑦東大病院(文京区)
 ほとんどの病院は
 ハイリスクの出産に対応する
 「地域周産期母子医療センター」などに指定されています。
      ■         ■
 東京だけではなく、
 日本全国で産科医が不足しています。
 私たち医師は、
 医師免許を取得するまでに、
 すべての科の勉強をします。
 特に、産科と婦人科は、
 医師国家試験での出題数も多く、
 すべての医学生が必死で勉強します。
      ■         ■
 医学部の中で、
 臨床実習を行う時間数も、
 他の診療科目と比較して多くなっています。
 それは、医師になるためには、
 産科や婦人科の知識が必須だからです。
 では、産科医を目指す若い人が
 少ないのはなぜでしょう?
      ■         ■
 医学生や臨床研修医は、
 勉強と平行して、
 先輩医師の生活ぶりをよく観察しています。
 いつも当直ばかりで、
 毎日、クタクタになるまで働いて、
 挙句の果てに…
 ‘医療ミス’で訴訟!
 なんてことは誰でも避けたいと思います。
      ■         ■
 あまりマスコミは書きませんが、
 医師の給与(特に公立病院)は
 医師俸給表という規定によって決められます。
 当直料など、
 若干の手当がありますが、
 大部分は卒業年度や経験年数によって決められます。
 時間外手当が支給される病院もありますが、
 近年はカットされている病院も多いと聞きます。
      ■         ■
 同じ会社に勤務していて、
 ある人は8:45に出勤して、
 昼休みもたっぷりとって、
 17:15には退社。
 ある人は、
 朝5:30に呼び出されて、
 緊急の手術をして、
 昼休みもなく働いて、
 クタクタになって…
 22:45に退社。
 経営が厳しいので…
 超過勤務手当は無し!
      ■         ■
 こんな‘会社’が現実に存在したら、
 忙しい部門で働く人はいなくなります。
 残念なことですが、
 これが総合病院の実態です。
 私は、産科医を増やすためには、
 ①産科医の待遇を改善する。
 ②医療訴訟に対する、医師側の不安をなくする。
 この2つが必須だと思います。
 産科医の給与を2倍にすれば、
 人は集まると思います。
      ■         ■
 2007年10月29日に書いた、
 日本産婦人科医会会長、
 浜松医科大学長の寺尾俊彦先生のエッセイを
 医学生に、
 是非、もう一度、
 読んでいただきたいと思います。
 私も医学生の頃に、
 産科医になりたいと思ったことがありました。
 ‘生命の誕生’のお手伝いができる、
 というのは素晴らしいことです。

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医学講座

イボの想い出

 イボはウイルス性疾患です。
 手にできたイボは、
 自分の指でもくっついていると
 隣の指に移って増えます。
 可哀想な人は、
 指がイボだらけになってしまいます。
 今でしたら、
 皮膚科で液体窒素で凍らせるのが一般的です。
      ■         ■
 イボ治療のスペシャリストは皮膚科医です。
 日本皮膚科学会HPには、
 イボについての詳しい説明があります。
 ‘イボ治療法’と入力してネットで検索をすると、
 民間療法から美容皮膚科まで、
 たくさんのサイトが出てきます。
 昔、読んだ、米国の権威ある教科書に、
 イボはおまじないで治ることがある…
 と書かれていたのを覚えています。
 『トム・ソーヤーの冒険』という
 子どもの頃に読んだ本に、
 おまじないでイボを取る話しが出ています。
 さくらんぼさんの
 いぼとり地蔵
 まんざら嘘ではないのです。
      ■         ■
 私はイボでは苦い想い出があります。
 今から20年以上前です。
 1986年(昭和61年)から
 1988年(昭和63年)まで、
 私は釧路労災病院形成外科に勤務していました。
 専門医を取得したばかりで、
 今から比べると経験も浅く、
 北大形成外科の先輩に教えていただきながら
 手術をしていました。
      ■         ■
 昔の釧路労災病院には、
 皮膚科医が常勤していない時期がありました。
 皮膚科は近くに開業医の先生がいらして、
 そこからたくさんの患者さんを
 ご紹介していただきました。
 釧路労災病院には附属看護学校がありました。
 高校を卒業した、
 若い学生さんが3年間勉強しています。
      ■         ■
 看護学校の学生さんは、
 釧路労災病院で診療をしていました。
 手にたくさんのイボができた、
 とても可哀想な学生さんがいました。
 電気メスで焼いて治療していました。
 麻酔をして、焼く治療です。
 何回治療をしても、
 他の指などに再発を繰り返していました。
      ■         ■
 若い女性の手に、
 イボがたくさんあると…
 本人も辛いですし、
 実習で手を使うのも気が引けます。
 私も学生さんも必死でイボと戦っていました。
 しばらく、外来に来ないので、
 どうしているかなぁ~???
 と思っていた時に、
 廊下でバッタリその学生さんに会いました。
      ■         ■
 先生、私、はと麦を飲んだんです
 友だちから、『はと麦がイボに効くょ』って聞いたので…
 そうしたら、こんなにキレイに治ったんです!
 先生、どうしてはと麦のこと!
 教えてくれなかったんですか?
 私が北大の先輩から教わった、
 イボの治療法には、はと麦はありませんでした。
 確かに、ヨクイニンという漢方薬が効くことは知っていました。
 ただ、100%効くという保証はありません。
      ■         ■
 それ以来、私はイボの患者さんには、
 必ずはと麦の説明をするようになりました。
 ヨクイニンという薬で、
 健康保険も適応になります。
 錠剤で、一日量が9~18錠です。
 一日3回、食前または食間に飲みます。
 一回3~6錠です。
 札幌美容形成外科には用意していないので、
 処方する時は院外処方箋になります。
 イボを保険外でレーザー治療している、
 美容クリニックもあるようです。
 確かに効くレーザーもありますが、
 まずは皮膚科専門医
 受診なさることをおすすめします。

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医学講座

皮膚のできもの②

 ご質問が多かったので、
 続きを書きます。
 軟繊維腫(なんせんいしゅ)は、
 切除したり、
 電気メスで焼いたりするのが、
 確実な治療法です。
 鋏(はさみ)で、
 ‘ちょん’と切る方法もありますが、
 血が出て困ることもあります。
      ■         ■
 電気メスや
 炭酸ガスレーザーで取ると
 軽いヤケド状態になります。
 また痛みがあるので、
 麻酔の注射をするのが一般的です。
 麻酔の注射の方が痛いと…
 言われる方もたくさんいらっしゃいます。
 電気メスを使う時に、
 強く焼きすぎる先生がいらっしゃいます。
 そうすると、赤味が強く出ます。
      ■         ■
 札幌美容形成外科では、
 先が0.5㎜程度の、
 極細のピンセット
 (DUMONTデュモンの5番といいます)
 (スイス製です)
 (もともとスイスの時計屋さんが使っていたピンセットです)
 を使って
 丁寧に一個ずつ電気メスで切除します。
 ヤケドが小さいと、
 赤味も軽度です。
 そこへ、
 炎症をおさえる軟膏を塗って、
 茶色のテープを貼っておしまいです。
      ■         ■
 ニキビをつぶしたような赤味が残ります。
 赤味がある間は軟膏を続けて、
 紫外線を避けるようにします。
 これから、
 首を隠せるセーターなどを着る時期が…
 治療に向いている季節です。
 赤味がある間に…
 紫外線に当たると、
 茶色のシミになります。
      ■         ■
 軟繊維腫は保険医療機関であれば、
 健康保険で治療が受けられると思います。
 皮膚科でも形成外科でもOKです。
 詳しくは、かかりつけの先生にご相談ください。
 札幌美容形成外科では、
 閑散期であれば、
 いらした日に治療ができますが、
 申し訳ございませんが、
 繁忙期にはできないこともございます。
 美容外科の繁忙期は、
 12月下旬から4月までです。
      ■         ■
 さくらんぼさんからご質問があった、
 ヘルペスはウイルス感染です。
 口のヘルペスも
 陰部にできるヘルペスも
 同じ単純ヘルペスというウイルスです。
 口にできるのが、1型
 陰部が2型と分けられています。
 ゾビラックスとかアラセナという軟膏が効きます。
 残念ですが、
 ヘルペスは神経に潜んでいるので、
 体調不良などで再発します。
      ■         ■
 ヘルペスは皮膚科が専門なので、
 私は皮膚科の先生をご紹介しています。
 ハトムギから作った、
 ヨクイニンというお薬は、
 イボに効きます。
 これも保険適応になります。
 作用機序(どうして効くか?)
 はわかりません。
 軟線維腫には?
 私は効かないと思います。
 軟線維腫ができる原因は不明です。
 これでご参考になりましたでしょうか?

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医学講座

皮膚のできもの①

 身体の表面を被ってくれている皮膚。
 身体の中で一番大きな組織です。
 ホクロの癌の他に、
 汗を出す汗腺、
 毛の‘根っこ’にある、
 毛根。
 爪の下の組織。
 これらすべてから‘できもの’ができ、
 その中には、悪性の癌(ガン)もあります。
      ■         ■
 頭皮の中に、
 毛が原因の癌ができることもあります。
 かなり厄介な皮膚癌です。
 私は形成外科医時代に、
 頭から足まで、
 身体中の皮膚ガンの手術をしました。
 形成外科医の中には、
 皮膚ガンの治療をしない先生もいます。
 北大形成外科出身の先生には、
 日本皮膚悪性腫瘍学会の会員で、
 皮膚ガンの診断と手術に
 詳しい先生がたくさんいます。
      ■         ■
 皮膚ガンの診断は難しいことがあります。
 ちょっと、脚にイボがあるから診てください。
 診察すると…
 悪性腫瘍のような気がしました。
 『いつからできましたか?』
 『2年くらい前からです。』
 『大きさは変わっていますか?』
 『いいえ、2年前からあまり変化していません。』
 『切除して病理検査をしましょう。』
 『もし悪性だったら、大きな病院をご紹介します。』
 『はい、お願いします。』
 こうして、手術したできもの
 皮膚の汗腺由来の癌でした。
      ■         ■
 市立札幌病院形成外科をご紹介して、
 大きく切除していただき、
 皮膚移植をしていただきました。
 私が診察しても、
 悪性か良性か区別できないこともあります。
 病理検査(びょうりけんさ)とは、
 細胞を顕微鏡で観察して、
 何のガンか?
 悪性度はどの程度か?
 などを検査していただくものです。
      ■         ■
 札幌美容形成外科で切除した、
 皮膚の検体は、
 BMLという検査会社を通じて
 札幌皮膚病理研究所というところで、
 専門の先生に検査していただいています。
 所長の木村鉄宣先生は、
 北大でご一緒だった先輩です。
 皮膚の病理検査では超一流の先生です。
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 以前にも書きましたが、
 皮膚科で切除しても、
 形成外科で切除しても、
 保険診療でしたら料金は同じです。
 さくらんぼさんのお母さんの
 首にできたのは、
 軟繊維腫(なんせんいしゅ)という
 良性のできものです。
 皮膚科でも形成外科でもとっていただけます。
 おおまかに言うと…
 切り取って縫う‘手術’
 形成外科が良いと思います。

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医学講座

ホクロ除去手術

 昨日の日記眼瞼下垂症手術は、
 保険適応になり、
 生命保険の手術給付金も出ると書きました。
 微妙なのがホクロ除去です。
 これは法律に記載されています。
 所得税法施行令第207条、所得税基本通達73-4
 ホクロの除去費用
 【照会要旨】
 ホクロを除去するための手術の費用は、医療費控除の対象になりますか。
 【回答要旨】
 容姿を美化し又は容ぼうを変えるための費用は、
 疾病の治療のための費用には当たらないので、
 ホクロの除去費用は、医療費控除の対象とはなりません。
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 確かに、この条文通りです。
 美容外科や美容皮膚科に行くと、
 ホクロ除去は‘簡単’で、
 小さなホクロでしたら、
 一個5,000円程度で除去してくれます。
 大部分は炭酸ガスレーザーで焼いたり、
 電気メスで焼いたりする治療です。
 これは、明らかに美容目的なので、
 医療費控除の対象となりません。
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 大学病院や総合病院の皮膚科を受診して、
 ホクロ除去をお願いしたとします。
 おそらく、大部分の皮膚科では、
 保険診療で病理検査をします。
 これはホクロの癌の見分けが難しいためです。
 正確に診断するためには、
 顕微鏡で細胞を診る‘病理検査’が必要です。
 私は日本皮膚悪性腫瘍学会の会員です。
 ホクロの癌をたくさん経験しました。
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 経験を重ねた専門医は、
 安易にホクロ除去をしません。
 ホクロの癌と良性のホクロを見分けるのは、
 実は皮膚科専門医にも難しい場合があります。
 ホクロの癌を見落として、
 訴訟になる場合もあります。
 私は、北大形成外科や関連病院で、
 たくさんのホクロの癌を手術してきました。
 北大形成外科病棟チーフの時は、
 何人かの方を見送りました。
 その中にはホクロの癌の方もいらっしゃいました。
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 私が研修医の時に、
 尊敬する先輩の皮膚科医から、
 次のように言われたことがありました。
 ホクロは悪性化したら大変です。
 ホクロを焼いて刺激して、
 その上、取り残して…
 もし…
 万一悪性化したら…取り返しがつきません
 ホクロは切除して、病理検査をすべきです。
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 私はあまり積極的に
 ホクロ除去手術をしていません。
 自分の顔にもホクロがたくさんありますが、
 放置しています。
 大きくなってきた。
 盛り上がってきた。
 色が黒くなってきた。
 など…
 ‘医学的に必要’な場合は、
 切除して病理検査をしています。
 この場合は保険適応になります。
 保険適応になれば、
 もちろん医療費控除の対象となります。

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