医学講座
埋没法と幸せな人生
埋没法は
東洋人の二重まぶたの手術法として、
確立された手術法です。
日本、
米国(アジア系米国人)、
韓国、
中国、
台湾、
ハワイ(日系人など)、
世界中で施術されています。
■ ■
日本が誇る
『世界の技術』
といっても過言ではありません。
埋没法で、
大部分の方は、
『生まれつきの二重』と
同じ構造ができます。
過去の論文を読んでも、
『取れる率』は、
数%~20%程度です。
日本でも海外でも同じです。
■ ■
『埋没法は取れる…?』
と思われがちですが、
『取れる』のは、
多くても10~20%です。
8割以上の方は、
埋没法で『幸せな人生』を送れます。
『取れた』と言われる方の中には、
加齢による『たるみ』のこともあります。
■ ■
つまり、
手術適応をしっかり選べば、
アイプチと‘さよなら’をして、
お風呂に入っても、
洗顔をしても、
シャンプーをしても、
プールに入っても、
『取れない』二重まぶたができます。
■ ■
ところが…
もともと埋没法に向かない目の人も、
『切るのは怖いから…』
『安いし…』
『簡単だから…』
『保障つきで何度もできるから…』
と手術を受けることがあります。
また、
9,800円の広告で、
安くて簡単に二重ができる
と宣伝しているチェーン店もあります。
■ ■
もともと眼瞼下垂(がんけんかすい)で、
子どもの頃から、
おでこにしわがある方が、
埋没法の手術を受けても、
ある日突然、
二重のラインが消えることがあります。
埋没法に向かない目だからです。
■ ■
18歳で埋没法の手術を受けて、
大学へ進学、
大学を卒業して就職しました。
会社では仕事も順調。
プライベートでも、
素敵な彼が見つかり、
めでたく結婚式の日取りも決まりました。
結婚式の2週間前に、
突然、片目だけ一重に!
どうしましょう?!?!
■ ■
彼には内緒。
もちろん、仕事も休めません。
埋没法を受けたクリニックは…
美容外科から撤退。
眼科の
レーシック専門クリニックになっていました。
実際にこんなことになっては大変です。
休みがあるのは、
就職や進学前の、
今の時期だけです。
心配な方は、
信頼できる先生にご相談なさってください。
医学講座
埋没法が取れた!
埋没法が取れた!
と来院される方がいらっしゃいます。
糸が取れた!
糸が外れた!
糸が切れた!
『どうしよう、助けてぇ~』
といらっしゃいます。
■ ■
どんな美容外科で手術を受けても、
現在、埋没法に使われている糸は、
厚生労働省が認可した、
ナイロン糸という糸です。
かなり細い糸ですが、
簡単に切れたりはしません。
以前は、
初心者の先生が手術をして、
結び目がほどけたような例もありましたが、
最近はめったにありません。
■ ■
埋没法は糸で二重のクセをつける手術です。
糸で皮膚を内側へ引っぱって、
二重のラインを作ります。
最初は糸が真皮(しんぴ)という、
皮膚の下にいて強く引っぱっています。
ラインがくっきり見える時期です。
そのうちに、
皮膚の下の眼輪筋(がんりんきん)という、
筋肉の中に結び目が入ります。
ちょうど落ち着いてラインが安定する頃です。
■ ■
糸の周囲には瘢痕(はんこん)という、
線維性の被膜(ひまく)ができます。
この瘢痕(はんこん)でできた被膜(ひまく)が
糸の代わりに皮膚を引っぱるようになります。
瘢痕(はんこん)は自分自身の組織ですから、
糸のように切れたり溶けたりしません。
ですから、埋没法で手術をしても、
生まれつきの二重と同じ構造が、
半永久的にできるのです。
■ ■
糸が外れるというのは、
もともと埋没法には向いていない目の方です。
糸も瘢痕(はんこん)も
とても細いので、
まぶたが重い方だと、
皮膚を引っぱりきれなくなります。
それが糸が取れた状態です。
糸で引っぱっていた
糸と皮膚との接合部が取れることです。
■ ■
アイプチやメザイクは、
糊で皮膚と皮膚をくっつけて、
二重のラインを作ります。
洗顔して糊が取れると、
ラインも消失します。
これと、
糸が取れたのはちょっと違います。
大部分の方は、
糸はしっかり残っています。
■ ■
埋没法に向かない目は、
眼瞼下垂症の目。
筋肉や脂肪が厚い目。
アレルギーで痒くなる目。
などさまざまです。
札幌美容形成外科では、
埋没法で取れた方を、
たくさん手術しています。
■ ■
埋没法をする前の目を見せていただくと、
眼瞼下垂症だった方がたくさんいらっしゃいます。
全切開で大きなキズがあるのに、
二重のラインができなかった方もいらっしゃいました。
他院で埋没法を受けていると、
その糸を捜して取るのも大変です。
眼瞼下垂症手術は保険診療の手術なので、
糸を外しても、
脂肪を取っても、
追加料金はいただけません。
■ ■
手術が終わって、
黒目がしっかり出るようになって、
ものが見やすくなって、
肩こりもなおって、
よかったね!
と喜んでいただけるのが、
私の唯一の楽しみであり、
生きがいでもあります。
埋没法が取れてしまった方は、
手術前の目をもう一度確かめてください。
院長の休日
困った時にどうする?
どんな人でも、
窮地に陥る(きゅうちにおちいる)ことがあります。
『だれか助けてぇ~!』
と叫びたくなる時があります。
私にも悩みがたくさんあります。
自分の本業(医業)で困ることは…
極めてマレです。
本業以外のことで困ります。
■ ■
『困った、こまった』
『どうしようか?』
と考えていると、
夜も眠れなくなります。
年齢のせいもあるでしょうが、
寝ても朝早くに目覚めます。
目覚めた時には…
さくらんぼさんや
函館の看護師さんからいただいた、
日記のコメントを読ませていただいています。
■ ■
困った時に相談できる相手
適切な解答を
くださる相談相手が
いるかいないかで、
その人の人生が大きく変わります。
私たち医療従事者は、
健康問題で困っている人を助ける仕事です。
私のHPをご覧になって、
メールで相談をいただいたら、
本州の方でも、
できるだけ返信しています。
■ ■
私の相談相手は、
昨日ご紹介した、
弁護士の高橋智(さとる)先生です。
高橋先生にご相談することで、
私の不安の不が取れます。
不が取れて、
不安→安心
と安心できます。
高橋先生とお会いすると…
安心してよく眠れるようになります。
■ ■
眠れなくて睡眠剤を内服すると…
頭がぼぉ~っとするなどの
副作用があります。
『困った、こまった』
『どうしようか?』
の根本的な解決にはなりません。
よい相談相手とめぐり合うと…
『安心して眠れるようになります』
『副作用』もありません。
■ ■
私は高橋先生と知り合うまで、
他の4人の弁護士さんに相談に行きました。
弁護士さんを探しはじめてから、
一年近くかかってめぐり合えました。
弁護士さんにも、
いろいろな先生がいらっしゃいます。
自分と相性が合う先生を見つけるのは大変です。
■ ■
私は高橋先生の日記や、
HPの北大・給湯族の思い出を読んで決めました。
毎日更新する日記に、
ウソは書けません。
院長日記を読んでいらしていただく方の
お力になれれば…
と思って、
今日も日記を書いています。
院長の休日
Sammy通信vol.8
お世話になっている、
弁護士の高橋智(さとる)先生から
Sammy通信vol.8をいただきました。
温泉でのんびりしながら、
読ませていただきました。
■ ■
先生は札幌南高校をご卒業。
札幌では一番の名門校です。
今回のSammy通信では、
その札幌南高時代ことが書かれていました。
同世代の一人として、
とても共感するところがありました。
■ ■
堅忍不抜~札南の青春~
というタイトルです。
こちらからPDFファイルでご覧になれますが、
かなり重いので、
PCからご覧になってください。
札幌南高で生徒会長になった時のことが
心に残りました。
■ ■
内容の一部を抜粋します。
一生懸命準備して学校祭に臨んだが、悲しいことがあった。
後夜祭の時、火文字に点火しようとしたが、点火しなかった。
「今年の執行部は何をやっているんだ」と野次られた。
その時は
どんなに一生懸命やっても報われないことがあるのだと
つくづく思った。
会長の任期が終了した2学期末テストでは
成績順位も、入学時30番位だったのに
400番台(450人中)となり、
生徒会長に立候補したことをひどく後悔した。
■ ■
南高を卒業してすでに30年が経った。
皮肉にも弁護士になってみて、
一番役に立っていることは南高で勉強したことではなく、
生徒会活動の進め方、準備の仕方、議論の進め方などで
苦労した経験だった。
そして何より生徒会活動で味わった挫折感は
人間としての修養として欠かせないものだったといえよう。
■ ■
同世代のおじさんの一人として、
高橋先生とまったく同じ思いです。
高橋先生は、
生徒会長を終えられた後で勉強され、
北大法学部へ現役合格されました。
私は一浪して札幌医大へ入学しました。
■ ■
浪人した時の挫折感。
さまざまことで、つまづいた時の挫折感。
この挫折感を味わい、
そこでどう対処したのか…?
という経験が役に立っています。
手術でも同じです。
うまくいかなかった手術や
手術中にトラブルになった経験が
医療の現場で役に立ちます。
■ ■
3月は悲喜交々(ひきこもごも)
いろいろな出来事がある季節です。
第一志望に合格だけが、
最高の人生ではありません。
そこから、自分がどのように成長できるか?
で、その人の人生がはじまります。
私は自分に与えられた職務を果たし、
少しでも人生の門出を応援したいと考えています。
院長の休日
父の誕生日2009
今日、平成21年3月4日は、
私の父親、83歳の誕生日です。
大正15年(1926年)生まれの寅年(とらどし)、
武藤靖夫先生と同い年です。
かなりヨボヨボしていますが、
まだ元気です。
■ ■
日ごろ、親孝行をしていないので、
今日は、
家内と家内の母親、
私の両親の、
合計5人で、
定山渓温泉に来ました。
じじばばツアーご一行様
といったところです。
■ ■
定山渓温泉は、
札幌市南区にあります。
札幌駅から約1時間、
豊平川(とよひらがわ)という川の
上流にある温泉です。
私が子どもの頃、
昭和30年代には、
定山渓鉄道という私鉄がありました。
■ ■
当時の北海道では珍しく、
‘電車’が走っていました。
札幌駅のゼロ番ホームには
定山渓行きの
アズキ色をした列車が停車していました。
途中駅で、
電車に連結された記憶があります。
■ ■
父親が勤務していた、
三菱砿業㈱の保養所が
定山渓にありました。
手稲に住んでいた頃に、
連れてきてもらった記憶があります。
当時の休みは日曜日だけでした。
土曜日の午後から出かけ、
保養所で温泉に入った、
楽しい想い出があります。
■ ■
もう50年も前のことです。
まさか自分が当時の父親より高齢になり、
じいちゃんの誕生日を祝いに、
定山渓に来るとは夢にも思いませんでした。
私54歳、家内52歳。
子どもは家からいなくなり、
毎日、夫婦二人になりつつあります。
ようやく少しだけ、
親孝行をしようか?
という年齢になったのでしょうか?
父親にはボケずに
長生きして欲しいと願っています。
父83歳、私54歳
昔の記憶
おくりびと
さくらんぼさんから
『おくりびと』についてコメントをいただきました。
私は、まだ見ていません。
昨年、クライマーズ・ハイを
見に行った時に、
『おくりびと』の予告編を上映していました。
その時に、見たいと思ったのですが、
残念なことに、まだ見ていません。
■ ■
私はエンバーミング (embalming) という、
ご遺体の処置に、
以前から関心を持っていました。
『おくりびと』とは違います。
エンバーミングは外科の『おくりびと』?
といったところでしょうか?
つまり、防腐処置、殺菌消毒、お化粧などを、
血管に防腐剤や色素を注入して行うのが、
エンバーミングです。
■ ■
医師でなくてもできるようです。
欧米では、かなり普及していますが、
日本ではまだ一般的ではないようです。
ネットで検索すると、
何件もヒットします。
ウィキペディア(Wikipedia)には、
エンバーミング (embalming) とは、
欧米で遺体を消毒、保存処理を施し、
また、必要に応じて修復し、
長期保存を可能にしようとする技法。
日本語では死体防腐処理、
遺体衛生保全などと翻訳される。
と書かれています。
■ ■
私自身は、
患者さんが亡くなった後で、
死後の整形手術をしたことがあります。
まだ、お若い患者さんでした。
私が勤務していた病棟の患者さんでしたが、
他科の患者さんでした。
残念なことに…
若くしてお亡くなりになってしまいました。
■ ■
癌の患者さんで、
癌が顔に出て変形してしまっていました。
病理解剖をさせていただくことになりました。
私も何度か診察していたので、
その方のことを存じていました。
解剖の前に、
ご家族から、
顔の癌の部分だけでも、
何とか見やすくできないでしょうか?
と相談があったそうです。
■ ■
私は病棟婦長と主治医から相談を受けました。
他の部位には異常がなかったので、
私は病理解剖の最後に、
癌の部分を切除して、
きれいな皮膚を移植しました。
私は解剖の補助という立場で、
死後の整形手術をしました。
■ ■
後にも先にも、
死後に手術をしたのはその方だけです。
ご家族が喜んでいらしたと
病棟婦長から聞きました。
私がトシをとって…
形成外科の手術ができなくなったら、
形成外科の技術を生かして、
エンバーミングをしようと思ったのです。
人間は死ぬ時も、
死んだ後もキレイでいたいものです。
医療問題
大学の順位
早いもので3月になりました。
卒業式や合格発表の時期です。
18歳という年齢で、
これからの人生の進路が分かれます。
大学
専門学校
へ進学する方。
卒業して就職なさる方。
さまざまな人生のスタートになります。
■ ■
大学というところは、
学問を学ぶところです。
国立大学へ合格するには、
小さい時から塾に通い、
家庭教師の先生をお願いして、
進学校といわれる、
名門高校に進み、
そこでも猛勉強をしないと、
なかなか合格できません。
■ ■
国公立大学の医学部は、
難関中の難関で、
名門校といわれる高校でも、
成績が優秀でなければ
現役合格はできません。
名門校を卒業しても、
何年も浪人して合格する人もいます。
その位、難関です。
■ ■
私が受験生だった35年前から、
一番難しいのが
東大医学部(東大理Ⅲ:とうだいりさん)。
次に京大医学部、
慶應医学部と続きました。
今でもこの順位は同じだと思います。
私の同級生だった友人にも、
東大理Ⅲや慶應医学部へ合格した、
‘超’優秀な先生がいました。
■ ■
美容外科を専門としている、
先生にも
東大理Ⅲや慶應(医)をご卒業された、
優秀な先生がいらっしゃいます。
私は頭が悪かったので、
東大や慶應どころか、
北大(医)も難しかったので、
一浪して無難な
札幌医大へ進学しました。
■ ■
私は、今年55歳になります。
18歳から数えて37年です。
負け惜しみで言うわけではありません。
大学の順位は、
美容外科医の世界では、
まったく関係ありません。
美容外科を早くから開設したのは、
国公立大学ではなく、
私立医大でした。
■ ■
看護師さんの世界でも、
大学の看護学科を卒業され、
看護師・保健師の資格を取得される方がいます。
一方で、
3年間の看護専門学校を卒業して、
看護師の資格を取得された方。
准看護師として勤務された後で、
看護師資格を取得される方もいらっしゃいます。
■ ■
看護師としての技量や能力については、
大卒でも、
専門学校卒でも
准看護師→看護師でも
まったく関係ありません。
出身校による差もありません。
実務能力があるのは、
准看護師→看護師の方です。
■ ■
私が申し上げたいのは、
大学の順位はあっても、
その偏差値が、
そのまま
個人の順位
人間としての価値
にはならないということです。
昔、旺文社(おうぶんしゃ)という出版社が、
大学受験ラジオ講座を放送していました。
■ ■
数学担当の、
勝浦捨造(かつうらすてぞう)先生
東北大学助教授→代々木ゼミナール副校長
がラジオ講座で同じことを話されていました。
毎年、春にはさまざまな人生があります。
第一志望に合格できれば最高ですが、
たとえ第一志望でなくても、
これからの人生が否定されたのではありません。
その人その人の生き方が
一番大切なのだと思います。
院長の休日
札幌市形成外科医会2009
平成21年2月28日(土)
札幌市形成外科医会(新冨芳尚会長)の
例会が開催されました。
この院長日記の一番最初が、
2006年10月22日(日)でした。
昨日10月21日(土)札幌市形成外科医会がありました。
出席者は新冨芳尚会長、武藤靖夫先生、
有賀昭俊先生、本田耕一先生、松本敏明先生など
札幌市内形成外科重鎮の諸先生のほか
札幌市内の形成外科医の大部分が参加いたしました。
と書いてあります。
■ ■
昨夜はKKR札幌医療センター斗南病院形成外科科長、
佐々木了(ささきさとる)先生の講演がありました。
佐々木先生のご専門は、
血管やリンパ管などの異常が原因となる、
さまざまな疾患の治療です。
従来の形成外科手術では治せなかった、
血管異常による変形を、
硬化療法(こうかりょうほう)という、
薬剤を使った治療で見事に治します。
■ ■
佐々木先生のところへは、
北海道のみならず、
日本全国から患者さんが治療にいらしています。
こちらの血管腫・血管奇形の患者会の
協力医師としてもご活躍です。
また、血管腫・血管奇形研究会の
代表世話人もなさっていらっしゃいます。
さまざまな血管異常の患者さんを
どうやって治していくかという治療戦略について、
詳しく解説してくださいました。
■ ■
佐々木 了先生
■ ■
佐々木先生の講演の後で、
札幌中央形成外科の
故武藤靖夫先生を偲ぶ会が
約2時間半にわたってありました。
武藤先生を偲ぶ会
■ ■
札幌スキンケアクリニックの
松本敏明先生の司会で、
札幌中央形成外科院長で、
ご子息の武藤英生先生が、
スライドを使って、
お父様である、
武藤靖夫先生の生い立ちから、
昔のススキノでの診療風景などを
ご紹介してくださいました。
■ ■
武藤靖夫先生が
札幌中央整形をご開業なさったのが、
昭和35年(1960年)。
当時、二重まぶた埋没法が5,500円。
大卒初任給が1万円台だったので、
現在でいうと10万円程度だったのでしょうか?
休診日は毎月第三日曜日だけ。
つまり月に一度しか休まず、
ススキノの角で
診療を続けられました。
■ ■
お若い頃の武藤靖夫先生の、
素敵な写真がたくさんスクリーンに映りました。
とてもハンサムで
素敵な先生でした。
参加者全員が、
口々に優しい先生だったと
言われていました。
武藤先生の想い出を、
参加した先生が一人一人話されました。
■ ■
昨日の参加者。
浅見謙二先生、大谷地形成外科・美容外科クリニック。
有賀昭俊先生、二十四軒中央クリニック。
飯田和典先生、耳鼻咽喉科、麻生病院。
奥田康二先生、札幌ストレスケアクリニック。
上林淑人先生、宮の森スキンケア診療室。
川嶋邦裕先生、市立札幌病院形成外科。
國分一郎先生、こくぶクリニック皮膚科形成外科。
佐々木 了先生、斗南病院形成外科。
新冨芳尚先生、蘇春堂形成外科。
竹野巨一先生、時計台記念病院。
野平久仁彦先生、蘇春堂形成外科。
松本敏明先生、札幌スキンケアクリニック。
皆川英彦先生、北海道がんセンター形成外科。
武藤英生先生、札幌中央形成外科。
吉田哲憲先生、市立札幌病院。
医学講座
へそのゴマ
函館の看護師さんから
コメントをいただきました。
さくらんぼさんへ
へそのごま・・・ですが、
ゴマといわれるものは垢です。
その垢が長年蓄積されると
本当にボタンくらいの大きさにまでなります。
■ ■
私の場合は小豆くらいのゴマを
へその奥からとってもらいましたが、
今回はそのゴマと以前腹腔鏡をした
おへその傷にバイ菌がついて臍炎になりました。
■ ■
ふだんからお風呂上がりなどに
ベビーオイルと綿棒を使って
表面部分をきれいにしておくとよいそうです。
私のかかった外科の先生は、
心配ならばオキシドールを薬局で買って
綿棒に塗ってとってもいいですよと言われました。
■ ■
私のように炎症を起こすと、膿がでます。
そのようになると炎症を起こし
細菌感染しているので悪臭がします。
そうなった場合は必ず
外科か皮膚科を受診しましょう。
治療は消毒して(ひどい場合は膿をだして)
抗生物質を服用します。
■ ■
あと私が看護師として
外科のクリニックにいた時のことですが、
生まれて一度も
おへその手入れをしたことがない方が来ました。
おへそを見ると真っ黒なソラマメくらいのものが見えています。
ドクターがセッシ(ピンセット)でとってもとれません。
もうこうなると自分でとることは不可能です。
■ ■
結局そのクリニックで手術することになりました。
局所麻酔で簡単に皮膚とへそのごまを取り外しました。
結局おへその奥まで続いていましたので、
ものすごい幅で
ものすごい長さのへそゴマが取れました。
■ ■
へその形も人それぞれで、
でべそ、
平らなおへそ、
奥に引っ込んでるへそ
いろいろです。
皆さんもへそのゴマは清潔に保ちましょう。
ただ、無理に取ろうとせず、
ベビーオイルなどを使って
やわらかくしてからとるといいでしょう。
■ ■
もちろん変なにおいがする液が出てきたり、
おへそが赤く炎症していたり、
少しでも異常がある方は病院へ行ってください。
臍炎(へその炎症)を起こしてしまうと
かなり処置で痛みがありました。
2日前に経験した話でした。
さくらんぼさん、こんな感じでどうでしょうか?
■ ■
貴重な体験談と経験談を
ありがとうございました。
形成外科にもへそのゴマの患者さんが
いらしたことがありました。
地方の病院に勤務していた時です。
先生、へそにホクロの癌ができたと
へそにある、
固い黒い腫瘤(しゅりゅう)を主訴に、
患者さんが受診されました。
■ ■
予診(よしん:私が診察する前に、お話しを伺うのが予診)
をとった若い先生が、
何でしょうね?
メラノーマ(ホクロの癌)ではないと思いますが…?
と不思議な顔をしていました。
函館の看護師さんのコメントのように、
摂子(せっし:ピンセットのこと)で引っぱっても、
びくともしない固い腫瘤(しゅりゅう)でした。
表面はややザラザラしていて、
真っ黒でした。
■ ■
昔の皮膚科の教科書には、
へそのゴマが載っていました。
確か…
腫瘍(しゅよう)と間違えないように…
と書いてあったように記憶しています。
一度見ると誤診はしませんが、
大都市の大病院で研修しても、
経験できる疾患ではありません。
■ ■
私は、
局所麻酔はせずに、
石のように硬いへそのゴマを
手術用の器械で少しずつ崩して、
取りました。
一般的な取り方は、
函館の看護師さんが書いてくださったように、
ベビーオイルで柔らかくして、
無理をせず、
少しずつ取るのがベストです。
医療問題
レーザーと価格
以前の日記に書きました。
美容外科の二重まぶたは、
安売りのティッシュとは違います。
ティッシュは特売でも中味は同じですが、
低価格の整形にはワナがあります。
私が美容外科医になる前1997年のことです。
帯広厚生病院に勤務していた時に、
手術室の看護婦さんが…
帯広市内の有名エステ(全国チェーン)に行きました。
■ ■
ワキの脱毛(針脱毛)を50万円で契約しました。
当時はワキ脱毛=50万円が相場でした。
その脱毛法は、
電気で毛根を焼く施術でした。
電気メスのような機器を使い、
専用の脱毛針を毛穴に刺して、
通電して毛根を焼く治療です。
厚生労働省は、
医療機関以外での施術を禁止しています。
■ ■
看護婦さんは、
こんな治療を、
エステで無資格の人がしても、
いいのかなぁ~と思いながら、
施術を受けたそうです。
いざ、脱毛がはじまると…
針を刺して電気を通すと…
飛び上がるほど痛い!
痛いなんてモンじゃない!
とにかく苦痛だったそうです。
■ ■
私はその看護婦さんから相談を受けました。
当時、医療機関(美容外科)では、
局所麻酔をしてから、
針脱毛をするのが当たり前でした。
エステでは麻酔ができません。
私は、
もう少しで
レーザー脱毛が主流となること。
エステよりも
医療機関で脱毛すること。
をお話ししました。
■ ■
ちょうどその頃、
東京の日本医学脱毛学会で、
日本ではじめて、
米国製脱毛用レーザーの展示がありました。
参加した高名な美容外科の先生が、
ズボンの裾をめくって、
自分のすね毛にレーザーを当てていました。
東京都渋谷区千駄ヶ谷の
津田ホールであった学会でした。
札幌スキンケアクリニックの、
松本敏明先生が会長でした。
■ ■
最初は、
レーザーで脱毛ができる筈がない。
しばらくたったら生えてくる。
永久脱毛にはならない。
などさまざまな意見が出ていました。
そのレーザー脱毛の機器は、
3,300万円もしました。
サイノシュア社製で、
日本ではJMEC(ジェイメック)という会社が代理店でした。
■ ■
私は、札幌中央形成外科副院長に
就職することが決まっていました。
シミ取り用レーザーを
購入しようとなさっていらした、
武藤靖夫先生を説得して、
私は札幌で2台目の、
レーザー脱毛機を導入しました。
このレーザー脱毛は、
大ヒットしました。
私は自分の腕と左下腿に照射し、
レーザー脱毛の効果を確認していました。
■ ■
現在、札幌美容形成外科では、
ワキのレーザー脱毛が一回9,600円です。
平成10年(1998年)に、
札幌でレーザー脱毛をはじめた時は、
一回の価格が今の10倍もしました。
レーザーも進歩しました。
現在の機器は冷却ガスがついているので、
痛みもずっと少なくなっています。
レーザー機器の本体価格も
最初の半分以下になりました。
■ ■
価格競争によって、
レーザー脱毛の価格は安くなりました。
札幌美容形成外科より安い価格のお店も
たくさんあります。
ただ、レーザーを照射するのは看護師です。
丁寧に照射するか?
痛くないように照射するか?
は看護師の腕にかかっています。
■ ■
レーシック手術も、
もっと価格が下がります。
安全性も高くなると思います。
お金儲けの道具として、
レーシックを施術している医療機関では、
手術を受けられないのが安全だと思います。
レーザー機器には、
メンテナンス費用もかかります。
しっかりメンテナンスをしている医療機関は、
それなりの料金を請求するはずです。