医療問題
レーシック手術のトラブル
平成21年2月26日、朝日新聞朝刊の記事です。
レーシック手術の患者、
角膜炎に集団感染 銀座の眼科
東京都中央区は2月25日、同区銀座6丁目の銀座眼科(溝口朝雄院長)で、視力回復のためのレーシック手術を受けた患者67人が感染性角膜炎などを発症、2人が入院していると発表した。区保健所は手術器具の滅菌処理が不十分だったことをはじめ、同眼科の衛生管理全体に問題があった疑いがあるとみて調べている。
■ ■
区保健所によると、67人は銀座眼科で昨年9月から今年1月にかけてレーシック手術を受けた後、発症した。同眼科ではこの時期に計639人が手術を受けたという。
■ ■
入院中の2人のうち1人は回復しているものの、もう1人の症状の程度は詳しく分かっていない。同保健所は銀座眼科に対し、当分の間、レーシックを含めすべての診療を休止するよう指導した。
■ ■
区保健所に対する銀座眼科の説明では、同眼科はレーシック手術の際に角膜を削る「マイクロケラトーム」などの手術器具の消毒に、高温高圧の滅菌装置「オートクレーブ」を使っているが、この機械のサーモスタットに不具合があり、滅菌に必要な温度に十分に達していなかった、という。
■ ■
また、手術時に医師の手袋着用が徹底されていなかったり、消毒薬の使用が十分でなかったりした疑いもある。区保健所は銀座眼科の衛生管理全般に問題があったとみて調査している。
■ ■
銀座眼科はホームページで「検査当日の手術も可能」「平日のほうがお得です」などと宣伝していた。「安全で最高なレーシックを安価で皆様に」「機械や手術内容は(他と比べて)変わることはなく、むしろ最高のもの」ともうたっていた。
■ ■
区保健所に今月上旬、千葉県内の病院から銀座眼科で手術を受けた人が感染性角膜炎で通院していると連絡があって発覚した。立ち入り調査は18日から23日にかけて計3回行われた。
■ ■
角膜感染症に詳しい道玄坂糸井眼科医院(東京都渋谷区)の糸井素純院長によると、レーシック手術は急速に広がり、値段も安くなっている一方、手術前の説明や手術後の管理がおろそかになっているケースもあるという。手術は刃物のような器具で角膜を傷つけるため、傷口から細菌などが入り込んで感染症が起こりうる。そのため、手術後は一定期間の経過観察が必要になる。
■ ■
糸井さんは「医療現場も玉石混交で、術後の合併症の可能性や術後管理の重要性が十分に説明されていないケースも少なくない」と指摘する。
■ ■
厚生労働省は25日、すべての医療機関に衛生管理の徹底を指導するよう全国の都道府県に通知した。同省によると、レーシック手術を巡る大きなトラブルや院内感染事例は報告されていない。ただ、同省指導課は「レーシック手術は急速に増えているとみられるが、保険診療外の自由診療で行われていて実態を把握できない部分がある。同様の事例が起きている可能性はある」としている。
レーシック手術
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
私が何度も指摘していた、
低価格レーシックによる、
健康被害が報告されました。
2008年8月4日に書いた
レーシック詐欺です。
医療は安売りの床屋や美容室とは違います。
目というのは大切な大切な器官です。
もし、レーシックで失明でもしたら大変です。
髪の毛は、
虎刈りなっても、また生えますが、
視力を失うと取り返しがつきません。
レーシック手術は慎重に受けてください。
■ ■
私の声が届かなかったのが
とても残念です。
医療機器の進歩によって、
従来は不可能だったことが…
可能になってきています。
レーシックもその一つです。
眼科専門医でなくても、
器械とちょっとした技術があれば、
近視矯正の手術はできるようです。
■ ■
美容外科の二重まぶた埋没法も同じです。
でも…
何か起きた時に
適切に対処できるか?
トラブルに対処できる先生か?
ここが運命の分かれ道です
医療にはトラブルや事故がつきものです。
私が手術をしても…
100%同じように手術はできません。
患者さんがお一人お一人違うからです。
■ ■
私はレーシックの相談を受けた時に、
信頼できる
複数の眼科医が
推薦してくれるなら
手術を受けてください。
と申し上げています。
銀座眼科の先生は、
TVに出て謝罪していました。
■ ■
高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)という
滅菌する器械のトラブルが原因と報告していました。
札幌美容形成外科には、
予備も含めて3台の高圧蒸気滅菌器があります。
滅菌されると、
インジケーターの色が変わります。
私は、
オートクレーブの問題だけではないと思います。
■ ■
高価なレーザー機器はふつう一台だけです。
その一台のレーザー機器で
流れ作業的に手術をします。
レーザー機器本体と、
滅菌して交換する部品との接続部などが
汚染されていたのでは?
と疑ってしまいます。
そもそも滅菌して使用する部品(刃)は
患者さんの数に足りるだけ準備されていたのでしょうか?
■ ■
いい加減な美容外科では、
手術に使う器具を、
しっかり滅菌しないで使いまわししたり、
コラーゲンや
ヒアルロン酸など、
本来は患者ごとに準備すべき製品を、
使いまわしすると
耳にしたことがあります。
■ ■
内装は豪華でキレイにしても、
手術に必要な
医療機器や
滅菌設備など、
目に見えないところで
手抜きをするクリニックはあります。
安かろう悪かろうで、
健康被害が出てからでは遅すぎます。
クリニックは慎重に選んでください。
(高くて悪い最悪のところもあります)
医学講座
ワキガ手術と‘再発’
他院でワキガ手術を受けたのに、
臭いが取れない!
手術前と変わっていない!
と受診なさる方がいらっしゃいます。
保険医療機関で手術を受けた方にも
自由診療で受けた方にも
治っていない!
と言われる方がいらしゃいます。
■ ■
かつて私が手術をさせていただいた方で、
手術を受けたのに
まだ臭いがする
と再手術をした方がいらっしゃいました。
2007年10月15日の日記、
客室乗務員さんの手術
に書いてあります。
私が美容外科医になる前でした。
■ ■
国際線の客室乗務員をなさっていらっしゃる
美しい方でした。
手術は順調に終わり、
キズもキレイに治りました。
手術後は長時間勤務も苦にならなくなり、
快適にお仕事に復帰されました。
数ヵ月後の診察の時に、
『先生、臭いがするんです』
と言われました。
私は耳を疑いました。
■ ■
手術後数ヵ月は、
まったく気にならなかったそうです。
ある日、長時間の勤務を終える頃に気づきました。
以前とは比べものにならない位、
汗は減り、
臭いも通常は気になりません。
その方は注意深くワキを観察されました。
臭いが出ていたのは、
おっぱいの横に近い、
腋毛も生えていないところからでした。
■ ■
形成外科や美容外科の教科書には、
ワキガ手術をする範囲は、
毛の生え際から1~2㎝と記載されています。
標準的な範囲は、
教科書には10×4㎝程度と書かれています。
(腋臭症の治療、克誠堂出版、p64)。
今、私が手術する範囲は、
広い方だと10×18㎝にもなります。
今までの最高は、12×20㎝でした。
■ ■
臭いに対するこだわりは、
総合病院の形成外科で手術を受ける方と、
美容形成外科のクリニックでは違います。
美容外科では、
キレイに確実に治るというイメージがあります。
経過を診察していて、
臭いが残っていると、
本人の次に気になるのは執刀医です。
私は手術後に必ず臭いをチェックしています。
■ ■
他院で手術を受けたのに、
臭いがする
と受診なさる方の中には、
次の3通りがあります。
①明らかな汗腺の切除不足。
②手術する範囲が足りない。
③手術は完璧でワキガ臭もない。
…なのに患者さんは臭いがすると訴える。
■ ■
①は吸引法で手術を受けた方に多い症状です。
汗腺の切除が不足していて、
ほぼ全範囲にアポクリン腺が残っています。
手術直後から臭いがするはずです。
②は客室乗務員さんの手術のように、
おっぱいの近くや、
切除範囲の周囲に、
アポクリン腺が残っています。
形成外科専門医が手術をした例もあります。
■ ■
③はアポクリン腺からのワキガの臭いはないのに、
汗の臭いが残っている方です。
もともとワキガではないか、
ワキガと緊張性発汗が重なっている方にみられます。
多汗症手術の難しさという日記に書いてあります。
私が嗅いでも職員が嗅いでも、
臭いがしないのに、
臭いがすると訴える方もいらっしゃいます。
HPに書いてあるように、
汗腺がガンのように再発することはありません。
医学講座
ペースメーカー
平成21年2月23日(月)朝日新聞朝刊
声の欄への投稿です。
車内の携帯にびくびく無用
団体役員 日高進 (東京都町田市78)
「携帯びくびく命がけ優先席」(7日)を読みました。
日本心臓ペースメーカー友の会副会長の私としては、
投稿の方の心理的な不安は理解しつつも
「そこまで不安がる必要はありません」
と一声かけたくなりました。
■ ■
確かに、
総務省は携帯電話とペースメーカー装着部位の距離を
「22㌢程度以上はなすこと」という指針を示しています。
この指針に基づいて、
交通事業各社は
「優先度付近では携帯電話の電源をお切り下さい」
と表示し、
アナウンスしています。
■ ■
総務省の指針は、
もちろん科学的な実験を踏まえたものですが、
「22㌢」には万一の事故に備えての、
厳重な危機管理意識が込められています。
とくに古い機種の方は影響する恐れもあります。
私も機器を装着しており、
ペースメーカーの説明書も
「22㌢以上離れること」とあります。
■ ■
しかし、「最近の機種は携帯電話の影響は受けない」と言えます。
これも科学的なデータに基づいています。
ですから、過剰な心配は無用です。
車内では、どうか、もっとリラックスしてください。
ただし、このことは心臓のペースメーカーに限ったことで、
優先席でのマナーが大切なことは言うまでもありません。
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
心臓ペースメーカーを装着した方にとって、
携帯電話は不安だと思います。
私たち外科医にとっても、
心臓ペースメーカ装着者の方の手術は、
電気メスという医療機器の使用で問題があります。
心臓ペースメーカの埋込み手術や、
ペースメーカ埋込み後のトラブルで、
何度か循環器の先生から手術を依頼されました。
■ ■
電気メスは、
携帯電話以上にペースメーカーに影響を与えます。
電気を使って血を止める(止血)のが
電気メスです。
体内に電流が流れます。
最初に手術を依頼された時は、
緊張して手術をしました。
ペースメーカーのすぐ上の皮膚の処置です。
電気がまともにペースメーカーへ届きます。
■ ■
最初はメーカーの技術者と一緒に
機器をつけて
異常がないか確認しながら手術をしました。
10年くらい前のペースメーカーでも、
異常を生じたことはありませんでした。
電気メスも影響を与えにくい、
バイポーラーというモードを使用しました。
■ ■
私は循環器の専門医ではありませんが、
投稿者の
日本心臓ペースメーカー友の会副会長様と同じように、
ペースメーカーを装着していても、
びくびくしなくても大丈夫だと思います。
現実には、
ペースメーカーを装着して、
携帯電話を使用していらっしゃる方は、
かなり多いと思います。
ご不安な場合は、
担当の先生とよくご相談になると、
安心していられると思います。
医療問題
ご高配(こうはい)により…
さくらんぼさんからご質問をいただいた、
○○教授のご高配により…
のご高配を調べてみました。
Yahoo知恵袋には、
特別に配慮して頂いて・・・ということです。
「ご高配」・・他人が配慮してくれることの尊敬語です。
と書かれていました。
私も、その通りだと思います。
■ ■
教授の人事権に書いたように、
昔は(今も残っていますが…)、
教授に絶大な人事権がありました。
医療機関の経営者にとって、
一番の難題は、
優秀な医師をいかに確保するかです。
確実なのは教授にお願いすることでした。
今は、インターネット上に、
医師の就職を斡旋(あっせん)するサイトが
たくさんあります。
■ ■
医師といえど…
ふつうの人間です。
ふつうの方が就職を探す時に考える、
給与と待遇をまず見ます。
他の職種とちょっと違うのは…
自分にとって勉強になるか?
自分の技術や能力UPにつながるか?
ということを考えるかも?
というところでしょうか?
■ ■
2007年2月3日に、
腕を磨くという日記を書きました。
医師はある意味‘職人’なので、
有名シェフや棟梁(とうりょう)の下で働き
技術を身につけ腕を磨く必要があります。
つまり、
多少、お給料が安くても…
仕事が忙しくて休みがなくても…
有名な病院で、
有名な先生と働けば、
自分の腕も上がるかなぁ…?
という思いで就職先を選ぶ可能性があります。
■ ■
大病院の部長クラスになると、
病院長からの要請もあります。
○○医科大学は助教授を送ると言っている。
今の○○先生は患者の評判もよろしくないし…
診療収入も下がる一方です。
医局としてなんとか考えていただけませんか?
なんて会話が…
昔はあった?と聞いたことがあります。
■ ■
大切なジッツ(関連病院)を失いたくなければ、
教授は人事異動を考えます。
そこで…
めぼしい先生に声をかけます。
○○先生、
○○市民病院の主任部長として、
4月から行っていただけませんか?
というような電話をかけることになります。
教授も先生も忙しいので、
電話が一般的だと言われていました。
■ ■
こうして赴任なさった先生の挨拶状には、
私こと、
○○大学医学部○○教授のご高配により
平成21年4月1日付けで
○○市民病院主任部長として着任いたしました。
と書かれるという次第です。
今は、大学の教授から推薦ではなく、
自分から応募して就職する先生もいらっしゃいます。
美容外科医の世界では、
○○教授のご高配は、
聞いたことがありません。
院長の休日
デパート
平成21年2月22日(日)北海道新聞朝刊
生活欄_~いずみ~_への投稿です。
デパート
旭川の学生時代、
長期休みには丸井さんで、
普段は西武でアルバイトをしていた。
単なるこづかい稼ぎだったが、
初めて「働く大変さ、社会の厳しさ」を教えられた。
■ ■
丸井さんでは、お辞儀から声の出し方まで、
お客さまが「また来たい」
と思ってくださるように、
心をこめることを何度も言われた。
的確な商品知識でお客さまをサッと誘導し、
手際よく包装紙に包み、
「ありがとうございました」
とお辞儀する社員さん。
きびきびとまぶしく、
カッコよく見えた。
■ ■
西武では、
薄暗い店内で作業していると
「お疲れさま、よろしくね」
と必ず声をかけてくれた。
どちらの店員さんも、
いつも「お客さまのために」
を口にしていた。
買い手の
「ありがとう」の一言のために
頑張っている人がいることを知った。
■ ■
そのどちらもが、
存続の危機を迎えている。
今や便利な郊外店や
安いスーパーが増え、
やりとりもなく
ネツトで簡単に
欲しいものが手に人る。
でも、
人とのつながりが
商品を売る以上に大切なことを、
どちらの百貨店の店員さんも
よく知っていた。
■ ■
旭川には、
かつて閉園の危機と言われた動物園を、
日本一に押し上げた
知恵と熱意に満ちた人がいる。
私たちの住んでいる街を、
デパートの灯で、
明るく照らしていてほしいと、
心から願っている。
週末は、
デパートに行こうか。
高い買い物はできないけれど。
利根川 嘉子(45歳・主婦)
=旭川市
(以上、北海道新聞から引用)
■ ■
日曜日の朝に、
さわやかな文章にめぐり合いました。
私たちが子どもの時代は、
デパートへ行くのが楽しみでした。
読者の声の欄へも、
農作業が終わった秋に、
札幌のデパートへ買い物へ行くのを、
楽しみにしていらしたという、
元農家の方の投稿もありました。
■ ■
世の中は100年に一度の大不況です。
政治にも期待できません。
でも、
閉園の危機と言われた
旭山動物園を思い出しましょう!
知恵を出して、
自分たちにしかできない何かを、
見つける努力をしましょう!
そうすれば…
必ず、将来が見えてくるはずです。
旭川市の利根川様
すばらしい文章を
ありがとうございました。
医学講座
第15回日本熱傷学会北海道地方会
今日(平成21年2月21日)は、
第15回日本熱傷学会北海道地方会がありました。
昨日からの悪天候でJRが運休。
参加予定だったまみ子師長さんが、
出席できませんでした。
札幌も一時、
猛吹雪となり、
雪で視界が遮(さえぎ)られました。
市内でも交差点内で、
車が埋まって立ち往生していました。
■ ■
私は形成外科医として、
長い間、熱傷(ねっしょう:やけど)の治療をしてきました。
札幌医大に在籍中には、
ロシアから来た子どもの治療もしました。
(有名なコンスタンチン君ではありません。)
(コンスタンチン君を治療したのは、
旭川赤十字病院形成外科部長の阿部清秀先生です)
私がはじめて学会発表をしたのが、
日本熱傷学会でした。
想い出深い学会です。
■ ■
今日の学会では、
市立札幌病院救命救急センターの先生と
市立札幌病院形成外科の先生が、
2008年7月にロシアで大やけどをした、
13歳の男の子の発表をなさいました。
北海道とロシアは隣り合っています。
北方領土の問題があり、
残念なことに良好な関係ではありません。
■ ■
私自身もロシアの子どもを治療して、
大変苦労した記憶があります。
一番困ったのが、
言葉が通じないことでした。
英語なら少しは自信がありますが、
ロシア語はまったくダメです。
国民性の違いや、
生活習慣も違います。
食べ物が違うので、
日本の病院食がロシア人には合いません。
■ ■
ロシアは経済が発展したと言われています。
ところが医療レベルは日本と比べると劣っています。
特に重症熱傷(ねっしょう:やけど)は、
高度の専門的知識、
医療技術、
医療スタッフの協力が必要です。
ロシアでは救命できないので、
チャーター機で来日されました。
■ ■
13歳の男の子は、
6回の手術を実施し、
機能障害を残さずに退院されました。
市立札幌病院の救命救急センターと
形成外科がチームワークよく治療し、
看護部やリハビリの協力体制もすばらしかったからです。
やけどの治療には、お金がかかります。
7月から10月までの入院治療で、
かかったお金が1,365万円でした。
■ ■
健康保険はロシア人には使えないので、
ロシア側が支払いました。
私が札幌医大で治療した子どもさんも、
1,000万円以上の治療費がかかりました。
やけどはどんなに上手に治しても、
必ずキズが残ります。
一番大切なのは…
やけどをしないように気をつけることです。
■ ■
この子どもさんは、
車庫にあったガソリンが気化し、
マッチに火をつけたところ引火して爆発しました。
ガソリン、灯油、花火など、
危険なものは身近にたくさんあります。
やけどをしないように気をつけましょう!
医学講座
当日手術
メールでのお問い合わせで多いのが、
行ったらその日に手術ができますかぁ?
すぐに帰れますかぁ?
他人から見てわからないですかぁ?
はじめての手術でとても不安なんですぅ!
といったご質問です。
当日手術という医学用語はありません。
美容外科の業界用語です。
■ ■
確かに、稚内や釧路・根室・網走からいらっしゃるので、
その日に手術を受けたいというお気持ちは理解できます。
美容形成外科へ入るのは…
抵抗があるので、
何度も通院したくない!
というお気持ちも理解できます。
でも不安が強いのでしたら、
なおさら当日手術は避けるべきです。
■ ■
私の典型的な【ご返事です】は
次のようになります。
ご相談いただきありがとうございました。
残念ですが、保険診療の手術はその日にはできません。
手術が終わっても、
痛みや出血の有無を確認してから
お帰りいただくことになります。
手術日は時間に余裕を持っていらしてください。
■ ■
美容外科の手術は
変わるための手術です。
自然な仕上がりを目指していますが
他人から見てまったく変化がないようにはできません。
まったくわからないようにするのは無理です。
ご不安が強いようですので、
一度、ご相談にいらして、診察を受けてください。
■ ■
私が手術をさせていただいても、
100%満足のいく結果が得られるとは限りません。
お一人おひとりが違うので、
完全にオーダーメイドとなります。
左右の目でさえ、
違うものです。
一番難しいのが、
片方だけの先天性眼瞼下垂です。
左右を揃えるのは至難のわざです。
■ ■
札幌美容形成外科は札幌駅前通りという、
交通量が多い通りに面しています。
入口から入るのに、
抵抗があるという方もいらっしゃいます。
交通量が多いと人ごみに紛れます。
犯人追跡で一番難しいのが、
雑踏(ざっとう)の中です。
私は5年間通っていますが、
一度も入口で友人知人に会ったことはありません。
■ ■
確かに…
もし、誰かに会ったらどうしよぅ?
というお気持ちはわかります。
会っても、
その場はそそくさと立ち去り…
あぁ、札幌美容形成外科ね。
レーザーで通っているの。
やっぱ、医療機関は安心だしねぇ。
と美容外科のベテランさんは、
さらりと言えると思います。
医療問題
大学での権力抗争
大学医学部というところは、
学生を教育して医師を育てるところです。
難しい言葉で、
医育機関(いいくきかん)と言います。
立派なお医者さんを育てるのが、
医学部の使命です。
教員には、
高い倫理観と使命感
情熱や能力が求められます。
■ ■
医育機関としての使命は3つ。
教育、
臨床、
研究、
この3つをしっかりやるのが、
医学部の優秀な教員とされます。
予備校の有名講師でしたら、
教えるのが上手で、
講義がおもしろいと人気がでます。
人気がでると講師の年俸が増えます。
■ ■
大学というところという、
2007年9月18日の日記に書いてあります。
大学教員で一番評価されるのは、
英文論文が何篇あるか?
という書類上の‘業績’です。
英語で論文を書くのが得意な人が、
大学で偉くなれます。
どんなに手術が上手でも、
‘神の手’でも、
外国の有名な雑誌に英文論文を書いていないと、
教授にはなれません。
■ ■
山形大学整形外科の
荻野教授のように、
お人柄がよくて、
真面目で、
手術が上手で、
教育や診療にかける情熱があり、
外国の雑誌に
たくさんの論文を書いている教授は、
そう多くはありません。
■ ■
研究者として有名でも、
データーを捏造(ねつぞう)していた先生もいます。
自信たっぷりに診断しても、
たくさん誤診をしていた、
有名な教授もいました。
裏も表もある教授もいます。
マスコミを利用するのが上手な先生もいます。
有名な先生は、
必ずしもよい先生ではありません。
■ ■
教授という権力を手にした、
野望に満ちた先生は、
次はもっと上を狙うようになります。
医学部長→
学長というコースです。
医学部長や学長は、
選挙で選ばれます。
有権者は…
助手以上の教員が大部分です。
■ ■
大学の選挙には、
公職選挙法は適用されません。
買収(ばいしゅう)はないにしても、
事前運動
も
戸別訪問 もあります。
有権者である助手以上の教員を
たくさんかかえた、
外科や内科の教授が、
自分の科の教員に
投票を依頼することもあります。
■ ■
選挙会場は、
議員の選挙と同じように、
衝立(ついたて)で仕切られています。
誰に投票したか?まではわかりません。
私は自分の職を賭けて、
皮膚科のJ教授に投票しませんでした。
その結果、講師の職を失いました。
2007年9月17日の
白い巨塔という日記に書いてあります。
■ ■
本来、大学の学長とか、
医学部長には、
人物、能力ともに優れた人が就任し、
大学をよい方向へ導く必要があります。
ところが、
現実には、
自分に反対する勢力をつぶし、
自分の意のままに動く人だけを、
仲間集めするような教授もいます。
そういう人が権力の座につくと、
大学は崩壊します。
■ ■
権力が好きな、
野望に満ちた先生は、
お金儲けも好きです。
女性が好きな先生もいます。
どこかで、
必ず法律に触れるようなことをしています。
奈良県立医大の医師派遣をめぐる汚職事件が有名です。
2001年12月7日、大阪地裁で判決公判。
上垣猛裁判長は収賄罪で元名誉教授(救急医学教室)に懲役3年、執行猶予5年、追徴金1,170万円(求刑・懲役3年、追徴金1,170万円)、
前付属病院長(第一外科教授)(懲戒免職)に懲役2年、執行猶予3年、追徴金300万円(同・懲役2年、追徴金300万円)を言い渡した。
このような事件は、
内部告発で摘発されています。
悪いことをしていなければ、
何も恐れることはありません。
医療問題
教授の人事権
昨日は昔の大学医局制度
について書きました。
それでは、何故?
大学医局の医局員(医師)は、
教授の指示に従ったのでしょうか?
それは、
教授に人事権があったからです。
■ ■
公務員になるには、
公務員試験があり、
それに合格しないと公務員にはなれません。
札幌市の市長になるには、
選挙があります。
選挙で当選しないと、
市長にはなれません。
■ ■
私は1989年から1994年まで、
札幌市の職員でした。
市立札幌病院に採用されたからです。
私は公務員試験は受けていません。
いきなり札幌市の係長職として採用されました。
35歳の時でした。
函館中央病院形成外科に勤務していた時に
北大の大浦武彦教授から
一本の電話をいただきました。
■ ■
ちょうどお昼時でした。
私は総合医局というところで、
函館中央病院の名物だった、
美味しいカレーライスを食べていました。
大浦教授からの電話は
4月から市立札幌病院皮膚科で
形成外科の診療をすることになった。
あなたが適任だと思う。
行ってくれないか?
という内容でした。
■ ■
大浦武彦教授のすごいところは、
決して強制しないところでした。
私が断れば次の候補者へ電話が行きます。
一瞬考えてお引き受けしました。
大浦教授は、
私の前に電話をした先生(私の先輩)は
‘皮膚科でやるのは…’
と断ったともお話しくださいました。
■ ■
こうして私は1989年4月1日付けで、
市立札幌病院皮膚科の医師となりました。
担当は‘形成外来’です。
形成外科ではなく、
皮膚科の‘形成外来’
毎週火曜日と金曜日の午後、
13:30~15:00まで
週二回の外来を担当しました。
■ ■
今でも臨床研修医などを除くと、
市立札幌病院には医師採用試験はないと思います。
大きな病院の医師は、
教授人事と呼ばれる、
大学医学部の教授と
病院長の電話で決まると言われています。
部長クラスの医師を
全国公募で募集する病院もあるようですが、
日本の大病院では、
この教授人事が主流です。
■ ■
大学の医局に在籍する医師は、
いずれはどこかへ就職することとなります。
その時に、よい病院へ就職するには、
教授から信頼を得て、
教授と仲良くしておかなくてはなりません。
ひどい教授になると、
露骨に差別をして、
本人の希望など無視して、
飛ばす教授もいたそうです。
■ ■
私は大浦武彦教授のおかげで、
市立札幌病院という立派な病院で、
医師としての青春時代
を過ごすことができました。
北大に通って研究もさせていただき、
博士(医学)の学位も取らせていただきました。
今でも大浦先生には心から感謝しています。
■ ■
市立札幌病院のような病院は、
教授に斡旋料は払いません。
大学の医局として、
大きな病院を関連病院として持つことが、
医局の発展にもなるからです。
医者の業界用語でジッツといいます。
■ ■
大浦教授は教室の発展をお考えになり、
形成外科のジッツを増やされました。
残念なことですが、
自分の私利私欲のために、
教授の人事権を振りかざした人も
いらしたと聞いたことがあります。
そういう教授の医局では、
権力争いや派閥抗争があったようです。
医療問題
昔の大学医局とは?
かつて大学医学部の教授、
とくに臨床系の教授は、
絶大な権限を持っていました。
白い巨塔というドラマもありました。
終身雇用で、
定年(北大は63歳、札幌医大は65歳)まで、
安定した地位と収入を保証されていました。
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臨床系教授がなぜ?
そんなにおいしいしい地位だったかというと?
医師という、
人材派遣会社にも頼めない職種のヒトを
派遣できたのが、
医学部の臨床系教授だったからです。
人材派遣会社に派遣をお願いすると…
年収に応じて紹介料を取られます。
看護師の派遣を頼んでもかなりの額になります。
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人材派遣会社にも、
たくさんの看護師がいるのではありません。
就職情報誌を見ると…
いつも看護師を募集しています。
そこに書かれている時給と、
私たち医療機関へ送られるパンフレットに、
掲載されている看護師の時給に
大きな差額があります。
その差額が会社の利益です。
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高い紹介料を払って派遣をお願いしても、
いらしていただくまでは…
どんな看護師さんかはわかりません。
会社も100%把握はできません。
大学医局という人材派遣会社の
社長が臨床系教授でした。
地方病院や民間病院は、
大学医局に頼みさえすれば、
安定的に質の高い医師を確保できました。
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教授は…
どのくらい仕事ができる医師か?
性格は真面目か?
女性関係にだらしのない男か?
奥さんはどんな人で、
子どもは何人いるか?
お金に困っているか?
どんな人材派遣会社にもかなわない、
強力なデーターを揃えた、
医師の人材派遣会社が大学医局でした。
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内科・外科という、
メジャーといわれる科の教授には、
各病院からたくさんの依頼が来ていました。
よい医師を確保したい病院は、
あの手この手で、
臨床系教授をもてなし、
お礼を渡していたといわれています。
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私が卒業した札幌医大は、
北海道が設置した公立大学でした。
教授は北海道公立学校教員という
地方公務員でした。
俸給表という給与体系は教育職です。
その教育職の教員の一部が、
北海道知事より、
高い年収を得ていた時代がありました。
(今はどうかわかりません)
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大学の幹部となった先生の
資産を調べると、
教育職の年収では
買えない資産をお持ちの先生がいるはずです。
2004年4月から
臨床研修制度で
研修医が大学から消えるまでは、
おいしい人材派遣で、
資産を築いた先生がいました。
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有名な先生。
いい先生。
といわれる先生にも資産形成が
上手な人がいました。
そのような先生は、
自分の地位を守り、
権益を守るために、
大学を自分の支配下に置きたいと考えます。
こんな権益の確保とは無縁の、
よい先生に
大学で医学教育を担当して欲しいと願っています。