院長の休日

頑張っている人からのエール

 平成21年10月26日(月)朝日新聞朝刊、
 ひとときへの投稿です。
 頑張っている人からのエール
 出産して約3年。子どもの世話の繰り返しに耐えられず、約2ヵ月前に、看護師の仕事に復帰した。
 久しぶりの仕事は、かなり疲れた。さらに、帰宅後には、家事や育児もある。ついつい「やはり無理か」と弱気にもなった。
 そんな時、職腸で、ある病室へ入ると、「いつも頑張っているね」と患者さんに声をかけられた。思うように仕事がはかどらず、慌ただしく動き回る姿がそう見えたのだろうか。
 私は「いえ、まだまだです」と答えた。
 その患者さんは、毎日、テレビを見て過ごしている。「今夜は、何か面白い番組がありますか」と尋ねてみた。すると「プロレスがあるんだよ」とうれしそうに話してくれた。「楽しみですね」と応じて部屋を出た。
 翌日、同じ病室へ行ったので、明るく「プロレスどうでしたか?」と聞いた。患者さんは「見なかったよ。だって、自分でチャンネル変えられないもの。ずっとニュース見ちやった」とごく普通に言った。
 言葉に詰まった。彼は首から下が動かない。不覚にも涙が出そうになった。これまで、どんなに我慢を強いられてきたことか。
 毎日、頑張っているのは彼の方だった。
 私も、もっともっとお役に立てるように、頑張っていきたいと思った。
 (東京都東大和市 内山清美 看護師 39歳)
      ■         ■
 私もよく患者さんから元気をいただきます。
 形成外科医をしていた頃は、
 首から下が動かない方を
 担当させていただいたこともありました。
 何もできない新米医師でも、
 毎日、私の回診を待っていてくださいました。
      ■         ■
 ある日、突然の事故で
 首から下が動かなくなることがあります。
 若い方でも年配の方でも、
 今まで自然にできていたことが…
 突然できなくなることがあります。
 本人も家族もパニックになります。
 動かない部位に、
 褥瘡(じょくそう)という
 キズができることもあります。
      ■         ■
 私たち形成外科医は、
 この褥瘡の治療を担当しました。
 何度も褥瘡の再発を繰り返すこともあります。
 排尿や排便も、
 思うようにできなくなります。
 看護師さんや、
 リハビリの先生と協力して、
 治療に当たりました。
      ■         ■
 中には自暴自棄になって、
 俺なんて生きていても仕方がない…
 なんて言っていらした方も
 いらっしゃいました。
 自分だったら…
 どうだろうか?
 おそらく自分でも、
 自暴自棄になるかも…?
 と思いました。
      ■         ■
 少しずつ、
 自分でできることを見つけて、
 毎日リハビリに励む患者さんは、
 私たちに元気をくださいます。
 小さなことでも、
 少しでも何かできるように…
 がんばっている人
 は美しく見えました。
 そんな時代を想い出しました。

“頑張っている人からのエール”へのコメントを見る

医学講座

脂肪吸引の失敗

 他院で脂肪吸引に失敗しました。
 脂肪注入はいつから受けられますか?
 というご質問をいくつかいただきました。
 日本全国の
 いろいろなところから…
 切羽詰ったメールが届きます。
 お悩みは切実で、
 助けてくださいという
 悲鳴が聞こえてきます。
      ■         ■
 脂肪吸引にはさまざまなトラブルがあります。
 2007年5月15の日記に書いた、
 脂肪吸引のトラブルという日記をご覧ください。
 この女性は、
 脂肪吸引による感染症でした。
 危うく命を落とすところでした。
 美容外科医の間では、
 脂肪吸引よって亡くなった患者さんが、
 日本でも何人もいるのは、
 周知の事実です。
      ■         ■
 簡単に細くなれる…
 と思って手術を受けると、
 とんでもない結果になることがあります。
 脂肪吸引で失敗したから、
 凹んだところへ脂肪注入をすれば…
 元に戻せると考えるのは誤りです。
 脂肪吸引を受けた部位には、
 皮膚の下や…
 脂肪層に…
 瘢痕(はんこん)という…
 線維性の組織ができています。
      ■         ■
 この瘢痕(はんこん)が、
 ガッチリとしたクモの巣のように、
 皮膚の下にできています。
 そのために…
 凹んだところへ脂肪注入をしても、
 元のようには膨らみません。
 自動車をぶつけた時に、
 凹んだところを、
 裏側からたたき出しても、
 キレイに膨らまないのと同じです。
      ■         ■
 凹んだところを治す治療法としては、
 まず、瘢痕(はんこん)を柔らかくすることです。
 瘢痕(はんこん)は、
 時間とともに少しずつ柔らかくなりますが、
 早く柔らかくする薬があります。
 硬いところを、
 指で優しくマッサージするのも、
 柔らかくするよい方法の一つです。
 私でしたら、
 最低でも6ヶ月は柔らかくする治療をします。
      ■         ■
 瘢痕(はんこん)が柔らかくなったところで、
 どのような治療をするか…?
 とても難しいところです。
 一般的なことですが…
 脂肪注入をしても…
 元通りには膨らみません。
 頭を悩ませるところです。
 2009年9月の日本美容外科学会でも、
 知り合いの先生が、
 お腹全面に凹凸ができた患者さんの治療法を、
 いろいろな先生に聞いていらっしゃいました。
      ■         ■
 他院の修正を数多く手がけた先生でも、
 う~ん…困った!
 という状況でした。
 大量に脂肪吸引を受けて、
 失敗した患者さんの治療は、
 形成外科専門医でも、
 神の手の美容外科医でも、
 大変難しいものです。
 私がおすすめする、
 脂肪吸引が上手な先生は、
 こちらの先生です。
 脂肪吸引は信頼できる、
 上手な先生に受けてください。

“脂肪吸引の失敗”へのコメントを見る

院長の休日

院長日記三周年

 2006年10月22日にはじめた院長日記が、
 三周年を過ぎました。
 この3年間でいろいろなことがありました。
 クリニックを医療法人にしました。
 個人経営と医療法人で、
 診療内容そのものは変わりません。
 医療法人になると…
 もし私に万一のことがあっても、
 診療の継続がやりやすくなります。
      ■         ■
 ビルの改築計画がありました。
 正直なところ…
 とても困っていました。
 クリニックの移転は大事業です。
 移転補償費をいただいても、
 莫大な税金がかかることもわかりました。
 ところが…
 昨年秋からの不景気で、
 改築計画がストップしました。
 何が幸いするかわかりません。
 弁護士の高橋智先生には、
 大変お世話になりました。
      ■         ■
 最初の院長日記には、
 私の形成外科に対する想いが書いてあります。
 2007年12月18日までは、
 PC版と携帯版が別々でした。
 新しいフォームになってから、
 入力がしやすくなり、
 アクセス数も増えました。
 HPを作ってくださった、
 オフィスクロスロードの須崎克之様
 感謝しています。
      ■         ■
 現在、この院長日記は、
 美容の杜
 アメブロにもUPしています。
 アメブロは、
 まだまだヒット数が少ないのですが、
 新しい読者の方が増えています。
 正直なところ…
 毎日の更新は辛いものがあります。
 すらすら書けないこともあります。
 少しでも私の形成外科に対する考えや、
 医療についての考えを残せれば…
 と思いながら毎日書いています。
 今日もつたない日記を読んでいただき
 ありがとうございました。


2009年10月25日
院長日記はクリニックで
毎朝書いています

“院長日記三周年”へのコメントを見る

医学講座

大きな病院での手術

 私が開業する前に勤務したのは、
 500床以上もある、
 大きな病院でした。
 大学病院や
 厚生労働省が認可した、
 臨床研修指定病院です。
      ■         ■
 これらの大きな病院でも、
 昨日の副耳(ふくじ)の手術はします。
 ただ、私自身が、
 副耳の手術をすることは、
 まずありませんでした。
 臨床研修指定病院ということは…
 若いお医者さんを
 育てる病院です。
      ■         ■
 副耳の手術を担当するのは、
 形成外科を始めて、
 1~2年目の先生でした。
 大きな病院で、
 すべての手術を、
 主任部長である、
 私がすることは不可能でした。
 私も若い時には、
 上の先生についていただいて手術をしました。
      ■         ■
 大事な子どもを手術してもらうのに、
 まだ専門医も持っていないような…
 新米の先生にさせるなんて…
 と思われる方もいらっしゃると思います。
 どうぞご安心ください。
 新人に手術をさせる時には、
 最初から最後まで、
 上の医師がついて指導をして
 チェックをしています。
      ■         ■
 多少…手術時間がかかることはありますが、
 仕上がりに問題があることはありません。
 指導医クラスがついていますので、
 逆に安心です。
 病棟でお世話をしてくれるのは、
 新人の若い先生です。
 自分で手術を担当する患者さんは、
 しっかり診てくれる筈です。
      ■         ■
 どんなに医学が発展しても、
 新人医師に手術を教える教育は、
 自動車学校で運転を教えるようなものです。
 手取り足取り教えなければ…
 手術は上達しません。
 私も先輩に教わって手術を覚えました。
 私が副耳の手術をしたのは、
 もう10年以上前です。
 指導医がしっかりしている病院は、
 若い先生に手術をしていただいても安心です

“大きな病院での手術”へのコメントを見る

医学講座

副耳(ふくじ)

 赤ちゃんの耳の前に、
 小さな突起がついていることがあります。
 これを副耳(ふくじ)といいます。
 日本形成外科学会
 日本小児外科学会
 のHPにも記載があります。
 左右両側にある人、
 片側だけの人、
 ホッペにもある人、
 大きさもさまざまです。
      ■         ■
 原因ははっきりしません。
 お母さんのお腹の中で、
 赤ちゃんの耳ができる時に、
 何らかの異常でできた突起です。
 お母さんに責任はありません
 日本小児外科学会HPによれば、
 出生1000人中15人程度にみられ、
 形成外科医にとっては、
 珍しい疾患ではありません。
      ■         ■
 珍しい病気ではないといわれても…
 待望の赤ちゃんに、
 余計なものがついているとショックです。
 地下鉄やJRなど、
 公共交通機関で、
 他人の耳を見てください。
 気にしなければ見つけられませんが、
 よ~く見ると…
 一日に一人は必ず見つけられます。
      ■         ■
 小さくて気づかないこともありますが、
 私でしたら見つけられます。
 それほど頻度が多いものです。
 珍しくないと言われても…
 親としては気になります。
 できることなら早く取ってあげたいです。
 でも…手術は心配ですね。
      ■         ■
 昔は、
 お産婆さんが、
 赤ちゃんの副耳を、
 糸でしばって取ったという話しを
 聞いたことがあります。
 実際に小さい時に…
 しばって取ったのに、
 根っこが残ったという方を
 手術したこともあります。
      ■         ■
 日本形成外科学会HPにも、
 日本小児外科学会HPにも、
 このしばって取る
 結紮法(けっさつほう)
 が書かれています。
 私は形成外科医としては、
 この結紮法はおすすめできません。
 副耳には軟骨が入っていることが多く、
 軟骨はしばっても取れないからです。
      ■         ■
 形成外科医としては、
 きちんと麻酔をして、
 切り取る方法をおすすめします。
 問題は手術時期です。
 日本形成外科学会HPには、
 手術時期は
 全身麻酔を行う場合は
 麻酔の安全性が高まる1歳前後以降が良いでしょう。
 また耳珠などの軽度の変形などがある場合には
 同時に修正することもできます。
      ■         ■
 確かに私もこのように説明していた時期がありました。
 ところが、
 赤ちゃんは1歳を過ぎると活動的になります。
 可愛いですが、
 ちょっと目を離すと危ないことになります。
 お母さんからの免疫もなくなるので、
 病気をしたり、熱を出すようになります。
 育児休業も原則的には1歳までです。
 じいちゃん先生の私としては、
 自分の孫だったら、
 一歳前に手術をします。
      ■         ■
 赤ちゃんが…
 おっぱい飲んでねんねして…
 くれている時期に、
 副耳の手術をします。
 唇裂の手術は生後3ヶ月、
 体重6㎏で手術をします。
 この時期に手術をして、
 麻酔で問題となった患者さんはいませんでした。
 これより早い時期に、
 手術をすることはありませんが、
 小さいうちに手術をすると…
 キズはキレイに治ります。
      ■         ■
 副耳のような小さなものに、
 全身麻酔で手術なんてとんでもない!
 と言われる先生もいらっしゃると思います。
 手術をするしない、
 手術を局所麻酔でするか?
 全身麻酔でするか?
 リスクの問題もあります。
      ■         ■
 幼稚園に入園して、
 他の子に指摘されると…
 子どもは覚えています。
 私は何もわからないうちに
 治してあげたいと思います。
 申し訳ございませんが、
 札幌美容形成外科では、
 小児の全身麻酔は行っておりません。
 副耳の手術は札幌市内の病院をご紹介しています。

“副耳(ふくじ)”へのコメントを見る

院長の休日

北大のイチョウ並木2009

 北海道は寒くなってきました。
 休診日に北大構内の紅葉を見てきました。
 毎年、行っているのが、
 イチョウ並木です。
 昨年
 一昨年の写真を出してみました。
 今年は、少し早いので…
 まだ緑があります。
 今月の下旬からが見ごろです。
      ■         ■
 私が北大病院で形成外科の修行をしていた頃…
 このイチョウ並木の下を…
 毎日歩いていました。
 当時は車通勤ができたので、
 駐車場に車を置いて、
 イチョウ並木の下を歩いて病院へ行きました。
 (カローラに乗っていました)
 当時は、
 イチョウがキレイとか言っている余裕は…
 正直なところありませんでした。
      ■         ■
 朝早くから…
 今日は○○先生の手術の助手!
 指示の出し忘れはなかったかな…?
 とか
 今日のカンファレンスの準備は大丈夫かなぁ…?
 とか
 教授回診なので、
 しっかり準備をしておこう!
 なんてことを考えながら…
 足早に歩いていました。
      ■         ■
 夜に帰るころは真っ暗なので、
 銀杏(ぎんなん)の実を踏まないように気をつけました。
 不幸にして…
 銀杏を踏んでしまうと、
 車の中が臭くなりました。
 イチョウの葉が落ちて、
 黄色いじゅうたんになったころに、
 毎年、初雪が降りました。
 30年後に…
 イチョウの並木を毎年見に来るとは…
 全く考えていませんでした。
      ■         ■
 昨日の北海道新聞の記事によると、
 ここには、
 もともとサクラとカエデが
 植えられていたそうです。
 1939年にイチョウに植え替えられました。
 なぜイチョウになったのか?
 北大には現存史料がなく、
 わからないそうです。
      ■         ■
 故・岩沢健蔵さん(元北大事務官)の
 「北大歴史散歩」(北大図書刊行会)によると、
 北大嘱託の測量士が、
 「害虫に弱いサクラより、イチョウにすべきだ」と提言したので
 この樹齢70年、
 70本のイチョウ並木ができたのだそうです。
 北13条通りにあります。
 札幌にいらしたら、
 是非訪れてください。


2009年10月21日
北大イチョウ並木
昨年より早いので緑があります

“北大のイチョウ並木2009”へのコメントを見る

医学講座

棺桶に足を入れる

 棺桶に足を入れるという言葉があります。
 棺桶に足を突っ込むと言うこともあります。
 地方によって言い方はさまざまです。
 はっきりとした語源はわかりません。
 あまり良い意味では使いませんね。
 私が昔、治療させていただいた、
 糖尿病性足病変の患者さんです。
      ■         ■
 先生、俺の片足、
 もう棺桶に入って…
 火葬場で火葬して…
 お墓に入っている…
 だから…
 残っているこっちの足は…
 何とか切らないでほしい…
 正直なところ…
 切断した下肢を火葬するとは…
 それまで、知りませんでした。
      ■         ■
 学校で習ったのに…
 居眠りしていて
 聞き逃したのか…?
 でも、
 医師国家試験にも出ませんでした。
 形成外科で扱うのは、
 せいぜい指や足趾(あしゆび)の切断です。
 切断した部位に、
 皮膚悪性腫瘍などがあるために、
 そのままホルマリン固定をして、
 病理検査室へお願いします。
      ■         ■
 病理検査室では、
 細胞を検査するために、
 切り取られた部位を、
 細かく切り分けて、
 それを標本にして、
 染色(せんしょく)という色をつけて…
 顕微鏡で検査をします。
 残った組織もある程度は保存しておき、
 一定期間が過ぎると…
 医療用廃棄物として処理されます。
      ■         ■
 足趾(あしゆび)程度の大きさでしたら、
 糖尿病による血管病変の程度などを調べるために、
 病理検査をします。
 この病理検査だけで、
 火葬まではしません。
 ところが…
 膝のレベルで切断となると、
 ご家族にお願いして、
 切断された下肢を、
 火葬していただくことになります。
      ■         ■
 幸いなことに…
 私が担当させていただいた、
 お墓に片足が入っている患者さんは、
 もう片方の足を残すことができました。
 糖尿病内科の先生と相談して、
 血糖のコントロールをしっかりしました。
 堀内先生のご講演をお聞きした時には、
 片足が切断されていると、
 残った足にも病変が見られて、
 両下肢の切断となるリスクが増えると
 伺ったように記憶しています。
      ■         ■
 糖尿病は怖い病気です。
 目が見えなくなったり…
 人工透析になったり…
 神経障害から勃起不全にもなります。
 食事と運動に気をつけて、
 発症したら…
 しっかりと治療を継続することが大切です。
 足病変の治療を研究している、
 日本フットケア学会という学会もあります。

“棺桶に足を入れる”へのコメントを見る

医学講座

治せないキズ

 昨日は偉そうなことを書きましたが、
 キズを治すプロでも、
 治せないキズがあります。
 私たちが一番苦労するのが、
 血流がない部位のキズです。
 2009年6月20日に書いた、
 市立札幌病院形成外科の
 堀内勝己先生がご専門とする、
 糖尿病性足病変がその代表です。
      ■         ■
 糖尿病で足の血管が詰まって、
 その結果、できたキズは苦労します。
 足趾(あしゆび)の先にできた、
 ちょっとしたキズが治りません。
 しかも痛みがあります。
 形成外科医になって2年目の秋に、
 釧路労災病院に勤務しました。
 上の先生が…
 何度、手術をしても、
 足のキズが治りません。
      ■         ■
 今は神の手と呼ばれる、
 名医が手術をしました。
 何度手術をしても…
 小さな足のキズが治らないのです。
 血流をよくする薬を注射したり、
 キズがよく治る薬を塗りましたが、
 いくらがんばっても治りませんでした。
 血管が詰まっていて、
 血流がない状態だと、
 どんなに丁寧に縫っても治りません。
      ■         ■
 こういう場合は、
 血流がある部位で、
 下肢を切断することになります。
 小さなキズのために…
 膝のところから切断と言われても…
 簡単に受け入れられる筈がありません。
 なんとか治してください
 と懇願されることもあります。
      ■         ■
 中には、
 すでに反対側の足は切断されており、
 残っているのは、
 一本だけという場合もあります。
 どうにかして、
 残った足のキズを治したいと思っても、
 血管が詰まっているのが原因だと、
 治せないこともあります。
      ■         ■
 市立札幌病院形成外科の
 堀内先生は、
 この糖尿病性足病変の権威です。
 以前のご講演では…
 下腿の切断まで、
 形成外科でしてしまうと伺いました。
 他にも治療に難渋するキズはあります。
 簡単に治せそうな…
 小さなキズでも難しいことがあります。

“治せないキズ”へのコメントを見る

医学講座

形成外科医はキズを治すプロです

 偉そうなタイトルですが、
 形成外科医としての誇りです。
 治らないキズ…。
 キレイにしたいキズ。
 キズのことなら形成外科へ!
 自信を持って言える、
 キズを治すプロ
 が形成外科医です。
      ■         ■
 じゃあ…先生、
 私のこのキズも…
 まったくわからないように消せるの…?
 というご質問が来そうです。
 ちょっと待ってください…!
 キズを治すプロでも、
 キズ痕は消せません。
 限りなく目立たないように治すのが、
 形成外科医です。
      ■         ■
 キズが目立つか?目立たないか?は、
 同じ人でも、
 体の部位によって異なります。
 できたキズの状態にもよります。
 一般的なことですが、
 浅いキズは治りも早いし、
 キズ痕も目立ちにくくなります。
 皮膚が薄くて、
 血流がよく、
 皮膚に緊張がかからない部位は、
 キズが目立ちにくいと言われます。
      ■         ■
 キズを治すプロなんて言うと…
 縫い方が上手な、
 神の手を、
 想像なさる方も多いと思います。
 私の手は、
 残念ながら…
 ‘神の手’ではありません。
 よく練習した、訓練を積んだ‘手’ですが、
 生まれ持った特別な才能はありません。
 先輩に叱られて…
 患者さんといっしょに悩んで…
 苦労して覚えた‘手’です。
      ■         ■
 確かに上手な先生は、
 切り方も、
 血の止め方も、
 縫い方も、
 違います。
 この切って縫うまでが、
 キズを治すプロの条件だと、
 誤解されることがあります。
 もちろん下手くそだと、
 お話しになりません。
      ■         ■
 どんなに上手な先生が、
 神の手で縫ったキズでも、
 目立つことがあります。
 治らないこともあります。
 それは、
 キズを治すのに必要な、
 血流が障害された時、
 縫った後で、
 キズに緊張が加わった時などです。
      ■         ■
 抜糸したら…
 キズは治っていると思うのは誤りです。
 引っぱってもちぎれないくらい、
 キズがしっかりとくっつくのは、
 手術してから3~6ヶ月もかかります。
 その間は、
 キズが硬くなったり、
 つっぱったりすることもあります。
 そうしたキズも治すのがプロです。
      ■         ■
 縫うのが上手なだけが、
 プロではありません。
 しっかりと後療法(こうりょうほう)もするのがプロです。
 キズが治るメカニズムを理解して、
 キズが治りやすい環境を整えて、
 患者さんにそれを説明して、
 一緒にキズを治す協力をするのが、
 形成外科医です。
 残念なことですが…
 プロでも治せないキズもあります。

“形成外科医はキズを治すプロです”へのコメントを見る

院長の休日

新聞配達の日

 平成21年10月18日(日)、朝日新聞の天声人語です。
  ご近所を歩くと、回収待ちの古新聞を戸口で見かける。弊紙であればもちろん、他紙でもお宅に一礼する癖がついた。無料の情報があふれる時代、新聞代を払ってくださる読者は社を超えて大切にしたい。
▼感謝の念はおのずと新聞を配る人にも向かう。日本の新聞の95%は戸別配達されている。「新聞配達の日」のきょうは、日本新聞協会が募ったエッセーから紹介したい。
▼北海道苫小牧市の亀尾優希さん(9)は、母の新聞配りを手伝う。貧血気味のお母さんは団地の3階まで、娘は4階と5階。「家に帰ったら、お父さんのおべんとうにいれるたまごやきを作ります。こうして、わたしの一日ははじまります」。小さな働き者を真ん中に、固く結ばれた家族が浮かんでくる。
「インターネットでは得られない情報が、伝える人と届ける人の誠意の集大成として新聞になる」。そう書いてくれたのは、東京都文京区の岩間優(ゆう)さん(14)だ。足の悪いお年寄りが新聞を心待ちにしていると知り、単なる「記事の集まり」を超えたぬくもりを感じたという。
▼人の手で運ぶ新聞が温かいのは自然なことかもしれない。今年の新聞配達の代表標語も〈宅配で届くぬくもり活字の重み〉である。凍える朝でも嵐の夕でもいい。情報の重い束を運ぶ42万人に思いをはせたい。
▼新聞社はネットでも発信しているが、そこで再会するわが文は心なしか「誠意」を割り引かれている。特にコラムの場合、体裁の違いはそれほど大きい。どうか小欄は、ぬくもりを添えてお届けする「縦書き」でお読み下さい。
 (以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 毎朝、新聞を配達してくださる方に、
 感謝いたします。
 私は、毎朝、新聞を楽しみにしています。
 パソコンの電源を入れる前に、
 新聞を手に取ります。
 まず、一面のトップ記事に目を向けます。
 購読しているのは、
 朝日新聞と北海道新聞の2紙です。
      ■         ■
 新聞を読むようになったのは、
 中学生の頃だったように記憶してます。
 毎日、読むようになったのは、
 高校生の時でした。
 現代国語の成績が、
 ぱっとしませんでした。
 国語が得意な友人に勉強法を聞きました。
 その時に、
 本間、新聞を読め
 と教えてくれました。
      ■         ■
 私に新聞を読めと教えてくれた友人は、
 今は新聞社ではなく、
 北海道放送に勤めています。
 私が北海学園大学のニトリ講座でお聞きした、
 大企業の社長さんは、
 学生さんに
 新聞を読むことをすすめていました
 私もまったく同感です。
 医学生も新聞を読むべきです。
 (社会常識に欠けると言われないように…)
      ■         ■
 今日の天声人語に出てきた、
 北海道苫小牧市の
 亀尾優希さんは、
 9歳の女の子です。
 体が弱いお母さんを手伝って…
 寒い冬も毎日新聞配達をしてくれています。
 私は、こういうが大好きです。
 まだ、小学校3年生くらいなのに…
 ほんとうに偉いと思います。
      ■         ■
 早朝からお母さんを手伝って、
 新聞配達をした経験は、
 将来、必ず役に立ちます。
 今の若い人は新聞を読みません。
 世界中の新聞社が…
 10年後、20年後を心配しています。
 天声人語に書かれていたように、
 ネットと活字は違います。
 新聞は考えながら読めます
 新聞配達をしてくださる人に感謝し、
 若い方にも新聞を読んでいただきたいと思います。

“新聞配達の日”へのコメントを見る

TEL 011-231-6666ご相談ご予約このページのトップへ