医療問題
局所麻酔の実習
深夜にケガをして…
救急病院に搬送されたとします。
小さなキズでしたら…
研修医か、
せいぜい卒後2~3年目の先生が、
縫合をすることがあります。
医学部6年間で、
針を刺して…
局所麻酔をするという実習はありません。
■ ■
学生同士で採血の練習を…
1~2回程度することはあります。
ただ…
局所麻酔、
通称、局麻(きょくま)と言います…
ができるのは、
医師免許をいただいてからです。
簡単なオリエンテーションで、
慣れない手つきで、
局麻薬を注射器に吸います。
■ ■
免許取り立ての‘先生’は、
注射器の扱いにも慣れていません。
バイアルから、
液を吸うのさえ大変です。
注射の針も…
太さが何種類もあります。
どの位の太さの針(G:ゲージという単位です)で
局所麻酔をするかも知りません。
■ ■
私は(個人的には)…
医学部6年間の間に…
一度くらいは…
自分の腕や腹に…
針を刺して…
局所麻酔をする練習をするべきだと思います。
注射液を入れる強さ
(指の押し加減)
針の太さ、
部位によって、
微妙に痛さが変わります。
■ ■
残念ですが、
現在の法律では、
医学生が局所麻酔をしてOKとはなりません。
また、
もし万一、
麻酔薬によるショックなどの事故があれば、
賠償責任保険の対象とはなりません。
ケガの処置に必要な、
局所麻酔さえできないのに、
医師国家試験というペーパーテストに合格すれば、
医師免許証がいただけるのが実情です。
医学講座
血の止め方
昨日の日記で、
実技実習について書きました。
キズの処置で難しいのは…
実は、
切って縫う
よりも…
血を止めるのが…
ずっと難易度が高いのです。
■ ■
スーパードクターといわれる先生が、
TVに出て…
手術の映像が流れます。
脳外科医にしても、
消化器外科医にしても、
実に血の止め方が上手です。
周囲の組織を傷つけないように…
すばやく正確に…
血を止めています。
■ ■
ケガをすると…
血が出ます。
少しの血だったら…
押さえて圧迫すると…
止まります。
血管が収縮したり…
血液が凝固(ぎょうこ:固まること)して…
血が止まります。
■ ■
ある程度以上の血管が切れると…
圧迫しただけは止まりません。
ここから先は企業秘密です。
札幌美容形成外科の…
部分切開や
眼瞼下垂症手術で…
切っているのに…
腫れが少ないのは、
丁寧に血を止めているからです。
■ ■
血が出ている血管を見つけて…
そこを押さえて…
血を止めるのが…
実は難しいのです。
医師免許をいただくと…
ケガをした方の手術ができます。
医学部では…
6年間も学ぶのに…
この血を止める実習がありません。
■ ■
血は生きていないと出ません。
解剖学実習で血管を覚えても…
血管ってこんなもんだ…
という程度しかわかりません。
血の止め方の実習を、
実験動物でするのも…
なかなか難しいと思います。
■ ■
一人の学生に
血の止め方を覚えてもらうのに…
自動車の仮免許以上の…
実習が必要です。
今の医学部には…
これができる教員数もなければ、
実習に必要な機材もありません。
血も止められないのに…
医師免許証はいただけます。
これが日本の医学教育の現状です。
医療問題
実技実習
医学部の6年間で、
膨大な量の知識を覚えなければ…
医師国家試験に合格できません。
講義で教えられることは…
その知識の一部です。
医学生は、
分厚い参考書を手にして…
自分で国家試験の勉強をしています。
講義で習っていないことも…
国試に出ます。
■ ■
縫い方の練習という日記を…
2009年4月5日に書いています。
医師免許証がないと…
切ったり縫ったりできないのに…
実際の医学教育では、
この切って縫う練習は、
必須科目ではありません。
自動車の運転免許証を与えるのに、
学科だけで、
コースも路上もなしで、
ペーパーテストだけで免許をもらえるようなものです。
■ ■
キズを縫うのは…
形成外科がプロです。
残念なことですが…
山形大学医学部のように…
形成外科がない大学があります。
今は、
OSCE(Objective Structured Clinical Examination)
客観的臨床能力試験、
オスキーと呼ばれる科目で、
一応、縫い方の練習をします。
■ ■
残念なことに…
縫うのは皮膚に見立てた材料です。
血も出なければ…
麻酔なしでも…
痛いとも言いません。
いい加減に縫って…
キズが汚くなることもありません。
今の医学教育で…
一番、欠如しているのが…
この実技実習です。
■ ■
政府は医師不足なので…
医学部の入学定員を増やそうとしています。
教員定数を変えないで…
入学定員だけ増やしても…
粗製濫造のお医者さんができるだけです。
形成外科のケの字も知らない…
医学生が日本にはいます。
形成外科を学びたくても…
医学部の授業で教えていないところが…
日本にはたくさんあります。
■ ■
私は…
一生に一度、
診るか診ないかもわからない…
珍しい病気を勉強するよりも…
基本的な縫合法程度は…
実験動物を使って…
形成外科専門医が教えるのが、
医師にとっては必要だと思います。
血も出ない…
材料を縫う練習よりも…
痛くないように麻酔をして、
血を止めて…
キズを縫う実習をすべきだと思います。
医療問題
医師国家試験2010
明日から3日間、
第104回医師国家試験が実施されます。
昔は年に2回医師国家試験がありました。
今は一年に一度だけです。
これに落ちると…
タダの人です
また一年間、地獄の勉強が…
待っています。
■ ■
一般の方は…
医師国家試験から…
どんな試験を連想されますか?
大学病院のような病院で…
白衣を着た医学生が、
厚生労働省の試験官から…
問診の仕方…
診察の仕方…
縫合法の実際…
などを細かくチェックされて…
最後に合格のはんこをいただく…
■ ■
ここまでしなくとも…
実技試験はある…?
と思われている方も…
多いのではないでしょうか?
実際の医師国家試験は…
膨大な量の問題を…
センター試験のような試験会場で…
疲れきった医学生が…
自由な服装で受験しています。
昨年の札幌会場は…
札幌コンベンションセンターでした。
■ ■
私が…
医師国家試験を受けたのは30年前です。
当時は4月に医師国家試験がありました。
試験会場は…
札幌南高校でした。
南高出身の友人は…
懐かしがっていました。
高校生が使う…
机と椅子で受けました。
■ ■
私たちが30年前に受けた試験より…
今の医師国家試験は格段に難しいです。
医学の進歩とともに…
こんなに覚えるの…?
と…
想像を絶する量の‘知識’を…
とにかく覚えなくては…
国家試験に合格できません。
受験生はとにかく大変です。
■ ■
過去問(かこもん)と言われる…
過去の国家試験問題を…
これでもか…
これでもか…
というくらい繰り返し覚えます。
私の個人的な意見ですが…
忍耐力テスト
持久力テスト
と言ってもいいくらい辛い試験です。
■ ■
平均的な受験生は…
半年以上の間…
寝てる時以外は、
とにかく勉強しています。
大学の図書館とか…
自習室と呼ばれる…
クラブの部室のような部屋…
を準備している大学もあります。
(意外と学生に好評です)
■ ■
実技試験は、
今の国家試験制度では無理です。
厚生労働省には、
担当できる数の試験官がいません。
私は(個人的に…)
半年以上も…
昼夜を問わず勉強して…
膨大な量の知識を詰め込むだけの…
医師国家試験を改善すれば…
もっと‘お医者さん’の質が上がるのに…
と思います。
■ ■
医学生のみなさん!
ただの人にならないように…
しっかり頑張ってください。
マークシートの欄を間違わないでください。
私の知っている先生で、
とても優秀なのに…
マークシートの欄を間違えて…
医師国家試験に落ちた人もいます。
ご健闘をお祈りしています。
医学講座
目尻切開
目を横方向に大きくするには…
目頭切開と
目尻切開があります。
目頭切開の欠点は…
キズが目立つことがあることです。
目頭切開と…
目尻切開は…
同じようで…
まったく違う手術です。
■ ■
目頭切開は…
蒙古襞(もうこひだ)という…
目頭にかぶった皮膚を切開し、
目頭にある、
涙湖(るいこ)という…
ピンクの粘膜部分を見せることで…
目の横幅を広くします。
涙湖(るいこ)というのは、
涙がたまる場所なので…
涙の湖(みずうみ)と書きます。
■ ■
これに対して、
目尻切開は、
目尻の部分を切開して、
白目が出る部分を増やします。
切りすぎると…
赤い粘膜部分が出ます。
白目の端が赤い…
目の充血に見えます。
赤い部分が見えるとダメです。
■ ■
上手に手術をすると…
目尻切開のキズは目立ちません。
キズを目立たせない…
ポイントは、
切りすぎないこと、
必ず抜糸する糸(ナイロン糸)を使うこと。
上手な先生に手術を受けることです。
■ ■
目尻切開は…
目頭切開ほど変化が出ません。
目尻切開の適応になる方は、
黒目の外側の…
白目部分が狭い方です。
目を大きく見開いても…
目尻側が狭いので、
目が丸くならない方です。
■ ■
札幌美容形成外科のメニューにはありませんが…
ご希望であれば…
ご相談を承ります。
残念ですが…
目頭切開にも…
目尻切開にも…
健康保険は適用になりません。
どちらも…
手術費用16万円と
血液検査代1万円の
合計17万円がかかります。
医学講座
垂れ目形成
垂れ目形成について、
ご質問をいただきました。
‘垂れ目形成’で検索すると…
確かにいろいろなサイトが出てきます。
‘自然な形’に出来上がっているものから…
あらら…ぁぁぁ…
という症例写真もありました。
札幌美容形成外科のメニューには
垂れ目形成はありません。
■ ■
目が小さく釣り目で
いつも濃い化粧でごまかしてる
という方は…
結構いらっしゃいます。
目の横幅が小さく、
目を丸くしようとしても…
横方向が狭いので…
縦に大きくできないことがあります。
■ ■
2010年2月8日の日記で解説したように、
眼球は眼窩(がんか)という…
丈夫な骨でできた‘容器’に入っています。
瞼の組織を…
骨に固定しているのが…
靱帯(じんたい)という固い組織です。
白いヒモ状の組織で、
骨にガッチリとくっついています。
■ ■
この靱帯が…
外側の骨につく位置が…
1㎜上になるか…
1㎜下になるか…
で…
上がり目(釣り目)にも
下がり目(垂れ目)にもなります。
目の外側を指で押さえて…
上下に動かすとわかります。
■ ■
交通事故などで、
この外眼角靱帯がとれることがあります。
骨がバラバラになった時も、
靱帯が外れてしまいます。
元に戻す時に…
慎重に治さないと…
釣り目になったり…
垂れ目になったりします。
■ ■
形成外科医、
とくに顎顔面外科を専門にする先生は、
この靱帯の処理が上手です。
なんちゃって美容外科医で、
目の解剖や構造を…
よく知らない先生が、
この垂れ目形成をすると…
悲惨な結果になることもあります。
■ ■
日帰り手術で抜糸無し。
通院も不要というクリニックで、
この手術を受けて…
キズと赤味だけが残って…
助けてください
という相談を受けたこともあります。
上手な先生が…
ほどほどにすれば…
効果的な手術ですが…
先生を選ばないと後悔するのが…
‘垂れ目形成手術’です。
医学講座
目の下のくまとヒルドイドローション
目の下のくまのうち…
茶くまは、
アトピー性皮膚炎、
くまを気にしたこすりすぎ、
化粧品による炎症が…
原因となることがあります。
アトピー性皮膚炎の方には、
皮膚科から…
ヒルドイドローションが
処方されることがあります。
■ ■
まれに合わない方もいらっしゃいますが…
ヒルドイドローションの保湿力は…
抜群に優れています。
どんなに高価な化粧品でも…
入れられる成分は…
薬事法という法律で決められています。
ヒルドイドローションはお薬です。
皮膚組織血流量を増加させた…
という実験データーもあります。
■ ■
目の下のくまは保険適応にはなりませんが…
アトピー性皮膚炎や、
手の皮脂欠乏症でいただいた、
ヒルドイドローションを、
ほんの少しだけ(たくさんはダメです)、
目の下のくまに
塗ってみて下さい。
かぶれが気になる方は、
耳の後ろなどの…
目立たない部位で…
一度試してからつけてください。
■ ■
ヒルドイドローションの説明書にも、
効能・効果にも…
目の下のくまに効くとは書いてありません。
私の個人的な経験だけです。
皮膚科医の中には、
反対される方もいらっしゃると思います。
私がお伝えしたいのは…
目の下のくまは…
手術で治すよりも…
まず生活改善やスキンケアーを…
試してみていただきたいということです。

ヒルドイドローション
医学講座
目の下のクマ
函館の看護師さんから、
目の下のクマについてご質問がありました。
‘目の下のくま’
‘目の下のクマ’
‘目の下のくま解消法’
ネットで検索すると…
多数のサイトが出てきます。
ある美容外科クリニックのサイトでは、
数千例の症例数があると書いてありました。
そんなに手術して大丈夫…?と思いました。
■ ■
目の下のクマにも、
いくつかの原因があります。
美容外科手術の対象となるのは…
そのうちの一部だけです。
クマの分類を、
青くま
茶くま
黒くま
と色で分類したサイトもありました。
よい分類法だと思います。
■ ■
眼球というのは、
ものを見るための…
とても大切なところです。
大切な陶器やガラス製品は…
輸送する時に、
パッキンを入れた
頑丈な容器に入れて送ります。
壊れないように保護するためです。
■ ■
眼球は眼窩(がんか)という…
丈夫な骨でできた‘容器’に入っています。
パッキンの役目をするのが、
脂肪です。
目の周囲には…
厚い脂肪組織があります。
目が衝撃を受けても壊れないように、
目は周囲の脂肪組織で包まれています。
■ ■
脂肪で包んだ目を、
眼窩(がんか)という容器に入れて…
そこに蓋(ふた)をしてあります。
蓋の役割をするのが…
眼輪筋(がんりんきん)という筋肉と、
目の周囲の皮膚です。
目の下を触ると固い部分があります。
そこが目の入物である骨です。
■ ■
赤ちゃんや子どもの皮膚は…
柔らかくて弾力があります。
触るとぷくぷくしています。
おじいさんや
おばあさんの皮膚は、
しわしわで…
伸びて弾力性がありません。
年齢とともに伸びてしまったからです。
■ ■
30歳台~40歳台になると、
眼窩の蓋をしている…
眼輪筋や筋肉が…
少しずつ衰えてきます。
疲れて筋肉が弱くなってくると…
目の下の一部が…
‘ぽこっと’膨らむことがあります。
この‘ぽこ’の陰になって、
黒い‘黒くま’ができます。
■ ■
手術をすすめる先生も多いようですが、
私はまず…
疲れた眼輪筋を休ませることをおすすめします。
皮膚の小さなシワは、
保湿剤で改善することもあります。
気にして…
こすり過ぎると…
炎症を起こして…
茶クマになることもあります。
■ ■
目の下のくまは、
身体が疲れている信号です。
原因を取らないで…
手術で脂肪だけを除去しても…
またくまになる危険性もあります。
くまの治療は、
原因を考えてみて、
ご自分でできる方法から試してみてください。
■ ■
目のくまができたら…
手術よりも…
まず原因を考えてみましょう。
疲れていたら、
ゆっくり休むことです。
眠れなくても…
目を閉じているだけで…
筋肉は休んでいます。
医学講座
整形は罪悪?
世の中には…
いろいろな考えの方がいます。
親からもらった身体に…
病気でもないのに…
メスを入れるなんて…
整形なんて…
とんでもない!
という考えの方もいます。
■ ■
大きなぱっちりとした目は憧れだけれど…
自分のパーツを変えるのは
どうも…
抵抗があるなぁ…
生まれてきた子どもが…
元の私と同じ目だったら…
どうしよう…
バレたらこまるなぁ…
何て言い訳しようかなぁ…
■ ■
医学部の男子学生に聞くと…
『そりゃ…』
『整形した二重より…』
『生まれつきの二重がいいっすょ…』
と言う人もいます。
でも…
そんな男子に限って…
『そりゃ…』
『美人の方がいい…』
『顔がいい方がいい…』
なんてことを平気で言います。
■ ■
人間なんて勝手なものです。
人それぞれに…
いろいろな考えがあります。
私自身も…
美容外科はある意味で虚飾を作る外科かも知れません。
手術で「私は生まれつきの二重美人です」
「私のオッパイは元々Dカップです」
と他人をだます手伝いをしているのでは?
と疑問を抱いたこともありました。
■ ■
私はHPにも書いたように…
イメージは自然
自然な仕上がりを大切にします
をモットーにしています。
美容形成外科医という仕事をしていると、
いろいろな方に出会います。
私は…
整形は罪悪とは思いません。
整形で、
明るくキレイになった女性を
たくさん知っています。
■ ■
親からもらった目が、
瞼を上げる力が弱くて…
いつも眠そうな目で…
どんなにアイプチでがんばっても…
自然な二重にならなければ…
眼瞼下垂症手術で、
目の開きを大きくすれば良いと思います。
視界が広くなって…
世の中が明るく見えます。

手術前です

手術直後です

手術3週間後です
医学講座
アイプチとは違います
二重埋没法の手術をご希望の方から、
アイプチのラインで留めてください。
アイプチと同じ目にしてください。
ちょっとだけ幅を広くしてください。
…などのご要望を
承(うけたまわ)ることがあります。
■ ■
二重のラインは、
皮膚が…
瞼板(けんばん)
という組織に引っ張られてできる、
折り目です。
この折り目が、
生まれつき付いている人が
二重です。
■ ■
二重の人は…
目がパッチリと大きく見えます。
大きな目になりたくて…
糊で二重を作るのが…
アイプチや
メザイクです。
糊でくっつけるので、
二重のラインはできても…
浅い二重になります。
■ ■
埋没法の糸は、
瞼の裏側から…
皮膚を引っ張ります。
引っ張る時に、
皮膚が窪んで…
埋没法がバレる
点になります。
瞼の状態や…
糸の結び方によって…
食い込みになります。
■ ■
アイプチで簡単にくせがつく、
薄い瞼の方は、
食い込みも少ないですが、
瞼の厚い方や、
アイプチによるカブレがある方は、
どうしても…
食い込みが目立ちます。
糊で作った二重と…
糸で作った二重は違います。
アイプチと同じ二重にはなりません。
目の印象も変わります。
バレないように注意してください。