医学講座

ニキビの新薬

 平成21年1月11日(日)朝日新聞朝刊に
 ニキビ新薬の記事が掲載されていました。
 このお薬は、
 ディフェリンという名前です。
 一般名を
 アダパレンと言います。
 フランス生まれのお薬です。
 1995年にフランスで発売され、
 米国では1996年に発売されました。
      ■         ■
 一部の報道では、
 ニキビの特効薬!とまで書かれていました。
 誤解していただきたくないのは、
 この薬を塗るだけで、
 すべてのニキビが、
 一瞬にして消えるのではない!
 ということです。
      ■         ■
 最初にお断りしておきますが、
 厚生労働省が保険適応のお薬として認めたのが、
 2008年9月12日であるということです。
 レチノイド製剤(ビタミンA誘導体)という種類のお薬で、
 美容外科ではトレチノインとして、
 かなり以前から用いられていました。
 東大形成外科の吉村先生が第一人者です。
 美容外科ではニキビよりも、
 シミのお薬として使用されていました。
      ■         ■
 問題なのは…
 妊娠する可能性のある人に使用しないこと。
 妊娠中の使用に関する安全性は確立していない。
 動物実験において、
 経口投与(ラット、ウサギ)で催奇形作用が報告されている。
 ことです。
 女性はしっかり避妊をして使うことです。 
 実際に生まれた赤ちゃんに問題があったかどうか…?
 までは知りませんが、
 美容外科でレチノイド製剤を使う時は
 必ず避妊のことをお話ししていました。
      ■         ■
 このお薬で、
 かなりニキビ治療がよくなると思います。
 ただしこりになって2週間以上治らないニキビには、
 このお薬でも効かないと思います。
 こういうニキビは芯を取らないと治りません。
 2008年4月14日の日記に書いてあります。
      ■         ■
 ディフェリンゲル0.1%の使い方です。
 1日1回、就寝前に洗顔後塗布します。
 薬価は1g当たり117.70円 。
 包装単位は15g入りチューブなので、
 一本1,766円とかなり高価なお薬です。
 個人輸入したりせずに、
 必ず皮膚科の先生からいただいてください。
      ■         ■
 以下が朝日新聞の記事です。
 医療
 ニキビに新治療薬
 「アダパレン」でき始めにも効果
 ニキビ治療に昨秋、新タイプの治療薬が保険適用となった。赤いニキビの炎症を抑える抗菌薬と異なり、でき始めのニキビにも効果がある。皮膚を清潔に保つなど生活習慣の改善もあわせれば、ひどいニキビに悩む多くの人の役に立ちそうだ。(林 義則)
      ■         ■
 和歌山県内に住む中学2年の女子生徒(14)が、額にできたニキビに悩み始めたのは1年生の夏ごろ。最初は、額にぱつぽつと膨らみができる「白ニキビ」がある程度だった。次第にほおや鼻にも広がり、炎症を起こした「赤ニキビ」も目立つようになった。
      ■         ■
 和歌山市内の宮崎クリニックを受診。赤ニキビに1日2回、抗菌薬のクリームを塗り、漢方薬と抗菌薬を飲む治療を1年ほど続けた。ニキビの数はかなり減った。だが、苦みのある漢方薬を敬遠して服薬を中断すると、またニキビができてしまう状態が続いていた。
      ■         ■
 宮崎孝夫院長が勧めたのは、昨年9月に公的保険が利くようになったばかりの薬「アダパレン」(商品名ディフェリン)。女子生徒は毎日1回、就寝前の洗顔後にニキビとその周辺部に広めにゲル状の薬を塗る治療も始めた。
 使用開始から、1ヵ月後には、ひどいときは40個以上あったニキビが減り始め、2ヵ月で額に数個の白ニキビが残るだけになった。「新しいニキビができにくくなった感じがする」と女子生徒は話す。
      ■         ■
 思春期にはホルモンの働きが活性化し、毛穴の奥から分泌される皮脂が増える。毛穴が狭まり、皮脂が毛穴の奥にたまると、白ニキビができる。開いた毛穴に、皮脂などがたまった場合は、毛穴が黒ずんだ「黒ニキビ」になる。
 これに対し、毛穴が詰まってしまい、細菌が増殖して炎症を起こしたのが赤ニキビだ。
症状が進むとうみがたまり、傷口が広がって跡が残ることもある。

      ■         ■
 従来の抗菌薬は、細菌を殺して炎症を抑える仕組みで、赤ニキビの治療にはよく効いた。
だが、白ニキビや黒ニキビといった初期段階での治療効果は高くなかった。

 アダパレンは、この初期段階に働き、ニキビが悪化する前に抑える予防的な効果があるのが特徴だ。穴が詰まる原因となる表皮細胞の増殖を抑え、毛穴の表皮をはがれやすくする。
      ■         ■
 藤田保健衛生大の皮膚科医、赤松前彦教授は「赤ニキビのように穴が燃え広がる状態になる前なら、治療も早く、跡を残さずに治すことができる」と説明する。
      ■         ■
 ただ、副作用には注意が必要だ。長期試験では、使用開始後1週間以内に、参加者の64%に皮膚の乾燥やヒリヒリ感、赤みなどが出た。2週間以降、副作用は減る。いずれも軽い症状で、試験中止となった例はなかった。「副作用についての説明を事前に受け、気になる場合は、医師に相談して欲しい」と宮崎院長は話す。
      ■         ■
 抗菌薬・保湿剤と組み合わせ
 東京女子医大の林伸和准教授らが、医学生など約800人を対象にした調査では、9割以上がニキビを経験。病院で治療を受けたのは約12%で、うち治療に不満を持っている人が3割以上いた。3,900人を対象にした別の調査でも、ニキビを持つ人で通院したのは14%で、うち4割が治療途中で通院をやめていた。治療に満足していない様子がわかる。
      ■         ■
 アダパレンにかかる期待は大きい。日本皮膚科学会が昨年9月、臨床研究の分析結果などに基づいて初めて作ったニキビ治療についてのガイドラインによると、従前からある抗菌薬の塗り薬は、軽症から最重症までの赤ニキビの治療で強く推奨されたのに対し、アダパレンは、赤ニキビ治療では軽症から重症まで。だが、炎症を起こす前の初期のニキビの治療でも、強く推奨されると位置づけられた。
      ■         ■
 ガイドラインの策定委員会の委員長を務めた川島眞・東京女子医大教授は「アダパレンと様々な抗菌薬の組み合わせが、今後の治療の基本になるだろう。どのような種類の抗菌藁や保湿剤との組み合わせが、刺激感の少ない治療につながるか見極めていく必要がある」と話す。
      ■         ■
 一方、ニキビ治療では日常生活での心がけも大切だ。川島教授は「ニキビを気にして触らないこと」とまず指摘する。皮膚への刺激は、毛穴の詰まりを悪化させ、炎症をひどくする。また、自分でニキビをつぶすと不潔になり、ニキビ跡を残すもとになる。
      ■         ■
 ニキビを隠そうとして化粧を厚くすると、悪化させることもある。化粧品各社は、二キビのできにくい化粧品に「ノンコメドジエニック」の表示を付け、販売している。各社の評価基準によるもので、統一されていない問題はあるが、製品選びの目安にはなる。
      ■         ■
 基本は洗顔だ。ガイドラインで推奨しているのも、1日2度の洗顔を欠かさないこと。せっけんで洗ったらしっかりすすぐ。
 甘いものなど特定の食べ物が、ニキビを悪化させるとの明確な根拠はない。「極端な偏食を避け、バランスの良い食事を心がければよい」と川島教授話している。


以上、朝日新聞より引用

“ニキビの新薬”へのコメントを見る

医学講座

ヒアルロン酸自己注射

 さくらんぼさんから、
 ヒアルロン酸を個人輸入し、
 自分で注射した方のことで
 ご質問をいただきました。
 ネットで検索すると、
 海外から日本へ発送しれくれる、
 香港の業者などが出てきます。
 私も詳しくありませんが、
 少量の製品を個人輸入するのは、
 可能なようです。
      ■         ■
 美容外科で使用されている、
 レスチレンなどのヒアルロン酸は、
 日本では未承認です。
 厚生労働省の承認を得るには、
 臨床試験というプロセスが必要で、
 莫大なお金がかかります。
 また、承認までに長い年月を要します。
 そのため、
 私を含めた美容外科医は、 
 医師個人の責任で使用しますという、
 ‘念書’を書いて、
 輸入を承認してもらいます。
      ■         ■
 外国から医薬品や
 注射器や針、
 レーザー機器などを輸入するには、
 医薬監証明(いやっかんしょうめい)という、
 厚生労働省、
 関東厚生局で発行してくれる書類が必要です。
 この書類がないと、
 成田空港で通関できず、
 商品がストップしてしまいます。
      ■         ■
 医師が使用するような医薬品でも、
 少量を個人で輸入する時は、
 医師免許証は必要ないようです。
 これは薬事法という法律で決められています。
 個人輸入して、
 ヒアルロン酸を注射しようが、
 リポスタビルを注射しようが、
 自己責任なのです。
      ■         ■
 私のところにも、
 顔の脂肪を溶解しようとして、
 リポスタビルを個人輸入し、
 自分で注射して腫れがとれない…!!!
 助けてください!
 という方がいらしたことがあります。
 シリコンプロテーゼなどと違い、
 ヒアルロン酸やコラーゲンは、
 一度注射してしまうと、
 切除して取り除かなければ除去できません。
      ■         ■
 ヒアルロン酸は、
 ヒアルロニダーゼという酵素で溶かす方法もありますが、
 これも注射なので、
 自分で‘溶かす’のは危険です。
 かなりベテランの先生が注射をしても、
 コラーゲンやヒアルロン酸は、
 ボコボコになることがあります。
 私たちも細心の注意を払って注射します。
 いくら安いからといって、
 自分で注射するのは危険です。
 絶対にしないでいただきたいです。

“ヒアルロン酸自己注射”へのコメントを見る

医療問題

「薄利多売」の歯科無料診療

 平成21年1月9日(金)の
 北海道新聞朝刊の記事の見出しです。
 歯科無料診療
 「薄利多売」の運営
 背景に医院乱立
 2008年12月11日の日記でご紹介した、
 自己負担ゼロの歯科医院のことです。
 厚生労働省北海道厚生局が、
 健康保険法違反で指導をしました。
      ■         ■
 北海道新聞の記事によると、
 この歯科医院の一ヵ月の診療報酬は、
 約450万円。
 札幌市内の一般的な歯科医院に比べて
 2倍以上。
 患者一人当たりの単価は低いが、
 患者数で稼いでいたとみられる。
 昨年7月の開院以降、
 患者数は延べ約3,000人。
      ■         ■
 医療法人は歯科医師に
 年600万円前後の給料を支払い、
 収益は出ていないという。
 札幌市内の歯科医院は
 2006年度末で1,220ヵ所。
 人口10万人当たりの歯科医師数は
 103.8人で、
 国の適正数(50人)と
 全国平均(76.1人)を
 いずれも上回る「乱立」状態。
      ■         ■
 医療関係者は
 「年収300万円以下の歯科医師も少なくないなど、
 人件費は安く、無料診療がしやすい環境にあった」
 とも指摘している。
 (以上、北海道新聞の記事より抜粋)
 正直に申し上げて、
 年収300万円以下の歯科医師には驚きました。
 年収300万円は、看護師の給与水準です。
 夜勤をして、
 もっと稼いでいる看護師さんも
 たくさんいらっしゃいます。
      ■         ■
 確かに歯科医師会などは、
 この医療法人のことをかなり問題にしています。
 私も100%賛成するものではありません。
 ただ、今まで歯科にかかりたくてもかかれなかった、
 社会的弱者の方が、
 歯科診療を受けられるのはよいことだと思います。
 以前から何回も書いたことがありますが、
 新聞社も広告料収入が命です。
 自社の一面の広告に、
 インチキなワキガ手術の広告を掲載しておいて、
 歯科医院だけを追及する姿勢に疑問を感じます
      ■         ■
 この問題の根幹は、
 歯科医師をつくりすぎた国の責任と、
 現在の保険診療制度の問題です。
 憲法で保障された基本的人権には、
 安心して歯科治療を受ける権利
 安心して医療を受ける権利
 安心して老後をおくる権利
 も含まれるはずです。
      ■         ■
 小学校で習った
 健康で文化的な生活
 とは何かを考えるべきです。
 国の政策で、
 お金をばら撒けばよい
 というものではないはずです。
 どうしたら国民が安心して、
 医療や歯科診療をうけられるか?
 もっと真剣に考えて欲しいものです。

“「薄利多売」の歯科無料診療”へのコメントを見る

医学講座

実験動物

 さくらんぼさんから
 縫い方の練習について
 ご質問がありました。
 私も血管の縫合(ほうごう)は、
 ラットというネズミを使いました。
 リスより少し大きな、
 白いネズミがラットです。
 小さなハツカネズミはマウスといいます。
      ■         ■
 大きさや、系統によっても違いますが、
 実験に使うラットは一匹3,000円程度でした。
 専門の業者に注文して、
 航空便で大学の動物実験施設に届きます。
 各大学によって違いますが、
 動物を使って実験や手術練習をするには、
 まず学内の講習を受けて…
 ちゃんと安楽死させます!
 とか屍体処理の方法などを学んで、
 許可をいただいてからでないと…
 医師免許だけではできません。
 また医師免許がなくても実験はできます。
      ■         ■
 北大には立派な動物実験施設があり、
 私はラットで動物実験をしていました。
 そこでは、専任の飼育員の方が、
 動物に餌をやり、
 排泄物の始末など、
 日常のお世話をしてくださいます。
 私たちが施設へ行けるのは、
 夜とか休日ですので、
 動物のお世話をしていただけるというのは、
 ほんとうにありがたいことでした。
      ■         ■
 ラットのケージには、
 そのラットの所属科と
 担当者の名前が記載されています。
 他の研究者と会うことはめったにありませんが、
 ラベルを見て、
 あぁ、あの先生のラットだ。
 とか、
 あぁ、あの先生も実験してるんだぁ。
 などと思ったものでした。
      ■         ■
 北大医学部の動物実験施設は、
 各階ごとに、
 動物の種類が決まっていました。
 ラットとマウスの階。
 ウサギやモルモットの階。
 ニワトリの階。
 私は使ったことがありませんが、
 ブタやヒツジもいたようです。
 山形大学整形外科の荻野教授は、
 北大にいらした時には、
 ニワトリで実験をなさっていらしたと記憶しています。
      ■         ■
 私は市立札幌病院に勤務しながら、
 病院長から許可をいただいて、
 夜間や休日に北大で実験をしました。
 手術の練習だけに、
 動物を購入して、
 実験施設を使うことは難しかったので、
 実験をしながら、
 ラットで血管吻合の練習をしました。
      ■         ■
 私が血管吻合を教えていただいたのは、
 日本マイクロサージャリー学会の講習会でした。
 私の先生は、
 オーストラリア人の女性でした。
 学会へ招待された先生の
 実験助手をしているという、
 女性の方でした。
 医師ではありませんでしたが、
 とても上手でした。
 この講習会は、
 当時、山口大学整形外科助教授でいらした、
 土井一輝先生が主催してくださいました。
      ■         ■
 手術用顕微鏡にも慣れていなかったので、
 最初は糸が絡(から)まったり、
 血管が詰まったりで大変でした。
 私が上手になるまで、
 どの位のラットが犠牲になったことか?
 ラットには申し訳ないことをしました。
 ラットの血管はとても細くて弱いので、
 ラットの血管を縫えるようになると、
 ヒトの血管でも大丈夫です。
 形成外科や整形外科で、
 マイクロサージャリーをする先生は、
 だいたいラットで練習をするのが一般的です。
 今、顕微鏡を使って目の手術ができるのも、
 ラットの犠牲があってのことです。

“実験動物”へのコメントを見る

院長の休日

専門医更新

 今日は休診日でした。
 午前中は以前にご紹介した、
 札幌市西区の五十嵐治療院へ行って、
 マッサージをしていただきました。
 年末から忙しい日が続き、
 お正月の間も…
 マッサージを受けたい!と思っていました。
      ■         ■
 ようやく休診日となり、
 ベテランの先生に、
 全身のマッサージをしていただき、
 とても楽になりました。
 70歳とは思えないお元気な先生です。
 一時間ちょっと全身をマッサージしていただき、
 3,000円でした。
 お値段以上です!
 こちらの先生をおすすめします!
      ■         ■
 自宅へ帰ってからは、
 熱傷学会と形成外科学会の、
 専門医更新の準備をしました。
 前回の更新が2003年でした。
 過去5年間の学会参加などをまとめ、
 書類を提出します。
 日本熱傷学会が1月10日締め切り。
 日本形成外科学会が1月16日締め切りです。
      ■         ■
 専門医の取得には、
 筆記試験があります。
 その他に、日本形成外科学会では、
 自分が手術をした患者さんの写真で、
 審査と口頭試問があります。
 一定レベルの手術ができなければ、
 合格できません。
 自動車の運転免許と違うところは、
 実技試験がないことです。
      ■         ■
 形成外科専門医試験のために、
 ボランティアで手術を受けてくださる方は、
 おそらくいないと思います。
 私が知っている範囲で、
 実技試験がある専門医は、
 麻酔科専門医と麻酔科指導医です。
 一年に一度、大学病院で麻酔をかける時に、
 他大学から教授クラスの試験官が来て、
 麻酔管理を適切にしているかチェックしていました。
      ■         ■
 形成外科専門医と
 熱傷専門医は、
 きちんと学会に出席していれば、
 更新することができます。
 学会に行って…
 居眠りしていてもOKなので、
 あまり厳密ではありませんが、
 これ以上厳しくするのも難しいと思います。
      ■         ■
 学会に参加した証拠として、
 参加証を提出します。
 下の参加証は日本の熱傷学会と
 韓国のセミナーのものです。
 韓国のセミナーのものは、
 今回の申請には無効です。
 しっかり勉強していないと、
 専門医も維持できない仕組みになっています。


日本熱傷学会参加証


韓国の参加証

“専門医更新”へのコメントを見る

医学講座

試験の朝は炭水化物を

 北海道新聞の毎週水曜日の朝刊に、
 札幌医大医学部長の
 當瀬規嗣(とうせのりつぐ)教授が
 「生きる」仕組みというコラムを連載されています。
 今日で113回目です。
 私を札幌医大から追い出してくれたJ教授とは違い、
 當瀬教授はとてもよい先生です。
 ご専門は心臓の筋肉である
 心筋イオンチャネル機能という難しい学問ですが、
 やさしく体の仕組みを解説されています。
      ■         ■
 當瀬医学部長は北大医学部を
 1984年にご卒業。
 北大60期の先生です。
 北大形成外科の山本有平教授と同期です。
 私が札幌医大の学生だった頃は、
 教授の半数以上は、
 北大医学部の出身でした。
 札幌医大出身の教授は数えるほどでしたが、
 今は、学長以下大多数が札幌医大の卒業生です。
 その中で北大出身の教授が医学部長になるのは、
 とても人望が厚い証拠なのです。
      ■         ■
 今日のコラムのテーマは
 試験の朝はしっかり、
 炭水化物の朝食を摂りましょう!
 という受験生に必読のものでした。
 試験は朝からはじまるので、
 夜型→朝型への切り替えをして、
 脳の働きをよくするために、
 エネルギー不足にならないようにしましょう!
 という貴重なアドバイスです。
      ■         ■
 今朝のコラムで私が特に気になったのが…
 當瀬先生でも、
 『いまだに入試に落ちた夢をみる』
 と書かれていたことです。
 私は試験に落ちた夢はみませんが、
 『あぁ!明日試験なのに何も勉強していない!』
 『どうしよう、間に合わない!』
 という夢を50歳になってもみていました。
 傑作なのは、
 教員になって試験を作る側になってから、
 ‘試験なのに勉強していない!’
 という夢をみたことです。
 夢から覚めてビックリしました。
      ■         ■
 以下が北海道新聞から引用した
 當瀬先生のコラムです。
 受験生ばかりでなく、
 朝食を食べない若い人に読んでいただきたいです。
 脳のエネルギー
 試験の朝は炭水化物を
 あけましておめでとうございます。
 今年もどうぞよろしくお願いします。
 新年を迎えると、
 間近に控えた大学入試センター試験を皮切りに、
 入学試験シーズンに入るので、
 大学は大忙しです。
      ■         ■
 私たちは毎年ですが、
 受験生の皆さんには、
 人生の大きな関門です。
 私もいまだに入試に落ちた夢をみるぐらいです。
 普段の実力が発揮されることを祈るばかりです。
      ■         ■
 ところで、夜遅くまで自室にこもって
 受験勉強という受験生が多いようです。
 夜の静寂の中の方が集中できて、
 勉強がはかどるかもしれません。
 でも、入学試験は朝から昼間に行われます。
 試験に備えて、
 そろそろ夜型から昼型の生活リズムに
 戻さなければなりません。
      ■         ■
 一日の生活のリズムを整えるコツは、
 規則正しく食事することです。
 特に、朝食を食べることです。
 寝ている問に食べることはありませんから、
 朝起きたときには、
 体は相当にエネルギー不足になっています。
 ここで、朝食抜きでいると、
 昼までエネルギー不足が続き、
 特に糖分しかエネルギー源にできない脳は
 はたらきがすっかり落ちてしまいます。
      ■         ■
 朝食抜きの受験は、
 まず間違いなく失敗するでしょう。
 ですから、試験の朝は、
 炭水化物をたくさん取るのがいいようです。
 ただし、砂糖分では、お昼まで持たないで、
 昼前に逆にエネルギー不足になることがあります。
 でんぷんで炭水化物を取るのがお勤めです。
      ■         ■
 ご飯、パン、バナナに
 体を温めるタンパク質が豊富な
 みそ汁、牛乳、卵です。
 脂肪の多い肉類は控えめに!
 幸運を祈ります。
 (とうせ・のりつぐ=札医大医学部長)

“試験の朝は炭水化物を”へのコメントを見る

昔の記憶

パイロットへの夢

 以前にも書いたことがあります
 私が高校生の時になりたかったのは、
 パイロットでした。
 大空を飛んでみたいという…
 単純な少年の夢です。
 一浪した時に、
 運輸省航空大学校の入学試験を受けました。
 北大農学部が試験会場でした。
 一次試験は秋にあった記憶があります。
      ■         ■
 英語の試験問題に、
 ライト兄弟の話しが出てきました。
 さすが航空大学校だなぁ~
 と思ったのを今でも覚えています。
 当時は高校卒で受験資格がありました。
 現在は規則が変わって、
 ①4年制大学に2年以上在学し、全修得単位数が62単位以上。
 ②短期大学又は高等専門学校を卒業した者。
 ③専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士。
 となったようです。
      ■         ■
 ライト兄弟の英語ができたからか?
 航空大学校の一次試験には、
 運よく合格できました。
 2次試験(身体検査)が
 東京の慈恵医大であるので、
 東京まで来るようにという通知が来ました。
 当時、東京まで行くのは、
 函館から連絡船に乗り、
 列車で行くのが受験生の主流でした。
 航空運賃は高く、
 貧乏だった私たちには高嶺の花でした。
      ■         ■
 ちょうどその頃、
 航空大学校の練習機が、
 仙台空港で事故を起こしました。
 父親に2次試験のことを話したところ…
 事故のこともあり、
 2次試験に行くのを諦めました。
 視力は2.0だったので自信がありましたが、
 はっきり言って‘体力?’には、
 あまり自信がありませんでした。
      ■         ■
 オッサンになってから、
 大手航空会社の国際線の機長になった友人を見ると、
 私の体力でも大丈夫だったかなぁ?
 と思いました。
 もう一つの懸念材料は、
 航空大学校を卒業しても、
 航空会社に入社できない卒業生がいたことでした。
 私くらいの年代は、
 ちょうど大量輸送時代に入る過渡期でした。
      ■         ■
 田中角栄首相が、
 ロッキード社とトライスターという航空機を、
 全日空に納入するのにお金をもらったとか?
 そういう時代でした。
 ジャンボ機ができたのも、
 そのあとでした。
 私たちの少し前には、
 パイロットになったけれど…
 就職できないので…
 もう一度大学に入学して、
 学校の先生になった人もいました。
      ■         ■
 私の高校の同期には、
 大学に入学後に、
 航空会社が募集した、
 自社養成のパイロットとなり、
 大手航空会社の幹部パイロットもいます。
 今と同じようにオイルショックがあり、
 トイレットペーパーが街から無くなった時代でした。
 私も、もし航空大学校に入り、
 無事に卒業していたら…
 おそらく就職できたと思います。
      ■         ■
 当時は父親の判断で、
 航空大学校を諦め、
 再び、医学部への道を進みました。
 それが正しかったかどうか?
 どちらが幸せだったか?
 なんてことは考えても仕方のないことです。
      ■         ■
 ある時、
 パイロットになって、
 国際線を飛んでいる友人に言いました。
 『オレ、パイロットになりたかったんだ』
 機長の友人は
 『オレは医者になりたかったんだ』
 人生なんてこんなものかも?です。
 医者もパイロットも大変です。

“パイロットへの夢”へのコメントを見る

医療問題

美容外科の大不況

 昨年秋からの100年に一度の大不況。
 実は…
 美容外科の不況は、
 今回の不況より早くはじまっていました。
 美容外科は一見、
 華やかなようですが、
 医療の中では、
 一番、
 景気に影響を受けやすい診療科目です。
      ■         ■
 美容外科大不況の原因は、
 価格競争です。
 今から10年前は…
 10万円以上がふつうだった…
 二重まぶた埋没法が、
 あっという間に1万円を切りました。
 これは明らかに異常です。
      ■         ■
 健康保険で行う、
 眼瞼内反症手術というのがあります。
 さかさまつげの手術です。
 これですら、
 手術点数(料金)だけで1,660点
 16,600円(片目)です。
 この‘さかさまつげの手術’が、
 そもそも二重手術の原点です。
 一点留め(保証なし)に相当する手術です。
      ■         ■
 健康保険の場合は、
 この手術点数に、
 初診料、
 再診料、
 薬剤料、
 検査料、
 判断料、
 などが加算されます。
      ■         ■
 ですから、
 健康保険の手術でも、
 片目で最低2万円以上の‘売上’になります。
 二重術スーパークイック法(完全埋没法)
 ※1点留め 保証制度なし 9,800円
 の手術だけをしていては、
 美容外科は赤字です。
 チェーン店同士の価格競争で、
 この9,800円という価格が出てきました。
      ■         ■
 美容外科業界では、
 この価格競争を仕掛けた、
 2つのクリニック名を合わせて、
 S-S戦争と呼ばれています。
 もう一つのS美容外科では、
 ナチュラルベーシック法
 両目(1点)9,800円保障なし
 と呼んでいます。
 チェーン店の店長(院長)は、
 9,800円のつもりで来院した方に、
 いかに高い手術を受けてもらうかで、
 給料の歩合が決まります。
      ■         ■
 この価格競争に疲弊したクリニックは、
 美容外科は儲からないので…
 眼科の近視矯正手術に転向してきています。
 二重手術を9,800円で、
 100人手術しても、
 一日の売上は100万円になりません。
 医師・看護師・受付はクタクタです。
 看護師の数や、
 テナントの賃貸料、
 高額の広告宣伝費を払うと、
 儲けはわずかにしかならないというのが、
 美容外科→眼科への商売替えの理由と考えます。
      ■         ■
 美容外科チェーン店だったはずが…
 いつの間にか…
 高給優遇で眼科専門医を募集しています。
 私は、
 医療は儲け優先の商売とは違うと考えます。
 手術の必要がない人には、
 手術はすすめない。
 安全で確実な手術や治療、
 自分の家族にもできる治療だけを、
 適正な料金で施術する。
 これが札幌美容形成外科の方針です。
 過度な価格競争には参加しません。

“美容外科の大不況”へのコメントを見る

医療問題

2009年の予測

 今日は2009年の仕事はじめです。
 大不況にもかかわらず、
 デパートや家電量販店は、
 お正月からたくさんの人で賑(にぎ)わっていました。
 2009年はどのような年になるでしょうか?
 私の見方は、
 残念ながら…
 悲観的です。
      ■         ■
 美容外科とは関係ありませんが、
 一番の問題点は為替相場だと思います。
 日本という国を支えてきたのは、
 自動車、家電、ITなどの輸出産業です。
 現在の一ドル90円近くの相場が続くと、
 日本の製造業は、かなり厳しい状況となります。
 超一流企業と言われてきた、
 トヨタやソニーを見るとよくわかります。
      ■         ■
 昨年末には、
 派遣労働者の首切りや
 非正規社員の首切り、
 採用内定者の採用取消しなどが…
 大きな社会問題となりました。
 このまま企業の業績不振がつづくと、
 間違いなく正規社員の首切りが起こります。
 夏のボーナスが支給されないか、
 大幅に減額される企業も増えそうです。
      ■         ■
 米国に端を発した、
 世界恐慌が2009年は吹き荒れます。
 私たち消費者は、
 間違いなく財布のヒモを絞めます。
 美容外科業界も厳しい状況が続くと思います。
 ほんとうの意味で、
 安くて価値があるところしか残らなくなります。
      ■         ■
 かつて札幌には、
 大手美容外科が進出して、
 撤退した時期がありました。
 昨年も神奈川クリニックが閉院しました。
 利益率が下がり、
 赤字を出してまで継続する経営者はいません。
 リース会社への支払いや、
 銀行への返済が滞れば、
 閉院は時間の問題です。
      ■         ■
 安心して食べられる果物作りに
 頑張りたいと思います。
 さくらんぼさんがコメントされたように、
 商売の原点に戻って、
 お客様に喜ばれるものづくりをして、
 喜んでいただけるサービス
 を提供する企業が生き残れます。
 この厳しい時代を乗り越えられれば、
 どんな恐慌が来ても大丈夫です。
 今年もいままで以上にがんばります!

“2009年の予測”へのコメントを見る

院長の休日

2009年の目標

 100年に一度の大不況ではじまった2009年。
 私の目標は、
 少しでも社会のお役に立つこと。
 お客さんの不を取ることです。
 2007年9月21日に書いた、
 イオン㈱元専務取締役の
 阪本美樹(サカモトヨシキ)先生から教えていただいた、
 商売の極意に書いてあります。
      ■         ■
 商売の極意は、
 お客さんの‘不’をとること。
 お客さんの
 不満、
 不信、
 不安
 を取るのが商売の極意です。
 イオンの前身である
 三重県四日市の岡田屋さんという老舗呉服店の家訓です。
      ■         ■
 私は、
 この不を取るという言葉が気に入って、
 何度も想い出しています。
 私たち医療者も、
 患者さんの不を取るのが仕事です。
 病気になって困っている人の
 病気への不安
 医療不信
 病院への不満
 を取ってあげるのが、
 真の意味での医療改革だと思います。
      ■         ■
 診断をつけて、
 治療をすることで、
 患者さんの痛み
 患者さんの苦しみ
 患者さんの不安
 という不の要因
 少しでも楽にしてあげるのが、
 医療の原点だと思います。
      ■         ■
 私たち美容外科や形成外科は、
 直接痛み苦しみ
 とることはあまりありませんが…
 本人が悩んでいる…
 ワキガの臭い
 まぶたの垂れ下がり
 を少しでも改善することにより、
 元気で働こう!
 明日もがんばるぞ~!
 という意欲を出すことができます。
      ■         ■
 55歳という私の年齢は、
 あと20年も働ける歳ではありません。
 これから10年くらいの間に、
 私にできる社会貢献が、
 どの位あるかわかりませんが、
 暗い世の中を少しでも
 明るくするお手伝い
 できるといいなぁ~
 と考えています。

“2009年の目標”へのコメントを見る

TEL 011-231-6666ご相談ご予約このページのトップへ