院長の休日
なせばなる
昨夜さくらんぼさんに教えていただいた、
秘密のケンミンSHOWをみました。
恥ずかしながら…
日本史に弱い私は…
なせばなる
なさねばならぬ何事も
ならぬは人の
なさぬなりけり
…という言葉が、
山形の言葉とは知りませんでした。
■ ■
米沢が…
上杉鷹山(ようざん)という、
すばらしいお殿様の藩で、
破産状態の米沢藩を財政的に立て直し
藩政を改革して
藩財政を見事に回復させた
…ということをはじめて知りました。
■ ■
上杉鷹山(ようざん)が、
日本の内閣総理大臣になって、
瀕死のにっぽんを…
たて直してくれたらなぁ~~
…と思いました。
山形にはすごい人がいるなぁ~
…というのがTVを見た感想です。
■ ■
上杉鷹山(ようざん)は、
武士を一人も解雇せず、
自分の報酬を下げ、
庶民にも倹約をすすめ、
藩の財政を再建しました。
自分たちのことしか考えていない、
今の政治家とはえらい違いです。
こんな人物が、
今の日本に必要です。
山形の人はすごいです。
昔の記憶
中西昌美先生の死を悼む
昨日の北海道新聞朝刊に、
おくやみの広告が載っていました。
市立札幌病院名誉院長
夫_中西昌美儀_自宅療養中のところ6月7日午前1時5分、75歳をもって命終いたしました。ここに生前のご厚情を深謝し謹んでお知らせ申しあげます。
おって葬儀は左記の通りそれぞれ執り行います。
記
一、通夜_6月8日(水)午後7時
一、葬儀_6月9日(木)午前10時(出棺11時)
一、式場_博善斎場_札幌市中央区南30条西12丁目
式場011(533)1111
平成23年6月8日
札幌市北区北22条西8丁目
喪主_中西史子
施主_中西 満
■ ■
中西昌美(なかにしよしみ)先生は、
北大医学部38期のご卒業です。
私が市立札幌病院へ赴任した当時は、
外科主任医長でした。
白いブレザータイプの短い白衣が似合う、
とてもダンディーな先生でした。
■ ■
形成外科にご理解をいただき、
患者さんを紹介していただいたり、
副院長に就任されてからは、
形成外科の予算でも、
とてもお世話になりました。
私が退職してから、
新病院の院長に就任されました。
■ ■
中西先生は、
北大医学部野球部の名ショートとして、
学生時代に活躍されたことを、
昨夜のお通夜で知りました。
北大第一外科で、
医局長→講師と昇進され、
市立札幌病院へ赴任後は、
外科主任医長→副院長→院長に就任されました。
■ ■
外科医というと、
怖いイメージがありますが、
中西先生はとても温厚で、
大きな声を出したのを聞いたことがありません。
繊細な手と心を持った、
とても素敵な先生でした。
■ ■
先生は市立札幌病院を退職後に、
結核予防会北海道支部の、
札幌複十字総合検診センター所長として勤務されました。
私たち札幌美容形成外科の職員が、
毎年健康診断でお世話になっているところです。
そこでも優しい名所長でした。
■ ■
一昨年秋に大腸癌が見つかり、
手術を受けましたが、
肝転移・肺転移と病気が広がり、
つらい化学療法を受けながら、
職務を遂行されていたそうです。
昨年秋からは、
ご自分の死期を意識されながらも、
じっと耐えていらしたと…
葬儀委員長の上村友也先生から伺いました。
■ ■
名医でも名院長でも、
ご自分の病気には勝てないものです。
最期は自宅で、
という先生のご希望で、
5月下旬に退院されて、
ご自宅でお亡くなりになりました。
満73歳というまだまだお若い年齢です。
心からご冥福をお祈り申しあげます。
中西先生、
形成外科を育てていただきありがとうございました。
医学講座
手を使う職業
私たちは手を使う仕事です。
私は手を大事にしています。
手をけがすると…
仕事ができません。
ちょっとしたけがでも…
仕事に支障が出ます。
■ ■
私の手の指は…
とてもやわらかです。
角層という…
一番外側の皮膚が薄いです。
ちょっとしたことで、
すぐに皮膚にキズがつきます。
薄皮まんじゅうの皮みたいです。
■ ■
他人の手を診ることがあります。
手を見ると…
その人の職業がわかることがあります。
マッサージ師さんの手は、
私と同じようにやわらかです。
違うところは…
指に力が入るので…
私の2倍くらいの太さがあります。
■ ■
マッサージ師さんの手のおかげで、
肩こりや筋肉痛がよくなります。
とてもありがたいことです。
ご自分の手も…
疲れるのだろうなぁ…
…と思うこともあります。
■ ■
農家の方や、
ゴルフ場で働くキャディーさんの手は、
どうしても日焼けしてしまいます。
日焼け止めをつけても、
汗や手洗いで取れてしまいます。
紫外線から手を守るのは、
手袋です。
■ ■
私たちは…
ほぼ一日中薄い手袋をして…
手術をしています。
紫外線防御ができる…
薄い手袋があれば…
手の日焼けも防止できますが、
そんな手袋はなかなかありませんね。
■ ■
これからの季節は、
紫外線が強い時期です。
手も顔も気をつけてください。
手を使って仕事をして、
人に喜ばれるのは嬉しいことです。
手が覚えた仕事は、
年をとっても忘れないものです。
手を大切にしましょう。
医学講座
ひげの脱毛
男性は毎日ひげを剃ります。
ひげを伸ばす人もいますが、
お手入れはしています。
最近は…
男性もおしゃれになりました。
ひげ剃り道具もたくさんあります。
■ ■
私が札幌医大の教員だった時です。
男子学生のひげが伸びていました。
臨床実習は、
そのひげじゃだめだょ。
患者さんに失礼だからね。
服装や身だしなみにも注意します。
■ ■
その男子学生は…
先生、僕かみそり負けがひどくて…
電気かみそりも…
T字もだめなんです…
たしかに…
その学生さんのひげは濃く…
かみそり負けのあともありました。
■ ■
私に注意された学生さんは、
札幌市内の美容外科へ行き、
そこでレーザー脱毛を受けた…
…と後から聞きました。
ひげに悩む男性は…
意外と多いのです。
■ ■
札幌美容形成外科にも、
ひげの脱毛で通院される男性が増えました。
みなさん清潔で
おしゃれです。
昨日も素敵な男性がいらっしゃいました。
困っていらっしゃいました。
■ ■
男性のひげ脱毛は、
ひげが濃ければ濃いほど…
痛みがあります。
脱毛はひげを焼く治療なので、
レーザーを照射した後で赤くなります。
日焼けした顔には照射できません。
■ ■
女性の毛と違って…
太くて黒いので…
照射時の痛みがあります。
毛の本数も多いので…
回数もかかります。
それでも継続していただくと…
少しずつ毛が減ります。
■ ■
昔、私が注意した学生さんは、
医師になってからも脱毛を続け…
今は…
昔の濃いひげが嘘のようになくなりました。
レーザー脱毛は白髪には効きません。
私のように…
ひげが白くなる前に…
治療を受けてください。
男性のひげ脱毛料金を改定いたしました。
医学講座
気づかない臭い
旅行から帰って来て、
自分の家に入ると、
なつかしいにおいがします。
自分の家のにおいです。
しばらくすると…
においを感じなくなります。
鼻が慣れてしまうからです。
■ ■
おやじくさい
口がくさい
うさんくさい
くさいという言葉から、
良い印象は受けません。
私も、
おやじくさくないか?
口くさくないか?
うさんくさくないか?
いつも気をつけています。
■ ■
おやじくさい原因は、
資生堂の研究所により、
不飽和アルデヒドの2-ノネナール(C9H16O)
であることが発見されました。
2009年5月1日の院長日記に書いてあります。
資生堂により「加齢臭」という名称が付けられました。
私たち中高年にとっては…
不名誉な名前です。
■ ■
わきの臭いも、
口の臭いも、
細菌が原因です。
口の菌は歯周病の原因にもなります。
私は定期的に、
歯科医院でPMTCという、
クリーニングをしていただいています。
■ ■
残念なことですが、
自分の臭いには、
気づかないことがあります。
鼻が慣れてしまっているからです。
札幌美容形成外科を受診される方にも、
自分の臭いがわからないという人が、
たまにいらっしゃいます。
■ ■
家族や恋人に指摘された人もいます。
そんな人に限って…
自分では気づかないので…
かなり強烈な臭いがする人もいます。
私も…
街で思わず…
名刺を差し上げようか…?
…というほどの臭いの人がいました。
さすがの私でも差し上げませんでしたが…
■ ■
ワキの臭いは、
制汗剤で汗を減らして…
湿り気を少なくするだけでも改善します。
細菌を減らす薬が入った制汗剤は、
より臭いに効きます。
制汗剤が効かない、
多汗症の方には、
ボトックス注射をおすすめします。
うさんくさくないクリニックで受けてください。
医学講座
わき汗対策の季節
新聞で女性週刊誌の広告を見ました。
わき汗が見苦しいという、
とてもお気の毒な文が目に入りました。
女優さんでも、
女子アナさんでも、
どんな美人でも、
わき汗は隠せません。
■ ■
美容外科医として…
ボトックス注射をすればいいのになぁ~
…と思いました。
多汗症は手術をしても…
汗をゼロにすることはできません。
交感神経という、
神経の働きで汗が出るためです。
手術をしても神経は再生します。
吸引法で手術をした方など、
100%汗が出てきます。
■ ■
ワキガと多汗症は別の病気です。
両方を合併するする人もいます。
ワキガに比べると、
多汗症の手術治療は難しいです。
手術で治すのが難しい多汗症には、
ボトックスという特効薬があります。
保険は効きませんが、
効果はばっちり効きます。
毎年6月に受けられる、
リピーターの方がとても多い治療です。
■ ■
夏にはじめて白い服を着れました。
毎年受けています…
とても快適です。
服を選ばなくてもよくなりました。
たくさんのお喜びの声をお聞きします。
6月にボトックス注射を受けると…
一番汗が気になる…
6月7月8月が快適に過ごせます。
■ ■
今年は節電対策で、
冷房が弱くなります。
がまんしなくてはなりませんが、
そんな時に限って無情の汗が出ます。
仕事中に制服を着替える時間もありません。
信頼できる美容外科で、
しっかりと治療を受けてください。
週刊誌に書かれていた女性に、
教えてあげたいです。
これがワキボトックスの仕組みです
医学講座
傷の消毒2011
よく勉強している看護師さんほど…
傷を消毒するのは古い
傷を消毒してはいけない
傷は生理的食塩水で洗う
…と考えています。
1990年代に、
傷を消毒してはいけないという考えが、
広く啓蒙されました。
■ ■
この傷の消毒について、
新しい考えが出てきています。
第37回日本熱傷学会の、
ランチョンセミナーで、
東北大学形成外科の、
館(たち)正弘教授から、
皮膚創傷面の細菌感染
バイオフィルムに対する最新の管理方法
を教えていただきました。
■ ■
館(たち)教授は、
東北大学のご出身です。
聖路加国際病院で外科研修をなさった後、
東京大学形成外科に入局されました。
波利井清紀先生のお弟子さんです。
東大形成外科から、
帝京大学形成外科講師、
東北大学形成外科助教授となられ
東北大学形成外科教授に就任されました。
■ ■
ランチョンセミナーの座長をなさった、
波利井先生がとても嬉しそうにご紹介されました。
館(たち)先生は信頼できる形成外科医です。
館先生の東北大学では、
難治性皮膚潰瘍などの、
皮膚創傷面の細菌感染の研究をされています。
今回のランチョンセミナーでは、
消毒剤の使用について…
とても有意義なお話しを伺いました。
■ ■
ネットでキズのことを検索すると、
新しい創傷治療のページとか、
ラップ療法のページが出てきます。
このネットの情報を鵜呑みにして…
傷がとんでもない状態になって…
私のところへいらした赤ちゃんがいました。
全国的には、
やけどが重傷化してしまった例もあります。
■ ■
ネット上の情報は、
確かに目につきやすいですが、
かたよった考えや、
行き過ぎた考えもあります。
誰も検証できず、
被害者になっても補償は受けられません。
日本熱傷学会でも問題になっています。
■ ■
館先生のご研究によると、
汚染創に消毒剤を用いるのは、
有益です。
消毒すると細胞が死ぬので良くないというのは、
培養された細胞であって、
生体の汚染創に消毒剤を使うのは、
正しい方法だと教えていただきました。
■ ■
座長の波利井先生からは、
難治性の緑膿菌感染には、
マーキュロクロムという赤チンが有効であると、
とても参考になることを教えていただきました。
キズを消毒するのは古い考えではなくなり、
古くからある良い方法であると、
認識を新たにしました。
医学講座
第37回日本熱傷学会②
学会第一日目のシンポジウムは、
救命と形成のコラボレーションの追求でした。
日本熱傷学会は、
救急の先生と形成の先生が、
毎年交代で学会を開催しています。
救急⇔形成が仲良く連携しています。
■ ■
救急科専門医、
形成外科専門医、
もちろん熱傷専門医と、
専門医を3つも持っていらっしゃる先生が、
日本には何人かいらっしゃいます。
すごいことです。
■ ■
昨日のシンポジウムでも、
救急と形成の両方の専門医である、
スーパーマンのような先生が、
発表してくださいました。
実に素晴らしい結果でした。
よく身体が続くなぁ~
休日はあるのかなぁ~
…と思いました。
私にはとても真似ができません。
■ ■
形成外科医として…
結果が素晴らしいと思ったのが、
岸和田(きしわだ)市民病院形成外科の、
久徳(きゅうとく)茂雄先生です。
スーパーマンのお一人です。
専門的になりますが、
①深筋膜上でのデブリードマン、
②一回に20%、採皮も8%程度までの手術範囲、
③手術時間も2時間半まで。
という手術で素晴らしい結果でした。
■ ■
早期手術は治療期間を短縮できる
…という考えは、
今までの熱傷治療の常識を変えるものです。
私にはできませんでしたが、
熱傷治療にかかわった者の一人として
後世に残る仕事だと思いました。
医学教育の分野でも、
将来は教科書が変わると思います。
■ ■
残念なことに…
一般の方には知られていません。
簡単に言うと…
深く焼けてしまったやけどは、
早く手術をしてもらって、
治してもらいましょう。
その方が…
早くキレイに治ります。
医学講座
第37回日本熱傷学会①
東京ドームホテルで、
第37回日本熱傷学会が開催されました。
今年の会長は、
日本医科大学形成外科教授の、
百束(ひゃくそく)比古(ひこ)先生です。
日本医科大学では、
熱傷治療を古くからなさっています。
■ ■
百束先生が選ばれた、
今年の学会のテーマは、
社会復帰をめざした熱傷医療の追求です。
百束先生はかづきれいこさんと、
リハビリメイクもなさっています。
焼けてしまった皮膚は、
元に戻せませんが、
少しでも目立たなくして、
社会復帰をしやすくしています。
■ ■
今年の学会は、
一日しか参加できませんでしたが、
印象に残ったことを書きます。
私が医師になって30年です。
日本の熱傷治療は世界でも最先端です。
救命率も向上しました。
手術も変わりました。
■ ■
重症のやけどを救命するには、
救命救急センターの力が大きいです。
急性期と呼ばれる…
受傷後早期に手術をするようになりました。
最近は…
超急性期手術と呼ばれる、
やけどをしてすぐに手術をすることで
早く回復できるようになりました。
■ ■
深く焼けてしまった皮膚は、
焼けてしまった時点で死んでいます。
この死んだ皮膚にばい菌がついて、
その菌が原因で状態が悪化します。
やけどで回復しない皮膚を、
なるべく早く手術で切除して、
その部分に植皮をします。
そうすることで感染も減ります。
これが超急性期手術のメリットです。
■ ■
今から20年も前に、
大浦武彦先生が、
この超急性期手術を提唱していました。
本間君やってみろよ…
…と言われてましたが…
私には、できませんでした。
大浦先生の予言は見事に的中し、
今や最先端の医療です。
■ ■
美容形成外科を開業していると、
やけどの手術をすることはありませんが、
熱傷治療の勉強は、
創傷治療というキズの治りの勉強になります。
昔を思い出して、
感慨深く発表を聞くこともあります。
毎年、大浦先生はすごいと思います。
医学講座
難しいやけどの診断
形成外科は手術で治すので、
誤診は少ない科です。
皮膚腫瘍の診断をすることはありますが、
大きな手術をする前には、
必ず皮膚科の先生の意見を聞いたり、
生検(せいけん)という検査をするので、
診断を間違うことはまずありません。
■ ■
外傷の診断は、
CTやX線写真を撮ります。
骨折の診断を間違うことも、
あまりありません。
手術前には慎重に診断して、
手術計画を立てます。
■ ■
難しいのがやけどの深さです。
特にあかちゃんのやけどは、
深さを誤りやすいです。
泣いているので…
痛みの程度を聞くこともできません。
見た目で判断しますが、
赤ちゃんの皮膚は薄く、
大人と同じ基準で判断すると間違います。
■ ■
私が判断を間違った痛恨の例が、
アルカリによる、
化学損傷といわれるやけどです。
広範囲の、
アルカリによるやけどは、
今までに一例しか見たことがありません。
ふつうのやけどより、
ずっと浅く見えます。
■ ■
教科書には、
アルカリ損傷は深くなると書かれていますが、
実際に経験してみて、
はじめてその恐ろしさを知りました。
一度経験するとわかりますが、
広範囲のアルカリ損傷は怖いです。
北海道で起こった事故で、
複数の救命救急センターが治療しました。
■ ■
ドクターヘリで搬送して、
東京のスキンバンクからも、
皮膚をいただきました。
残念なことに…
どの施設でも救命できませんでした。
今でもよく覚えています。
明日から熱傷学会なので、
東京へ来ています。
今日の東京は過ごしやすいです。