院長の休日

美しいハーモニー

 私は昭和48年に札幌西高校を卒業しました。
 私の同期に、サーカスの叶高(カノウタカシ)くんがいます。
 若い方は、あまりご存じないグループかもしれません。
 私たちの年代には、1978年のMr.サマータイム、
 1979年のアメリカン・フィーリングなどが、馴染み深い曲です。
      ■         ■
 叶(カノウ)くんは、西高時代は陸上部でした。
 私は同じクラスになったことはありませんでした。
 私の親しい友人が、叶くんと同じ陸上部で、友人の友人という関係でした。
 彼は、日大芸術学部へ進学、スター誕生というTVに出演しました。
 1978年にMr.サマータイムが出た時には、驚きました。
      ■         ■
 私は、サーカスのハーモニーが好きになり、よく聴いていました。
 医者になってからは、仕事が忙しく、コンサートへ行くことはありませんでした。
 帯広厚生病院に勤務していた時に、帯広公演へ行ったのが最初でした。
 帯広では、札幌西高校出身の産婦人科の津村先生と一緒に聴きました。
 その時に、卒業後25年ぶりくらいで会いました。
 卒業後、はじめて、生で聴いたサーカスのハーモニーは素晴らしかったです。
 心が癒されるというか、聴いていて、心が豊かになるようなハーモニーでした。
      ■         ■
 サーカスは、お姉さんの、叶正子(カノウマサコ)さん、弟の叶央介(カノウオウスケ)さん、央介さんのお嫁さんの原順子(ハラジュンコ)さんの4人グループです。
 結成30周年目を迎える、日本を代表するコーラスグループです。
 2007年10月6日の東京を皮切りに、神戸、浜松、で30周年コンサートを開催中です。
 2008年1月27日(日)大阪厚生年金会館・芸術ホール。
 2008年2月1日(金)名古屋市芸術創造センター。
 2008年3月1日(土)新潟市民芸術文化会館・劇場
 2008年3月15日(土)札幌市教育文化会館
 2008年3月16日(日)富良野文化会館
 2008年3月22日(土)よこすか芸術劇場で開催されます。
      ■         ■
 叶くんは、札幌市立平岸中学校から、札幌西高校へ進学しました。
 叶くんの家は、お母さんが音楽好きで、小さい頃から、子供に歌を歌わせていたそうです。
 3人姉弟の子供たちに、最初にハーモニーを教えたのがお母さん。
 お母さんご自身が、NHKに出るほどの音楽好きだったそうです。
      ■         ■
 3人の子供たちは、小さい頃から、自然とハーモニーを覚え、プロとして活躍しています。
 サーカスのハーモニーは、聴く人の心に残ります。
 音楽を通じて、人の心を癒すことができるのは、素晴らしいことです。
 叶くんは、私と同じ53歳。サーカスのリーダーとして、活躍中です。
      ■         ■
 私は、高校時代は、医学部だけを目指す集団ではなく、音楽・芸術など幅広い分野を目指す生徒がいた方がよいと思います。
 札幌西高校は、札幌南高や札幌北高に比べると、医学部合格者は少なく、私も苦労しました。
 でも、卒業して35年もたったみると、私は札幌西高に入学して、ほんとうによかったと思っています。
      ■         ■
 医学部に入れば、イヤでも周囲は医者を目指す人ばかりです。
 高校の時の友人に、ミュージシャンがいたりすると、自分とは関係がない領域のことを知ることができます。
 私は、医学で人を治す仕事。叶くんは音楽で人を癒し、安らぎを与える仕事です。
 2008年3月15日(土)札幌市教育文化会館の30周年コンサートへは、是非行こうと思っています。チケットはウエスで発売中です。

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医療問題

医学部進学

 北海道と北海道教育委員会が、医進指定校をつくる話しがありました。12月21日の日記に書いた制度です。
 私は、この医進指定校制度に反対です。
 理数系の教員を増員して受験指導を強化するのは、まだよいとしても、道内医大の協力を得て現役医大生による夏季講習を行っても合格者が増えるでしょうか?
 そもそも、地方の医師不足の原因の一つに、地方では医師の子供の教育が十分にできない?という不安があります。
      ■         ■
 札幌南高校、札幌北高校など、超一流の進学校でも、医学部現役合格は難しいのが現実です。
 札幌南は、北大医学部にたくさんの合格者を出していますが、それでも現役合格できるのは、せいぜい上位30番以内だと思います。
 地方の進学校で、北大(医)、札幌医大(医)に二桁の現役合格者を出した例は、過去にないと思います。
 それくらい医学部は難関です。
      ■         ■
 医学部を目指す受験生が、一番最後までひっかかるのが数学です。
 私も数学で落ちました。
 これは今も昔も同じようです。
 医学部に入ってからは、確率・統計くらいしか利用しない、数学が難しいのです。
 普通の高校数学レベルでは、‘絶対に’合格できないと思います。
 高校生のうちから、‘大学への数学’なんてのが、スラスラできる人は、医学部の入試も何てことはないのですが、そんな人はマレです。
 地方の高校で、北大(医)や札幌医大(医)に現役合格できるような生徒は、何か特別な教育を受けているか、生まれついての天才です。
      ■         ■
 札幌市内の進学校ですら、常に成績上位者にいなければ国公立大医学部へ現役合格は難しいのです。
 私のような、‘凡人’は、高校3年間、必死に勉強して、落ちて浪人して、予備校でわき目もふらず勉強して、ようやく合格できるのが医学部です。
 普通の高校生が、医師になりたいからといっても、‘簡単に’合格はできません。
 推薦入学やAO入試を実施している大学もあります。
 ただ、そもそも推薦をもらえるような生徒は、センター試験と入試でも合格できるレベルの人です。 そこに到達するのが難しいのです。
      ■         ■
 私は、平成10年から平成14年まで、札幌医大の教員を4年間しました。
 確かに、優秀な学生さんが多かったのは事実です。
 ただ中には、『あなた、どうして入学したの?』というような学生もいました。
 札幌医大に入ったのは、単に成績が良くて、他に行くところもなかったので、‘来てしまった’という学生がいました。
      ■         ■
 私の札幌医大の同級生は約100人です。
 それぞれが、日本中で医師として活躍しています。
 同期ではありませんが、大学の途中で退学してしまった人がいました。
 医学部の入学試験の選抜方法も難しいと思います。
 どんな小論文と面接試験をしても、本当に医師に向いた人だけを選抜するなど至難のわざです。
      ■         ■
 私の考えは、高校から医進クラスはいらないと思います。
 文系を目指す人、理系を目指す人、東大を目指す人、北大を目指す人、いろいろな生徒がいるほうがよいと思います。
 医学部の入試を易しくする必要もないと思います。
 必要なのは、地方の高校にも優秀な教員を派遣し、地方でも東大や北大に入れるレベルの高校を作ることです。
 東大に入れる生徒は、北大(医)や札幌医大(医)には入れます。
      ■         ■
 昔、札幌西高の先生が言われた言葉を覚えています。
 『私がこれから赴任する興部(オコッペ)高校は、東大に現役で入った生徒がいます』
 『君たちも、興部高校に負けないように頑張りなさい。』
 必要なのは地方でも、東大に現役合格できるレベルの高校をつくることです。医学部に特化した進学コースは不要です。

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医療問題

医師不足解消

 昔から、医学部の入学試験は難関でした。
 私が、札幌医大を目指していた昭和48年は、オイルショックや医師不足が問題になった頃です。
 その当時に発足したのが、一県一医大構想でした。
 各県に最低一つの医科大学か医学部をつくり、医師不足を解消しようという政策でした。
 四国などは、北海道より狭い地域に、国立医大が4つの各県にできました。
 一番古いのが、昭和23年設立の徳島大学医学部。
 次が昭和48年にできた愛媛大学医学部。
 昭和52年に高知医大。
 昭和53年に香川医大ができました。
      ■         ■
 昭和48年に一県一医大構想ではじめて設立された国立医大が、旭川医大、山形大学医学部、愛媛大学医学部の3校でした。
 地方の医師不足解消のために、国の肝いりで国立医大を新設したのです。
 昭和48年開学の3大学は、国会審議の遅れから、大学の入学試験があったのが11月でした。
      ■         ■
 受験資格があったのは、3月に入試を落ちて‘浪人’していた学生だけでした。
 ラッキーといえばラッキーです。
 受験できたのは、浪人生だけだったのです。
 しかも、11月に入試があったとはいえ、合格してしまえば‘現役’合格です。
      ■         ■
 私は、ちょうどその時に浪人していて、札幌予備学院の医進クラスに在籍していました。
 旭川医大を受けましたが、落ちました。
 ‘現役’最後の受験が11月にあったのです。
 この3つの新設国立医大に全国から、理系の受験生が殺到しました。
 旭川医大は、3大学の中では易しいと言われましたが、合格できたのは、来春に北大(医)が合格確実な学生でした。
 私は、旭川医大の社会科2科目という‘難関’のため、高校でまともに勉強をしなかった日本史を選択しました(高校の担任だった、日本史の藤枝先生ごめんなさい)。
 最後の現役合格は、無残に消え、また浪人に戻りました。
      ■         ■
 11月に合格が決まり、旭川教育大学の施設を借りた、仮校舎で、旭川医大一期生の勉強がスタートしました。
 確か、12月頃に入学式があり、冬休み・夏休み返上で、教育がスタートしたと聞いています。
 私が知っている人には、旭川医大に合格しながら、進学せず、翌年に北大医学部に進学した人もいました。
 現在、旭川医科大学学長になられた、眼科の吉田先生は、この優秀な旭川医大一期生です。
      ■         ■
 国はいろいろな政策を考えて、地方の医師不足を解消しようとします。
 この、一県一医大構想ができた時には、将来は医師過剰時代になり、医師の失業者がでると真剣に言われたものでした。
 いくらお金をかけて、医科大学を新設しても、入学者定員を増やしても、地方の医師不足解消にはなりません。
 地方で働くお医者さんが、自分の仕事に生きがいを持てて、働きやすい環境を作ることが大切です。
      ■         ■
 僻地医療のために設立された、自治医大の卒業生は、北海道でも確かに地域医療を支えています。
 大学医学部で、地域医療講座の担当教員となって活躍している先生にも、自治医大出身者が多いと聞いています。
 自治医大以外の政策で、僻地医療が改善したのは、あまり聞いたことがありません。
 医学部の入学定員を増やしても、入試方法を変えても、医師が地域で働きたくなるような政策がないと、地方の先生は増えません。

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医療問題

医進指定校

 平成19年12月21日、北海道新聞朝刊のトップ記事です。
 道立高に医進指定校
 地域医療担い手育成
 2009年度にも
      ■         ■
 道と道教委は20日、道内で地域医療に携わる人材を育てるため、6校程度の道立高校を指定し、高校生の医学部受験を支援する方針を固めた。
 名付けて「地域医療を支える人づくりプロジェクト」。
 北海道育ちの医学部生を増やすことで、長期的に道内の医師不足を防ぐのが狙いで、2009年度にも各校に特別コースを設ける。
 指定校では、理数系の教員を増員して受験指導を強化、道内医大の協力を得て現役医大生による夏季講習なども行いたい考えだ。
      ■         ■
 同プロジェクトによると、
 道央(石狩、後志、胆振、日高、空知)、
 道南(渡島、桧山)、
 道北(上川、宗谷、留萌)、
 釧路・根室、
 十勝、オホーツク(網走)
 の6つの圏域ごとに「医進類型指定校」を選定。
 普通科や理数科などに所属する2、3年生の医学部受験希望者を集めた特別コースを設置することなどを検討している。
      ■         ■
 教員を増やして受験に必要な理数系の授業を多く選択できるようにするほか、夏休みなどに医学部生を招き直接、受験指導してもらう。
 生徒のやる気を引き出すため、病院施設見学などの場も設ける方針だ。
 また、「メディカル・キャンプ」と称する宿泊型の医学生体験も実施する。
 一方、近くに指定校がない地域の医学部受験希望者に対するフォローも検討。
 指定校と連携し、医学部見学やキャンプなどに参加できるように配慮する。
      ■         ■
 本年度、道内医大に在籍している医学部生のうち、道内出身者の割合は札医大が73%のほか、北大が53%、旭医大が34%と低迷。
 地域別では、札幌を含む石狩管内出身者が3分の2を占め、医師不足で悩む地域からの医学部進学者はわずかだ。
 道教委は、高校生の進学状況にも医師不足の原因があると判断し、今回の構想をまとめた。
 道と道教委は今後、道内医大と調整を行った上で、来年一月にも具体的な内容を決定、新年度の重点事業に位置づけ、できるものから着手したい考えだ。
      ■         ■
 医師不足に長期的対策
〈解説〉
 道と道教委が打ち出した道立高校への「医進類型指定校」の設置構想は、深刻化する医師不足問題に対する長期的な対策であり、地域医療の担い手を地域で育てるユニークな試みとして注目を集めそうだ。
      ■         ■
 道内の面積当たりの医師数は全国最低で、地域別で全国平均を上回るのは、札幌などごく一部に限られる。
 道は、道外から医師の移住を募ったり、道内医学部に地域枠や奨学金を設けるなど懸命の対策を打ち続けている。
 今回の構想はその延長線上にあり、実現すれば、医学部に占める道内出身者を増やし、将来的には医師不足緩和に寄与することが期待できる。
      ■         ■
 ただ、高校生が医師として独り立ちするまでには十年以上かかるのも事実だ。
 医師不足で診療料を維持できない病院が増えるなど、道内の地域医療を取り巻く環境が深刻化しているだけに、これら人材育成策に加え、即効性のある道や国の対策も不可欠だ。(松本創一)
 (以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 私は今回の道の方針に懐疑的(カイギテキ)です。
 道が指定するまでもなく、すでに医進指定校は存在します。
 道立校で‘医進指定校’になっているのは、札幌南、札幌北です。
      ■         ■
 札幌南と札幌北で、道立高校から北大(医)、札幌医大(医)、旭川医大(医)への進学者の大部分を占めます。
 残念なことに、私が卒業した、札幌西は多くはありません。
 道南は、函館中部
 道北は、旭川東
 釧路・根室は、釧路湖陵
 十勝、オホーツク(網走)は、帯広柏葉と北見北斗
      ■         ■
 北海道内の医学部進学者は、道立高校から中高一貫の私立高校へとシフトしています。
 高校3年間にどれだけ努力しても、中学校から毎週6日間、毎日特訓した生徒にはかなわない現実があります。
 もし、道が本当に地域別の医進指定校をつくり、地域に密着させた医師を養成したいなら、地域別の入学枠を設けるべきです。
 ただ、そうすると、入学後に学力の差が目立ち、医師国家試験合格率が低下する恐れがあります。
      ■         ■
 私は、昭和49年に札幌医大に入学しました。
 私が入学した年から、入学定員が100名に増えました。
 当時の札幌医大には、道内出身者を入学定員の90%にするという不文律がありました。
 そうした、‘内規’が当時の文部省にバレて、国の補助金で運営している公立大学にふさわしくないという趣旨で撤廃されたと聞いています。
      ■         ■
 医師不足解消の妙案はありません。
 国が日本の防衛のために設立した、防衛医科大学校を卒業した‘先生’が、防衛とは関係のない‘美容外科’で活躍しています。
 これが現実です。
 医師がここで働きたいという、‘夢とロマン’のある地域医療政策を立てないと、地方のお医者さんは増えません。

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医学講座

挿管困難症例(ソウカンコンナンショウレイ)

 医師を四半世紀以上もしていると、いろいろな患者様と出会います。
 ベテランの麻酔科医が、この人は‘絶対’に麻酔をかけたくないという人がいました。
 総合病院で全身麻酔をかける時は、一般的に筋弛緩剤という薬を使い、気管内挿管という手技で麻酔をかけます。
 簡単に言うと、薬で呼吸を止めて、その間に口から気管まで管(クダ)を入れます。
 その管から、酸素・笑気・麻酔ガスを送って、呼吸させて麻酔をかけます。
      ■         ■
 この管を入れる時に事故が起こります。
 挿管困難症例とは、アゴが小さい、首が短い、舌が大きいなどの原因で、簡単に管が入らない人のことを指します。
 私が市立札幌病院に勤務していた時に、麻酔科の先生が、この人は‘絶対’に気をつけて麻酔をかけないと危険だと言われた人がいました。
 その時の麻酔担当は、現在、北海道大学救急医学講座の丸藤哲(ガンドウサトシ)教授です。
      ■         ■
 丸藤先生が、挿管困難と言われたのは、私が記憶する限りその方だけでした。
 手術は足の手術でしたので、結局、気管内挿管はせずに手術を終了しました。
 私は手術の後で、その患者さんと奥様に、ベテランの麻酔科医でも麻酔が難しかったので、麻酔をかけたら危険ですとお話ししました。
 外国では、首からDifficult Airway(気道確保が難しい)と書かれたペンダントをかけておくと聞いたことがあります。
      ■         ■
 数年後に、その患者さんの奥さんが訪ねて来ました。
 『先生、お父さんが死んじゃったの』
 『○○病院で手術室に入っていって、バタバタとして、手術をする前に亡くなりましたと…』
 『エ~っ、まさか、どうしたのですか?』
 『先生から、麻酔をかけたら危険だと聞いていたので、病院の先生には伝えたんですが…』
 『その病院の先生は、大丈夫だと言って手術室に入ったら、それっきり…』
      ■         ■
 形成外科や耳鼻科では、アゴや首に異常がある方を手術することが多く、麻酔科医泣かせの患者様がいらっしゃいます。
 普通の方でしたら、どうってことはない麻酔でも、一つ間違うと死につながる事故になります。
 その患者様は、麻酔事故でお亡くなりになってしまいました。
 私が忘れられない患者様のお一人です。
 麻酔が難しいかどうか、麻酔をかける前に判断することが重要です。
      ■         ■
 どれだけ多くの挿管困難症例を経験したかどうかで、判断が分かれます。
 車を運転する時でも、危ない道だとわかっていれば、そこを避けたり迂回できます。
 一番危ないのは、その道が危険かどうかを判断する経験がない場合です。
 事故は思わぬところで起きるものです。
      ■         ■
 札幌美容形成外科でも全身麻酔で手術をしています。
 日帰り手術ですので、気管内挿管はいたしません。
 筋弛緩剤という薬剤も使用しません。
 全身麻酔が難しそうな方には、理由をご説明して総合病院をご紹介しています。
 手術後は、十分に回復して、歩いて帰れるまでは、院内でお待ちいただきます。
 用心しすぎて、しすぎということはありません。
      ■         ■
 麻酔は、素晴らしい技術です。
 だれでも、痛いのはイヤです。
 ただ、注意して行わないと危険なのも麻酔です。
 手術前日の、指定時刻以後は、一切食べたり飲んだりなさらないでください。
 タバコもできれば一週間前から禁煙してください。タバコで気道が荒れていると、分泌物が多くなります。
 安全に手術を行うためには、医師も患者も注意すべきことがたくさんあります。

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医療問題

救急コンビニ化

 平成19年12月18日、北海道新聞朝刊の記事です。
 明日の医療は
 軽症患者が夜、気軽に…医師疲弊
 道内救急コンビニ化
 帯広厚生病院ルポ
      ■         ■
 緊急性が低い病気やけがで夜間や休日に医療機関を受診する患者が増えている。
 本来は重篤な患者を受け入れるはずの道内十ヵ所の救命救急センターにも軽症患者が押し寄せ、医療スタッフは夜通し対応に追われている。
 24時間、365日診察してくれるという患者の利便性や安心感の裏で、救急の「コンビニ化」に苦悩する道内の医療現場を見た。
 (報道本部 渡辺玲男)
      ■         ■
 午後十時、十勝管内唯一の救命救急センター「帯広厚生病院」(帯広市)。
 救急車のサイレンとともに、転落事故で全身を打った男性が担ぎ込まれた。
 車にひかれた女性、高熱でぐったりした乳児…。6つある救急ベッドはすでに4つが埋まっていた。
      ■         ■
 精密検査や入院手続きに追われ、医師らは一息つく間もない。
 さらに待合室では4人の患者が待っていた。3つの救急電話もひっきりなしに鳴る。
 「相当待つことになると思いますが…」。緊急性が低そうな患者に看護師がやんわりと日中の受診を勧めるが、「すぐ診てほしい」という患者を断ることはない。
 午前零時すぎに一段落した後も断続的に患者は訪れ、午前5時半まで診療は続いた。
      ■         ■
 意識が変化
 命の危険がある高度な救急医療に24時間対応できる救急センター。
 同病院の昨年度の救急患者は約一万四千人で、開設した1999年度の1.5倍に増えた。
 ただ、心肺停止などの重症患者は4%の約600人。
 76%は入院の必要がないと診断された軽症で、小児科患者が四分の一を占める。
      ■         ■
 「夜間に気軽に受診する救急のコンビ二化は全道的な傾向。
 医師が疲弊してやめてしまい、医師不足のー因になっている」。
 北海道医師会の目黒順一常任理事は指摘する。
 受診者増加の背景には高齢者や共働きの増加のほか、夜でも病院に行くことをいとわない受診者側の意識変化もあるとみられる。
      ■         ■
 人手足りず 医師が100人以上いる同病院だが、夜間救急は毎晩常駐する小児科医一人を含め実質5人の当直医と3人の看護師が担う。
 6人しかいない小児科は、若い医師だと多い月は7、8回夜勤。夜に一睡もできなくても、翌日は通常勤務だ。
 日中に比べ人手が少ない夜間は検査も時聞かかかる。
      ■         ■
 「重症だと処置に数時間かかる人もいるが、患者が多く、かかりきりになれない」と当直医。
 軽症でも緊急性がないとは限らないが「夜の方が待たないから」「あす旅行に行くので、いま診てくれ」といった理由で深夜に来る患者もいる。
      ■         ■
 格差に悩む
 「共働きで日中は来られない。時間外診療を充実してほしい」と熱が出た5歳の子供の受診に訪れた主婦(35)。
 しかし、医師不足の現状では容易ではない。
 「日中のような診療を期待されても難しい」。
 一瀬広道副院長(57)は患者ニーズと現場実態の格差に悩む。
      ■         ■
 道医師会は軽い症状の場合は、日中に受診するよう促す冊子を2万部作り、9月から病院窓口などで配布している。
 ただ「患者に万が一のことがあっては…」と、受診抑制には戸惑う医療関係者も少なくない。
 患者が運び込まれカーテンで仕切られた帯広厚生病院の救命救急センターの処置室。
 医師や看護師が走り回る=午後10時30分。
 (以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 私は平成7年1月から平成10年3月まで、3年3ヵ月間、JA帯広厚生病院の形成外科主任部長を務めました。
 現在は、病床数748床、従業員数1,009名の十勝管内で一番大きな総合病院です。
 形成外科を見ても、私が在籍していた10年前より、患者数も手術件数も増加しています。
      ■         ■
 帯広厚生病院へは、北大、札幌医大などから優秀な先生が赴任しています。
 臨床研修指定病院としても、人気が高い病院で、若い先生からも人気があります。
 私が在籍していた時に、救命救急センター構想がありました。
 私も、現在使用されている救命救急センターの設計に加わりました。
      ■         ■
 私が勤務していた当時から、どの診療科もとても混んでいました。
 2時間待ちの3分診療なんて…よく非難されました。
 外来は、一応‘予約制’でしたが、予約しても2時間待ちなんてことがザラにありました。
 その理由は、再来と新患を2人で診なければならなかったからです。
 少しでも症状が重く、説明や処置にかかる時間が長くなると、たちまち‘遅れ’が出ていました。
 飛行機やJRだったら大変なことになります。
      ■         ■
 昔から、昼に行くと混んでいるから、夜に行くという人がいました。
 確かに、重症ですぐにでも手術や処置が必要なこともありました。
 緊急手術も何回もしたことがあります。
 お母さんが、遠慮がちに、『いただいた坐薬で熱が下がらなく、ぐったりしてきたので心配で…』と電話をいただいたこともありました。
 小児科の先生が、診察し検査したところ、脳に異常があったケースでした。
 一概に、救急を受診するなとは言えませんが、コンビニと救命救急センターが違うことは理解していただきたいと思います。

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未分類

再生請負人

 平成19年12月15日、朝日新聞朝刊のbe on Saturday Businessの記事です。
 フロントランナー
 ケンウッド会長 河原春郎さん(68歳)
 「再生請負人」次の一手は?
      ■         ■
 ケンウッドと日本ビクター。オーディオファンなら誰もが知る名門2社が2008年、経営統合に踏み出す。
 人懐っこい笑顔を浮かべるこの人が、業界再編の口火を切った統合劇の立役者だ。
 「日本の専業メーカーが勝ち残るには大同団結しかない」。
      ■         ■
 韓国や台湾との価格競争、デジタル化で膨らむ開発費。規模のメリットを出せない中堅メーカーは剣が峰だ。
 重複する事業が多いビクターには2年前にも協業を呼びかけていた。
 昨秋からの統合交渉。資金力に勝る米系ファンドが優勢になっても「志は変わらない」と言い続けた。
      ■         ■
 再生への確信は関係者を動かす。共同開発に向けて両社で立ち上げた新会社の発足式で、技術者130人にこう呼びかけた。
 「力を結集して強い製品を作り、カーマルチメディアで世界一をめざそう」
 7月の提携発表から2ヵ月後、シャープとパイオニアも資本・業務提携を発表した。
      ■         ■
 社長に就いた2002年は「不良債権処理の嵐」の真っただ中。
 銀行はバブル期の貸付金の回収に走り、ケンウッドも170億円の債務超過で会社の存続さえ危ぶまれていた。
 そこで講じたのが債務を株式に変える金融手法。会社が再生すれば株価は上がり債権者も利益を得る。
 同時に増資もして資本を増強、工場集約などを一気に進め、1年で過去最高益を達成してみせた。
      ■         ■
 国内で前例のなかった財務テクニックは、日本長期信用銀行を買収した外資系ファンドのリップルウッドで学んだ。
 東芝の役員を引退後、「米国のお金で日本を再建できるなら」と転身。
 日本コロムビアの買収を担当し、音響部門デノンと日本マランツとの統合を指揮した。
 ビクターヘの出資にも応じた筆頭株主スパークス・グループの阿部修平社長は「決断は速く、迷いがない。彼になら任せられる」と全幅の信頼を寄せる。
      ■         ■
 「再生請負人」は名うての工ンジニアでもある。東芝時代に開発した発電所の自動制御システムは今も現役だ。
 技術者の視点はケンウッド再建でも生かされ、「何でもアジアが安いというのは間違い」とMDプレーヤーの製造をマレーシアから山形の工場に移した。
 向こうで22人かかった工程を熟練工が4人でこなし、不良率は激減。製造業の国内回帰のお手本になった。
 金融も技術もわかる「ハイブリッド経営者」は時代の要請ともいえる。
      ■         ■
 本業と並んで大切にしている活動がある。
 「ベンチャーを支援するベテランの会」。
 熟練経営者たちが起業家の事業発表を聞いて助言や指導をする会に、2001年の発足時から加わる。
 2005年にはロボット制作会社の技術支援を引き受けた。
 3人しかいない「音質マイスター」の一人を派遣し、動いて踊る音楽プレーヤーを共同開発した。
      ■         ■
 ベンチャー支援も企業再生も、思いを支えるのは次世代への責任だ。
 「高度成長の成功体験を忘れられない僕らがバブルを招いた。
 その負の遺産の始末もせずに若い世代の世話になるわけにはいかない」。
 日本の専業メーカー再編を「最後の仕事」と任じている。
        文・後藤絵里。
 (以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 原油が値上がりして、灯油やガソリンが値上がりしています。
 好景気が実感できない北海道で、ますます景気が悪くなってきています。
 病院や診療所などの医療機関も、経営困難になっているところが出てきています。
      ■         ■
 私は、朝日新聞のフロントランナーが好きです。
 再建外科という、医学の中でも特殊な外科を担当していたためか、企業の再建にも興味があります。
 私はオーディオファンではありませんが、ケンウッドのステレオを持っていました。
 トリオの時代から、良い音で有名でした。
 ビクターもVHSのビデオを開発した技術力がある企業です。
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 どんなに良い技術を持っていても、良い音が出せても、油断していると企業の存続が危ぶまれる時代です。
 ファンドや投資機関のお金の行方で、世界経済が変わり、あっという間に不況になることも考えられます。
 年金問題のためか?福田内閣の支持率も下がっているようです。
 このケンウッドの河原さんのような方が、日本という国を再生して欲しいと思います。
 国民が安心して暮らせる国、安心して老後をすごすことができる国に、誰か再生して欲しいと願っています。

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医学講座

廃用性萎縮

 廃用性萎縮(ハイヨウセイイシュク)と読みます。
 筋肉を使わないと、衰えて(オトロエテ)筋肉が細くなることです。
 たとえば、足を骨折したとします。
 骨折したら骨がくっつくまで、ギプスで固定して動けません。
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 骨折の程度にもよりますが、数週間、ギプス固定をしていると、確実に足が細くなります。
 だからといって、わざと足を折ったりしないでくださいね。
 これは筋トレの逆です。
 ボディビルまでしなくても、筋トレをすると、筋肉がついて筋肉隆々になります。
 使わないと、筋肉は衰えます。
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 この廃用性萎縮を利用して、小顔にするのが、えらボトックスです。
 硬いものを噛む癖のある人。
 スポーツなどで奥歯を噛みしめる癖のある人。
 噛み合わせが悪く、いつもどちらか片方で物を噛む人。
 硬いものが好きで、いつでも噛んでいる人。
 こういう人は、知らず知らずのうちに、咬筋という筋肉の筋トレをしていることになります。
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 毎日まいにち、噛み続けていると、噛む筋肉=咬筋(コウキン)がボディビルをしたように発達してしまいます。
 耳の前に手を当てて、奥歯をグッと噛みしめてください。
 骨の上で、ボコっと膨らんだのが咬筋です。
 咬筋が発達していると、どんなに体重を落として痩せても、ホッペだけ小顔になりません。
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 片方だけ、咬筋が発達してしまった病態(ビョウタイ)を片側咬筋肥大症(ヘンソクコウキンヒダイショウ)といいます。
 大学病院に勤務していた時に、口腔外科(コウクウゲカ)の先生と一緒に咬筋を減らす手術をしたことがあります。
 入院手術をしましたが、術後は逆に悪くなった?と思うほど腫れます。
 手術で咬筋を取ると、腫れがとれるまでに数ヵ月はかかります。
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 えらボトックスは、耳の前に少量の注射をするだけです。
 ボトックスを注射すると、神経から筋肉へ‘収縮しなさい’という‘信号’が伝わらなくなります。
 信号が伝わらないので、筋肉は筋トレをお休みします。
 噛む力が弱くなりますので、硬いものが食べたくなくなります。
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 注射して、数週間もすると、噛んでも筋肉がポコっと膨らまなくなります。
 耳の前で膨らんでいた筋肉が薄くなると、小顔になってきます。
 残念ですが、ボトックスは筋肉だけに効き、脂肪には効きません。
 えらボトックスが効くのは、咬筋が発達している方だけです。脂肪には効きません。
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 ボトックスが効いているのは、約6ヵ月間です。
 ボトックスの効果が弱くなってきた時に、また‘筋トレ’をすると、筋肉は発達してしまいます。
 噛み合わせの異常など、歯科的な問題がある方は、矯正歯科をご紹介しています。
 外国では、ボトックス注射を‘歯ぎしり’の治療として行うこともあるそうです。
 小顔になりたい方は、一度相談にいらしてください。
 顔の脂肪には、カボメッドも効果的です。
 カーボメッドは無料お試しもできます^^♪

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医療問題

未受診妊婦

 平成19年12月16日、北海道新聞朝刊の記事です。
 未受診妊婦の1割飛び込み出産経験
 費用未払いは4割 医師調査
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 妊婦検診をほとんど受けないまま、出産時にいきなり病院に来る「未受診妊婦」の一割強は、過去にも飛び込み出産したことのある″リピーター″だったことが15日までに、日本産婦人科医会広報委員の前田津紀夫医師の調査で分かった。
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 また、医療費未払い率も4割に上り、同医会は「未受診は母子のリスクが高いだけでなく、(医師や病床などの)医療資源を浪費することになり、社会的にも問題」としている。
      ■         ■
 調査は、未受診妊婦に関する過去の文献と、静岡県内の五施設の受け入れ状況調査を合わせ、計586人分について分析。
 未受診妊婦は年々増える傾向にあり、対象のほとんどは最近5年以内の事例だった。
      ■         ■
 未受診者の妊婦全体に占める割合は、0.2~2%。年齢は10代が14%、20代が43%、30代が40%。10代は、日本の妊婦全体では2%にすぎず、率の高さが目立つ。
      ■         ■
 10代の初産婦が多い一方、出産4回目以上の人の割合も16%(全体1%)と高かった。詳しく調査できた291人のうち、12%に当たる三十六人は過去にも飛び込み出産していた。
      ■         ■
 入院費は40%が未払い。隣接する公立病院をはしごして、飛び込み出産と未払いを繰り返す例もあるという。
 15%は病院に到着する前に路上や車中で出産。妊婦が死亡したケースは8%で、全体の16倍の高率だった。未熟児の割合も、全体の4倍近い33%に上った。
 (以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 15%が病院へ到着する前に路上や車中で出産とは驚きです。
 このような出産を墜落分娩といいます。
 おしっこやうんこがガマンできなくて、トイレに行く前に‘出ちゃった’のとはわけが違います。
      ■         ■
 また、妊婦が死亡したケースが8%というのにも驚きました。
 12.5人に一人が亡くなるのはかなりの高率です。
 以前から書いていますが、妊娠・出産は‘簡単’なものではありません。
 昔から、安産の神様がいるのは、それだけ安産でない人が多かった理由です。
 ですから、安産の神様やお守りがあるのです。
      ■         ■
 私は産婦人科が専門ではありませんが、医師の一人として、妊婦健診はしっかり受けていただきたいと思います。
 ‘デキ婚’は仕方がないとしても、安易に堕胎を繰り返すのは避けるべきです。
 性感染症で不妊症になる方もたくさんいらっしゃいます。
 女性のクラミジア感染は、自覚症状が乏しく、自分が原因となって知らない間に感染を拡大していることもあります。
 少子高齢化社会を迎え、日本はこのままだと滅びます。自分の身体を大切にして、丈夫な赤ちゃんを産んでください。

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医療問題

まな板の鯉

 医師にとって、医師本人や医師の身内を治療するのは、ストレスなものです。
 相手は、同じ業界で生計を立てているプロです。専門が違っても、医療の裏も表も熟知しています。
 私の父を治療していただいた、長岡康裕先生にもご苦労をおかけしました。
      ■         ■
 私の父が受けた治療は、経皮経肝的胆嚢ドレナージ(PTGBD)という治療です。
 一般的な、治療説明・同意書には次のように書いてあります(高知医療センターHPから引用:()内の注釈は私が追記)。
      ■         ■
1.現在の病状と処置・検査・治療の必要性について
 原疾患(ゲンシッカン=もともとの病気の意味)により胆嚢管(タンノウカン)の狭窄・閉塞(キョウサク・ヘイソク=細くなりつまること)が生じています。また胆嚢炎があります。
 このような状態を放置すると敗血症(ハイケツショウ=からだ中にバイ菌が回ってしまう病気)を合併し、全身状態の悪化が起こり致命的(チメイテキ=死んでしまうこと)ともなりかねません。
 そこで胆嚢にたまっている胆汁を体外に放出することにより胆嚢炎の治療を行います。
2.処置・検査・治療の方法
 この治療は局所麻酔で行います。超音波でみながら胆嚢を穿刺(センシ=刺すこと)し、ドレナージチューブ(膿を出す管のこと)を留置します。
3.処置・検査・治療に伴う合併症と危険性、および緊急時の処置について
 頻度的には非常にまれなものも含めて、以下のような合併症の可能性があります。
 現在の疾患の治療の上で必要な検査、手技です。緊急時の処置は勿論万全を期して施行しますので、ご了解下さい。
 1:局所麻酔薬(キシロカイン)に対するアレルギー
 2:反応穿刺に伴う合併症として、穿刺部の血腫形成、肝臓からの出血、感染、等
 3:胆嚢を傷つけることにより、胆汁が腹腔内に漏れだし胆汁性腹膜炎を起こす場合があります。
 内科的治療で軽快しなければ外科的手術(胆嚢摘出および腹腔ドレナージ)が必要となります。
 4:肺の近傍を穿刺することによる気胸。程度によっては胸腔ドレナージが必要となります。
 5:ドレナージチューブが抜けたり,つまったりした場合には交換が必要となります。
(以上、高知医療センターHPから引用)
      ■         ■
 ベテランの先生がすれば合併症も起こさずに済む治療ですが、時には思わぬことが起こる場合もあります。
 特に高齢者の場合は、いつ何が起こるか予測がつきません。
 治療を受けた父は、おそらく同意書にサインしていると思います。
 合併症の危険があろうと、耐えられない激痛を一刻も早く取り除いて欲しいというのが切実な願いです。
      ■         ■
 私は自分が治療を受ける時も、身内が受ける時も、いつも次のように言っています。
 『どんなことがあっても、絶対に文句は言いません』
 『どうか治してください』
 『お願いします』
 言われる方の立場としては、これも結構なプレッシャーです。
      ■         ■
 医師も経験を積んで、立場が上になるほど、ストレスの多い治療を引き受けることになります。
 治療は人間がやる人間相手の仕事です。一つとして同じ治療はありません。
 どんな治療や手術にもリスクはあります。
 植皮術などは、今でも100%成功させるのは至難のわざだと思っています。
      ■         ■
 札幌美容形成外科には、たくさんの医療関係者の方がいらしてくださいます。
 私はどんな方の手術でも、自分の身内や‘お医者さん’だと思って治療しています。
 どんな手術や治療でも緊張して施術しています。
 自分を信頼して、治療を受けてくださっている方に、いい加減なことはできません。
      ■         ■
 自分が信頼されていないかなぁ~?と感じた時には、手術をお断りすることもあります。
 幸い、形成外科や美容外科には緊急性がある治療は多くはありません。
 自分が信頼できて、心から『お願いします』と言える先生を見つけてくださいとお伝えします。
 ちょっと偏屈な医者だと非難されることもありますが、これが私の考えです。
 私は自分が手術を受ける時には、慎重に‘先生’を選んで、まな板の鯉(コイ)になります。

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