医学講座
痩身目的の注射で広範囲壊死を生じた1例
昨日の院長日記でご紹介した、
形成外科10月号は札幌美容形成外科の職員にも見せています。
私が日頃から、
無理な手術で悲惨な例をよく見せているので、
多少のことでは驚きません。
札幌美容形成外科の職員は患者さんからの問い合わせにも、
適切に
親切に
対応してくれます。
■ ■
形成外科10月号を見た女性職員が、
一番驚いていたのが、
日本大学形成外科の、
樫村勉先生と仲沢弘明先生の
痩身を目的とした薬剤の皮下注入により腹部の広範囲壊死を生じた1例でした。
私が見ても、
まるで壊死性筋膜炎の後か、
蜂窩織炎の後のようです。
■ ■
この患者さんは、
もし日本大学形成外科に入院して手術をしていなければ、
亡くなっていた可能性が高いと思います。
梅田整先生が報告された、
脂肪吸引後の感染症例に似ています。
日本大学形成外科の仲沢弘明教授は、
日本熱傷学会理事長です。
適切な判断で救命できました。
■ ■
論文の内容です。
患者さんは痩身目的で、
非医療施設で腹部皮下に脂肪融解剤とされる薬剤を注入されました。
注入直後から激しい疼痛を訴え、日本大学救命救急センターに救急搬送されました。
入院後に全身麻酔下に皮膚が壊死になった部分を切除しました。
その後に腎不全となりましたが救命されました。
10日目に壊死の範囲が拡大したためさらに切除を追加しました。
約1ヵ月後に植皮術を実施しましたが大きな傷が残りました。
■ ■
施術した者は逃走し、
警視庁科学捜査研究所と日本大学病理部で検査をした結果、
注入された薬剤は強アルカリ性であることが判明しました。
アルカリによる損傷は重症になります。
私自身も熱傷深度の判定を誤りました。
患者さんには申し訳ないと今でも思っています。
日本大学形成外科の患者さんも、
入院直後に壊死組織を切除していなければ、
亡くなっていた可能性があります。
■ ■
搬送された救命救急センターに、
仲沢先生がいらっしゃらなかったら、
この患者さんは亡くなっていたと思います。
注射だけでやせるというのは、
確かに魅力的な言葉です。
でもわけのわからないものを注射されると、
生命にかかわります。
美容外科での施術ではありませんが、
簡単にやせられるというの100%うそです。
医学講座
悲惨な鼻の後遺症
昨日2015年10月1日、年間購読している、
形成外科という専門誌の10月号が届きました。
先月号には、
レディエッセで失明した患者さんが掲載されていました。
この論文を契機に、
札幌美容形成外科ではレディエッセを中止しました。
■ ■
今月号の論文は、
下顎骨骨切術(いわゆるエラ削り)による後遺症、
オトガイ形成術による後遺症、
鼻の手術による後遺症が掲載されています。
鼻の患者さんは、
23歳と27歳の女性です。
それぞれ別のクリニックです。
■ ■
美容外科に従事する先生には、
なんちゃっての先生も含めて、
是非読んでいただきたい論文です。
これから美容外科に転科を考えている先生にも、
こんな合併症があることを知ってほしいです。
そして患者さんや一般国民にも、
こんな後遺障害で苦しんでいる人がいることを知って欲しいです。
消費者庁や国民生活センターにも動いていただき、
広くマスコミで取り上げていただきたいです。
■ ■
形成外科 第58巻第10号(2015年10月号)
特集:美容医療の合併症から学ぶ2─骨切り他編─
企画にあたって 細川 亙 1077
下顎角部骨切除術で関節突起も一塊として摘出された1例 細川 亙 1079
下顎角形成術後の合併症の1例 高橋範夫ほか 1082
過剰なおとがい骨切除術後にインプラント挿入を受けた1例 田口久雄ほか 1086
美容手術後の外鼻変形の1例 井上義一ほか 1090
治療に難渋した美容手術後外鼻変形の1例 細川 亙 1094
正常な未成年者に対して行われた植毛術により禿げ様外貌に陥った1例 岡崎 睦 1098
包茎専門美容外科クリニックにおける術後尿道欠損の1例 渡辺頼勝ほか 1102
痩身を目的とした薬剤の皮下注入により腹部の広範囲壊死を生じた1例 樫村 勉ほか 1107
下腿脂肪吸引術後に激痛と皮膚潰瘍を生じた1例 河内 司ほか 1111
腰腹部の脂肪吸引術後に広範囲に難治性の多発膿瘍を生じた1例 森 秀樹ほか 1115
乳房増大を目的とした脂肪吸引術後に採取部に皮膚壊死を来たした1例
(以上、克誠堂出版HPより引用)
■ ■
大阪大学の細川亙(ほそかわこう)先生は日本形成外科学会理事長です。
この特集号には、
細川先生ご自身が2編の論文を書かれています。
形成外科学会理事長として、
細川先生の強いお気持ちが伝わります。
細川先生のお言葉です。
美容医療の合併症から学ぶ②
―骨切り他編―
企画にあたって
学術雑誌に論文を投稿する目的の1つは、個人的に経験した極めてまれな事象を読者に知ってもらい、多くの人が共有する知識と経験にする、ということです。
いわゆるまれな病気の1例報告などはこれに当たり、学術雑誌の重要な使命です。
永い間形成外科の診療をしておりますと、美容医療などで生じたまれな合併症を目撃する経験が幾度かあります。患者さん個人にはお気の毒なことですが、そのような貴重な事例は発表されて衆知され、その後の予防などに活用されなくてはなりません。しかし、美容医療での合併症を目撃しても、前医での治療前や治療中の情報が不十分であることが多く、論文として雑誌に症例報告することを断念せざるを得ない場合がほとんどなのではないかと推測します。今回の特集では、通常の論文で要求するような術前・術中に関する詳細な記載は必ずしも求めず、論文作成のハードルを極力低くすることで、貴重でありながら日の目を見ずそのまま闇に葬られてしまいそうな事例を拾い上げて光を当てようとしました。
このような企画に対して、さまざまな美容医療合併症例の投稿がありました。
前号にはそのうちフィラーの注入(脂肪注入を合む)に関する合併症のみを掲載致しましたが、本号ではフィラー注入を除く各種の合併症をまとめました。顔面骨切りをはじめとする各種の美容医療の施術により、思いもよらないような合併症を生じている現実を知っていただき、重篤な合併症の回避に留意していただくための警鐘になればと思います。
大阪大学形成外科 細川 亙
医学講座
お給料を払う苦労
昨日の院長日記、
ありがたいお給料
小樽の葬儀会場で仕事をなさっているお母さんが、
お給料の小銭を、
お母さんからの少しのお礼
として、
子どもたちに小銭をプレゼントする
お話しです。
■ ■
社長さんの、
「パートさんの顔が見たい、話がしたい」との思いから、
今どき珍しい手渡し給料。
これは簡単なようで、
とても手間がかかる作業なのです。
経理の方か社長さんの奥様かわかりませんが、
大変なご苦労です。
■ ■
お給料を現金で払うには、
銀行から現金で下ろします。
何十人かのお給料を払うには、
一万円札が○○枚、
五千円札が○○枚、
千円札が○○枚、
五百円玉が○○枚、
百円玉が○○枚、
五十円玉が○○枚、
十円玉が○○枚、
五円玉が○○枚、
一円玉が○○枚、
これを計算して、
銀行に金種表を出して、
下ろしたお金を袋に入れる作業があります。
■ ■
振込の何倍も時間と労力がかかります。
間違えると大変なので、
私だったら3回くらい確認します。
札幌美容形成外科では、
褒賞金だけ現金で差し上げています。
感謝の気持ちを込めて、
一人ずつ手渡しです。
喜ばれています。
■ ■
給与計算
2007年4月20日の院長日記です。
札幌美容形成外科のお給料は、
弥生給与というソフトを使って、
私が計算して、
私が新生銀行から振り込んでいます。
給与は間違うと大変なので、
何回も確認をします。
■ ■
事務的な間違いがあると困るので、
東京のアトラス総合事務所で、
定期的にチェックをしていただいています。
信頼できる会計事務所です。
経理は弥生会計というソフトを使っています。
毎年保険料などが変わるため、
一年に一度、弥生会計と弥生給与のソフトを更新しています。
その費用が年に数万円もかかります。
■ ■
これから開業を考えている先生に教えます。
お給料をもらう立場と、
お給料を払う立場は、
まったく違います。
払うのは大変です。
労働基準法も知らなくてはいけません。
経理の知識も必要です。
社会保険労務士さんにも助けていただきます。
北海道でしたらディ・エル・エス社会保険労務士事務所の
田中猛先生をおすすめします。
昔の記憶
ありがたいお給料
平成27年9月30日(水)北海道新聞朝刊、いずみへの投稿です。
ありがたいお給料
毎月末日はパート先のお給料日。今どき珍しい手渡し給料です。社長の、「パートさんの顔が見たい、話がしたい」との思いから、このスタイルが続けられているそうです。給料袋はすぐ開けずに、大切に持ち帰ります。
その夜、私は2人の子どもを正座させます。待ちに待った母さんのお給料公開の瞬間。はじめに袋から小銭だけを取り出します。なぜなら、小銭はすべて子どもたちで分けてよし、という決まりになっているからです。2人の視線は私の手元に集中します。
私は葬儀会場で仕事をしているため、夜や土日の出勤はしょっちゅう。家でご飯の用意から後片付け、風呂掃除、布団敷きまでが子どもたちの担当です。留守番を子どもたちに頼っているからこそできる仕事なので、お給料の小銭は、母さんからのほんの少しの還元の気持ちなのです。
先月の給料袋には小銭が950円。これまでの最高額に子どもたちは大喜びでした。
何かと気を使い、体力もいる仕事ですが、ありがたいお給料をもらうたびに1カ月の苦労が吹き飛び、また頑張るぞという気持ちになります。
もちろん、この様子をそばでニヤニヤしながら見ている、一番の協力者の夫にもお裾分けをします。夫にだけは、紙のお金(お札)です。
ちゃっかり者の次女が「社長さん、全部小銭でお給料くれたらいいのにね」と。そればかりはちょっと困ります。
宮沢ゆかり(みやざわ・ゆかり 50歳・パート職員)=小樽市
(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
朝から気分がいいお話しを聞かせていただきました。
宮沢ゆかりさんに感謝しています。
葬儀場のお仕事は大変です。
最近は葬儀委員長もいなくて、
司会の女性の方が故人の経歴などを話してくださいます。
お坊さんの読経の間に、
何度も原稿を読み直している姿を目にします。
■ ■
私は罰あたりなので、
ありがたいお坊さんのお経よりも、
司会の方のお話しを聞いて帰ります。
(お経は意味がわかりません)
大変な闘病だったんだ、
ご家族も支えられたんだなぁ、
最期は安らかに眠られた、
よかった、、、などです。
■ ■
司会の方の他にも、
受付で領収証をくださる方や、
案内の方など、
たくさんの女性が葬儀場で働いているのを目にします。
家でご飯の用意から後片付け、
風呂掃除、
布団敷きまでが子どもたちの担当です。
留守番を子どもたちに頼っているからこそできる仕事
なるほど、子どもたちとご主人の協力が大切です。
■ ■
お給料の小銭は、
お母さんからの少しのお礼
先月の給料袋には小銭が950円。
これまでの最高額に子どもたちは大喜び
お給料のありがたさを、
子どもさんにも理解していただき、
きっといい子に育っています。
社長さんも喜んでいると思います。
宮沢ゆかりさん、
朝からいいお話しをありがとうございました。
医学講座
患者さん側の問題
昨日の院長日記に、
お金のことを言う先生はだめです
悪い先生のことを書きました。
医師免許証を持っていても、
信じてはいけない人がいます。
同性だからと、
信じてはいけない女性医師もいます。
■ ■
悪い先生に引っかからなければ、
幸せな結果が得られるかというと、
そうとも限りません。
美しい目を保つには、
患者さん自身の努力や注意も大切です。
眼瞼下垂症手術も、
わきが手術も、
手術後の安静が大切です。
■ ■
目の手術を受けたら、
目をこすってはいけません。
せっかく作った目がこわれます。
2時間も、
3時間もかけて作ったのに、
とても残念に思うことがあります。
夜寝る時には、
アイマスクをして目を保護してください。
■ ■
同じように目の手術をしても、
患者さんによって結果が違います。
一週間目を閉じてじっとしていた人は、
傷の治りがいいです。
薬もしっかりつけていた人は、
赤味も少ないです。
お薬はまだ残っていますか?
…とお聞きして、
まだたくさん残ってます
…と答える人の中には、
つける軟膏の量が少なくて赤味がある人もいます。
しっかりと約束を守ってくださった方は、
傷の治りが違います。
医学講座
お金のことを言う先生はだめです
他の大手美容外科に行ったら、
あなたの目は、
この安い手術法だと治らないので、
こちらの高い手術をすすめます
…と言われて、
19,800円のつもりで行ったのに、
14万円の手術を受けてしまった。
結局、治らなかった、、、涙)
■ ■
こんな患者さんが来院されます。
第38回日本美容外科学会(横浜)②
…に書いた、
特別発言の白壁征夫先生が言われた、
大手美容外科チェーン店の経営方針の変更から、
高い手術を吹っかけられる患者さんが増えています。
残念なことだと思います。
■ ■
たとえば、
自分が癌なって病院に行ったとします。
まともなお医者さんは言いません。
あなたの癌はこの安い手術法だと再発します。
高い最新のプレミアム手術法だと、
5年生存率は99%になります。
こんな病院を信じて手術を受けますか?
医者も地に落ちたものです。
■ ■
形成外科と保険診療
2011年6月15日の院長日記です。
病院へ行くと…
保険証を出して、
保険で診てもらいます。
日本ではあたりまえのことですが、
外国では制度が違います。
米国の医療という…
2008年2月15日の院長日記に書いてあります。
■ ■
マイケル・ムーア監督の、
Sicko(シッコ)という映画があります。
DVDにもなっています。
こちらのブログで紹介された記事です。
ある中年の大工さんが不運にも仕事中に二本の指を切断してしまった。
健康保険のない彼は、医師から素晴らしい選択をせまられた。
「中指をつなげるなら6万ドル、薬指なら1.2万ドル」
この大工さんはロマンチストだったので、薬指を選択。
お別れした中指の方は、新居にお引越し。
サヨナラ・・・、、、
失われた中指の移転先はどこかって?そこは、ゴミ集積所だった。
これは、米国のマイケル・ムーア監督の新作映画『シッコ』の笑える一場面である。
■ ■
今の日本では、
健康保険で指をつなぐ手術が受けられます。
もちろん生活保護の方も受けられます。
おそらく、刑務所内作業で、
囚人が指を切断したとしても手術が受けられます。
私は、受刑者の手術をしたことがあります。
医療機関にとっては大変な日本の保険医療制度は、
利用する国民にとってはメリットがあります。
■ ■
形成外科だと5万円で受けられる眼瞼下垂症手術は、
有名な美容外科に行くと50万円以上します。
高いお金を払ったからといって、
必ずしも良い結果ばかりではありません。
私の目は、
聖路加国際病院形成外科で保険診療で治していただきました。
お金のことばかり言う先生は、
信用してはダメです。
昨日の院長日記に書いたように、
手術直後にはいこれででき上がりでポイされます。
二重・眼瞼下垂
微妙な左右差は無理に修正しない
2015年9月22日と23日の第38回日本美容外科学会(横浜)
眼瞼下垂症の発表で印象に残った症例です。
あえてお名前は出しません。
私と同じように、
大学病院で形成外科講師をしていた、
形成外科専門医の先生です。
上手な先生です。
目の手術もたくさんしていらっしゃいます。
■ ■
若い女性の眼瞼下垂症手術をしました。
微妙な左右差が残ったので、
その先生が修正手術をしました。
それでも患者さんは満足せず、
もう少し治して欲しいと希望されたそうです。
私たちが見ると、、、
よ~く見ると多少の左右差はあるものの、
ふつうの人が見てもわからないくらいの左右差でした。
■ ■
先生は、
これ以上の修正はできないと断ったそうです。
患者さんは満足せず、
他の美容外科へ行って修正手術を受けました。
結果は見るも無残でした。
修正どころか、
最悪な結果になっていました。
手術直後にはいこれででき上がりと言われたそうです。
■ ■
患者さんは、
先生ごめんなさいと戻って来られました。
どうしてこんな結果になったの?
患者さんは泣くだけで…
先生は、
また難しい修正手術をすることになりました。
他で傷つけられてしまった目は、
元に戻すことも難しくなります。
それでもどうにか見られる目になっていました。
■ ■
誰が手術をしても、
微妙な左右差が残る患者さんはいます。
もともと左右差がある先天性眼瞼下垂症や、
片方の眉を上げる癖のある患者さんの目は難しいです。
何百例も手術をしている先生が、
これ以上の修正はできないと言われたら、
よほどの左右差でなければ、
無理に修正手術はしないことをおすすめします。
口だけうまい先生もいます。
信じてはいけない先生にだまされないでください。
医学講座
ウサギのうんちとお尻の悩み
ころころとした、
ウサギのうんちで悩む女性は多いです。
ドラッグストアに行くと、
ピンクのパッケージに入った便秘薬が、
女性の目につくところに陳列されています。
便秘薬だけで治らない人もいます。
そんなウサギのうんちと
お尻の痛みで悩んでいる人に読んでほしいです。
■ ■
平成27年9月24日(木)北海道新聞夕刊、
メディカルガイドのコラムです。
広告ですがとてもためになる内容です。
私の同期、
西尾昭彦先生が語るお尻の悩みです。
■ ■
いきいきゼミナール
裂肛(れっこう)
ゲスト札幌いしやま病院、西尾昭彦院長
裂肛とはどのような病気ですか
痔とは、肛門およびその周辺に起こる病気の総称です。肛門疾患で多いのは、痔核(じかく)、裂肛(れっこう)、痔瘻(じろう)の3つで、外来の約8割を占めます。痔核はイボ痔、裂肛は切れ痔、痔瘻はあな痔とも呼ばれます。
便秘気味の若い女性に多くみられるのが、肛門内側の皮膚(肛門上皮)が切れる裂肛です。痔の中でも痛い病気の代表です。症状は排便時の痛みが主で、出血はないかあっても少量です。一度裂けた傷は排便の度に延ばされるため治りにくく、痛みが続くようになります。痛みが嫌で排便を避けるようになると便がますます硬くなり、症状を悪化させるという悪循環が生じます。
繰り返し切れて慢性化すると、傷が深くえぐれて潰瘍化していきます。炎症性の肛門ポリープと呼ばれる突起物ができたり、傷の縁の皮膚が盛り上がって肛門が狭くなったりして、排便時の苦痛が増します。トイレの中で気が遠くなるという患者さんもいるほどです。
裂肛の治療について教えてください
裂肛の治療は、便を軟らかくして排便を楽にする内服薬や、排便時の痛みを抑えるための塗り薬、肛門に注入する座剤、軟こうなどの外用薬が中心です。
傷の治療を行いながら、生活習慣を改善して便通を整えることも裂肛治療では大切です。朝食をきちんと取る、水分や食物繊維を十分に取る、便意を我慢しない、適度な運動をするなど、便秘を防ぎ、硬過ぎず軟らか過ぎない“質の良い便“を出す生活を心掛けてください。
傷が深い、肛門が狭いなどの慢性化した裂肛になると、薬などの保存治療では治らず、外科治療が必要になります。肛門周囲の痛みだけが取れる硬膜外麻酔をして、硬く狭くなった肛門の括約筋を正常な状態になるまでマッサージをして引き延ばす治療です。マッサージの時間は10秒程度で、入院の必要もなく、翌日の排便から痛みがなくなるケースがほとんどです。
さらに重症例になると、2~3日入院してマッサージに加えて潰瘍やポリープの切除が必要な場合もあります。
恥ずかしさから受診をためらわれている方も多いようですが、切らずにすむ治療により、痛みのない快適な生活を取り戻せることが多いことを知ってほしいと思います。
■ ■
特定医療法人藻友会札幌いしやま病院、札幌いしやまクリニック
1977年開設の直腸肛門疾患の専門病院,安全で質の高い医療を目指して、2004年から外来専門の「札幌いしやまクリニック」と入院・手術を行う「札幌いしやま病院」として新たにスタート。道内外からも患者が訪れています。
住所/札幌市中央区南15条西11丁目
電話番号/011-551-2241
診察受付/
月・火・水・金曜9:00~11 :30、13:30~16:00
木・土曜 8:00~11:00
毎週火曜日の午後は女性患者専用外来
休診日/日曜・祝日
企画制作/北海道新聞社広告局
(以上、北海道新聞より引用)
二重・眼瞼下垂
第38回日本美容外科学会(横浜)③
今回の第38回日本美容外科学会(横浜)で、
一番聞きたかった内容が、
シンポジウム8
他院でおこなった眼瞼下垂手術の修正
―美しい重瞼ラインを作るための工夫―
…でした。
シンポジウムを聞いた正直な感想は、
難しい患者さんは誰がやっても難しいです。
■ ■
目は身体の中でも最も目立つ部位です。
おっぱいが左右で多少違っても、
それほど気になりません。
下着で隠すこともできます。
もともと左右差のあるおっぱいの人はたくさんいます。
目も、
もともと左右差がある人はたくさんいます。
■ ■
保険診療で5万円でしても、
自由診療で50万円でしても、
高齢者の方が1万5千円くらいでしても、
医療保護の方がただでしても、
【左右差を無くすのが】
【先生の腕でしょ】
…と言われます。
美容形成外科のつらいところです。
■ ■
シンポジストで最後に登場したのが、
蘇春堂形成外科の
野平久仁彦先生です
野平先生は誰もが認めるスペシャリストです。
再来年の日本美容外科学会会長です。
野平先生の演題名は、
SY8-5他院で行われた眼瞼下垂症術後変形の治療
スペシャリストの野平先生ですら、
一度の修正手術では治らず、
平均手術回数2.0以上の患者さんがいました。
■ ■
座長の新横浜形成クリニック、
岩波正陽先生が言われたように、
前の先生がどんな手術をしたのかもわからず、
どこにどんな糸で固定されているかもわからず、
他院で行われた眼瞼下垂症の治療は難しいです。
一つだけ言えるのは、
最初にいい手術を受けた人は、
たとえ修正手術になってもやりやすいです。
最初にとんでもない手術を受けた人は、
どんな名医でも治すのが難しいです。
形成外科専門医でもレベルが違います。
自分の好みの目もあります。
先生は慎重に選んでいただきたいです。
医学講座
第38回日本美容外科学会(横浜)②
2015年9月22日と23日の2日間の
第38回日本美容外科学会で一番印象に残ったのが、
特別企画
【美容外科合併症】でした。
座長:
保阪善昭(総合東京病院形成外科・美容外科)
百束比古(日本医科大学形成外科)
演者:
小川令(日本医科大学形成外科)
野本俊一(日本医科大学形成外科)
島倉康人(北里大学医学部形成外科・美容外科)
新橋武(新橋形成外科クリニック)
土井秀明((医)杏皇会こまちクリニック)
特別発言:白壁征夫(美容形成外科サフォクリニック)
■ ■
美容外科手術で不幸な結果になってしまう人が、
残念ながらいらっしゃいます。
日本医大形成外科は、
ヒトアジュバント病の時代から、
長く美容外科の後遺障害に悩む患者さんを診ていらっしゃいます。
幸せを作る医療も、
一歩間違うと不幸のどん底に落ちる医療になります。
■ ■
特別発言の白壁征夫先生からは、
大手美容外科チェーン店の経営方針の変更によって、
糸による健康被害が続出したこと。
このまま健康被害が続くと、
まともな美容外科まで困ることになると発言されました。
私も何とかしなくてはならないと思います。
■ ■
この特別企画の最後に、
会場から発言されたのが、
高須克弥先生でした。
高須先生も、
美容外科の将来にかかわる大問題であると、
強く語られました。
高須先生のおっしゃる通りだと思います。
■ ■
今回の学会では、
韓国の先生や台湾の先生から、
ヒアルロン酸による失明や鼻壊死という、
重大な副作用についての講演がありました。
解剖学的にどこが危険な部位で、
どうしたら失明事故を回避できるか?
詳細な血管解剖の結果も見せてくださいました。
■ ■
残念なことですが、
日本の大学病院で美容外科を標榜しているところがありますが、
注入剤による失明を防ぐには、
どうしたらよいか?
…というような研究は聞いたことがありません。
もっと美容外科関連の事故を防ぐための研究や機関があるべきです。
■ ■
唯一、私が覚えているのは、
福島で開催された、
第21回日本形成外科学会基礎学術集会
慶応義塾大学形成外科、
清水雄介先生のご発表だけです。
『新鮮屍体を用いた顔面の動静脈解剖の検討』
まるで3年後に注入剤による皮膚壊死で、
形成外科の特集号が出ることを予測したような研究です。
美容外科も医学なので、
しっかり研究を重ねて
不幸な結果を出さないことが大切だと痛感しました。
■ ■
今日からHPが変わっています。
愛知県のオフィスクロスロードの須崎克之様にお願いしました。
お気づきの点があれば教えてください。
須崎様ありがとうございました。