医学講座
ドルミカムと静脈麻酔
集団的個別指導2015
2015年12月17日水曜日に行われた、
厚生労働省北海道厚生局の指導です。
この会で、
厚生労働省北海道厚生局医療課、
指導医療官の佐野先生に教えていただいたことです。
佐野先生は元外科の臨床医だったそうです。
■ ■
今までの集団的個別指導とは違って、
佐野先生は具体的な事例を的確に説明してくださいました。
最初の医療監視指導官は、
発表の最中、
一度もこちらを見ることもなく、
ただひたすら原稿を読んでいました。
これでは聴衆の反応は見えないですし、
自分が伝えたいことが正確に伝わったかどうかもわかりません。
■ ■
最近は、
運転免許更新時教習ですら、
いかに交通事故を減らして、
安全運転を普及させようか?
…という熱意が伝わってきます。
はっきり言って、
警察も変わりました。
最近の更新時教習は居眠りが少ないです。
■ ■
運転免許の講習と比較するのも酷ですが、
厚生労働省のお役人はまだまだダメです。
半数以上が聞いてなくても、
集団的指導をしたという事実だけが必要と感じられます。
われわれ聴衆にとっては、
その話しは前にも聞いたょ。
そんなの知ってるょ。
そんな指導が大部分です。
■ ■
佐野指導医療官のすごいところは、
学会発表のように、
聴衆のほうを向いて、
原稿には時々目をやる程度で、
最初から最後まで、
わかりやすい口調で、
おだやかに話されたことです。
■ ■
私が一番勉強になったのが、
ドルミカムという薬を、
静脈麻酔に使っても、
【静脈麻酔】が算定できないということです。
専門的なことになりますが、
薬には【効能・効果】という決まりがあります。
国が決めた使い方をしないと、
保険請求はできません。
■ ■
ドルミカムは、
ミダゾラムという成分の注射液です。
【効能・効果】
麻酔前投薬、
全身麻酔の導入及び維持、
集中治療の人工呼吸中の鎮静、
歯科・口腔外科領域における手術及び処置時の鎮静
つまり鎮静に使うことはできても、
静脈麻酔薬ではないので、
静脈麻酔は算定できないのです。
■ ■
今までの指導医療官とは違って、
佐野先生の指導は、
こちらが、
う~ん、なるほど
それ、知らなかった。
…と思わずつぶやきたくなる指導でした。
他にもたくさん教えていただきました。
佐野先生ありがとうございました。
医学講座
集団的個別指導2015
2015年11月4日にこんな文書が届きました。
保険医療機関にとって大切な、
厚生労働省の集団的個別指導という指導のお話しです。
12月の予定を決めた後だっでした。
12月にするんだったら、
もう少し早く知らせてくれたらいいのに、
出席しないと、
個別指導の対象なんて、
脅し文句までつけて、、、
…と私は怒っていました。
■ ■
北海厚発1102第26号
平成27年11月2日
各保険医療機関 開設者様
厚生労働省北海道厚生局長
集団的個別指導(集団部分)【医科】の実施について(通知)
健康保険法第73条(船員保険法第59条において準用する場合を含む。)、国民健康保険法第41条及び高齢者の医療の確保に関する法律第66条の規定に基づき、下記のとおり、北海道庁(北海道保健福祉部健康安全局)と共同により集団的個別指導を実施しますので、出席されるよう通知します。
なお、正当な理由がなく欠席した場合は、個別指導の対象となることを申し添えます。
記
1.目的 保険医療機関及び保険医療養担当規則等の理解を更に深め、保険診療の質的向上及び適正化を図ることを目的としています。
2.日時 平成27年12月16日(水)午後6時30分から午後8時まで(予定)
■ ■
今まで何回もこの集団的個別指導に出席しました。
はっきり言って、
わかっていることを、
何回も聞かされているという指導もありました。
ひどいのになると、
原稿棒読みの指導もありました。
あまりひどかったので、
札幌コンベンションセンターの壇上に上がって、
あんたね~
もっと真面目にやれよと怒ったこともあります。
■ ■
その時、私は、
札幌市医師会役員の司会者に、
壇上からひきずり下ろされました。
会場から、
私の文句にたくさんの拍手もいただきました。
こんなところで文句を言った医者は、
私以外には聞いたことがありません。
職を失って13年という院長日記に書いてあります。
私は医師名義貸事件を告発して、
厚生労働省に大きなインパクトを与えました。
■ ■
昨夜は北海道庁の偉い方と、
札幌市医師会理事の先生もいらしてました。
私は前のほうの席に座り、
指導をしっかり聞いていました。
昨日の指導は、
私が今までに聴いた指導の中で、
最高の指導でした。
厚生労働省北海道厚生局医療課、
指導医療官の佐野先生がすばらしかったです。
■ ■
約1時間の佐野先生の指導は、
医師としての優しさや、
国民にいい医療を提供したいという、
医師としての情熱にあふれていました。
こんな先生が指導官になられて、
厚生労働省に対する見方が変わりました。
居眠りしている先生もいませんでした。
佐野先生のこれからのご活躍をお祈りしています。
ためになるお話しをありがとうございました。

医学講座
抄読会の思い出
1980年に北大形成外科に入局した頃は、
形成外科のけの字もわかりませんでした。
きれいに縫うだけだから簡単だろう?
…と思うのは大きな間違いです。
形成外科でも勉強は大切です。
北大形成外科では、
抄読会しょうどくかい
…という勉強会がありました。
■ ■
助教授だった故浜本淳二先生が担当でした。
PRSという米国形成外科学会誌の論文を、
一人2~3編ずつ割り当てられ、
それを訳して読んで、
内容を要約して発表するのです。
月曜日の夜に抄読会が多かった記憶があります。
月曜日は手術日だったので、
手術の後でPRSを読みました。
■ ■
新しい時代の外国雑誌購読
2011年10月13日の院長日記に書いてあります。
私が医師免許を取得した30年前、
一人前の形成外科医になるために…
英文雑誌の定期購読をしました。
北大形成外科では、
抄読会(しょうどくかい)という…
外国雑誌を読む勉強会がありました。
■ ■
一年目の私は、
PRS(ぴー・あーる・えす)という…
米国形成外科学会雑誌、
British Journal of Plastic Surgery…
…の2つの外国雑誌を注文しました。
British Journal of Plastic Surgeryは英国の雑誌です。
ぶりてぃっしゅと呼んでいました。
■ ■
私は英語は嫌いではありませんでしたが、
内科系の論文は、
字と数字ばかりで…
目が痛くなるほど細かい字でした。
それと比べて…
形成外科の論文は、
写真が豊富です。
字を読む前に写真を見るだけで、
どんな内容かわかりました。
■ ■
私が形成外科を選んだ理由の一つが、
論文を読んでも興味深いことでした。
頭が良い方ではなかったので、
ビジュアルに理解できる形成外科が好きでした。
それでも専門用語はわからず…
医学英和辞典を引いても…
さっぱりわかりませんでした。
■ ■
外国雑誌は航空便で届きました。
日本の代理店を通して注文します。
割引があったので、
私は北大生協から注文しました。
割引があっても…
米国と英国の2つの外国雑誌を注文すると…
一年間で10万円を超えました。
■ ■
今から考えると恥ずかしいですが、
一年目の私は、
医学英和辞典を引いても、
理解できない単語がたくさんありました。
わからなかったのが、
Pedicleぺでぃくるという単語です。
英和辞典を引くと茎くきと出ています。
このくきがわかりませんでした。
■ ■
形成外科は、
組織の移植をする診療科目です。
組織移植の移植は、
Transplantの移植
つまり植物の移植と同じなのです。
移植する時に、
茎くきを傷めると枯れます。
人間の組織も同じで、
茎が大切なのです。
形成外科では茎けいと呼びます。
今となってはなつかしい思い出です。
医学講座
PRS年間購読料313,900 円 (税抜)
医者の勉強法
2006年12月4日の院長日記です。
医学は日進月歩で常に新しい治療法が開発されています。よく医者は一生勉強が必要だと言われています。私もその通りだと思います。医師の勉強法には学会に参加する、他の先生の手術を見せていただく、先輩や同僚に相談するなどの方法があります。開業して毎日の診療に追われているとなかなか勉強の機会を作るのは大変です。
米国形成外科学会の雑誌がPlastic and Reconstructive Surgery(通称PRSピーアールエス)という本です。私は形成外科医になってから毎年年間購読しています。年間14冊程度で毎月航空便で送ってきます。以前は送られてくるまで読めなかったのですが、最近はインターネットに接続されていれば米国国内に居るのと同じように読むことができます。購読するとユーザー名とパスワードがもらえ、それでログインします。
形成外科・美容外科の医師にとってこのPRSに自分の論文が掲載されるのはとても名誉なことです。日本人の論文は毎号1~2編掲載されれば多いほうです。私も北大や札幌医大時代に掲載していただきました。
私が形成外科医になった26年前は、PRSに美容外科関連の論文が掲載されることは少なかったのですが、最近は約1/2から1/3が美容外科関連の論文です。アジア人に関しては日本の他、韓国の先生も多数投稿されていて、質の高い良い論文があります。私はこのPRSの他、美容外科関連の国際雑誌を講読して日々勉強しています。私が現在行っている目頭切開の手術法もこのPRSを通じて習得しました。著者の韓国人の先生と学会でお会いして、お互いに手術で工夫している点などを話しとても参考になります。医学を志す学生さんや若い先生は英語を自由に使いこなせる能力が必要だと思います。
■ ■
PRSの年間購読料は、
私が医者になった35年前は、
約5万円程度だったと記憶しています。
1980年5月から働きはじめて、
最初の2ヵ月間はただ働きで給料ゼロ。
1980年8月にいただいた、
初任給が99,000円程度(日給3,300円)の
北大病院研修医には、
とても高かった記憶があります。
■ ■
それでも、
毎年購読し続けていました。
インターネットができるようになってからは、
米国の出版社に直接申し込んでいました。
担当の女性が親切で、
本が送られて来なくても、
すぐに手配をしてくださいました。
私は3年契約で更新していました。
■ ■
残念なことに、
昨年から日本からon lineで更新できなくなりました。
昨年は何とか更新しましたが、
今年はまったくできなくなりました。
昨年の更新も、
$1,014.00/yearと高額で、
今年は1ドル120円以上します。
日本の代理店を通すと、
年間313,900 円 (税抜)(有隣堂価格)
35年間購読し続けたPRS
購読を中止しようか悩んでいます。


医学講座
第31回北大形成外科アカデミー
2015年12月12日土曜日、
第31回北大形成外科アカデミーと忘年会がありました。
年末の北大形成外科アカデミー
昨年は2014年12月13日土曜日でした。
唇裂口蓋裂同時手術という、
2014年12月14日の院長日記に書いてあります。
■ ■
毎年、北大形成外科の先生から、
学会では聞けない、
新しいことを教えていただいてます。
ありがたいことです。
今年は大学院生の発表をお聞きしました。
来年、大学院を卒業される先生の発表と、
現在研究中の院生の発表でした。
■ ■
来年北海道大学大学院を卒業される、
塩谷隆太先生と
安居剛先生のお二人は、
もう博士論文が完成し、
それぞれ外国雑誌に掲載が決まっています。
これはすごいことです。
論文投稿からacceptアクセプトと呼ばれる掲載決定までが大変なのです。
■ ■
私が特に感動したのは、
塩谷隆太先生の失敗の記録でした。
立派な研究が完成するまでには、
苦難の道があります。
塩谷先生はラットを使った動物実験なので、
うまくいかないことがたくさんありました。
他の論文を読んで同じように実験してみても、
論文の通りにはならないのです。
■ ■
私の学位論文も苦難の歴史でした。
苦難が多いと、
成功の喜びも大きいのです。
塩谷先生のご発表は、
リンパ節移植の浮腫予防と転移抑制という題でした。
将来、癌の転移を防ぐ治療になって、
ノーベル賞を取れるといいと思って聞いていました。
動物を使う研究をすると、
顕微鏡手術に慣れて手術が上手になるという利点もあります。
これからもいい研究が続くことを願っています。
医学講座
豊かさを追って_ニトリの挑戦⑤
今日で北海道新聞朝刊のニトリシリーズの最後です。
今朝も一番先にニトリさんの記事を探して読みました。
消費税率の記事が一面に大きく出ていて、
2面の下のほうで目立ちませんでした。
ちょっと残念でした。
道新の連載は、
日経の履歴書よりずっと内容が充実していました。
記事を書いてくださった、
北海道新聞東京報道センターの幸坂浩さんに感謝します。
■ ■
<豊かさを追って_ニトリの挑戦>5
変わる最前線 夢の原点 欧米で飛躍へ
「ほかの店より安いし、日本の品質だから安心できますね」。家具・インテリア製造販売日本最大手ニトリホールディングス(HD、札幌)が、中国・上海のオフィス街に今年開いた「NITORI(ニトリ)上海中山公園兆豊広場店」。家具を見に来た仕事帰りの30代夫婦が声をはずませた。
○
同社は2014年から中国で店舗展開を始めた。人口13億を超すとはいえ、中国では流通が近代化されておらず、本格的なチェーン店はない。このため、低コスト運営で手頃な価格を実現しているニトリは優位に立てるとの読みがある。これまでに7店を出し、当面は年に5店のペースで増やしていく考え。目標は「中国全土で千店」だ。
○
ニトリHDが初めて海外に店を出したのは2007年の台湾・高雄。だが、欧米式の大型家具が好まれる台湾では、日本と同じ商品を持ち込んでも売れない。店を宣伝したくても宅配新聞が見当たらず、チラシも簡単には配れない。
○
台湾1号店は3年後に撤退の憂き目を見た。似鳥昭雄社長は「明らかに準備不足だった」と振り返る。日本で好調だからといって、そのまま海外に乗り込んでも太刀打ちできないことを思い知らされたという。
○
その後、大型家具を増やすなど、顧客の好みに合わせて品ぞろえを改めた。高雄の1号店は、日本国内と同じ売り場面積約5千平方メートルの郊外型店舗だった。だが自家用車が普及途上にある台湾では、都心の百貨店など公共交通機関で行ける店の人気が高い。同社も千平方メートル前後の都心型店舗に力を入れることにした。
○
こうした工夫が奏功し、台湾事業は2012年に黒字化した。現在は、海外最多となる24店を構えている。
○
「人材」ではなく「人財」。ニトリHDは社員をこう呼んでいる。毎年たくさんの店を出し続けるには、有能な社員を次々育てる必要がある。成長に欠かせない財産なのだ。
○
とりわけ海外事業では、人材育成の巧拙が成否を分けるとニトリHDは考えている。例えば中国。まだサービス業の経験者が少ないため、即戦力を採用するのは難しい。接客の基礎から教えなければ、ソファを求める客が来店しても「はい、あちらにあります」で終わってしまう。
○
客の好みを自然に聞き出し、商品の特長をよどみなく説明し、できるだけ多く売る。日本では当たり前の、こうした基本動作を浸透させる努力が続く。最近は現地社員の士気も高まってきた。冒頭の上海中山公園兆豊広場店で今春から働く郁明さん(31)は「ニトリと一緒に自分も成長していきたい」と目を輝かせる。
○
同店の従業員は約40人。このうち店長を含む2人が日本人で、残りは現地社員だ。今後、入社5~6年の人材が育ってきた段階で、店長も中国人に任せる考え。台湾では既に全店長が現地採用社員となった。台湾事業を担う約500人のうち日本人は10人ほどしかいない。現地に溶け込むほど商売はうまくいく。そんな「哲学」が背景にある。
○
アジアで成長を続けるかたわら、ニトリHDの視線は別の巨大市場にも向く。北米と欧州だ。米国には既に5店を構えており、ある程度店が増えたところで、北米に近く物流効率が良い南米で商品生産を始める予定だ。欧州への出店時期は決まっていないが、南米製に加えアフリカ製の商品も販売する構想がある。
○
2032年に世界で3千店、売上高は3兆円―。あと20年弱で、いまの10倍近い規模へ成長するという壮大な目標は、地球儀を見渡した上で掲げられている。
○
札幌の小さな家具店にすぎず、倒産の危機に追い込まれていた約40年前。わらにもすがる思いで似鳥社長が渡米し、家具・インテリア店に並ぶ安くて質の良い商品に感動したことがニトリの原点だった。
○
似鳥社長は言う。「日本は欧米より50年遅れていた。いまでも20年は遅れている。日本に本当の豊かさを提供したい。それがニトリのロマンなのです」
○
同社の商品が欧米で通用すれば、それは日本が欧米に追いついた一つの証しとなる。夢に向かって挑戦は続く。
○
■爆発的な購買力 魅力に
安い人件費を背景に、ものづくりの場として注目されてきたアジア。ここへきて急速に豊かになり、商品を販売する「市場」としての魅力も高まっている。
○
国際通貨基金(IMF)によると、中国の2014年の経済成長率は7.3%。最近は減速が目立つとはいえ、中国政府は今後も7%程度の成長を目標に掲げる。マイナス成長も珍しくない日本との違いは際立つ。成長を支える人口は13億7600万人。日本の約11倍だ。
○
巨大市場を狙い、「ユニクロ」の ファーストリテイリング や「無印良品」の良品計画など、日本を代表する流通各社も中国で積極的な店舗展開を続けている。
○
東南アジア諸国連合 (ASEAN、全10カ国)にも日本の5倍に当たる6億2200万人が暮らす。このうち タイ やベトナムといった主要5カ国では、2014年の成長率が4.6%だった。
○
各国の購買力が高まったことで、商品の売れ行きも爆発的に伸びている。例えば中国では自動車の保有台数が2000年の1608万台から、2013年には1億2670万台へと8倍近くに増えた。
○
「2032年に世界で3千店」の目標を掲げる家具・インテリア製造販売日本最大手ニトリホールディングス(HD、札幌)にとっても、アジアは重要な市場だ。現在の店舗数は台湾24、中国7にすぎないが、これを20年弱で台湾100、中国千まで増やす計画。特に中国は、700店を目指している日本を抜き、国別で世界最多となる見通しだ。
○
今後の中国での大展開をにらみ、ニトリHDは2016年6月に販売子会社の似鳥(中国)有限公司(上海)を設立する。これとは別に、中国の物流を担う子会社も2015年中に発足させることにしている。
=おわり=(東京報道の幸坂浩が担当しました)
■数値目標社内に活気
流通アナリストの鈴木孝之・プリモリサーチジャパン代表の話
経営者は社員にビジョン(目標、未来像)を示さなければなりません。似鳥昭雄社長が掲げる「2032年に世界で3千店」という目標は、それに向かって挑戦するエネルギーを社内に生み出していると思います。
○
ただ、ニトリHDの事業には、まだ改善の余地があります。商品の安さには目を見張るものがありますが、デザイン性や陳列方法はもっと洗練させられるはずです。
○
商品を見ているだけで楽しくなるような店づくりができれば、さらなる成長が可能になるでしょう。

(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
今日の記事の中で、
「人材」ではなく「人財」。
ニトリHDは社員をこう呼んでいる。
毎年たくさんの店を出し続けるには、
有能な社員を次々育てる必要がある。
成長に欠かせない財産なのだ。
この言葉が印象的でした。
■ ■
医療にも通じることです。
有能な人は財産です。
人財を育てるのが大変です。
似鳥昭雄社長が言われた、
「日本は欧米より50年遅れていた。
いまでも20年は遅れている。
日本に本当の豊かさを提供したい。
それがニトリのロマンなのです」
■ ■
医療技術を見ると、
日本が欧米より遅れていることはありません。
残念なことですが、
医薬品の許認可や、
新製品の開発・認可は、
欧米よりずっと遅れています。
優秀な人財を育てるというニトリの方針は、
医療経営にも役立ちます。
北海道新聞の連載に感謝します。
若い人にも道新を読んでいただきたいです。
医学講座
豊かさを追って_ニトリの挑戦④
今日は北海道新聞の連載が載ってました。
まだ暗いうちに新聞を取りに行って、
一番先に読みました。
今日もニトリ成功の秘密が書いてありました。
私は流通業とは無縁ですが、
似鳥昭雄社長の大ファンです。
すごい人物だと尊敬します。
平成27年12月12日土曜日、北海道新聞朝刊の記事です。
若い人にも北海道新聞を購読していただきたいです。
■ ■
<豊かさを追って_ニトリの挑戦>4
低コスト運営 自前で運んで成長加速
11万平方メートルの敷地に5棟の倉庫が並び、何台もの大型トラックが出入りする。中国・上海の郊外にある大規模な物流加工センター。倉庫の中では作業員が指示書をもとに、さまざまな商品を一つの段ボールに詰めていく。スリッパ、タオル、トイレマット…。荷の行き先は家具・インテリア製造販売日本最大手ニトリホールディングス(HD、札幌)が日本とアジアで展開する400余りの店舗だ。
○
センターの運営は同社の物流子会社、ホームロジスティクス(札幌)が担い、現地採用した中国人約130人が働く。センターの名称に「物流」だけでなく「加工」と付いているのは、商品の仕分け作業も手がけているからだ。
○
2008年に本格稼働して以降、中国の工場で委託生産された繊維製品などを集めて一時的に保管し、各店舗が必要とする商品を必要な量だけ送り出している。取扱商品の種類はおよそ1万に及ぶ。
○
センターができる以前、中国で作られたニトリHDの商品は各工場から直接、日本へ送られていた。だが、距離が遠いだけに、ばらばらに運ぶと余計な費用がかかる。しかも各工場で作られた商品がコンテナで大量に届くため、日本に着いてから店舗向けに仕分けなければならない。ならば「人件費の安い中国で作業した方が効率が良い」(同社幹部)のは明らかだ。
○
工場でつくった商品を店で売る。その間には必ず、商品を運ぶ作業が必要になる。これが「物流」である。倉庫、トラック、船など多くの業者が介在し、一時保管や貿易の通関といったノウハウも求められる。物流はかつて、その複雑さゆえにコスト削減が難しい「暗黒大陸」と呼ばれた。
○
だがそれは、工夫・省力化の余地が大きいことも意味する。米 アマゾン・コム が独自の物流体制をテコに、インターネット通販世界最大手へと上り詰めた。「アマゾンに続け」と、流通企業はこぞって物流に熱い視線を注いでいる。
○
ニトリHDが物流に本格参入したのは、まだ札幌にしか店がなかった1980年。6階建ての倉庫を札幌・手稲区に建設したのが始まりだった。家具の出し入れを機械で行う、国内初の家具専用自動倉庫。似鳥昭雄社長が自動車大手、日産自動車の工場を見学した際、巧みに機械化された倉庫を見て思いついたという。
○
大量の商品を自ら保管する体制をつくれば、1回当たりの仕入れを増やせる分、価格交渉も有利になる。この発想が、後のニトリHDの成長を支えていく。
○
安く大量に仕入れ、効率的に保管し、多店舗で売りさばく。事業の形は固めたが、実際の運用は一筋縄ではいかなかった。
○
10年ほど前、船のチャーターに関する不正取引の情報が舞い込んだ。調べると、仲介業者と交渉する社員が内規に反する接待を受け、チャーター料を高止まりさせていた。社内に「暗黒大陸」があったわけだ。船の費用は年に30億~40億円もかかる。これを機に仲介会社と関係を絶ち、船会社との直接契約に切り替えたところ、年間5億~6億円の経費が浮いた。
○
在庫管理にも悩みはある。海外工場へ発注し、実際に商品が届くまでには3~4カ月かかる。数カ月先を見据えて在庫を管理しなければいけないが、売れ行きを見誤ると、たちまち倉庫に売れ残り品の山ができる。現金を生み出さず、保管コストもかさんで経営を圧迫する「不良在庫」である。数年分の不良在庫を抱え、やむなく焼却処分することは今もあるという。
○
ホームロジスティクス社は日本国内でも10万平方メートル級の物流センターを4カ所、3千平方メートル級を80カ所に構える。ニトリ各店に商品を運ぶだけでなく、店から顧客宅までの配達や、家具の設置も手がけ、売り上げ増を図る。
○
今や国内の人口カバー率98%、年間配達件数500万件。大型荷物の取り扱いでは、最大手ヤマトHDなどと国内トップグループを形成するまでになった。
○
苦心の末に築いた自前の物流体制。これもニトリHDの快進撃を後押ししている。
◇
■物流拠点、多店舗網の要
札幌の家具店から始まったニトリホールディングス(HD、札幌)が物流まで手がけるようになったのは、小売りチェーンの展開と物流が切っても切れない関係にあるためだ。
○
限られた面積で多くの商品を陳列する店舗には、保管スペースがほとんどない。だから、売れる商品を、必要な時に必要な量だけ配送する必要がある。ただ、別々のトラックが少量の商品を何度も運ぶのは効率が悪い。物流センターでさまざまな商品を1台のトラックに載せ、一度に店へ運べば無駄がない。店舗数が増えるほどコスト削減効果は大きくなる。
○
近年、流通大手は軒並み、自社専用の物流センターを構えるようになった。しかし、運営方法は企業ごとに異なる。 セブン&アイ・ホールディングス はセブン―イレブン店舗用のセンターを自前で持たず、物流企業に専用センターの建設を含めた業務を委託している。一方、イオンは物流会社を傘下に抱え、グループ内でセンターを運用している。
○
自前で運営して効率化を目指すか。「餅は餅屋」と、専門業者に委託するか。どちらを選ぶかに「その企業の経営哲学が表れる」(流通アナリスト)。
○
その点、ニトリHDは徹底した自前主義をとる。物流へと守備範囲を広げることで、企業として「効率化のための工夫の余地が大きくなり、社員の技能を高める最良の現場教育になる」(同社幹部)からだ。
○
仮にある企業が店舗運営しか手がけないとする。その場合、商品を安く販売するための効率化努力も店舗内部に限られる。ニトリHDは、商品の生産から物流まで一手に行うことで企業の器をぐっと大きくする道を選んだ。
○
それにより、ビジネスのあらゆる段階でコスト削減の工夫を積み重ねることも可能になった。
◇
高度な管理システム 物流専門誌「月刊マテリアルフロー」の菊田一郎編集長の話
日本から離れたアジアで多くの商品を生産するニトリHDは、コンテナ数で国内最多の輸入量を誇る企業でもあります。物流を担う子会社ホームロジスティクスは、ほかの物流企業に引けを取らない物流センターや、配車を管理する高度なIT(情報技術)システムを持っています。
○
国内では大型荷物を扱う業者が減っています。家具のような荷物を運ぶ作業は大変なので、働き手が集まらないのです。ホームロジスティクスは物流センターやトラックの空きスペースを他社と共有し、物流効率を高めています。社会的にも意義のある戦略ですね。

スリッパやトイレマットなど複数の商品を、一つの店舗で必要とする分だけ箱詰めする作業員=上海郊外にあるニトリグループの物流加工センター

(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
私は1980年にできた、
札幌市手稲区にある6階建ての倉庫を知っています。
あんなところに、
ニトリさんができた?
…と思っていたら倉庫でした。
家具屋さんは配達が命です。
新品の家具に、
ちょっとでも傷がつくとキズ物です。
■ ■
ニトリさんの配達は早いです。
AMAZONより荷物が大きいので、
さすがに翌日配達はありませんが、
大型家具でも早いです。
似鳥昭雄社長が、
日産自動車の工場を見て、
巧みに機械化された倉庫を見て思いついた
…というのがすごいです。
医療の世界ではなかなか難しいですが、
似鳥昭雄社長を見習って、
他業種でもいいところはどんどん真似をしたいです。
昔の記憶
お金では買えないもの
今日も早起きをして、
北海道新聞朝刊を取りに行って、
さっそくニトリさんの記事を読もうと思ったら、
今日は連載がお休みでした。
残念に思って、
朝日新聞朝刊を読むと、
いいお話しが載っていました。
■ ■
平成27年12月11日(金)朝日新聞朝刊、
ひとときへの投稿です。
お金では買えないもの
先日、長男と娘の最後の授業料を払い終えた。来春2人とも大学を卒業し、就職する予定だ。
まだ大学2年生の次男がいるが、大学生3人が重なったこの2年間は正直、経済的に苦しかった。
5年前、夫は自分の余命がわずかとわかり、何か私が欲しいものを買ってくれると言ってくれた。しかし、いくら考えても買って欲しいものはなかった。強いて言うなら洗濯物干しが壊れていたのでそれを買って欲しいと伝えると、「そんなものか。指輪でもバッグでもないのか」と意外な顔をした。
そのとき私にはものすごく欲しいものがあった。それは、浪人していた長男と中3だった次男の志望校合格、そして夫の寿命。あのとき本当に欲しいものはお金では買えないということがわかった。夫は余命宣告より少しだけ長く生きて、長男と次男の合格を見届けて逝った。悲しかったが願いがかなった。
今は夫の残してくれた貯金を切り崩しながら子どもたちに仕送りしている。将来子どもたちが独立し、経済的に楽になったとしても、欲しいものは家族の健康と平穏な暮らしだ。やはり、お金では買えない。
(北海道旭川市 上西紀子 看護師 55歳)
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
看護師さんは激務です。
働きながら3人の子供さんを育てるのは、
とても大変なことです。
朝5時前に起きて、
掃除洗濯をして、
朝食を作って、
お弁当も作っていた看護師さんを知っています。
■ ■
3人の子供さんを残して、
病気で亡くなってしまったご主人も無念だったと思います。
5年前、夫は自分の余命がわずかとわかり、
何か私が欲しいものを買ってくれると言ってくれた。
いくら考えても買って欲しいものはなかった。
強いて言うなら洗濯物干しが壊れていたので
それを買って欲しいと伝えると、
「そんなものか。指輪でもバッグでもないのか」と意外な顔をした。
■ ■
そのとき私にはものすごく欲しいものがあった。
それは、浪人していた長男と
中3だった次男の志望校合格、
そして夫の寿命。
あのとき本当に欲しいものは
お金では買えないということがわかった。
■ ■
私の知っている看護師さんのご主人が癌で亡くなりました。
看護師さんは、
私がそばにいたのに、
(早期に)見つけてあげられなかった、、、
…ととても残念そうに話していました。
専門医ですら、
自分が専門の病気を見つけられないことがあります。
早期発見ができなかったのは、
(看護師の)奥さんのせいではありません。
■ ■
私が亡くなったご主人だったら、
俺が先に逝ってしまったのに、
無事に大学を卒業させてくれて、
♡ありがとう♡
♡ご苦労様でした♡
…と言いたいと思います。
旭川市の看護師、上西紀子さん、
ご主人は天国で感謝しています。
■ ■
来春は卒業式が2回ですね。
春からは社会人が2人です。
看護職は激務ですが、
お金で買えない♡看護♡という、
♡優しい心♡を提供できます。
後輩の指導も大変だと思いますが、
医療従事者としてがんばりましょう。
ご主人を亡くされても、
一生懸命学資を稼いだことは、
きっといい想い出になると思います。
朝からいいお話しをありがとうございました。
医学講座
豊かさを追って_ニトリの挑戦③
この連載が楽しみです。
早起きして新聞を取りに行き、
まだ暗いのに電気を点けて読みます。
日経の私の履歴書は、
たまに読む程度でした。
北海道新聞東京報道センターの幸坂浩さんの連載記事は、
今までに書かれていない視点から、
♡ニトリ成功の秘訣♡を書かれています。
若い人にもよく読んでいただきたいです。
■ ■
<豊かさを追って ニトリの挑戦>3
効率生産、海外で極める
大勢の従業員が色とりどりの帽子をかぶり、整然と働いている。ピンクは班長、水色は作業員、赤は品質検査係の目印だ。工場内で責任と権限を明確にして、仕事の無駄やむらを排している。
○
ここは家具・インテリア製造販売日本最大手ニトリホールディングス(HD、札幌)がベトナムに構える基幹工場だ。家具製造子会社のニトリファニチャー(東京)が運営する。
○
二人乗りや三人乗りのスクーターでごった返す首都ハノイから車で約50分。工業団地にある札幌ドーム3個分、約16万平方メートルの敷地に巨大な建屋が2棟並ぶ。生産品目はベッドやタンス、ソファなど。
○
2004年に建設を始め、2005年に稼働した。赤字を出したのはその2年間だけ。3年目には黒字転換し、当初の損失もすぐに埋めた。その秘訣(ひけつ)は、綿密な従業員教育に裏打ちされた効率的な生産体制にある。働く約3500人の9割以上は女性だ。「勤勉な人物を採用した結果」(ニトリファニチャー)だという。
○
こうした運営手法はトヨタ自動車グループの目にもとまる。トヨタと言えば、効率的な自動車生産方式を編み出し、世界の製造業のお手本となっている存在だ。トヨタの現地法人ベトナムトヨタは近年、幹部をニトリファニチャーへ視察に送り込んでいる。「お互いが工程を改善するヒントに」との狙いがあるという。
○
傘下に大規模工場まで有するニトリHDは、大手流通企業の中でも特異な存在だ。家具世界大手のイケアでさえグループ内に工場は持たず、生産はすべて外部委託している。
○
アジア製の家具はもともと、欧米向けの仕様・サイズで作られたものが多く、そのままでは日本市場になじまない。精巧なタンスといった日本独自の家具をニトリHDが調達するには、アジアの企業に生産委託するだけでなく自前の工場を持つ必要があった。
○
ベトナムの工場とインドネシアにある1号工場とを合わせ、ニトリHDは販売する家具の1割強をグループ内で作っている計算だ。
○
順調に見える海外生産事業も当初は苦労の連続だった。インドネシア西部のメダンに1号工場を建設したのは1994年。思った以上に労務管理にてこずった上、治安も悪い。何度も泥棒が入るので工場の壁を高くすると、今度はトンネルを掘って侵入された。雇っていたガードマンが窃盗団とつながっていたことまで判明する始末だった。
○
だがリスクが高い分、競合他社は進出してこない。しかも人件費をはじめとするコストは安い。「だったらリスクをとろう」(ニトリファニチャーの松倉重仁(しげひと)社長)。この決断がその後の躍進につながる。「いち早く問題点を把握し対処する」といったインドネシアの教訓が糧になった。
○
「外部の血」が果たした役割も大きい。ニトリHDは、多くの技術者をさまざまな業種から招いて現在の生産体制を築き上げた。自動車大手ホンダに長く勤めた杉山清氏(73)は、その代表格である。
○
杉山氏は2015年春までニトリHD専務を務め、その間、いずれも発展途上国での勤務経験がある複数のホンダOBを呼び寄せた。そして「怒らず、慌てず、あてにせず」という自身のモットーをニトリ社内に行き渡らせた。「根気よく向き合わなければ、アジア事業はうまくいかない」(杉山氏)との信念が根底にある。
○
電機大手ソニーや衛生陶器最大手TOTOなども表彰されたことがある経済産業省の製品安全対策優良企業表彰。ニトリHDは2014年度、「製造・輸入」部門で最高賞に次ぐ審議官賞を受けた。アジアで質の高い製品を作る体制が評価されてのことだ。同社は「小売り販売」部門で既に表彰を3度受けており、製造と小売りの両方で表彰された初の例となった。
○
製造から販売まで一貫して手がけるニトリHDの事業は、いずれも日本屈指の水準に達している。
◇
■無駄なくし低価格守る
日本と比べれば安いアジアの人件費も、年々上昇している。
○
日本貿易振興機構(ジェトロ)がまとめた「アジア・オセアニア主要都市・地域の投資関連コスト比較」。それによると、工場などで働く一般工の月額賃金は、2014年度までの10年間でおおむね倍増した。現在、ベトナム(ハノイ)の人件費は月2万円ほど。社会主義国という事情もあり、毎年、国主導で確実に引き上げられていく。
○
家具・インテリア製造販売日本最大手ニトリホールディングス(HD、札幌)の家具製造子会社ニトリファニチャーによると、同社がベトナムに構える工場では、新設された工業団地に進出した10年前と比べて賃金がざっと4倍になったという。前年比で28%の 賃上げ を求められた年もある。
○
人件費が上がり続ける中でメーカーが利益を上げ続けるには、生産性を絶え間なく向上させるとともに、販売拡大で売り上げを増やすことが欠かせない。
○
一般に、家具メーカーが材料の木材を製品に活用できる比率は7割ほどとされる。残り3割は捨ててしまうわけだ。ニトリファニチャーは加工に工夫することで無駄をなくし、活用比率を9割まで高めた。
○
部品調達も商社まかせにしない。ベッドのマットレスやソファのばねといった原料を自前で仕入れて一から自社生産するなど努力を重ねている。
○
今後は韓国などニトリHDが店舗展開していない国でも、現地の家具店などへの卸販売を広げる考え。また、2017年にはベトナム南部のホーチミン郊外にも、敷地面積40万平方メートルの新たな大規模工場を建設する計画だ。
○
稼働後は家具だけでなく、繊維製品といった「ホームファッション商品」と呼ぶ製品も手がける基幹工場にしていく予定だ。
いずれも「ニトリらしい手頃な価格を守るための努力」(ニトリファニチャーの松倉重仁(しげひと)社長)である。
◇
ホンダOB招へい奏功 製品安全対策優良企業表彰の審査員を務める高杉和徳(かずのり)・製品安全コンサルタントの話
○
ニトリHDが製造業としても評価されているのは、似鳥昭雄社長がホンダOBの杉山清さんを招き商品の質を高めたからだと思います。
○
一般に製品安全対策は成果が見えにくく、担当者が社内で冷遇される場合もある。ニトリHDの場合、杉山さんを専務に据えるなど安全対策に力を入れたことが成功につながりました。
○
杉山さんは似鳥社長の第一印象を「(ホンダ創業者の)本田宗一郎(そういちろう)のようだった」と言っていました。気さくな性格。壮大な経営目標を掲げる姿。経営者にそうした魅力があるからこそニトリHDは成長しているのでしょう。

ニトリのハノイ工場で家具を作るベトナム人女性。例えば「赤は品質検査係」のように、帽子の色で担当を分けている

(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
私はニトリ寄附講座で、
杉山清さんの講義をお聞きしました。
今考えてみると、
♡ニトリ成功の秘訣♡の原因となった、
たくさんの方の講義を聴くことができました。
私の人生にとって、
北海学園大学経営学部のニトリ講座は、
実に重要なものでした。
■ ■
北海道新聞に掲載されている、
杉山さんのお言葉、
杉山さんは似鳥社長の第一印象を
「(ホンダ創業者の)本田宗一郎(そういちろう)のようだった」
と言っていました。
気さくな性格。
壮大な経営目標を掲げる姿。
経営者にそうした魅力があるからこそニトリHDは成長しているのでしょう。
病院経営で実行できないこともありますが、
似鳥昭雄社長の実行力はすごいです。
医学講座
豊かさを追って_ニトリの挑戦②
昨日からはじまった北海道新聞朝刊の連載、
ニトリの挑戦です。
今朝は早起きをして読みました。
日経にも書いてなかったことが、
道新に書いてあります。
いい記事です。
若い人にもぜひ読んでいただきたいです。
■ ■
<豊かさを追って ニトリの挑戦>2
商品開発力、苦境で培う 為替読み損失抑える
食器、クッション、カーペット…。家具・インテリア製造販売日本最大手ニトリホールディングス(HD、札幌)が国内で展開する約370の店舗には、家具だけでなく、家庭で使うほとんどの商品が並ぶ。
○
商品の箱やタグ(付け札)を見ると、「ニトリ」の社名に加え「MADE(メード) IN(イン) CHINA(チャイナ)」(中国製)と書かれたものが多い。同社が企画・開発し、中国の工場に生産を委託した商品だ。
○
手ごろな値段で商品を売るにはどうすればよいか―。似鳥昭雄社長が1980年代に出した結論は「アジアでの調達」だった。当時、アジアには人件費が日本の100分の1ほどの地域が多かった。同じ製品をつくるなら日本国内より圧倒的に有利だったのだ。
○
1985年。ニトリHDの針路を決定づける出来事が起きた。日米を含む先進5カ国が、過度なドル高の是正で一致した プラザ合意 だ。歴史的合意を受けた各国のドル安誘導政策により、同年前半に1ドル=250円台だった円相場は翌年に160円を突破するほど急激に円高が進んだ。
○
円高で円の価値が他国のお金より高まると、輸入品は安くなる。これを生かさない手はない。似鳥社長は1986年、欧米向け家具の生産が盛んだった台湾へ乗り込む。まだ道内に12店があるだけで、現在4500億円規模の売上高が78億円ほどにすぎなかったころだ。電話帳を頼りにメーカーを探し、農村地帯にある家具工場を、家畜の強烈な臭いで目まいがするのをこらえながら一軒ずつ訪ね歩いた。
○
何とか輸入にこぎつけ、店で売り始めたはよいが「壊れやすい」などの苦情が相次ぎ、返品の山ができた。座ったいすがバラバラに壊れ頭をぶつけた顧客もいた。「社の評判が落ちます」。輸入をやめるよう懇願する社員が大多数だったが、社長は諦めなかった。
○
いすを調べると、台湾より湿度が低い道内では、木材から水分が抜けて脚が細くなり、部品が外れやすくなっていた。乾燥させた木材を使えば問題ないが、取引先の工場には乾燥機がない。コスト上昇は覚悟の上で、数カ月かけて天日干しするよう工場に頼んだ。
○
不具合の原因を分析し、改善を図るうちに、後の多彩な商品開発につながる企画力が培われていった。生産委託先の企業は現在、中国やベトナム、 マレーシア などに約700社ある。
○
イオンや衣料品量販のしまむらといった日本を代表する流通企業も、手ごろで売れ筋のプライベートブランド(PB=自主企画)商品をアジアで委託生産している。もはやアジア生産抜きに流通業は成り立たないと言っても過言ではない。
○
企業にとって、生産の拡大は「不良品との闘い」でもある。ニトリHDも生産委託先が増えるにつれ、品質や安全性をどう管理するかが大きな課題となる。
○
2007年には販売する中国製の土鍋から鉛が溶け出していたことが発覚、1万個以上を自主回収した。「抜本策が必要だ」と判断した同社は自動車大手ホンダから複数のOBを技術スタッフとして招き、品質管理体制を強化した。
○
ドスン、ドスン、ドスン。専用の機械を使い、いすの上に90キロの重りを5万回落とす。ニトリHD東京本部にある技術開発室では、いすを含む多くの商品を対象に、こんな耐久試験が繰り返されている。名付けて「意地悪テスト」。合格しない商品は発売できない。
○
現在は担当者が製造段階からアジアの工場へ行き、ホンダ仕込みのノウハウを教え込む。ホンダOBで「品質管理の神様」の異名を取った杉山清・ニトリHD特別技術顧問(73)は「家具にも溶接があり組み立てがある。基本は自動車と変わらない」と話す。
○
品質管理を強化した結果、経営の質も高まった。ニトリHDの商品で苦情が発生する率は、かつて3%以上だったが現在は0.7%台まで改善。苦情による返品・回収が減ってコストダウンが一段と進んだのだ。
○
「お、ねだん以上。ニトリ」。値段を超える品質を実現したいというキャッチフレーズの裏で、こうした努力が続いている。
◇
1985年のプラザ合意以降、円高が長く続いた。それを追い風に、家具インテリア製造販売日本最大手ニトリホールディングス(HD、札幌)は海外生産した家具を安く輸入して成長してきた。だが、為替変動は味方にも脅威にもなる。
○
大きく円安に振れた今もニトリHDは利益を伸ばし続けている。それは為替予約に成功しているからだ。為替予約とは、円を貿易決済用のドルに両替する相場をあらかじめ金融機関と取り決めておく手法である。
○
円相場は2011年に1ドル=75円32銭の戦後最高値まで円高が進んだが、2012年末の安倍政権発足に伴い流れが一変。現在は1ドル=120円台で推移する。この結果、海外で商品を調達する多くの企業が仕入れコスト増という苦境に陥った。
○
衣料品店「ユニクロ」などを世界に約3千店展開し、年商1兆6800億円を誇る ファーストリテイリング でさえ2014、15年と2年連続で商品を値上げして急場をしのいでいる。為替予約はしていたが、円安は同社の想定を超えて進んだ。スーパーなどの加工食品が軒並み値上がりしているのも円安が大きな要因だ。
○
ニトリHDも何もしなければ円安が1円進むごとに利益が15億円押し下げられる。ところがこの4年間、値上げは一切していない。その秘密が徹底したコスト削減に加え、的確な為替予約だ。同社は今期(2016年2月期)、1ドル=約102円ですべての為替取引を予約済み。実勢より1ドル当たり20円ほども有利な相場だ。この4年で免れた為替差損は計1千億円にも上る。
○
輸入企業は軒並み為替予約をしているのに、なぜニトリHDが飛び抜けて成功しているのか。同社の為替予約は似鳥昭雄社長自身が決めている。「アナリストや金融機関も予想を間違うことがあるので、話は聞かない。先入観を捨て、欧米やアジアの経済情勢をみて判断する」と似鳥社長。経営者としての独自の嗅覚が成長を後押ししているというべきか。
■相場利用、商品より安く みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストの話
輸出入を手がける企業は大なり小なり為替予約をしていますが、ニトリHDのように現状の相場と大きく離れた(自社に有利な)水準で100%予約している企業は珍しい。
○
相場変動を利用して稼ぐのではなく、(ニトリHDのように)良い商品をより安く顧客に提供するのは、適切な経営戦略です。ニトリHDなど輸入企業にとって、コスト増になる円安が進んでいるうちは予約を固めることにメリットがあります。
○
ただ、もし予約した後に相場がコスト減になる円高に転じると、コストを高く固定してしまう危険性もありますね。
(以上、北海道新聞より引用)

ニトリの店頭に並ぶ座いす。箱には社名と「MADE IN CHINA」(中国製)の文字が見える=東京都北区のニトリ赤羽店

(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
私が以前から不思議に思っていたことです。
安倍政権になってから、
円安が進みました。
海外にものを売る企業には♡朗報♡ですが、
海外からものを仕入れて売る、
ニトリさんは、
どうやっているのだろう?
…と考えていました。
■ ■
医療関連メーカーも輸入する業者が多く、
私が知っている多くの社長さんは、
円安で困っています。
今日の道新を読んでわかりました。
ニトリHDも何もしなければ円安が1円進むごとに利益が15億円押し下げられる。
ところがこの4年間、値上げは一切していない。
その秘密が徹底したコスト削減に加え、的確な為替予約だ。
同社は今期(2016年2月期)、
1ドル=約102円ですべての為替取引を予約済み。
実勢より1ドル当たり20円ほども有利な相場だ。
この4年で免れた為替差損は計1千億円にも上る。
■ ■
わかりました、
しかも、
為替予約は似鳥昭雄社長自身が決めている。
「アナリストや金融機関も予想を間違うことがあるので、話は聞かない。
先入観を捨て、欧米やアジアの経済情勢をみて判断する」と似鳥社長。
経営者としての独自の嗅覚が成長を後押ししているというべきか。
ニトリの似鳥昭雄社長の鼻です。
すごい嗅覚です。
やっぱり札幌が生んだ世界のニトリです。