昔の記憶

若い人への助言

 もうすぐ60歳のじじいになって思うことです。
 若い人はいいなぁ~
 自分が若い時には…
 気付きませんでした。
 彼女もいなくて…
 不遇な青春時代もありました。
      ■         ■
 昨日の院長日記、
 プロポーズ大作戦という番組の思い出に書いた、
 男性5人、
 女性5人は、
 全員元気です。
 奥さんもご主人もいます。
      ■         ■
 どういう偶然か…?
 私たちだけが夫婦です。
 神さまは…
 時にいたずらがお好きなようです。
 たまたま…
 ご縁があっただけのことです。
      ■         ■
 今も昔も…
 生涯の伴侶を見つけるのは…
 上手な美容外科医を見つけるより…
 ずっと難しいと思います。
 この人はいいと思っても…
 売り切れていたらおしまいです。
      ■         ■
 若い人に伝えたいことは、
 よ~く考えなさい。
 あせって決めるんじゃない
 …という…
 …私の考えです。
      ■         ■
 結婚の条件という、
 2008年8月10日の院長日記に書いてあります。
 平成20年8月9日、朝日新聞朝刊、
 be on Saturdayの記事です。

 ゴーン道場
 結婚の条件
 深いきずなが必要
 ―結婚を長続きさせるコツを教えてください。
 難しい質問ですね。
 私は日頃から、
 娘には
 「急いで決めず、
 時間をかけて考えるんだよ」
 と言っています。
 伴侶を選ぶときは
 本当に真剣に考えたほうがいい。
      ■         ■
 ―まず、よく考えること?
 そうです。
 「初恋だから」
 なんて理由で
 結婚してはよくないよ、
 と言っています。
 親が子どもに
 「早く結婚しろ」
 なんてせかすのはもってのほか。
 子どもたちが
 本当に納得した上で
 結婚を決めないと
 意味がないのです。
 なぜなら、
 結婚は
 バラ色の楽しいことばかりではない。
 仕事や研究と同じで、
 モチベーションがないと
 長続きさせるのは難しいんです。
      ■         ■
 ―長続きさせるのに大事なことは?
 伴侶となる相手と
 深いきずながあること。
 同じ価値観や
 家族観、
 信仰
 などがきずなとなるでしょう。
 同じ国、
 文化、
 教会
 などで結婚した夫婦が
 長続きするケースが多いのは、
 そんな根本的な
 きずながあるからでしょう。
 見せかけのきずななら、
 最初の2、3の衝突で
 関係は破綻してしまいます。
      ■         ■
 ―恋愛感情だけでは難しいのですか。
 恋愛感情が悪いわけではないですが、
 それだけでは困ります。
 共通の価値観、
 優先順位など、
 共通項(commonality)が
 なければなりません。
 恋愛感情だけなら
 結婚する必要はないでしょう。
      ■         ■
 わざわざ結婚するのは、
 2人の間で
 家庭や価値観など、
 何かを共有したい、
 同じ人生を歩みたいと
 思うからでしょう。
 そうしたきずなが
 結婚の根拠となり、
 厳しい嵐を乗り切る
 船の支柱の役割を果たします。
 どんな夫婦にも、
 嵐は必ずやって来ますからね。
 (以上、朝日新聞より引用)

      ■         ■
 なかなか難しい課題です。
 お互いに最高だと思って結婚しても、
 あ〜ぁ
 と思うことがよくあります。
 私は結婚して失敗したとは思っていませんが、
 ♡らぶらぶ♡の期間は、
 長くは続きません。
      ■         ■
 前にも書きましたが…
 私は、
 どこまで許容できるか?
 …が一番のポイントだと思います。
 お互いの価値観を
 よく確認して、
 慎重に決めることが大切だと思います。 

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昔の記憶

プロポーズ大作戦という番組の思い出

 私が家内と出会ったのは、
 今、札幌美容形成外科を開業しているビルの1Fでした。
 改装リニューアルしたパーラーの奥に、
 アイスクリームを食べるコーナーがあります。
 昔、札幌へ来たら…
 雪印のアイスクリームがごちそうでした。
      ■         ■
 女の子5人の仲よしグループで…
 北海道にスキーに来ていました。
 グループの一人が共通の友人でした。
 『北海道に友だちとスキーに行くので、
 スキーができる人に教えてもらえない?』
 …と頼まれました。
      ■         ■
 私が友人を集め、
 総勢10人で…
 アイスクリームを食べに来て…
 自己紹介をしたのが…
 雪印パーラー1Fの奥でした。
      ■         ■
 プロポーズ大作戦という…
 バラエティ番組がありました。
 横山やすし・西川きよしさんの司会でした。
 番組の後半に、
 フィーリングカップル5対5という、
 お見合いがありました。
      ■         ■
 男性5人、
 女性5人が、
 学校対抗形式で左右に分かれていました。
 自分のことや…
 学校生活などについて自由に話をして…
 最後に男女がそれぞれ気に入った相手を指名し、
 フィーリングが合うと…
 電光掲示板が光るという仕掛けでした。
      ■         ■
 私たちは…
 このフィーリングカップルを真似て…
 5人で楽しく話したのを記憶しています。
 この時に…
 5人の中にいたのが、
 当時、早稲田大学の学生だった…
 金井創くんでした。
      ■         ■
 私たち5人は…
 1組も…
 フィーリングカップルにはなりませんでした。
 2人ずつ…
 くじ引きで写真を撮りました。
 今の家内といっしょに写真に納まったのが、
 金井くんでした。
 私の楽しい青春時代の思い出です。

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昔の記憶

思い交わしたノート

 平成24年8月14日、朝日新聞朝刊、
 ひとときへの投稿です。
 ■思い交わしたノート
 昨年の大震災の後に、夫とアルバムの整理をした。結婚生活45年分の重たいアルバム17冊を、半年ほどかけて軽い小型の10冊に収めた。
 今年は、夫婦の「二人史」のために、投書や書きためたものを一つにまとめてみようと、学生時代のノートを読み返し始めた。
 すると夫が、二つの茶色の箱を私の前に置いた。一つには、1961年3月3日付の封書を先頭に、私が彼に出した封書とはがきが50通入っていた。はがきが5円、封書が10円。けんかの後には謝罪の気持ちを早く伝えようと思ったのか、速達も4通あった。
 もう一つの箱には、翌年8月11日から結婚まで、4年間の交換日記のノートが22冊入っていた。
 残っているなんて思っていなかったが、きちょうめんな夫は、4回の転居があっても大事にとっておいてくれたのだ。家に電話のない時代に、心を通わせていた50年前の交換ノートを読み返すと、「一緒に仲良く70歳まで生きられたらいいね」とあった。
 その70歳を超えた2人。「あと10年は生きよう」と約束し、手紙と交換ノートは、先に逝く者のひつぎに入れることに決めた。
 千葉県四街道市、秋山久子_主婦71歳
      ■         ■
 私も几帳面な夫の一人です。
 34年前の封書が…
 家のダンボール箱に入っています。
 結婚前は、
 家内は兵庫県西宮市に住んでいました。
 今でいう遠恋(えんれん)です。
      ■         ■
 当時は携帯電話もなく、
 家電があるだけ。
 しかも…
 札幌⇔西宮の通話料金は…
 驚くほど高く…
 確か一分1,000円程度した記憶があります。
      ■         ■
 電話なんてした記憶は…
 ほとんどありません。
 せっせと手紙を書いていました。
 手紙は書き直せますし…
 まずっ
 …と思ったら投函前に止めることもできます。
      ■         ■
 手紙には…
 いいことしか書きません
 家内いわく…
 お互いによく知らなかったから…
 (お互いにだまされて…)
 結婚したんじゃないか?と…
 そんなのはお互い様です。
      ■         ■
 ひとときへ投稿なさった、
 秋山様ご夫妻は…
 70歳を超えられて…
 まだまだ…
 ♡仲良し♡のようです。
 素敵なご夫妻です。
 私たちも秋山様を見習って…
 先に逝く者のひつぎに入れたいと思います。
 今日、帰ったら探してみます。

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院長の休日

金井くんのお父様が亡くなりました

 札幌西高校で同級生だった、
 金井創(かないはじめ)くんのお父様、
 金井輝夫様がお亡くなりになりました。
 こころからご冥福をお祈りいたします。
 金井輝夫様は、
 日本基督教団札幌教会の牧師さんでした。
      ■         ■
 高校生の時…
 金井くんと同級だったのに…
 一度も金井くんの教会に行ったことはありませんでした。
 私が教会に行ってみようと思ったのは、
 解剖学実習を控えて…
 医学部が不安になっていた…
 2年生の頃でした。
      ■         ■
 いきさつは忘れてしまいましたが…
 高校2年生の時に同級だった…
 高橋くんに誘われた記憶があります。
 確か…
 俺、教会に行ってみようか?と思うんだけど…
 じゃ、金井の家(かないんち)へ行ってみよう…
 …という感じだったように記憶しています。
      ■         ■
 その時、
 当の金井君は早稲田大学の学生でした。
 金井はいないのに…
 金井くんの教会に行ってみました。
 私を金井くんの教会に連れて行ってくれた…
 高橋くんは…
 立教大学の学生でした。
      ■         ■
 はじめて行ったのに…
 金井くんのご両親は、
 私たちを大歓迎してくださいました。
 高橋くんといっしょに…
 何度もお母さんの手料理をごちそうになりました。
 食事の前にはお祈りをして…
 とても美味しくて楽しい時間でした。
      ■         ■
 20代前半の…
 私の理想の家庭でした。
 ローリーというダックスがいて、
 いつも笑顔のあたたかいご家庭でした。
 自分が家庭を持つ時は…
 金井くんの家のようにしたい…と思っていました。
      ■         ■
 金井輝夫様はとても立派な牧師さんでした。
 何度か日曜日の礼拝でお聞きしました。
 よく通るやさしい声でした。
 もう声をお聞きすることができないのが残念です。
 こころからご冥福をお祈りしています。

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医学講座

消費税と美容外科

 昨日の院長日記では、
 消費税と病院経営について書きました。
 美容外科は自由診療なので…
 消費税がかかります。
 消費税は…
 患者さんからお預かりして…
 クリニックがまとめて納税します。
      ■         ■
 昨日は100均を例にとって…
 消費税の納税額を説明しました。
 100均が、
 100円の商品を…
 80円で仕入れたとします。
 80円で仕入れた時に、
 消費税がかかっているので、
 実際には84円で仕入れています。
 この時に…
 4円の消費税を支払っています
      ■         ■
 100均が…
 税務署に納税する消費税は…
 お客さんからお預かりした…
 5円から
 仕入れの時に払った4円を引いた
 1円だけです
      ■         ■
 美容外科はどうでしょうか?
 美容外科の売上原価のうち…
 おそらく最も比率が高いのが…
 医師や看護師への給与です。
 給与に付随して…
 社会保険料なども納めます。
 給与や社会保険料には…
 消費税はかかりません。
      ■         ■
 美容外科で支払う経費で大きなのが…
 広告宣伝費です。
 フリーペーパーに見開きで広告を掲載すると…
 札幌市内ですら…
 最低525,000円はします。
 このうち…
 25,000円が消費税です。
      ■         ■
 私の推測ですが…
 チェーン店の美容外科でしたら…
 105万円の手術を売ったら
 お客さんから預った…
 5万円の消費税のうち…
 4万円は納税することになると思います。
      ■         ■
 原価に占める人件費など…
 非課税の費用が増えれば増えるほど…
 納税しなくてはいけない…
 消費税が増えます。
 これから開業を考えている先生は、
 開業前に…
 よく消費税の勉強をなさることをおすすめします
      ■         ■
 私は、
 消費税のことは詳しくないので…
 経理をお願いしている、
 アトラス総合事務所にお任せしています。
 こちらの…
 週刊なるほど!消費税は、
 とても勉強になります。
 同業者や税務署まで…
 なるほど!消費税を読んでいるようです。
 信頼できる会計事務所です

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医療問題

消費税と病院経営

 とうとう消費税が上がることになりました。
 政治家は…
 うそつきです。
 消費税は上げませんと選挙の時に言っていたのに…
 あれよあれよという間に…
 増税が決まりました。
 ますます不景気になります。
      ■         ■
 病院の医療費は…
 保険診療だったら非課税だから…
 病院の先生には関係ないじゃん。
 患者さんだって…
 負担が増えるわけじゃないから…
 減ることはないだろうし…
 …とお考えの方もいらっしゃると思います。
      ■         ■
 消費税に関して…
 国民の大きな誤解があります。
 コンビニで買い物をしたら…
 100円で5円の消費税がつきます。
 私が好きな100均でも…
 お金を払う時は105円です。
      ■         ■
 この5円は…
 どうなるか知っていますか?
 5円の消費税は…
 お店がお預かりして…
 税務署へ支払います。
 札幌美容形成外科でも…
 患者さんからお預かりした消費税を…
 札幌中税務署に支払っています。
      ■         ■
 それでは…
 100均は…
 100円のものを一個売ったら…
 5円をまるまる税務署に支払うのでしょうか?
 答えはNOです。
 えぇ…うそでしょと思います。
 私も開業するまではよく知りませんでした。
      ■         ■
 100円の商品を…
 80円で仕入れたとします。
 80円で仕入れた時に、
 消費税がかかっているので、
 実際には84円で仕入れています。
 この時に…
 4円の消費税を支払っています。
      ■         ■
 100均が…
 税務署に納税する消費税は…
 お客さんからお預かりした…
 5円から
 仕入れの時に払った4円を引いた
 1円だけです。
      ■         ■
 病院の収入は…
 大部分が保険診療なので非課税です。
 患者さんからは消費税をお預かりしません。
 ところが…
 問屋さんに払う薬代、
 検査会社に払う検査代、
 高額な医療機器代金、
 建物の修繕にかかる費用、
 すべてに消費税がかかります。
      ■         ■
 保険診療をしている病院は、
 消費税が増税されると…
 経費に占める税金が増えます。
 はっきり言うと…
 赤字の病院が増えます。
 景気が悪くなると…
 少しくらい具合が悪くても…
 病院にかからなくなります。
      ■         ■
 消費税がUPされると…
 ふところがさみしくなった人は…
 医療費も減らそうとします。
 病院へ通う交通費も負担になります。
 病気でも…
 病院にかかれない人が増えます。
 消費税がUPされたら…
 ますます病院経営は大変になるというのが…
 私の予測です。

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医学講座

開業への思い⑦

 JA帯広厚生病院に勤務しながら…
 武藤靖夫先生に美容外科を教えていただきました
 教えていただくと言っても…
 武藤先生の手術を…
 見せていただくのがメインです。
 大部分の患者さんは…
 武藤先生の長年のお客様です。
      ■         ■
 たまに…
 息子さんですか…?
 …と笑顔で聞かれる、
 上得意のお客様もいらっしゃいました。
 私:いいえ、息子ではありません。
 ご子息は東京にいらっしゃいます。
 その頃、ご子息の武藤英生先生は…
 母校で脳神経外科医をなさっていらっしゃいました。
      ■         ■
 美容外科の手術は局所麻酔です。
 突然、若い息子のような先生が来て…
 大先生の代わりに手術という訳にはいきません。
 私が担当させていただいたのは…
 わきが手術や…
 コラーゲンの注射でした。
 二重埋没法の手術などは…
 武藤靖夫先生ご指名の患者さんです。
 私は横や後ろから…
 ひたすら先生の手を見ていました。
      ■         ■
 私はたくさんのことを教えていただきました。
 北大形成外科の先輩と一番違ったのは…
 患者さんへの接し方でした
  『患者さんではなく、お客様です』
 忘れられない言葉です。
 先生が怒った顔を見たことがありませんでした。
 怒りんぼの私には…
 やっぱり向いていないかなぁ~
 …とも思いました。
      ■         ■
 私は平成10年4月から8月まで、
 札幌中央形成外科副院長として勤務しました。
 帯広から通った期間を含めると…
 約1年半の間…
 武藤靖夫先生から美容外科を教えていただきました。
 平成10年9月から、
 私は札幌医大から形成外科講師として、
 再び形成外科医になりました。
 私の開業への思いはここでまた途絶えました。
 札幌中央形成外科は、ご子息の英生先生が
 後継者となられました。


武藤靖夫先生

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医学講座

開業への思い⑥

 形成外科だけでの開業は難しそう…
 美容外科を覚えたいけれど…
 どうやって覚えたら良いかわからない。
 チェーン店の美容外科へ…
 アルバイトに行くなど…
 自殺行為に等しいと考えていました。
 JA帯広厚生病院の主任部長が、
 美容整形でバイトなど…
 私には考えられませんでした。
      ■         ■
 私と同年代の形成外科医で…
 現在、美容外科をやっている先生の中には、
 美容外科でアルバイトをして…
 知識と技術を身につけた先生もいらっしゃいます。
 度胸がある先生は、
 ○○市民病院形成外科などに勤務しながら…
 有名な美容外科に行っていた先生もいます。
      ■         ■
 私は、
 北海道の帯広という地方都市だったこともあり…
 美容外科を修行できるとは考えていませんでした。
 せいぜい、学会の講習会に参加する程度でした。
 自分の将来について悩んでいた時、
 平成9年4月に一通の速達が届きました。
 家内が私のPHSに電話してきました。
 (当時、携帯は高価だったのでピッチを使っていまいした) 
      ■         ■
 私が東京の学会へ出張中、
 札幌中央形成外科の、
 故武藤靖夫先生から
 帯広の自宅にお手紙ををいただきました。
 その手紙には、
 副院長として札幌中央形成外科へ迎えたいという、
 私には身に余る光栄な内容が書かれていました。
      ■         ■
 私は、妻や両親とも相談して、
 武藤先生ご夫妻とお会いしました。
 武藤靖夫先生といえば、
 図説整容外科学の著者で、
 埋没法による重瞼術を…
 British Journal of Plastic Surgeryという、
 英国形成外科学会誌で発表された、
 美容外科の大家です。
      ■         ■
 武藤靖夫先生は
 市立札幌病院に勤務していた時に、
 一度、手術を見学させていただき…
 無理だとあきらめたほど、
 やさしくてすばらしい先生です。
 自分には雲の上の存在でした。
 その先生から誘っていただけるとは…
 夢にも考えていませんでした。
      ■         ■
 すぐにでもJA帯広厚生病院を退職して、
 札幌中央形成外科に就職したい気分でした。
 ところが…
 立場上…
 私の後任が決まって…
 しっかり引き継ぎをしなければ…
 簡単には退職できません。
      ■         ■
 北大形成外科の杉原平樹教授に退職の許可をいただき、
 一年後の
 平成10年4月に
 私は札幌中央形成外科の
 副院長に採用していただきました。
 副院長に就任するまでは、
 毎週、土曜日や休日に
 帯広から札幌まで通い、
 武藤先生に手術を教えていただきました。


札幌中央形成外科副院長時代
武藤靖雄先生撮影

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医学講座

開業への思い⑤

 形成外科だけでは…
 食べて行けない…
 形成外科で開業しても…
 お客さん(患者さん)が来てくださらないと…
 あっという間に倒産です。
 子どももまだ小さいのに…
 借金を抱えて倒産はしたくありません。
      ■         ■
 北大形成外科の同門には…
 何人か開業した先輩がいらっしゃいます。
 先生は何も話さなくても…
 奥様から…
 大変です
 …と伺うことがありました。
      ■         ■
 美容外科もやったら…
 もうかるという考えも大きな誤りです。
 高価な…
 外国製の…
 痩身レーザーを…
 リースで入れて…
 いけいけどんどんで儲けようなんて…
 絶対に止めるべきです。
 簡単に痩せる器械なんてありません。
      ■         ■
 開業を考えた時に…
 一番良い方法は…
 同業で成功している先生のクリニックを…
 じっくりと見せていただいて…
 自分の考えている医療が…
 採算に合うか検討することです。
      ■         ■
 整形外科の先輩などは…
 開業前に何軒か…
 自分と同じ規模のクリニックを見学され、
 導入する医療機器や…
 採用する職員数など…
 綿密に計画を練って成功した先生がいました。
      ■         ■
 残念なことに…
 日本全国で…
 形成外科単独で開業していて…
 私が見学させていただけるような病院が…
 なかなか見つけられませんでした。
 JA帯広厚生病院は忙しい病院でしたが、
 自分の技量で…
 患者さんが多かったのではありません。
      ■         ■
 一人になって開業した時に…
 うまくやっていけるだろうか?
 この不安のために…
 なかなか開業の踏ん切りがつきませんでした。
 美容外科の修行など…
 帯広にいては…
 夢のまた夢でした。

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医学講座

開業への思い④

 30代で一度開業をあきらめた私が、
 再び開業を考えたのは…
 JA帯広厚生病院に勤務して…
 一年半が過ぎた頃だったでしょうか…?
 医療ミスの経験という…
 2010年2月23日の院長日記に書いてあります。
      ■         ■
 私には苦い経験があります。
 私がJA帯広厚生病院の
 形成外科主任部長だった時のことです。
 JA帯広厚生病院は、
 十勝地方で最大規模の病院です。
 夜間の救急患者さんも診ていました。
 形成外科の夜間の担当は…
 2年目の形成外科医でした。
      ■         ■
 私の下に形成外科専門医が一人いて、
 3人体制で形成外科を担当していました。
 夜間は、
 病院の近くに住む若い医師が呼ばれて、
 患者さんの診察や手術をしていました。
 自分で手に負えないと判断すると、
 私の次の先生を呼ぶのが…
 当時の暗黙のルールでした。
      ■         ■
 若い先生は、
 有名国立大学を卒業し、
 医師国家試験も一発で合格した…
 ‘優秀な’先生でした。
 残念なことですが…

 私が‘こうしてはいけない’と
 口うるさく注意していた
 医療ミスをしてしまいました。
 実に単純なミスでした。
      ■         ■
 次の日の外来で…
 そのミスに気付きました。
 外来が終了してから、
 私に報告がありました。
 幸い後遺障害にはなりませんでした。
 私は担当副院長に報告し、
 医事担当次長、
 医事課長と相談しました。
      ■         ■
 ベテランの事務方は、
 事故の対応にも慣れていらっしゃいました。
 事務次長が菓子折りを準備してくれました。
 私は研修医と一緒に…
 患者さんのご自宅まで…
 謝りに行きました。
 幸い後遺障害がなかったこと、
 痛みもなく、
 キズも治ったので、
 患者さんからは訴えられませんでした。
      ■         ■
 それどころか…

 『そんなに謝らないでください』
 『言われなければ…』
 『私はミスに気付きませんでした』
 とまで言ってくださいました。
 この事例は…
 明らかに医療者側に原因がある、
 医療ミスでした。
      ■         ■
 今の医学教育や、
 臨床研修システムでは、
 自分が医療ミスを起こした時に、
 どのように対処して…
 誰に報告して…
 どう謝ったらよいか…
 なんてことは教えません。
 ベテラン医師でも…
 患者さんの家まで、
 謝りに行った先生は少ないと思います。

      ■         ■
 こんな事件や…
 子どもが中学生になり…
 高校進学を考える時期になったこともあり、
 私はまた開業を考えるようになりました。
 形成外科で開業した先輩や後輩に聞きました。
 形成外科だけで…
 食べて行くのは大変ですよ…
 みんな口々に言いました。
      ■         ■
 確かに…
 私が市立札幌病院皮膚科で…
 形成外来(けいせいがいらい)を担当した時も…
 皮膚科からや…
 救急部からの患者さんがいらっしゃらなければ…
 閑古鳥が鳴く日もありました。
      ■         ■
 先輩や形成外科仲間のアドバイスは…
 開業するなら…
 美容外科をやらなければ…
 …という貴重な助言でした。
 JA帯広厚生病院形成外科主任部長でも…
 美容外科の経験はありません。
 どうやって覚えようか…
 悩んだ時期でした。

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