医学講座

眼瞼下垂症講座⑮【手術費用】

 眼瞼下垂症講座⑩【病院選び】に書きました
 健康保険で手術を受けると、
 日本全国どこでも同じ料金です。
 初診にかかる費用が…
 若干違うこともありますが、
 有名国立大学附属病院でも… 
 東京の有名な病院でも…
 手術料金は同じです。
 厚生労働省が決めた料金です。
      ■         ■
 厚生労働省が…
 医科点数表という…
 診察や手術、検査などを決めた…
 料金表を出しています。
 この中にある、
 K219(けー・にーいちきゅう)
 眼瞼下垂症手術(がんけんかすいしょうしゅじゅつ)
 1眼瞼挙筋前転法(がんけんきょきんぜんてんほう)
 7,200点
 というのが一般的な眼瞼下垂症手術です。
      ■         ■
 7,200点というのは、
 1点が10円に相当するので…
 7万2千円ということです。
 これが片目の手術料金です。
 3割負担の方でしたら…
 72,000円×0.3=21,600円が…
 片目の手術料金になります。
 2010年4月からは…
 診療報酬の明細が出るようになったので、
 手術料金などがおわかりになると思います。
      ■         ■
 実際には…
 手術料金の他に…
 初診料、血液検査料、
 再診料、お薬代…
 などがかかります。
 札幌美容形成外科では、
 両目を手術した場合…
 初診から抜糸までで…
 3割負担の方で約5万円程度です。
      ■         ■
 70歳以上の高齢者の方で…
 1割負担の方ですと…
 両目で…
 約1万5千円程度が目安です。
 手術の時に…
 埋没法の糸を何本取っても…
 追加料金はいただけません。
 国が決めた規定なので…
 医療機関側のサービスになります。
      ■         ■
 ご高齢の方で…
 たくさん皮膚が余っていて…
 余った皮膚を切り取って
 『たるみ』も取っても…
 追加料金を請求すると…
 違法になります。
 眼瞼下垂症手術は…
 目を見やすくする手術なので…
 『たるみ』を取る手術は自費で…
 プラス20万円です。
 というのは違法です。
      ■         ■
 医療機関側にしてみると…
 皮膚をたくさん取る手術は時間がかかります。
 両目で3時間かかったとしても…
 手術料金は同じです。
 先天性片側眼瞼下垂症で、
 左右の調節が難しい方は…
 私がやっても…
 片目で2時間以上かかることもあります。
 それでも手術料金は同じです。
      ■         ■
 眼瞼下垂症講座⑩【病院選び】
 や
 眼瞼下垂症講座⑬【再手術】
 にも書きました。
 眼瞼下垂症手術は、
 簡単な手術ではありません。
 とても奥が深い手術です。
 眼科医専門医と相談して…
 手術を決めることもあります。
 何度も言いますが…
 他の先生がしたトラブル症例の…
 再手術はとても難しいのです。
 【彼氏】【彼女】を選ぶ時と同じように
 執刀医は慎重に選んでください。

“眼瞼下垂症講座⑮【手術費用】”へのコメントを見る

医学講座

眼瞼下垂症講座⑭【左右差】

 眼瞼下垂症手術で、
 もっとも難しいのが、
 片側性の先天性眼瞼下垂症です。
 簡単に言うと…
 片目だけ…
 生まれつき… 
 開きが悪い方の手術が難しいのです。
      ■         ■
 片方の目は正常なので、
 ふつうに開きます。
 片目だけ…
 眼瞼挙筋という筋肉が…
 生まれつき動かないか…
 筋肉の機能が悪い人がいます。
 片側だけ治せばいいんだから…
 先生、簡単じゃん!
 と思われるかもしれませんね。
      ■         ■
 ところが…
 目は左右対称で…
 はじめて美しく見えます。
 ちょっとでも…
 左右差があると…
 どうして…?
 左右差を治せないの…?
 治すのが…
 プロの腕でしょ?
 と思われます。
      ■         ■
 私が患者さんだった、
 もちろんそう思います。
 ごもっともなことです。
 ところが…
 もともと挙筋機能が悪い目を…
 無理やり開くようにすると…
 目が閉じなくなります。
 目が閉じないと…
 角膜にキズをつくります。
 キズができなくても…
 乾きやすくなります。
      ■         ■
 片目が正常でぱっちり二重。
 もう片方の目が…
 半分も開かない目。
 開かない目を…
 開くようにしてほしい…!
 と思うのは…
 女性だけではありません。
 片目が開かないと、
 日常生活でも不自由です。
      ■         ■
 なんとか…
 角膜にキズがつかないように…
 左右差をなくするように…
 手術をしますが…
 かなり大変な手術です。
 最後に困るのが、
 下を向いた時です。
 無理に開くようにした目は… 
 下を向いた時に白目が出ます。
      ■         ■
 手術後しばらくは…
 白目に気付かれないように…
 下を向く時は…
 必ず頭を下げて…
 お辞儀をするように…
 …と指導いたします。
 もともと左右差がある人を、
 左右差をなくするように…
 手術するのが私の仕事です。
 でも無理なこともあります。
 眼瞼下垂症手術は奥が深い手術です。
      ■         ■
 今日は東京でレーザーの研究会がありました。
 日帰りで…
 先ほど帰宅しました。
 東京はあたたかでした。
 更新が遅くなり
 申し訳ございませんでした。
 研究会の内容は…
 後日ご報告いたします。

“眼瞼下垂症講座⑭【左右差】”へのコメントを見る

医学講座

眼瞼下垂症講座⑬【再手術】

 眼瞼下垂症は、
 再発することがあります。
 加齢によってまた皮膚が伸びる。
 コンタクトを使い続ける。
 アレルギーで目をこする。
 調節した挙筋腱膜が伸びてしまう。
 さまざまな理由で…
 再発することがあります。
      ■         ■
 頻度は多くありませんが、
 私が手術をさせていただいた方でも、
 再手術となることがあります。
 自分で手術した方は…
 手術前の写真もありますし…
 手術記録もあります。
 前の手術で…
 どこをどう直したか…?
 正確にわかります。
      ■         ■
 再手術になっても、
 前の手術のことがよくわかります。
 今度は再発しにくいように、
 より慎重に…
 よりしっかりと固定をして…
 少しでも再発を少なくします。
 患者さんとの信頼関係もできており…
 手術はスムーズに進みます。
      ■         ■
 チェーン店安売りで…
 なんちゃって美容外科医がした…
 二重埋没法が取れた患者さん。
 眼瞼下垂症の方は、
 埋没法では二重になれません
 糸を除去する手間はかかりますが、
 一回埋没法を受けた程度でしたら…
 再手術は比較的容易です。
 眼瞼下垂症手術は切る手術ですが、
 埋没法より腫れが少なかった
 という方もいらっしゃいます。
      ■         ■
 札幌市内のチェーン店美容外科でしたら、
 いつ…
 どこで手術を受けたか…?
 覚えていてくださると…
 埋没法の糸の位置など…
 見なくても見当がつきます。
 まぶたの裏に無数にキズがあるような…
 何度も手術を受けた人は大変ですが、
 それでも埋没法でしたら何とかなります。
      ■         ■
 再手術が難しいのが…
 他の形成外科専門医がした手術です。
 眼瞼下垂症手術は難易度が高い手術です。
 形成外科専門医でも…
 手術が上手な先生ばかりではありません。
 残念なことですが…
 訴訟になっている例もあります。
 形成外科専門医には、
 信じてはいけない人もいます。
      ■         ■
 私が手術を担当させていただいた方が、
 他の先生にお世話になることもあると思います。
 私の手術が100%完璧というのではありません。
 ただ…
 同じ形成外科専門医として…
 あまりにもお気の毒…
 という方がいらっしゃいます。
 何度も申し上げますが…
 クリニック選びだけは…
 くれぐれも慎重になさってください。
 他の先生がしたトラブル症例の…
 再手術はとても難しいのです。

“眼瞼下垂症講座⑬【再手術】”へのコメントを見る

医学講座

眼瞼下垂症講座⑫【コンタクト】

眼瞼下垂症講座⑫は
コンタクトレンズと眼瞼下垂症についてです。
2007年5月4日に…
眼瞼下垂症とコンタクト
という日記があります。
コンタクトを使うと…
すぐに眼瞼下垂症になるのではありません。
何十年も使うと…
眼瞼下垂症になる人がいます。
ならない人もいます。
      ■         ■
圧倒的に多いのが…
ハードコンタクトレンズを…
20~30年も使った方です。
20歳頃から使い出したとして…
ちょうど私と同年代か…
もう少し若い方にもいらっしゃいます。
20歳台で…
コンタクトで眼瞼下垂になるのはマレですが…
30歳台で治療した方は
何人もいらっしゃいます。
      ■         ■
コンタクトで下垂になる…
患者さんの目には…
特徴があります。
目が大きくて…
美しい
美人に多い傾向があります。
もう少し医学的に言うと…
目が大きくて…
眼球が少し突出していて…
瞼が薄い方です。
      ■         ■
目が大きくて少し出ていると…
それだけコンタクトで…
まぶたが圧迫されます。
どんなに丈夫な瞼(まぶた)でも、
何十年もコンタクトで圧迫されると…
すり切れます。
それがコンタクトによる眼瞼下垂症です。
目が大きくて…
美人
コンタクトによる…
下垂になりやすいというのは…
本間説です。
エビデンスはありません。
私の経験による印象だけです。
      ■         ■
コンタクトを処方していただく時。
コンタクトを買うとき。
何十年も使い続けると…
まぶたが開かなくなりますょ~
とは言われません。
まさか…?
どうして…?
最近、三重になった…
眉の下が窪んだ…
こんな症状で受診される方が…
多数いらっしゃいます。
      ■         ■
私は、
眼科の先生に、
コンタクト以外で矯正視力を維持する方法を伺い、
眼科的な異常がないことを確かめてから、
手術を検討するようにしています。
コンタクトを使い続けると…
また下垂になることも考えられます。
レーシックは、
眼科医によって考え方が違うようです。
私は慎重な立場です。


厚いハードコンタクトは まぶたの負担になります

“眼瞼下垂症講座⑫【コンタクト】”へのコメントを見る

医学講座

眼瞼下垂症講座⑪【入院】

 お電話で
 『入院は必要ですか…?』
 というお問い合わせをいただきます。
 札幌美容形成外科には…
 入院施設はございません。
 もし入院をご希望でしたら…
 入院設備がある病院をご紹介しています。
      ■         ■
 私が形成外科勤務医だった頃は…
 入院して…
 眼瞼下垂症手術や、
 わきが手術をしていました。
 JA帯広厚生病院、
 市立札幌病院、
 札幌医科大学附属病院、
 で入院手術をしていました。
      ■         ■
 理由の一つは…
 当時、目の手術は…
 私がしても…
 かなり腫れました。
 昔、手術を受けていただいた方には、
 大変申し訳なく思っています。
 技術は進歩しました。
      ■         ■
 10年前でも…
 通院で手術をしたこともありました。
 ご自宅で安静にしていられる方です。
 入院していただいても…
 特別な処置はいたしません。
 ベッド上で休んでいただいているだけです。
 逆に…
 今でも入院手術を…
 おすすめすることもあります。
      ■         ■
 一人暮らしで…
 他にも病気があって…
 足腰が弱くて… 
 一人で通院ができない方など…
 入院なさって…
 手術を受けられると…
 キズの治りがよいと考えられる時です。
 年に数人は病院をご紹介しています。
      ■         ■
 眼瞼下垂症講座⑨【切開の長さ】
 に書いたように…
 ごみ出し
 掃除
 洗濯
 ご飯の支度
 最低一週間はお休みです。
      ■         ■
 年中無休
 有給休暇なし
 の方には、
 眼瞼下垂症手術の後くらい…
 ゆっくりと音楽でも聴いて…
 ご自宅で目を閉じて休んでください。
 とご説明しています。
 自分の家には、
 好きな音楽もあるし…
 ペットが居ることもあります。
 要は安静にしていることです。

“眼瞼下垂症講座⑪【入院】”へのコメントを見る

医学講座

眼瞼下垂症講座⑩【病院選び】

 眼瞼下垂症手術は、
 医師免許さえあれば…
 誰でも手術することができます。
 専門医でなくてもOK!
 形成外科医、
 美容外科医、
 眼科医、
 外科医、
 誰がしても違法ではありません。
      ■         ■
 保険医療機関であれば、
 どこの病院や診療所でもできます。
 法律上の規制はありません。
 美容目的の手術でなければ…
 保険医療機関では、
 保険適応で手術が受けられます。
 これからの高齢化社会では、 
 需要が多い手術です。
      ■         ■
 大手美容外科は、
 保険医療機関ではありません。
 有名な美容外科では…
 保険で受ける料金の…
 何倍もするところもあります。
 有名な先生や院長は…
 ‘割増’料金がかかるところもあります。
 美容外科は…
 自由診療なので…
 100万円でも‘合法’です。
      ■         ■
 眼瞼下垂症の手術は、
 簡単な手術ではありません
 私が手術をしても、
 すべての患者さんに…
 100%…
 ご満足いただいているのではありません。
 下垂が再発して再手術したこともあります。
 腫れが長い間続いたこともあります。
 腫れを取るための軟膏で、
 かぶれたことが…
 腫れの原因になったこともあります。
      ■         ■
 保険医療機関で手術を受けると、
 形成外科でも、
 眼科でも、
 手術料金は同じです。
 通院でするか?
 入院でするか?
 通院回数などによって、
 総費用は変わりますが…
 ‘基本料金’は同じです。
      ■         ■
 【病院選び】で大切なのは、
 自分が望んでいる目と…
 その先生が得意とする目が…
 同一かどうか…
 ということだと思います。
 自動車を買う時に…
 カタログを見て…
 実物を見て…
 検討して買うのと同じです。
      ■         ■
 インターネットが発達したおかげで、
 世界中から
 ホームページを見ることができます。
 ホームページに出ているが、
 自分が望んでいるかどうか…
 よく見て検討なさって…
 実際にクリニックへ行って…
 先生と会って…
 信頼できる先生かどうか…
 よく見極めてください。
 【彼氏】【彼女】を選ぶ時と同じです。
 慎重に選んでください。

“眼瞼下垂症講座⑩【病院選び】”へのコメントを見る

医学講座

眼瞼下垂症講座⑨【切開の長さ】

加齢による眼瞼下垂症では、
皮膚が余って伸びています。
どんなに高価な…
カシミヤのセーターでも…
長年着ていると…
伸びてしまうのと同じです。
人間の皮膚も…
加齢とともに伸びます。
      ■         ■
伸びた皮膚は…
丈(たけ)を詰める必要があります。
つまり…
余っている皮膚を切り取ります。
どんなに丁寧に手術をしても、
切開の長さが長くなり…
切り取る皮膚が多くなると…
手術後の腫れが強くなります。
      ■         ■
若い方と、
高齢者では、
キズの治りも違います。
高血圧などがあって、
手術中の血圧が高い。
緊張しやすい性格で…
手術中に血圧が上がる…
などで皮下出血の程度も異なります。
      ■         ■
長い切開が必要な…
ご高齢の方は…
手術から一週間程度は、
醜いアヒルの子状態になります。
鏡を見ると…
手術しなければよかった…
なんて思う人もいます。
美しい白鳥になるまで…
一ヵ月以上かかります。
      ■         ■
プチ整形のようなつもりで…
簡単に治ると思っていらっしゃる方には…
すぐに手術をおすすめしません。
十分に休みが取れる時期に…
手術を受けてくださいとご説明いたします。
ごみ出し
掃除
洗濯
ご飯の支度
最低一週間はお休みです。
      ■         ■
年中無休
有給休暇なし
の主婦の方には、
眼瞼下垂症手術の後くらい…
ゆっくりと音楽でも聴いて…
ご自宅で目を閉じて休んでください。
とご説明しています。
腫れが取れたら…
旅行でも…
温泉でも…
同窓会でも…
ゆっくり参加なさってください。
視界が広くなりよく見えるようになります。


手術前です


切除する皮膚です


手術一ヵ月後です
まだ腫れが残っています

“眼瞼下垂症講座⑨【切開の長さ】”へのコメントを見る

医学講座

眼瞼下垂症講座⑧【安静】

 昨日の日記に…
 先日手術を受けていただいた
 看護師さんからコメントをいただきました。
 ありがとうございました。
 以前に埋没法を受けた時より、
 腫れが少なかったとお褒めいただきました。
 腫れには個人差があります。
 脂肪切除をしたり、
 抜去する糸が多いと、
 腫れは大きくなります。
      ■         ■
 手術後の腫れには…
 患者さんご自身の安静度も関係します。
 手術してすぐに携帯を取り出し…
 ご自分の目を写真に撮り…
 携帯で…
 必死にメールしているような方は…
 どうしても腫れが強くなります。
 看護師さんは、
 しっかり安静を守っていただいたので…
 私が驚くほどキズがきれいでした。
 さすがプロです。
      ■         ■
 包丁で指を切ったとします。
 絆創膏を当てて…
 指を使わないでじっとしていると…
 キズはキレイに治ります。
 無理に指を使って、
 料理や…
 掃除などをすると…
 指の傷は治らず… 
 キズも痛くなります。
      ■         ■
 目も同じです。
 目を使ってものを見ると、
 瞼は動きます。
 キズが落ち着くまで…
 じっとしていてくださると…
 赤味もなくキレイに治ります。
 パチパチ目を動かすと…
 キズがくっつかず赤味が出ます。
      ■         ■
 少しでも赤味を少なくして…
 早く治したければ…
 手術後一週間は… 
 何もせずに…
 音楽でも聴いて…
 休んでいらしてください。
 そうすると…
 キレイに治ります。
      ■         ■
 抜糸したら…
 キズがくっついていると思うのは誤りです。
 キズがしっかりくっついて
 安定するまでには…
 3~6ヶ月もかかります。
 抜糸した後も…
 キズに無理な力をかけないで…
 そっと薬を塗ってあげるのが…
 きれいに治るコツです。
      ■         ■
 若い方の眼瞼下垂症手術と、
 皮膚が余っている方の
 眼瞼下垂症手術は違います。
 皮膚切除をすると…
 どうしても腫れや出血が多くなります。
 切る長さが長くなればなるほど…
 手術後の腫れは強くなります。
 手術後の安静期間も長く必要になります。
 簡単な手術ではないので…
 手術時期は慎重に決めてください。

“眼瞼下垂症講座⑧【安静】”へのコメントを見る

医学講座

眼瞼下垂症講座⑦【顕微鏡】

 若い人の眼瞼下垂症手術では、
 私は1~1.5㎝程度の切開しかしません。
 挙筋腱膜(きょきんけんまく)という、 
 眼瞼挙筋モーターについている、
 ひもを調節する手術です。
 大きく切らなくても、
 ひもは調節できます。
      ■         ■
 私自身が勤務医だった頃は、
 若い人の手術でもかなり腫れました。
 切開も長かったです。
 瞼には細かな血管がたくさんあります。
 肉眼でどんなにしっかり見ても…
 細かな血管までは止血できません。
 手術用顕微鏡を使って、
 細かな血管を止血できるようになってから
 切開が短くなりました。
      ■         ■
 マイクロサージャリーという、
 2009年10月6日の日記に書いてあります。
 私たち形成外科医は、
 細かい作業をします。
 切断された指をつなぐには、
 髪の毛よりも細い糸で、
 血管や神経を縫います。
 この手術を…
 マイクロサージャリーと呼びます。
      ■         ■
 顕微鏡を使って手術をするのは、
 形成外科や整形外科の他に
 眼科
 脳神経外科
 耳鼻咽喉科
 があります。
 最初に使ったのは耳鼻科の先生だそうです。
 最近では、
 歯科や
 産婦人科でも
 手術用顕微鏡を使って
 手術をするところがあります。
      ■         ■
 蘇春堂(そしゅんどう)形成外科の、
 新冨芳尚(しんとみよしひさ)先生が、
 顕微鏡を使った眼瞼下垂症手術の権威です。
 新冨先生は、
 北大形成外科講師で
 マイクロサージャリーのトップでした。
 1984年に開業なさった当時から、
 ビル内の診療所で、
 手術用顕微鏡を使っていらっしゃいました。
      ■         ■
 私たち北大形成外科の同門は、
 新冨先生の教えのおかげで…
 ごく自然に…
 手術用顕微鏡を使って手術をしていました。
 私はJA帯広厚生病院に勤務していた頃、
 唇裂(しんれつ)の手術に
 手術用顕微鏡を使いはじめました。
 ちょうど40代になり、
 眼鏡が必要になった頃でした。
      ■         ■
 高価な機器ですが…
 老眼(老視)になっても…
 実によく見えます。
 顕微鏡で拡大して、
 細かい血管を丁寧に止血し…
 挙筋腱膜(きょきんけんまく)という、
 幕のひもを調節します。
      ■         ■
 眼瞼下垂手術後の腫れという
 2009年2月10日の日記に書いてあります。
 形成外科専門医が手術をしても…
 私が手術をしても…
 10年前は
 目の手術は腫れるのが当たり前でした。
 まぶたの皮膚は薄く、
 皮膚のすぐ下に細かな血管網があります。
 血管が網のようになっています。
 細い針で注射をしても、
 血管に当たってすぐに内出血してしまうからです。
      ■         ■
 手術用顕微鏡を…
 使いこなすのにも、
 訓練が必要です。
 ここがチェーン店の、
 なんちゃって美容外科医と違うところです。
 腫れの少ない眼瞼下垂症手術は、
 誰にでも簡単にできる手術ではありません。


手術用顕微鏡です

“眼瞼下垂症講座⑦【顕微鏡】”へのコメントを見る

医学講座

眼瞼下垂症講座⑥【アレルギー】

 若い人の眼瞼下垂症には、
 アトピー性皮膚炎や、
 アレルギーで、
 目をこすりすぎたのが…
 原因になることもあります。
 目をこすることで、
 瞼板(けんばん)についている、
 眼瞼挙筋がはずれてしまいます。
 そうすると、
 モーターの力
 に伝わらなくなるので、
 瞼が上がらなくなります。
      ■         ■
 重症のアトピーになると…
 まぶたが真っ赤になるほど、
 腫れている人もいます。
 アイプチが決まらないので…
 何度も塗りなおして…
 皮膚が真っ赤になっている人もいます。
 すっぴんでは外に出られないので、
 とにかく二重にしてください!
 と懇願されることもあります。
      ■         ■
 赤く腫れている皮膚は、
 出血しやすいです。
 赤くなっているのは…
 炎症で皮膚の血管に
 いっぱい血液があるからです。
 どんなに丁寧に手術をしても、
 出血する確率が高くなります。
      ■         ■
 目をこすると、
 せっかく手術をしても、 
 また下垂になります。
 アトピーがある人は、 
 しっかりと治療していただいて…
 赤味や
 腫れがおさまってから手術をします。
 アイプチでかぶれた皮膚も、
 炎症がおさまってから手術です。
      ■         ■
 腫れた状態で二重のラインを決めると…
 どうしても広くなってしまいます。
 アイプチを止めて…
 腫れがおさまると…
 二重の幅が狭くなることがあります。
 眼瞼下垂症手術をすると、
 眉が下がります。
 そうすると…
 二重の幅が狭くなります。
      ■         ■
 せっかく理想の二重になれたのに…
 3ヵ月もすると…
 二重のラインがすっかり狭くなった…
 といわれることがあります。
 埋没法の二重手術でも…
 眼瞼下垂症手術でも…
 手術後に狭くなるのは、
 残念なことです。
 かぶれによる腫れがあるのに
 無理に手術をすると狭くなります。
      ■         ■
 アイプチをしないと…
 まるで別人になってしまう…
 というのも理解できます。
 ちょっと赤くなっているだけ…
 と思われますが…
 そのちょっとで…
 微妙な形が変わってしまいます。
 一生に一度の手術なので、
 よいコンディションで
 手術を受けていただきたいです。
 アトピーがひどい人には、
 優秀な皮膚科医を紹介してから
 手術をしています。

“眼瞼下垂症講座⑥【アレルギー】”へのコメントを見る

TEL 011-231-6666ご相談ご予約このページのトップへ