医学講座

顔面骨骨折⑤

 顔面骨骨折の治療法も…
 30年の間に大きく変わりました。
 整形外科で骨折を治療する時は、
 さまざまな金具を使います。
 整形外科学会へ行くと…
 世界中の業者さんが展示しています。
 整形外科で使う金具を…
 ずっと小さくしたのが、 
 形成外科の金具です。
      ■         ■
 私が医師になった頃は、
 ステンレスのワイヤーで…
 顔の骨折を固定していました。
 1㎜以下の…
 細い針金状のワイヤーを…
 骨にドリルで穴を開けて…
 その穴にワイヤーを通して…
 骨を固定していました。
      ■         ■
 簡単なようですが…
 穴をあけるのも大変でした。
 ちょっとでも周囲組織に触れると…
 ドリルの刃が…
 組織を巻き込んでしまいます。
 助手が組織を押さえる役目です。
 助手が下手だと叱られました。
 ドリルは圧縮空気や、
 電気で回していました。
 ドリルの刃も1㎜以下でした。
      ■         ■
 ワイヤーの操作も… 
 慣れないと…
 すぐに切れてしまいました。
 絡(から)まることもありました。
 大学では習わないことばかりで…
 針金細工の職人さんの方が…
 よほど上手にできるかなぁ~
 と思ったものでした。
      ■         ■
 今から20年前くらいになると…
 ワイヤーから、
 プレートに代わりました。
 最初は…
 ステンレスのプレートとスクリュー(ねじ)でした。
 それが…
 チタン製に変わりました。
 ワイヤーと違い…
 穴を通す必要はなくなりましたが、
 ねじが‘ばか’になることがありました。
      ■         ■
 プレートとスクリューはドイツ製でした。
 初期の製品には…
 ねじの頭が折れてしまう不具合がありました。
 このプレートとスクリューが高価でした。
 小さなねじが一個5千円程度、
 プレートが数万円もしました。
 一度の手術で何枚か使ったので…
 手術代より材料費が高くなりました。
      ■         ■
 今は吸収性のプレートやスクリューもあります。
 若い形成外科の先生には、
 ワイヤー固定なんて…
 知らない人もいると思います。
 顔面骨骨折の手術で得た知識は、
 顎の骨を切る手術に役立ちます。
 美容外科で、 
 骨切手術が得意な先生も、
 入門編は…
 顔面骨骨折の手術だった方も多いと思います。

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医学講座

顔面骨骨折④

 私が医師になった30年前には、
 交通事故による顔面骨骨折が、
 かなりありました。
 シートベルトも2点式で
 (飛行機の座席ベルトのよう…)
 古い車の後部座席にはついていませんでした。
 タクシーに乗って…
 ベルトをすることもありませんでした。
      ■         ■
 自動車のフロントガラスも…
 部分強化ガラスという、 
 壊れると…
 粉々になるガラスでした。
 交通事故になると…
 その細かなガラス片で…
 顔中キズだらけになりました。
 エアバッグなんて…
 もちろんありませんでした。
      ■         ■
 30年の間に…
 シートベルトは3点式となり、
 急ブレーキを踏んだだけで、
 自動的に巻き取られる
 急ブレーキ連動シートベルト
 なんてのもあります。
 シートベルトは顔や命を守ってくれます。
      ■         ■
 フロントガラスも、
 2枚のガラスの間に
 透明のビニール膜をはさんで…
 強度を高めた…
 合わせガラスになりました。
 そのため…
 事故に遭っても…
 ガラス片によって
 細かいキズがたくさんできたり、
 失明がすることが減りました。
      ■         ■
 30年前には、
 形成外科医の数も少なかったので…
 卒後6年目で…
 地方病院のトップになりました。
 私が一番顔面骨骨折の手術をしたのは…
 釧路労災病院形成外科でした。
 当時は土曜日も外来がありました。
 唯一の休日は日曜日でしたが、
 日曜日にも回診の当番がありました。
      ■         ■
 病院の横に宿舎がありました。
 救急車が来ると…
 ピーポーピーポーの音が聞こえました。
 明日は、
 長い定期の手術があるので…
 呼ばれないといいなぁ~
 と思うときに限って…
 病院から呼ばれました。
      ■         ■
 顔の骨がグチャグチャになっていて、
 骨だけではなくて…
 涙小管(るいしょうかん)や
 鼻涙管(びるいかん)という…
 涙を流す管(くだ)が切れていることもありました。
 骨の手術よりも、
 この涙の管(くだ)の手術が大変でした。
 グチャグチャのキズの中から、
 管の端を見つけて縫うのが大変でした。
      ■         ■
 1㎜もないような細い管に…
 シリコンのチューブを通して、
 その端を顕微鏡で縫いました。
 この処置をしないと…
 涙が流れないので…
 ちょっとした風が当たっても、
 すぐに涙で視界がぼやけます。
 朝まで緊急手術で…
 そのまま次の日の手術が…
 午前9時開始なんてこともありました。
      ■         ■
 形成外科専門医になるには、
 必ず経験が必要なのが顔面骨骨折です。
 さくらんぼさんからのご質問です。
 骨格を変えると…
 声が変わりますか?
 骨格を変えても…
 声は変わりません。
 声の手術をしているのは、
 元京都大学形成外科教授の
 一色(いっしき)先生です。
 日本では数少ない声の形成外科です。

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顔面骨骨折③

 ボクシングの選手や、
 アイスホッケーの選手には、
 鼻が曲がったり…
 鼻が変形した方が…
 いらっしゃいます。
 私はボクシング選手の、
 手術をしたことはありませんが…
 釧路労災病院形成外科に勤務していた頃…
 よくアイスホッケーの選手を診ました。
      ■         ■
 私:『鼻の骨が折れてますね』
 私:『入院して手術になります』
 私:『最低一週間はかかります』
 選手:『困ります』
 選手:『入院なんて絶対できません』
 選手:『シーズンが終わるまで休み無しです』
 私:『鼻が曲がって固まっちゃいますよ』
 選手:『鼻なんてどうなっても構いません』
 私:『鼻がつまることもありますよ』
 選手:『あきらめます』
      ■         ■
 スポーツ選手にとって…
 シーズン中に休むことは、
 選手を辞めろ!
 と言われるようなもの…
 と言った人もいました。
 たかが鼻の骨ごときで…
 休んでなんかいられない…
 という人が結構いました。
 応急処置程度では、
 曲がったままのこともあります。
      ■         ■
 固まってしまった鼻骨骨折を、
 陳旧性(ちんきゅうせい)鼻骨骨折といいます。 
 鼻骨の薄い部分は、
 足の爪より少し厚い程度です。
 固まった鼻骨を
 手術で治すのは大変です。
 鼻の穴から切開をいれて、
 鼻骨を剥離(はくり)します。
      ■         ■
 骨が曲がってくっついているので…
 数ミリの薄いノミを…
 鼻の穴の切開線から入れて…
 ノミでこんこんとたたいて…
 骨折させます。
 CTなどの写真を見ながら…
 左手の指でノミの先端と、
 折れた鼻骨を触りながら…
 助手にハンマーこんこんしてもらいます。
      ■         ■
 鼻の骨は意外と小さく、
 こんこんしてもらうのも大変です。
 こうして、
 元のバラバラの状態にして、
 鼻の内側から持ち上げて、
 鼻をまっすぐにして…
 鼻の中にガーゼを詰め込みます
 どんな美人でも…
 鼻はぱんぱんに腫れます。
      ■         ■
 この陳旧性鼻骨骨折の手術は…
 かなり悲惨な手術です。
 術後は…
 絶対に誰にも会いたくない状態です。
 こんなに苦労して手術を受けても…
 骨折をしてすぐに手術を受けた時より…
 まっすぐにならないことがあります。
 鼻骨骨折の手術は、
 受傷から一週間以内に受けてください。

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顔面骨骨折②

 横綱・朝青龍(29歳:高砂部屋)が、
 初場所6日目後の平成22年1月15日夜、
 行きつけの東京・六本木のクラブで泥酔。
 週刊新潮によれば、
 暴行を受けたのはクラブの責任者Aさんで、
 鼻骨骨折など全治1ヶ月の重傷。
 とネットに書かれていました。
      ■         ■
 昨日の日記にも書いたように…
 朝青龍でなくても…
 鼻の骨は簡単に折れます。
 全治1ヶ月の重傷というのも…
 どの程度なのか…?
 文面だけではわかりません。
 そもそも‘全治’の定義が
 あいまいなのです。
      ■         ■
 朝青龍が本気で殴れば、
 鼻骨骨折では済まず…
 先日目のくぼみ③
 に書いた程度の骨折になることもあります。
 それほど顔の骨は弱いものです。
 泥酔した横綱の手や腕が、
 ちょっと当たっても…
 骨折になることがあります。
      ■         ■
 鼻骨骨折は、
 ちょっとヒビが入った程度から、
 鼻がぐんにゃり曲がるまで、
 実に程度の開きがあります。
 鼻骨の後ろには、
 篩骨(しこつ)という、
 篩(ふるい)のように…
 あみあみになった骨があります。
      ■         ■
 そのあみあみの骨の間から、
 臭いが通り…
 あみあみの上にある、
 嗅神経(きゅうしんけい)が…
 臭いを感じる仕組みになっています。
 鼻篩骨骨折(びしこつこっせつ)という…
 重症の鼻骨骨折になると…
 嗅覚(きゅうかく)という…
 臭(にお)いに障害が出ることもあります。
      ■         ■
 鼻骨骨折になったら、
 まず形成外科を受診してください。
 正確な診断は、
 3D-CT(すりーでぃー・しーてぃー)です。
 骨折の程度によって、
 手術する
 手術しない
 が決まります。
 軽度のヒビでしたら
 手術をしないこともあります。
      ■         ■
 それでも腫れが取れるまでは…
 数週間もかかることがあります。
 ‘全治’というのが…
 腫れや内出血が取れて、
 完全に元に戻るまでなのか…?
 鼻血が止まって…
 ある程度の腫れがあっても、
 外出できる程度なのか…
 CTで見て、
 骨折線が消えるまでなのか…?
 それによって期間は大きく変わります。
 ‘全治’に正確な定義はありません。

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医学講座

顔面骨骨折①

 顔の骨の骨折は形成外科です。
 顔面骨骨折(がんめんこつこっせつ)といいます。
 顔の骨の骨折で、
 一番多いのが鼻です。
 鼻の骨を鼻骨(びこつ)といいます。
      ■         ■
 鼻の先端部分は軟骨です。
 触るとやわらかいです。
 鼻骨は目と目の間、
 鼻の付け根の部分、
 眼鏡が当たる部分だけです。
 殴られたりぶつけただけで、
 鼻の骨が折れます。
      ■         ■
 鼻の骨が折れると、
 ほぼ100%鼻血が出ます。
 鼻血が出ても…
 骨は折れていないこともあります。
 骨が折れると音がします。
 骨折のために腫れます。
 直後から鼻が曲がって見えます。
      ■         ■
 ボクシング、
 ラグビー、
 アイスホッケー、
 野球、
 いろいろなスポーツで…
 鼻をぶつけて折れることがあります。
 診断はX線写真や、
 CTで行います。
      ■         ■
 皮膚も切れていて
 鼻骨が露出したような…
 特別な場合を除いて、
 鼻骨骨折の手術は…
 メスを使わないで治します。
 鼻の中に特殊な器械を入れて…
 折れた骨を…
 鼻の中から持ち上げます。
      ■         ■
 鼻骨骨折の手術は、
 骨折してから一週間以内が勝負です。
 長く放置すると…
 曲がったまま固まってしまいます。
 固まってしまうと…
 鼻の中から持ち上げても…
 戻らなくなります。
      ■         ■
 鼻の中へガーゼを入れて、
 鼻の外には…
 薄いギプスや
 薄いプラスチックの板、
 薄いアルミの板などを当てて、
 折れた骨をサンドイッチにして…
 一週間固定します。
      ■         ■
 両方の鼻が詰まった状態…
 つまり…
 一週間も鼻をつまんだままの状態です。
 ちょっと両鼻をつまんで…
 唾をのみ込んでみてください。
 耳が痛くなって苦しいです。
 この状態が続きます。
      ■         ■
 手術より、
 鼻の詰め物
 (北海道の一部ではツッペといいます)
 が苦しかったとよく言われました。
 どんなに美しいお嬢様でも、
 鼻骨骨折の術後は悲惨です。
 お見舞いには…
 お願いだから来ないで!
 と言いたくなります。
      ■         ■
 申し訳ございませんが、
 札幌美容形成外科では…
 鼻骨骨折の手術は行っておりません。
 札幌市内でしたら、
 市立札幌病院形成外科
 時計台病院形成外科
 斗南病院形成外科をおすすめします。
 ケガをしないようにしましょう。

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医学講座

目の上のくぼみ④

 目のくぼみはふつうの人にも起こります。
 札幌美容外科をくぼみで受診する方に…
 圧倒的に多いのが眼瞼下垂症です。
・ハードコンタクトレンズを長期間使っている。
・アトピー性皮膚炎などで目をこする癖がある。
・生まれつき目を開ける筋肉が弱い。
 など…
 さまざまな原因で眼瞼下垂症になります。
      ■         ■
 瞼の筋肉(眼瞼挙筋がんけんきょきん)だけでは、
 十分に目が開かないので…
 眉を上げて黒目を出そうとします。
 そのためにおでこに力が入り…
 額にシワができます。
 見にくいので…
 顎を上げてものを見ようとします。
      ■         ■
 朝起きてから…
 夜寝るまで…
 この眉上げ運動を繰り返しています。
 そうすると…
 肩が凝って首が痛くなったり…
 偏頭痛が出たりします。
 最初は…
 がんけんかすいしょうなんて…
 知らない人が大部分です。
      ■         ■
 眼瞼下垂症の方は…
 映画館の前の席が苦手です。
 首を上向きにして、
 ず~っと見ていると…
 肩こりがひどくなります。
 夜間の車の運転も苦になります。
 自分の‘病気’に…
 気付いていない人がたくさんいます。
      ■         ■
 眼科のお医者さんにかかっても…
 わからないことがあるようです。
 眼瞼下垂症の診断は、
 形成外科医が得意です。
 眼科を受診する必要はありません
 眼科的な問題がある方は、
 こちらから眼科をご紹介します。
 札幌美容形成外科では、
 道庁前眼科をご紹介しています。
      ■         ■
 ちょっとした目のくぼみでも、
 手術で快くなると、
 生活が変わります。
 気分も変わります。
 生命保険に加入していると
 手術給付金がいただける…
 こともあります。
 必要なのは健康保険症とちょっとした勇気です。
 ご予約をお待ちしております♪


手術前です

手術後4ヶ月です

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医学講座

目の上のくぼみ③

 私は形成外科医として、
 30年近く働いています。
 今は、体力的に無理ですが…
 昔は12時間以上もかかる手術をしていました。
 交通事故や労災事故で…
 顔の骨がバラバラになってしまうほど、
 ‘壊(こわ)れる’ことがあります。
 シートベルトの普及で…
 交通事故による顔のケガは激減しました。
      ■         ■
 顔の骨は、
 脳を守る頭蓋骨と違って…
 薄い骨でできています。
 特に目を入れる骨…
 [眼窩(がんか)といいます]は薄く、
 鼻の近くの骨は、 
 卵の殻程度の厚さしかありません。
 顔の骨は、
 比較的簡単に折れてしまいます。
      ■         ■
 下の患者さんは、
 私が経験した顔面骨骨折で、
 一番重症だった方です。
 眼科の先生から…
 左目(向って右側)は、
 失明すると言われました。
 失明する可能性もあったため、
 左目の骨は治しませんでした。
      ■         ■
 レントゲン写真に骸骨(がいこつ)が写っています。
 これを3D-CT(スリーディー・シーティー)といいます。
 20年前に、
 この3D(スリーディー)を撮れるのは、
 限られた施設しかありませんでした。
 北大の先生にも応援に来ていただきました。
 朝からはじめた手術が終了したのが…
 午後11を過ぎていました。
 顔の骨がすべて壊れていました。
      ■         ■
 一回目の手術が終わって、
 失明すると言われていた…
 左目の視力が回復しました。
 斜視も残っていました。
 眼球が陥没していて、
 目の上もくぼんでいました。
 壊れていた骨[眼窩(がんか)]をなおし、
 軟骨移植をしました。
      ■         ■
 神経が麻痺していて、
 斜視になっていました。
 20年前に、
 札幌医大眼科を受診しました。
 担当してくださったのは
 大庭先生でした。
 私は…
 この時にはじめてボトックスというのを知りました。
      ■         ■
 大庭先生はボトックスで、
 斜視を治してくださいました。
 患者さんは、
 ようやく正常にものが見えるようになりました。
 ボトックスだけで治ったのには…
 大変驚きました。
 大庭(おおば)先生は、
 昨年、札幌大庭眼科を開業されました。
 札幌市西区八軒にあります。
 今でも大庭先生に感謝しています。


受傷直後です

一回目の手術後です

目のくぼみを治しました。
斜視は大庭先生に
ボトックスで治していただきました。

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医学講座

目の上のくぼみ②

 膠原病(こうげんびょう)とか、
 自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)は、
 内科の病気です。
 皮膚に症状が出ることもあります。
 皮膚は皮膚科で治療をします。
 女性に多い病気で、
 20歳台の…
 人生で一番キレイな時期に、
 発症することがあります。
      ■         ■
 とてもまれな症状ですが、
 顔の形が変わることがあります。
 頬の脂肪が減ってしまったり…
 瞼(まぶた)の脂肪が減ることがあります。
 少しずつ症状が進行します。
 一番の治療は、
 内科で原疾患(もとの病気)を治すことです。
 強い薬を使ったり…
 入院して治療することもあります。
      ■         ■
 患者さんはとても心配です。
 病気そのものに対する不安。
 自分の顔がどうなってしまうの…?
 という不安が、
 病気の不安よりも…
 強いことすらあります。
 顔は女の命です。
 はじめて、
 内科の先生から相談を受けたのは、
 市立札幌病院に勤務していた時でした。
      ■         ■
 元市立札幌病院免疫血液内科部長で、
 現在はこうの内科
 開業していらっしゃる、
 河野通史(こうの_みちふみ)先生。
 ご専門は、
 膠原病
 リウマチ
 アレルギー免疫疾患
 血液疾患など
 私が最も信頼する内科医の一人です。
      ■         ■
 河野先生は
 日本内科学会(総合内科専門医・北海道地方会評議員)
 日本リウマチ学会(専門医・評議員)
 日本アレルギー学会(専門医)
 日本血液学会(専門医・代議員)
 日本臨床免疫学会(評議員)
 日本臨床リウマチ学会(評議員)
 北海道膠原病談話会世話人
 という素晴らしいご経歴で、
 現在も円山公園の近くでご活躍中です。
      ■         ■
 河野先生から、
 本間先生
 内科的には落ち着いていて
 病状も安定している患者さんが
 目の上のくぼみを治したい
 …っていうご希望なんだけれど…
 形成外科で何とかできますか…?
 とご相談を受けたのが20年前でした。
      ■         ■
 形成外科では、
 事故で残ったキズを治したり…
 がんの手術後に変形した顔は、
 何度も治していました。
 内科的な病気で、
 組織移植をしても…
 また元に戻るのでは…?
 という不安がありました。
      ■         ■
 私は文献を調べたり、
 北大形成外科の先輩に相談をして、
 こうの先生にご紹介いただいた、
 患者さんを手術しました。
 手術してもまた悪くなるのでは…?
 という不安があったので、
 片目ずつ手術をしました。
 症状が重かった…
 左目から手術をした記憶があります。
      ■         ■
 私の心配は杞憂(きゆう)でした。
 手術した目はとても快くなり、
 患者さんが…
 早く反対の目もしたい!
 と希望されるほどでした。
 病気になって諦めていた目が治って…
 お化粧もできるようになって…
 患者さんの表情がとても明るくなりました。
      ■         ■
 反対の目も手術をして、
 その後、数年間経過観察をしました。
 移植した組織は吸収されることもなく、
 とても良好な経過でした。
 内科的な治療がよかったこともありました。
 内科の病気が治ったのではなく、
 寛解(かんかい)という状態でした。
 目のくぼみが治っただけで、
 こんなに喜んでいただけるのだと…
 今でもよく覚えています。

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医学講座

目の上のくぼみ①

 目の上の窪み(くぼみで…
 悩む方は…
 意外と多いものです。
 目の上のくぼみで検索すると…
 いろいろな美容外科のHPがヒットします。
 目の上のくぼみを、
 医学的には上眼瞼(じょうがんけん)陥凹(かんおう)
 といいます。
      ■         ■
 目の上といっても
 正確には睫毛と眉毛の間です。
 ここが窪む(くぼむ)原因には、
①瞼の脂肪が減ってしまう。
②瞼を上げる筋肉が衰える。
③眼窩(がんか)という目が入っている骨が壊れた。
 などの原因があります。
      ■         ■
 ①の目の脂肪が減るのは、
 子どもが熱を出してげっそりした時などです。
 北海道では…
 『目が引っ込んだ』と言います。
 一重の子が二重になったりします。
 エネルギー源として、
 目の脂肪が消費されるためです。
 私も小さい頃によくなりました。
      ■         ■
 内科的な病気で、
 脂肪が極端に減ってしまうこともあります。
 体重が極端に減ってしまった時にも、
 目がくぼむことがあります。
 自己免疫疾患という病気で、
 自分の脂肪を壊してしまうこともあります。
 大きな病院の形成外科で
 治療を担当したことがあります。
      ■         ■
 ②の瞼を上げる筋肉が衰えるのは、
 眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)です。
 眉が上がって…
 額にシワができる…
 黒目が半分くらい隠れている…
 肩こりや、
 偏頭痛がするなど、
 眼瞼下垂症の症状があります。
      ■         ■
 ③の骨が壊れるのは、
 大部分が事故による骨折です。
 眼窩床骨折(がんかしょうこっせつ)といいます。
 目の下の部分の骨の骨折を…
 眼窩(がんか)ブローアウト骨折ともいいます。
 目の内側(目頭側)の骨は、
 卵の殻のように薄いので、
 壊れることがあります。
 ここの骨折を内壁(ないへき)骨折といいます。
      ■         ■
 スポーツの時に…
 他人の肘が目に当たり、
 骨折してしまうこと。
 ゴルフボールが目に当たって、
 骨折してしまうこと。
 冬道で転倒して骨折してしまうこともあります。
 顔の骨の骨折は形成外科です。
 さまざまな原因で…
 目の上がくぼみます。


眼瞼下垂症による
目の上のくぼみです

手術3年後です

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昔の記憶

雪道の歩き方

 今朝の北海道新聞に、
 雪道での転倒事故についての記事がありました。
 私は形成外科医として…
 雪道で転倒して、
 顔の骨を折った方の治療をしました。
 一月は路面がツルツルになり
 一年で一番危ない季節です。
      ■         ■
 今から30年前。
 家内が兵庫県西宮市から、
 札幌へ来てはじめての冬でした。
 冬の北海道へは何度も来ていましたが…
 札幌で生活するのは…
 はじめてでした。
 北海道の人の歩き方
 ちょっと違う…
 …と歩き方に気付いたようでした。
      ■         ■
 私は5歳の頃に…
 ペルテスという…
 大腿骨の病気になったため、
 最初から歩き方が変です。
 鉄人28号と言われたこともありました。
 脚長差(あしの長さの違い)はありません。
 おそらくコルセットという装具をつけて、
 一年以上歩いたためです。
      ■         ■
 北海道の人は、
 滑らないように…
 地面に足底をつけるように歩きます。
 足の裏で、
 地面をつかむ感覚で、
 注意深く歩きます。
 地面をこするように歩くという表現が、
 適切かもしれません。
      ■         ■
 脚を上げて、
 かっこ良く歩くと、
 思わぬところに氷の路面があって、
 すってんころりんと転倒します。
 転ばないように…
 そろりそろりと歩くのがコツです。
 小さい頃から、
 何度も転んで痛い目に遭(あ)って、
 雪道の歩き方を学びます。
      ■         ■
 転倒事故が起こりやすいのは、
 朝と夜です。
 日中は不思議と少ないのです。
 朝は早朝に冷え込んで、
 路面がツルツルになります。
 そのツルツル路面の上に、
 粉雪が砂糖のように白くかかっていると…
 氷の路面が見えないので危険です。
      ■         ■
 夜は、
 暗いので路面がよく見えません。
 一番危険なのが交差点の横断歩道です。
 交差点内は、
 車道なのでロードヒーティングがありません。
 交差点で車が発進するために、
 スタッドレスタイヤが空転して、
 路面をツルツルに磨きます。
 そうすると…
 雪がない歩道から車道に出た途端に…
 すってんと転びます。
      ■         ■
 北海道に住んでいる人でも、
 転倒事故はあります。
 滑りやすい道に気をつけて、
 路面をよく見て歩くことです。
 来月には、
 札幌雪まつりもあります。
 雪道は滑ります。
 どうか気をつけて歩いてください。

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