院長の休日

抱きしめキスして送り出す

 昨日の院長日記でご紹介した、
 朝日新聞、平成22年10月25日朝刊、声の欄への投稿です。
 抱きしめキスして送り出す
 主婦 須山みさち(東京都板橋区58)
「『頑張れ』夫に言えず悩む朝」(14日)投稿の方へ。私は、近くの会社に出勤する夫を送り出す時、「気をつけてね」と言ってキスをしてあげます。成人した2人の子どもたちからは「いい年をして」とあきれられますが、気にせず、堂々と抱き合ってキスします。そして、夫が帰宅した時には必ず「お疲れさま」と頭を下げます。
 夫とはお見合いで、私に一目ぼれしたようです。私が体を壊した13年前に、体調を気遣ってくれる夫を、病床でキスして見送る習慣が始まりました。
 結婚30年の私たちは、一緒に近くの公園を散歩する時は必ず手をつないで歩きます。それはスキンシップと同時に、薬の副作用で視神経を患う私が転ばないようにするためです。夫とは話も弾んで、子どものことや仕事のことなどいろいろ話します。こういう励ましもあろうかと思います。
      ■         ■
 気になったので…
 帰ってからもう一度読み直してみました。
 やはり私には…
 今日はさんま
 の方が似合っています。
 抱きしめキスは、
 新婚の頃でもなかったです。
      ■         ■
 このご夫婦のように…
 お見合いで結婚なさった2人が、
 いつまでも仲良しで…
 50歳を越えてからも、
 仲良く…
 いっしょにお風呂に入るというご家庭があると、
 伺ったことがあります。
      ■         ■
 奥様のご病気をきっかけにして、
 このように仲良くなれるのは素敵なことです。
 私の顔にキスをしてくれるのは、
 娘から借りた…
 愛犬のそらだけです。
 犬でも、
 家に帰ると…
 しっぽを振って喜んでくれるので、
 とても嬉しいものです。

sora

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院長の休日

朝のひとこと

 平成22年10月25日、朝日新聞朝刊、声の欄への投稿です。
 身近な話題を一言添えては
 団体職員 剣持涼子 (埼玉県鳩ケ谷市 35)
 現在育児休業中で、毎朝出勤する夫を見送っています。私も自分を奮い立たせて「頑張って」出勤していましたから、頑張れと言われるのが嫌な方の気持ちもわかります。
 見送る立場になった今は、「行ってらっしやい」に、聞くと思わず足取りが軽くなるような一言を添えるようにしています。例えば「今晩はカレーだよ」「娘の6ヵ月健診に行ってくるね」などの言葉には、帰宅を楽しみに、今日一日を無事に過ごしてほしいという思いを込めています。
 疲れが出てくる週の後半には「今週もやっと後半ね」気分が沈みがちな雨の日には「帰りにはやむといいね」と声をかけます。特別なことがなくても「サボテンが大きくなってきたよ」と、夫が見過ごしがちなニュースを報告して送り出しています。
 何か言わないと、と考え過ぎず、家族や身の回りの自然、家事の合間にふと感じたことなどを感じたままに添えてみてはいかがでしょうか。
 (以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 朝、ご主人を送り出す時に、
 『がんばってね』と夫に言うのをためらう…という、
 平成22年10月14日の投稿
 『頑張れ』夫に言えず悩む朝
 に対する、
 助言の投稿です。
 今朝の投稿には
 抱きしめキスをするという、
 58歳の女性からの投稿もありました。
      ■         ■
 そのキスをなさる女性は、
 お見合い結婚でご主人と結婚され、
 病気でご主人が看病してくださった時から、
 キスをする習慣になったそうです。
 すごいことです。
 私には考えられませんが…
 そんなご夫婦もいらっしゃるようです。
      ■         ■
 本間家は、
 「いってらっしゃい」です。
 学生の息子がサッカーに出かける時は、
 気をつけてね
 ケガをしないようにね
 …になります。
 たまに…
 今日はさんま
 …になることもあります。
      ■         ■
 週のはじめや…
 休み明けは…
 どうしても…
 朝、起きるのが辛くなります。
 最近は寒くなったので、
 布団のぬくもりから…
 よいしょ!
 …とがんばらなくては起きられません。
 今日も健康で働けることに感謝して、
 がんばっています。

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医学講座

グリム会2010

 昨夜、市立札幌病院の医師OB会、
 グリム会がありました。
 141年前に開院した時の、
 初代院長、米国人グリム博士の名前を記念し
 グリム会という名前です。
 今の院長は、
 私の恩師である吉田哲憲先生です。
      ■         ■
 昨夜の参加者は16名でした。
 56歳の私が最年少で、
 最高齢は86歳の先生でした。
 お元気で、
 今でもゴルフを楽しんでいらっしゃるそうです。
 私があと30年生きられる自信はありませんが、
 医師として…
 人生の先輩として…
 素敵な先生です。
      ■         ■
 吉田哲憲院長から、
 市立札幌病院の現況についてご説明がありました。
 脳死者からの臓器提供が多い病院として、
 全国的にも有名になっています。
 臓器提供は、 
 病院にとってどんなに大変か…?
 あらためてよく理解できました。
      ■         ■
 全病院的な協力体制がなければ、
 決してできない仕事です。
 吉田院長からは、
 コーディネーターとして活躍している、
 看護師さんの活躍。
 麻酔科や手術部の協力。
 提供者から、
 もし癌細胞の疑いが見つかった時のために…
 夜を徹して待期する…
 病理医のことなど、
 病院全体としての取り組みが紹介されました。
      ■         ■
 私が臓器提供カードを持つきっかけとなった、
 腎移植科の平野哲夫先生は、
 定年退職後の今も、
 腎移植外科の医師として活躍していらっしゃいます。
 平野先生から、
 腎移植で救われる患者さんのことが紹介されました。
 脳死者からの腎移植が増えているものの、
 まだ数としては近親者からの、
 生体腎移植が多いことも知りました。
      ■         ■
 腎臓内科の、
 上田峻弘先生からは、
 日本の透析患者さんは約29~30万人もいて、
 人口の410人に一人は、
 人工透析を受けていることを教えていただきました。
 他の先生からも、
 高齢になってからの人生の楽しみ方
 病気になった時の大変さ
 など…
 人生の先輩としての生き方を教えていただきました。
      ■         ■
 市立札幌病院は、
 私が勤務した病院の中で、
 一番、充実して楽しかった病院です。
 他科の先生とすぐに相談できて、
 何でも協力できる病院でした。
 20年前に勤務した病院ですが、
 その時にできた他科の先生とのつながりが、
 今も毎日の診療に生かされています。
      ■         ■
 以前に書いた言葉です。
 人間は成長する過程でどんな人と出会い、どんな影響を受けるかで、その人の人格や人間性が形成されます。
 医師も、成長する過程で、どんな先輩や同僚と出会い、どんな経験を積むかで、医師としての技量や人格が形成されます。
 私は医師としての‘青春時代’を市立札幌病院で過ごしたことにより、目に見えない貴重な財産を得ました。
 研修先を選ぶ時には、給与だけではなく、こんなことも考えていただきたいです。

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医学講座

美容外科への偏見

 昨日の院長日記に、
 さくらんぼさんからコメントをいただきました。
 まだまだ 山形では 美容外科に対する偏見があると思いました。
 保険適用でわきが眼瞼下垂症の手術ができる事を知らない方がまだまだいるし、
 美容とつくとなんだか エステとか 美顔とか 痩身的なリッチな方だけの贅沢な事と思っている方がまだまだおります。
      ■         ■
 美容外科の中には、
 偏見で見られても仕方がないクリニックもあります。
 詐欺(さぎ)まがいの広告宣伝や、
 稚拙(ちせつ)な医療で死亡事故もあります。
 私たちから見ても…
 絶対に行ってはいけない美容外科があります。
 保健所や厚生労働省も取り締まってくれません。
 警察も事件でもなければ動きません。
      ■         ■
 一方で、 
 美容外科を上手に利用なさって、
 長年の苦悩から開放されている方も、
 実はたくさんいらっしゃいます。
 内科や婦人科もそうですが、
 先生との相性もあります。
 どこの美容外科にかかるかで、
 その人の運命が決まります。
      ■         ■
 形成外科専門医だから…
 100%安心なんてことは絶対にありません
 形成外科専門医でない、
 優秀な美容外科医もたくさんいます。
 どの先生にかかるかが難しい選択です。
 私が手術をしても…
 100%満足されている方ばかりではありません。
 できる限りのことはしますが、
 力が及ばないこともあります。
      ■         ■
 私は、大学をクビになった8年前に、
 ネットでいろいろな美容外科を検索してみました。
 正直なところ、
 調べれば調べるほどわからなくなりました。
 誹謗中傷もありました。
 チェーン店の美容外科にも面接に行きました。
 最終的に、
 医療機器メーカーの社長さんのご紹介で、
 中央クリニックへ就職しました。
 中央クリニックの社長さんは医師ではありませんが、
 たくさんのことを教えてくださいました。
 今でも感謝しています。
      ■         ■
 美容外科は…
 興味もないのに、 
 無理して行くところではありません。
 歯が痛くて、
 歯医者さんに行くのとも違います。
 ただ、
 もし自分で悩んでいることがあれば、
 思い切って行くのは良いことです。
 わからなければ、 
 何軒かの美容外科を受診して、
 自分と最も相性が良さそうな先生を選んでください。
 【彼】や【旦那さん】を選ぶのと同じです。 

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医学講座

お医者さんの奥さん2010

 お医者さんの奥さんという院長日記を、
 2008年10月4日に書いています。
 旦那が医者だと、安心できると思うのは間違いです。
 医師が、一番最初に診なければならないのは、自分の患者さんです。
 家族は後になります。
 どこの先生の奥さんも、‘母子家庭’を経験していると思います。
 私も、‘いい旦那さん’ではありません。
 家内には、
 ‘院長日記の中だけ愛妻家ぶっている’と非難されています。
 家内はこの院長日記を…
 ‘腹が立つから見ない!’と言っています。

      ■         ■
 私が考える…
 お医者さんの奥さんの条件です。
 孤独に強くて、
 忍耐強い人です。
 医師には当直があります。
 緊急の呼び出しもあります。
 学会出張も、
 関連病院への出張もあります。
 家にいないことが多い職種です。
      ■         ■
 医師は肉体労働者です。
 精神労働もあります。
 疲れることが多いです。
 早死にするとも言われています。
 子育てや家のことは…
 奥さんが一人で…
 何でもしなくてはならない時もあります。
      ■         ■
 最近は、
 男性も育児休業を取得するようですが、
 現役の臨床医でしたら、
 『私、今日から一年間、』
 『育児休業を取得させていただきます。』
 『あとの患者さんのことは…』
 『よろしくお願いします。』
 …なんてことは100%無理です。
      ■         ■
 私が…
 一番、奥さんに感謝したのは、
 失業した時です。
 子ども2人が学費のかかる…
 私立大学私立高校でした。
 この時は、
 人生で一番困りました。
 いつもは文句を言われますが、
 黙って協力してくれました。
      ■         ■
 今も、毎日、弁当を作ってくれます。
 前の晩と同じおかずでも感謝しています。
 弁当箱は洗って帰ります。
 ダイヤモンドの指輪は買っていませんが、
 感謝して洗って帰ります。
 ダイヤモンドの指輪が欲しい女性は、
 お医者さんではなく、
 社長さんと結婚したらいいかもです。

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院長の休日

ダイヤモンドの指輪

 平成22年10月19日火曜日、北海道新聞朝刊、いずみへの投稿です。
 以心伝心
 結婚10年はスイートテンダイヤモンド…。どこかの宝石店のコマーシャルを覚えている。それにひっかけて、「結婚25年目ならダイヤは25個つくんだね!」。前もって夫にそれとなく「刷り込み」をしておいた。
 しかし、めったに贈り物などしない夫なので、当然、全く期待もしていなかった。ところが25年目の記念日に指輪をくれた。残念ながら25個のダイヤはついていないが、キラキラと輝いてなかなかすてきだ。
 指輪は少しだけきつかったので、サイズを伸ばしてもらうため、私ひとり店に出向いた。若く美しい店員さんにサイズ変更のお願いをしていると「結婚記念日の品ですよね?」と確認された。「ご主人は、何にしたら良いか、どんなのが良いか、とても迷っていましたよ」。直接対面した店員さんではないのに、1週間前の夫の様子を覚えていた。
 親切にアドバイスしてくれた店員さん、夫が大変お世話になりました。
 そして、夫があれこれ悩んでいる様子を思い浮かべると、なんだか口元が緩んだ。おかしいような、切ないような、ありがたいような。いつも妻ひとりで夫の物を選ぶ苦労を、少しは味わってくれたようだ。
 後日談。かねてより特売を特っていた薬屋のチラシがやっと入ってきた。忘れないようにテーブルの上に置いて仕事に出た。夜、家に帰ると必要な品物が買ってあった。
 中南孝子(53歳・会社員)=札幌市東区
 (以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 本間家は来年で結婚30周年です。
 投稿者の中南様のご主人はすごいです。
 私など…
 何も買っていません。
 指輪のサイズも知りません。
 薬屋さんの特売には行きますが…
 だいたい奥さんが行くか…
 いっしょに行くことが多いです。
      ■         ■
 最近、奥さんから感謝されたこと。
 魚の骨がのどにひっかかりました。
 何度、ご飯を丸のみしても取れません。
 私が、
 ペンライトとピンセットで取りました。
 魚の骨がひっかかった時は…
 お医者さんと結婚してよかった。
 …と思うそうです。
 世の中…
 こんなものと思うのですが…

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医学講座

形成外科医としての強み

 神戸大が美容外科開設
 という院長日記を2007年9月28日に書きました。
 その一部を引用します。
 大学病院で美容外科を担当する‘先生’はどこで美容外科を習得するのでしょうか?
 大部分の‘先生’は、民間で開業している美容外科や形成外科へ行って、美容外科手術を習得します。
 形成外科医は眼瞼下垂症手術などは得意ですから、手術のアルバイトに行って、ついでに他の手術も覚えることもあります。
 国立大学では、おおっぴらにアルバイトに行くことは禁止されていますから、土日の休みなどを利用することもあります(厳密に言うと土日でもバイトは禁止ですが…)。
      ■         ■
 大学病院で美容外科診療をしようとすると、料金も大学の規則で決めなくてはいけません。
 市立病院や公立病院では、条例で料金を決めなくてはならない場合もあります。
 美容外科で普通に使っている、厚労省が認めていないコラーゲンやヒアルロン酸も使えません。
 手術を決めて、麻酔科に麻酔を依頼すると、自由診療だからと麻酔科から断られることもあります。
 さまざまな制約を受けるのが大学病院の美容外科です。
      ■         ■
 ただ、全国的に見ると、国立大学でも形成外科を形成外科・美容外科とするところは増えています。
 医学部の学生が美容外科手術を見学したいと願っても、なかなか実現しません。普通の美容外科でしたらまず断られます。
 医学部の教育の中で、美容外科が一般化するには、形成外科が普及した以上に時間がかかると思います。
 日本の医学部・医科大学の中には、形成外科すらない医育機関がまだかなりあります。       ■         ■
 形成外科医には、
 褥瘡(じょくそう)やフットケア(足のきず)など、
 キズの処置が得意な先生と、
 美容外科手術など、
 細かい手術を得意とする先生がいます。
 私は美容外科学会の会員ですが、
 フットケア学会には入っていません。
      ■         ■
 形成外科医は、
 創傷治癒という、
 キズの治りに関する知識が豊富です。
 頭蓋顎顔面外科という、
 顔の骨を切る手術を得意としていると、
 美容外科でも骨を切るのが得意になります。
 (私は骨を切る手術はしていませんが…)
      ■         ■
 形成外科から美容外科を志し、
 転向しようとした時に、
 形成外科の知識は役に立ちます。
 美容外科しか知らない先生との…
 一番の違いは、
 キズがトラブルになった時の対処です。
      ■         ■
 キズを治すプロである形成外科医は、
 美容外科手術でトラブルになったキズを治せます。
 手術後に…
 もし万一トラブルになったとします。
 二重埋没法と…
 ヒアルロン酸やボトックス注射、
 包茎手術しか知らない先生は、
 トラブルに対処できません。
 形成外科でキズの処置をしていると…
 どうしたら治せるか?
 わかるようになります。
      ■         ■
 また、ふつうの美容外科では、
 手術用顕微鏡は使いません。
 私のように、
 マイクロサージャリーに慣れた形成外科医は、
 たとえ老眼になっても、
 顕微鏡という強い武器があります。
 細かさとキレイさでは、 
 若い先生の肉眼に勝てます。
      ■         ■
 世の中には、
 どんなにわがままな望みでも、
 はい承知いたしました
 手術をいたします
 と聞いてくれるのが美容外科だと…
 勘違いされている人がいます。
 美容外科でもできない手術はあります。
      ■         ■
 美容外科で手術をしてもキズは残ります。
 できない手術はできません。
 技術力だけでは解決できないこともあります。
 どこまでやっても大丈夫で、
 これ以上やると危険だというのは、
 いろいろなトラブルを見たことがある、
 形成外科医の方がよく知っています。
 また形成外科専門医でも、
 医療事故は起こします。
 形成外科出身だからと安心もできません。
 難しいところです。

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医学講座

形成外科医の現実

 大学を卒業して、
 臨床研修を終えた若い先生
 形成外科を選ぶ人が増えているそうです。
 形成外科医になったら、
 美容外科でアルバイトができて、
 儲かる
 …と幻想を抱(いだ)くようです。
      ■         ■
 現実はそんなに甘くはありません。
 大学病院の形成外科医局から、
 チェーン店の美容外科アルバイトへ行っている…?
 …なんて…
 少なくとも私は知りません。
 ○○美容外科の今日の担当医。
 先月、臨床研修を終えたばかりの、
 若くてイケメン△☐先生です。
 美容外科の手術はしたことがありません。
      ■         ■
 そんなアルバイトの先生に…
 手術を任せる経営者はいません。
 どんなに愛想が良い先生でも、
 技術が未熟では訴訟になります。
 お客さんも見る目があります。
 自分の大切な顔の手術を、
 アルバイトドクターに任せる人はいません。
      ■         ■
 私が知っている、
 形成外科専門医で、
 現在、バリバリの美容外科医は、
 大学病院や関連病院で、
 専門医を取得した先生です。
 頭蓋顎顔面外科
 つまり顔の骨の手術を専門とした先生もいます。
 顔のことは表面から脳の手前まで、
 知り尽くした先生です。
      ■         ■
 形成外科の関連病院では、
 美容外科手術は多くありません。
 大学病院を離れてから…
 市中の美容外科で、
 たくさん手術をして…
 美容外科をきわめた先生が多いです。
 大学病院や公立病院の…
 美容外科患者数は、
 チェーン店の美容外科より
 ずっと少ないのが現実です。
      ■         ■
 私が知っている形成外科研修医は、
 だいたいアルバイト先としては、
 老人病院などの当直をしていました。
 美容外科へ行ったとしても、
 せいぜい見学です。
 とてもお給料がいただけるような…
 仕事はできません。
      ■         ■
 形成外科には入ったけれど…
 仕事は汚いキズの処置ばかり。
 手術は上の先生がして、
 自分は縫合すらやらせてもらえない。
 そんな生活に嫌気がさして…
 辞めてしまう先生が多いとも聞きます。
 儲かる仕事なんて…
 ありません。

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昔の記憶

形成外科医の兼業(けんぎょう)

 大学病院に勤務する医師の給与は、
 想像以上に低いものです。
 医師の給与という、
 2007年2月4日の院長日記に書きました。
 私が研修医になった昭和55年(1980年)頃は
 研修医の給料が一番安かったのが、
 なんと慶応病院でした。
 あの有名な‘王選手まで手術した’
 慶応義塾大学病院の研修医の月給が約3万円。
 北大病院の研修医が約10万円でした。
 慶応病院はお給料が安くても
 たくさんの研修医が集まるため
 高くする必要がなかったのだと思います。
      ■         ■
 研修医だけではなく…
 医学部の教授職でも…
 大学からいただくお給料は高くありません
 大学病院のお医者さんは、
 学会出張もありますし、
 高価な外国雑誌の年間購読料。
 高価な医学書。
 高価な学会参加費。
 たくさん入っている学会の年会費。
 お金がいくらあっても足りません。
      ■         ■
 独身のうちや、
 共働きだと大丈夫ですが…
 子どもの教育費がかかるようになると…
 生活はとても大変になります。
 私は家内から…
 大学のお給料ではやって行けませんと…
 何度も言われました。
 それほど薄給でした。
      ■         ■
 結婚が決まってから、
 北大病院の給与明細を見せた時に…
 絶句されたのを覚えています。
 私の研修医としての給与は、
 手取り10万円未満。
 ボーナスも無しでした。
 家内が勤めていた会社は、
 大手のお給料が良い会社でした。
 短大卒後4年目で、
 私の2倍以上の手取りがありました。
      ■         ■
 大学病院に勤務する医師が、
 海外出張にも行けて、
 学会にも参加して、
 何とか生活して行けるのは、
 兼業(けんぎょう)というアルバイトのおかげです。
 国公立大学ですと、
 兼業届(けんぎょうとどけ)というのを提出して、
 許可を得てアルバイトへ行きます。
      ■         ■
 医師不足の世の中ですから…
 地域医療のため
 高度な技術が必要なため
 他に手術ができる医師がいないため
 技術指導のため
 さまざまな理由をつけて、
 兼業を許可してもらいます。
 不許可になることはまずありません。
      ■         ■
 ところが… 
 チェー店の○○美容外科で、
 美容外科研修のために、
 兼業を許可してください…
 という兼業願はいかがでしょうか?
 少なくとも…
 私が知っている先生で、
 堂々とチェーン店の美容外科へ行った先生はいません。
 だいたいは、
 休日である土日などに、
 こっそりと行っていました。
      ■         ■
 国公立大学の場合は、
 土日でも営利企業でのアルバイト禁止です。
 スタッフと呼ばれる、
 助手以上の教員は、
 この兼業規定が厳しくなります。
 症例数が多い、
 チェーン店の美容外科で、
 美容外科を研修しようとしても、
 なかなか難しいのが現実です。
 私がアルバイトに行っていたのは、
 函館にある病院でした。
 褥瘡(じょくそう)の処置などをしていました。

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医学講座

形成外科専門医と美容外科

 私はもともと形成外科医でした。
 形成外科医=美容外科医
 ではありません。
 今でも、美容外科医ではない…?
 …かもです。
 形成外科から美容外科への転向は、
 簡単ではありません。
 やっている仕事の内容が違います。
      ■         ■
 日本形成外科学会の認定施設は、
 毎年、学会へ手術件数を報告します。
 手術内容による分類があります。
 その中に…
 美容外科という項目があります。
 形成外科学会認定施設は、
 大部分が大きな病院です。
 保険診療が大多数です。
      ■         ■
 皮膚腫瘍の手術という
 2007年7月29日の院長日記に書いてあります。
 学会認定施設で、
 圧倒的に手術件数が多いのが、
 皮膚良性腫瘍の手術です。
 つまり…
 形成外科の先生は、
 日常診療では、
 皮膚のできものを取る手術を多くしています。
 美容外科手術の件数はわずかです。
      ■         ■
 美容外科手術に健康保険は適用できません。
 国公立病院で、
 自費診療の美容外科手術をするのは、
 なかなか大変です。
 病院によって違いますが、
 公立病院では、
 料金徴収に関する条例を、
 定めなくてはならないところもあります。
 ヒアルロン酸などの未承認薬は、
 大部分の公立病院で使えません。
      ■         ■
 形成外科学会認定施設で、
 美容外科を標榜する病院は少しずつ増えてはいます。
 ただ、手術件数に関しては、
 チェーン店の美容外科にかないません。
 美容外科手術をして欲しいと、
 大きな病院へ行く人はまれです。
 日本の美容外科手術は、
 形成外科認定施設以外で行われている数が、
 大多数です。
      ■         ■
 形成外科専門医で、
 美容外科にも精通している先生がいらっしゃいます。
 バリバリの美容外科医として、
 大活躍している先生もいらっしゃいます。
 その先生たちは、
 大学病院以外の、
 美容外科で、
 美容外科を勉強された先生です。
      ■         ■
 これから美容外科医へ転向したい、
 形成外科専門医の先生が、
 どこで美容外科を勉強したらよいか…?
 とても難しい問題です。
 一つ確実に言えることは、
 腕の良い先生につくことです。
 一流を学ぶことが、
 将来、役に立ちます。

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