院長の休日

元気なフリ

 元気がない時にも、
 元気なフリをしているのは、
 私も一緒です。
 こんなちっぽけな、
 極小企業の医療法人でも、
 苦労が絶えません。
 たとえ小さくても…
 院長とかと名の付く仕事には、
 常にストレスが伴います。
      ■         ■
 元気がない時に、
 元気なフリをしているのは
 辛いものです。
 私はすぐに顔に出るので、
 元気がないのは、
 職員にも
 患者さんにも
 バレバレです。
 日記でもばればれですね。
      ■         ■
 私が元気を回復するのは、
 手術をして、
 キレイになられた患者さんから、
 ありがとうございました
 言っていただいた時、
 お礼のメールをいただいた時、
 日記に励ましのコメントをいただいた時などです。
 生きている限り辛いことがありますが、
 他の人に励まされて、
 元気を回復しています。
      ■         ■
 私は趣味らしい趣味がありません。
 花を見るのが好きです。
 自分の家の花は、
 マンションに引越してしまったので、
 残念なことに、
 もう育てられません。
 通勤途中に見つけた花で、
 心を癒してもらっています。
 小さな花でも…
 よい香りがして、
 成長を眺めていると癒されます。
      ■         ■
 札幌は雨の多い6月でしたが、
 ここ数日でようやく夏らしくなりました。
 ラベンダーの花も、
 少しずつ開いてきました。
 私の好きな富良野のラベンダーは、
 札幌よりも少し遅れて咲きます。
 富良野のラベンダーは、
 早咲きから遅咲きまであります。
 7月下旬まで咲いていますが、
 咲いた順に刈り取られて、
 ラベンダーオイルの原料などになります。
 7月中旬頃がよい季節だと思います。


札幌駅北口のラベンダー
2009年6月28日

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医学講座

手術回数と難易度

 マイケル・ジャクソンさんが、
 何回か鼻の手術を受けていたのは、
 事実のようです。
 これは一般論ですが…
 手術回数を重ねると、
 重ねただけ難易度が高くなります。
 つまり…
 患者さんは…
 『ちょっと、ここをなおしてほしい!』
 と思われても…
 実際には難しいことが多いのです。
      ■         ■
 二重も…
 鼻も…
 わきがも…
 陥没乳首も…
 あとから修正手術をするのが、
 最初の手術よりも難しいのです。
 これは、
 最初の手術で、
 瘢痕(はんこん)という、
 キズができてしまうためです。
      ■         ■
 前にどんな手術を受けたか…
 『忘れました』という方もたくさんいらっしゃいます。
 前に受けた手術のことを、
 申告されない方もいらっしゃいます。
 埋没法の糸でしたら、
 わからなくなっていることもあります。
 (20~30年も前に受けた手術ならなおさらです)
 そうすると、
 思わぬところに…
 微妙なラインがはいってしまうことがあります。
      ■         ■
 形成外科では、
 事故で復元できないほどに変形した、
 目や鼻をなおすことがあります。
 そういう時には、
 元の顔の写真や、
 本物の人骨を手がかりに、
 復元手術を行ないます。
 美容外科の手術は、
 形成外科よりも微妙で、
 『ちょっとここを
 というご希望が、
 なかなか難しいことがあります。
      ■         ■
 大学病院で行なうような、
 顔の骨の手術でも、
 手術後にトラブルが生じることがあります。
 骨がずれてしまったり、
 神経が麻痺してしびれが残ったり、
 予測できないような後遺症が残ることがあります。
 MRSA(えむあーるえすえい)による、
 術後感染もそうです。
 こういうトラブルに、
 いかに対処できるかは、
 先生の腕によるところもあれば、
 患者さんの体力によることもあります。
      ■         ■
 私はマイケルさんの死は、
 鼻の手術とは関係がないと推測します。
 彼の場合は、
 スターであることによる、
 さまざまなストレスから、
 いろいろな身体的な症状が出たのでは…?
 と考えます。
 偉大なスターは、
 元気がない時でも、
 ステージ上では…
 ‘元気なふり’を…
 していなければなりません。
 日本のスターがそう言っていたのを思い出しました。
 偉大なマイケルの死を残念に思います。

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医学講座

マイケル・ジャクソンさん

 今朝からTVでマイケル・ジャクソンさんの
 死亡が報道されています。
 心から哀悼の意を表します。
 マイケルさんの顔については、
 さまざまな憶測や評判があります。
 ネットで検索をしても、
 たくさんのサイトが出てきます。
      ■         ■
 彼の顔貌の変化が、
 単なる
 年齢に伴う変化ではないことがわかります。
 耳の軟骨を鼻に移植したとか、
 皮膚の病気だったという説も
 ネット上に書かれています。
 彼の顔貌は、
 誰が見ても不自然です。
 元の顔のほうがずっと素敵です。
      ■         ■
 私は彼を手術した先生のことも知りませんし、
 手術をしたかどうかもわかりません。
 手術が成功したとか、
 失敗だったとかいう前に、
 私はマイケルさんは、
 心の病気だったと推測します。
 いろいろな事件が報道されています。
 裁判で無罪だったこともありました。
      ■         ■
 美容外科も形成外科も、
 人の顔を変えることができます。
 形成外科は、
 事故やケガで変形した鼻を治します。
 美容外科は、
 病気ではない人の鼻をキレイにします。
 私が札幌美容形成外科を開業する時に考えた、
 イメージは自然
 自然な仕上がりを大切にします
 というコピーがあります。
      ■         ■
 私は形成外科医ですから、
 ものが見やすくなるとか、
 生活が快適になるとかの手術が好きです。
 いくら患者さんのご希望でも、
 私が不自然だと思う手術はおすすめしません。
 マイケルさんのことはわかりませんが、
 患者さんのご希望通りに手術を繰り返していると、
 自然な仕上がり
 維持できなることがあります。
      ■         ■
 美容外科医の中には、
 患者さんのご要望に答えて、
 日本人→西洋人
 の顔を作ってしまう先生もいらっしゃいます。
 私は、
 イメージは自然にこだわります。
 できないものは『できません』と
 申し上げます。
 形成外科医から美容外科医に、
 なりきれていないのかもしれません。
 マイケル・ジャクソンさんのご冥福をお祈りいたします。

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医学講座

熱傷用ベッドの管理

 高価な熱傷用ベッドは、
 維持管理にもお金がかかります。
 白い砂のような、
 シリコンコートした‘ビーズ’と呼ばれる、
 ‘砂’を交換する必要がありました。
 この‘砂’が高価でした。
 25年前で、
 交換には100万円以上かかりました。
 米国製の高級車は、
 維持費がかかるのと同じです。
      ■         ■
 患者さんがベッドに寝て、
 やけどした部位から、
 滲出液(しんしゅつえき)が出ると…
 その分だけビーズが汚れます。
 固まったビーズが、
 ベッドの底に溜まりました。
 また、
 白いナイロンの布が、
 ビーズの拡散を防いでいました。
 丈夫な布でしたが、
 これに穴を開けると、
 砂がこぼれてきました。
      ■         ■
 間違って、
 鋭利な刃物で布に穴をあけると、
 交換するのに何万円もかかりました。
 穴を塞がないと、
 ビーズがこぼれてきて、
 床に落ちると、
 すごく滑りました。
 とにかく扱いが面倒な器械でした。
 患者さんにも、
 ベッドの上に物を載せないでくださいと、
 お願いしていました。
      ■         ■
 私が医師になった、
 30年前に、
 このベッドがあったのは、 
 北大形成外科、
 美唄労災病院形成外科、
 釧路労災病院形成外科
 の3施設だけだったと思います。
 労災病院は、
 医師や看護師のお給料は低かったのですが、
 その分、設備は立派でした。
      ■         ■
 私は釧路労災病院形成外科にも勤務しました。
 釧路は霧の街です。
 私が赴任したのは、
 7月でしたが、
 まだストーブをつけていました。
 夏に発生する海霧のために、
 日照時間が少ないのが特徴でした。
 釧路労災病院のベッドは、
 北大より新しかったと思います。
 釧路労災病院のベッドだけ、
 この‘砂’の交換が余計に必要でした。
      ■         ■
 私は院長の新田一雄先生に呼ばれました。
 何でうちの病院のベッドだけが、
 毎年100万円以上もかけて、
 ビーズ交換をしなければならないのか?
 不良品ではないのか?
 ちゃんと調べなさいと指示されました。
 確かに、院長のおっしゃる通りでした。
 釧路労災病院は、
 日本一の黒字労災病院でしたが、
 それは新田先生の経営の賜物でした。
      ■         ■
 私はメーカーに指示をして、
 ‘砂’を米国へ送って分析してもらいました。
 その結果は、
 釧路の霧のため、
 ‘砂’が水分を吸ってしまい、
 それで劣化が早く進むということでした。
 霧が原因だったのか?
 ほんとうかどうか?
 今でもわかりません。
 私の自動車も釧路へ行って、
 マフラーが腐蝕しました。
      ■         ■
 それ以来、
 熱傷用ベッドは使っていない時も、
 定期的に電源を入れて、
 ビーズを動かしていました。
 市立札幌病院へ行ってからも、
 この定期的な空運転をしました。
 その成果のためか?
 それ以来、ビーズの劣化は少なくなりました。
 私は、今でも釧路労災病院の新田院長を、
 素晴らしい院長だったと尊敬しています。

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医学講座

熱傷用ベッド

 今日はやけどの患者さん用の
 特殊なベッドの解説です。
 熱傷用空気流動ベッド
 (ねっしょうようくうきりゅうどうべっど)
 と厚生労働省の書類に書いてあります。
 私たち形成外科医は、
 エアーベッド
 Air Floating Bed
 (えあー・ふろーてぃんぐ・べっど)
 とも呼んでいました。
      ■         ■
 もともと米国で開発されたベッドです。
 全身に大やけどをすると、
 体を動かしただけでも痛みます。
 痛みを感じないほど…
 (神経まで焼けてしまうと痛みを感じません)
 やけどをしてしまうこともあります。
 こうなっても…
 体を動かすことができません。
 じっとしていると…
 からだ中が
 褥瘡(じょくそう:床ずれ)になってしまいます。
      ■         ■
 私が医師になった、
 30年前には、
 このベッドが北大形成外科にありました。
 当時で、
 一台が約1,000万円もしました。
 米国製の高級車より高価でした。
 深さ50㎝くらいの、
 箱型のお風呂を想像してください。
 その平べったいお風呂が、
 機械の上に載っているとお考えください。
 ふつうのベッドより、
 高い位置に寝るようになっています。
      ■         ■
 お風呂の中には、
 マットレスの代わりに、
 白い砂のようなものが入っています。
 その砂が、
 空気で流動する仕掛けになっています。
 砂の上には、
 薄い白いナイロンの布が張ってあり、
 空気で流動する砂が、
 その布の下でボコボコ動きます。
      ■         ■
 はじめてこのベッドに寝てみた時は、
 ちょうど海の上に寝ているような気分でした。
 機械の音が、
 ウーンと聞こえます。
 身体が
 フワフワと浮いているような感じでした。
 実際にこのベッドに患者さんが寝ると、
 フワフワしているので、
 乗り物酔いになる方がいらっしゃいました。
      ■         ■
 やけどの患者さんだけではなく、
 褥瘡(じょくそう)の手術後の患者さん、
 大きな手術をした後で、
 動けない(動かせない)患者さんの
 手術後にも使いました。
 価格が高いだけではなく、
 重さも約1トン近くありました。
 ですから、
 現在の市立札幌病院を設計する時には、
 そのベッドを置くスペースだけ、
 床を補強したほどでした。
      ■         ■
 私が市立札幌病院へ赴任した20年前には、
 北海道でこのエアーベッドがあるのは、
 限られた施設だけでした。
 ベッドは温度管理が難しく、
 寝たきりで
 起き上がることもできないので、
 痰の排出などを気をつけないと、
 術後の合併症を起こすこともありました。
 せっかくの高価なベッドが
 活用されていませんでした。
      ■         ■
 私が赴任してから、
 この1トンもある重いベッドを
 4階の皮膚科病棟から、
 1階の救急病棟まで、
 何度も往復させました。
 私と看護師さんが運びましたが、
 一度はお見舞いに来ていらした、
 警察署長さんに
 お手伝いしていただいたこともありました。
 懐かしい想い出の一つです。

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医学講座

熱傷浴室(ねっしょうよくしつ)

 さくらんぼさんから
 熱傷浴室(ねっしょうよくしつ)について、
 ご質問がありました。
 やけどに効く温泉について、
 お聞きになったことがあると思います。
 ある種の温泉は、
 やけどに効きます。
 生理的食塩水(0.9%)と同じ濃度の食塩水は、
 キズにしみません。
 生理的食塩水は、
 目に入っても、
 鼻に入っても痛くありません。
      ■         ■
 やけどをすると、
 皮膚がただれて、痛みがあります。
 キズからは滲出液(しんしゅつえき)という
 黄色の液体が出てきます。
 皮膚というバリアーがなくなるので、
 ばい菌が悪さをして化膿することもあります。
 生理的食塩水で、
 キズをキレイに洗い流すと、
 ばい菌の数が減ります。
 痛みもなく、キズをキレイにできます。
 これがやけど温浴療法(おんよくりょうほう)
 の原理です。
      ■         ■
 やけどの患者さんにとって、
 ガーゼ交換や、
 キズの処置は、
 痛くてつらいものです。
 特にキズにガーゼが固着(こちゃく:くっつくこと)てしまうと…
 はがす時に血が出たりして、
 それはつらいものです。
 生理的食塩水で濡らしてから、
 ガーゼを剥がすと痛みも無く、
 ばい菌を洗い流して、
 キズをキレイにすることができます。
      ■         ■
 やけどだけではなく、
 他のキズの処置でも、
 生理的食塩水で洗うことは、
 キズにとってよいことです。
 小さなキズややけどでしたら、
 ベッドサイドや
 洗面器を使ってもできます。
 問題なのは…
 全身の大やけどです。
 ベッドの上で処置をすると、
 水浸しになります。
      ■         ■
 そこで考えられたのが、
 熱傷浴室でした。
 やけどの患者さん用のお風呂です。
 ステンレスでできていて、
 横になったまま入れます。
 お湯1㍑に対して、食塩を9㌘入れます。
 そうすると、
 生理的食塩水と同じ0.9%の濃度になります。
 このお風呂でやけどのキズを洗い、
 軟膏処置をするのが、
 形成外科研修医の仕事でした。
      ■         ■
 私が形成外科医の卵になった、
 約30年前は、
 私の仕事はやけど患者さんの風呂入れでした。
 白いゴム長を履いて、
 茶色のゴムの長い前掛けをつけて、
 看護婦さんといっしょに、
 一日、数人の処置をしたこともありました。
 熱傷浴室は、
 寝たまま入れるお風呂なので、
 寝たきりで動けない方の、
 入浴にも使っていました。
      ■         ■
 ところが…
 30年の間に時代は変わりました。
 院内感染の原因として、
 この熱傷浴室が問題になりました。
 キズを洗い流すのは、
 今でもよい方法なのですが、
 MRSA(えむあーるえすえい)や
 多剤耐性緑膿菌などが、
 熱傷浴室で感染して問題となりました。
      ■         ■
 日本では、
 まだ熱傷浴室を使っている施設が多いと思いますが、
 一部の救命救急センターでは、
 感染の問題から廃止してしまったところもあります。
 ご自宅で、
 お湯1㍑に対して、食塩を9㌘入れて、
 それをペットボトルなどに入れて、
 キズを洗い流すのは、
 痛くなくてよい方法です。
 キズの処置として、
 覚えておかれるとよいと思います。

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昔の記憶

ヤマダ電機と旧市立札幌病院

 2009年6月19日(金)にオープンした、
 ヤマダ電機
 テックランド札幌本店
 札幌市中央区北1条西8丁目1-2
 TEL: 011-205-8001
 へ行ってきました。
 この札幌市中央区北1条西8丁目には、
 平成6年(1994年)まで、
 市立札幌病院がありました。
      ■         ■
 私は平成元年(1989年)から、
 平成6年(1994年)まで、
 この市立札幌病院で
 医師としての青春時代を送りました。
 ヤマダ電機のお隣には、
 当時の病棟の一部がまだ残っています。
 地下が救急部の
 救急ホール、
 CT室、
 救急部の医局、
 救急の当直室、
 など救急関係の部門でした。
      ■         ■
 1階が救急部の病棟、
 2階が中央手術室、
 3階からが病棟。
 私が働いていた病棟は、
 4階にありました。
 通称1-4(いちのよん)
 1病棟(いちびょうとう)
 4階(よんかい)
 なので
 いちのよん
 でした。
      ■         ■
 今でも、この病棟の横を通ると、
 当時のことを懐かしく思い出します。
 私が働いてた、
 1-4(いちのよん
 は放射線科と皮膚科の病棟でした。
 病棟婦長は、
 野切光子さんでした。
 とても優秀な婦長さんでした。
 朝は他のスタッフよりも早くいらして、
 各病室を回って、
 約50人近い患者さんのことを、
 すべて把握していらっしゃいました。
      ■         ■
 私が赴任してから、
 形成外科の患者さんも、
 積極的に受け入れてくださいました。
 使われていなかった、
 熱傷用の浴室を使ったり、
 熱傷用のベッドを、
 引っ張り出してきて、
 整備して使いました。
 今考えても…
 病棟のスタッフもよくやってくれたと思います。
      ■         ■
 ヤマダ電機は、
 北1条の西8丁目と9丁目の間に
 またがってあります。
 ちょっとわかりにくい表現ですが、
 この8丁目と9丁目の間から、
 大通り公園が見えます。
 駐車場から見た、
 大通り公園が、
 ちょうど旧市立札幌病院の
 正面玄関から見た風景といっしょでした。
      ■         ■
 同じ場所から見ているので、
 同じ光景がみえるのは当たり前なのです。
 ただ、
 20年の間に、
 病院→STVのスピカというホール
 →ヤマダ電機と変わりました。
 ヤマダ電機には、
 トイレットペーパーやティッシュ
 飲料水やお菓子まで売っていました。
      ■         ■
 時代の流れとはいえ、
 電気屋さんで、
 お菓子まで売っているのには、
 ほんとうに驚きです。
 これから札幌の街がどう発展していくのか?
 札幌駅前通りがどう変わるのか?
 もう少し私も長生きして、
 時代の移り変わりを見ようと思います。
 昨日の日記にたくさんのコメントを
 ありがとうございました♪

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院長の休日

父の日

 今日は『父の日』です。
 私の父親は83歳になりますが、
 まだ元気です。
 毎年年末になると…
 『○○が死んだ』とか
 『残っているのはあと○人だ』
 とかよく言っています。
 私の父親は大正15年(1926年)生まれです。
      ■         ■
 父親の世代は、
 級友の多くが第二次世界大戦へ、
 徴兵されたそうです。
 父親は、
 札幌工業高校の木材工芸科という、
 家具などをつくる学科へ進学しました。
 薬学専門学校へ行くと、
 徴兵免除になったので、
 仙台の東北薬学専門学校へ進学しました。
      ■         ■
 戦争中の仙台で空襲に遭(あ)い、
 山へ避難して難を逃れたと、
 私が子どもの頃に聞きました。
 途中の防空壕(ぼうくうごう)で、
 学生さんここに入りなさいと、
 親切に言ってくれた人がいたそうです。
 父はその防空壕へは入らず、
 山へ逃げたそうです。
      ■         ■
 空襲が終わって、
 山から下りる時に、
 その防空壕は焼夷弾(しょういだん)に撃たれ
 防空壕の人たちは亡くなっていた。
 あの時、
 逃げていなかったら死んでいたと、
 聞かされた覚えがあります。
 子どもの頃に聞いた話しを
 何故かよく覚えています。
      ■         ■
 父親は煙草を吸い、
 酒もよく飲んでいました。
 さすがに高齢なので、
 酒も煙草も止めました。
 『お前は、(患者さんが来るから…)
 酒も飲めないで可愛そうになぁ~』
 と言われたこともありました。
 酒を飲まないのは、
 身体に合わないからで、
 別に可哀想とは思いませんでした。
      ■         ■
 父親と私は…
 好みも性格も違うと思っていました。
 ところが…
 DNAとは恐ろしいもので…
 年齢を重ねる毎に、
 父親のDNAを受け継いでいることに気付きます。
 体質はよく似ています。
 お腹が弱いところも似ています。
 短気なのも似ています。
 嫌になりますが、
 DNAには逆らえません。
      ■         ■
 短気だった父親も、
 年齢とともに温厚になりました。
 よく喧嘩もしていましたが、
 最近は喧嘩をしなくなりました。
 今日の父の日には、
 両親と家内の母親も誘って、
 琴似の鮓佐(すしさ)さんへ、
 回らないお鮨を食べに行きました。
 また来年も行きたいと願っています。


私と83歳の父です

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医学講座

第6回北海道臨床創傷治癒研究会

 昨夜、札幌パークホテルで、
 第6回北海道臨床創傷治癒研究会がありました。
 昨日の特別講演は、
 市立札幌病院形成外科医長の、
 堀内勝己先生でした。
 チームアプローチによる
 糖尿病性足病変の治療
 ―米国の現状ならびに当院での取り組み―
 という興味深い内容でした。
      ■         ■
 堀内勝己先生は、
 1991年に福島県立医科大学をご卒業。
 北大形成外科へ入局され、
 北海道大学大学院をご卒業になった、
 素敵な形成外科医です。
 奥様は内科医で、
 福島県立医大の同級生です。
 私はJA帯広厚生病院で
 一年間ご一緒に働きました。
 とても優秀な先生です。
      ■         ■
 堀内勝己先生は、
 一昨年秋から、
 一年間、米国へ留学されました。
 ワシントンにある創傷治癒センターで、
 糖尿病などによる、
 足の治療を勉強されてきました。
 糖尿病は怖い病気です。
 足が腐って…
 壊死(えし)になってしまいます。
 足の趾(ゆび)だけではなく、
 膝から下を切断しなければならないこともあります。
      ■         ■
 堀内先生が講演で述べられていましたが、
 糖尿病の患者さんが増えています。
 ちょっと古いですが、
 平成20年12月26日、読売新聞の記事です。
 2,210万人に糖尿病の疑い
 10年で6割増…厚労省調査
 厚生労働省は2008年12月25日、
 2007年の「国民健康・栄養調査結果」を発表し、
 糖尿病の疑いがある人は
 全国で推定2,210万人に上るとした。
      ■         ■
 2006年調査(1,870万人)と比べ
 300万人以上増えた。
 同省は
 「運動不足や食生活の乱れが
 改善されていないことが原因」
 と分析している。
 調査は2007年11月、
 全国約6,000世帯の
 約1万8000人を対象に実施。
 糖尿病については成人約4,000人の
 血液検査結果をもとに推計した。
      ■         ■
 それによると、
 糖尿病が強く疑われるのは890万人で、
 可能性が否定できない1,320万人を合わせると
 2,210万人に上った。
 1997年調査(1,370万人)と比べると6割も増加。
 年代別の人口に占める割合は
 70歳以上が約38%、
 60代約35%、
 50代約27%、
 40代約15%、
 30代約6%、
 20代が1%だった。
 (以上、読売新聞から引用)
      ■         ■
  糖尿病になると、
 目が見えなくなり(糖尿病性網膜症)
 腎不全から人工透析を受けなればならなくなり
 (糖尿病性腎症)
 足の血管が詰まって、
 キズができると壊死になります。
 (糖尿病性足病変)
 神経も侵されるので
 男性は高率にインポテンツになります。
      ■         ■
 私も形成外科医時代に
 足趾切断(足のゆびを切断する)の
 手術は何例もしました。
 堀内先生は膝下の切断まで、
 形成外科でなさるそうです。
 切断した後の、
 義肢装具の調整も、
 義肢装具士の方と一緒になさっています。
      ■         ■
 糖尿病は内科の病気ですが、
 眼科や形成外科など、
 さまざまな科の医師や看護師、
 理学療法士、作業療法士、
 義肢装具士が
 力を合わせて治療しなければ、
 良い結果は得られません。
 堀内勝己先生のご尽力で、
 お一人でも多くの方が快適な生活をおくれるように
 祈念しています。
 堀内勝己先生ありがとうございました。

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医学講座

臓器移植法

 臓器移植法が衆議院を通過しました。
 河野洋平衆議院議長は、
 ご子息の河野太郎衆院議員から
 肝臓移植を受けられました。
 万感の思いで、
 採決を行なわれたことと思います。
 私のように、
 組織すべてを提供しますという人もいれば、
 臓器は提供しませんという人もいます。
 個人の考え方の問題です。
      ■         ■
 2009年4月8日に書いた、
 死後の願いという日記には、
 たくさんのコメントをいただきました。
 何度も繰り返しているように、
 私自身も、
 医師免許を取得してから数年間は、
 臓器提供には否定的でした。
 現在の医学教育では、
 医師、看護師ともに、
 脳死になった患者さんを長期間にわたって、
 ケアーしたり観察する実習はありません。
      ■         ■
 私の死生観が変わったのは、
 市立札幌病院救急部で、
 連日のように…
 脳死となった患者さんを診てからでした。
 私の遠縁にあたる人は、
 ご主人が…
 急性心筋梗塞で救命救急センターへ搬送され、
 亡くなるまでの、
 約1年以上を、
 毎日、病院へ通いました。
 とうとう意識が戻ることなく
 帰らぬ人となりました。
      ■         ■
 その人は、
 ご主人が亡くなった後で、
 尊厳死協会へ入り、
 自分には、
 『人工呼吸器はつけないでください。』
 『延命治療もしないでください。』
 と署名され…
 ご自分が亡くなる時は、
 安らかに眠りについたそうです。
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 臓器移植は医学の進歩によって可能となりました。
 また、
 脳死になった人も、
 医学の進歩によって生きることができるようになりました。
 私が医学生だった…
 30年前には、
 人工呼吸器が今ほど普及していませんでした。
 ですから、
 在宅で人工呼吸器をつけることなど、
 考えも及びませんでした。
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 医学が進歩したことにより、
 今までは救えなかった命が救えるようになりました。
 ロシアから来たヤケドの、
 コンスタンチンちゃんを手術したのは、
 旭川赤十字病院形成外科の
 阿部清秀先生です。
 阿部先生が東京から、
 亡くなった方の皮膚の提供を受けて、
 コンスタンチンちゃんは救命されました。
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 皮膚は心臓停止後にも採取できます。
 ドナーカードに皮膚はありませんが、
 その他に
 その他(すべて)と書いてあれば、
 皮膚も提供できます。


私の保険証の裏です

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