医学講座
褥瘡の治療法⑤
褥瘡の一番の治療法は予防です。
病気やけがはある日突然起こります。
褥瘡は…
褥瘡ができやすい人を予測できます。
他の疾患と違うところです。
予防することができます。
■ ■
褥瘡治療の主役は看護師さんです。
毎日患者さんをよく観察して、
褥瘡危険信号を見つけます。
褥瘡をつくらないために、
高性能の体圧分散式マットレスを使います。
高機能エアマットレスを使うと、
寝たきりで人工呼吸器をつけた患者さんでも、
褥瘡の発生が減ったというご発表がありました。
■ ■
一度できた褥瘡を治すのは、
きずを治すプロの形成外科でも難しいです。
そもそも全身状態が悪いので褥瘡ができます。
貧血や低栄養状態のこともあります。
自分のきずを治す力が弱っている人が褥瘡になります。
ただキズに軟膏を塗るだけではだめです。
褥瘡ができた原因を、
社会環境を含めて考えなくてはなりません。
■ ■
大浦武彦先生が設立された日本褥瘡学会。
大浦先生のお言葉です。
北海道大学を定年退官し、褥瘡の治療に携わって初めて知ったが、当時(1998年ごろ)は褥瘡に関する医学的データがまったくなかった。それまで褥瘡は医学の対象として取り上げられていなかったのである。
そこで、この医療の谷間にあった褥瘡に何とか光を当てる必要を感じ、日本褥瘡学会を立ち上げ、褥瘡治療の重要さをアピールした。
一人でも多くの方に、
褥瘡予防の知識を広めたいと思います。
医学講座
褥瘡の治療法④
難しいのは感染がある褥瘡です。
もともと全身状態が悪く、
体力も免疫力も低下した患者さんに褥瘡ができます。
循環不全もあると…
あっという間に深い褥瘡になります。
そこに多剤耐性の強力な菌がつくと大変です。
■ ■
深い褥瘡に感染すると…
イソジンを塗っても治りません。
褥瘡の下に膿がたまっていることがあります。
40℃近い高熱が出ることもあります。
そんな時は医師の出番です。
全身的な抗生物質投与。
手術で切開することもあります。
■ ■
なっちゅんさんからのコメント。
ガーゼにイソジンを付け穴を開けたラップを患部に貼り完治しました。
この時のイソジンは、
創を消毒するという意味もありますが、
患部から菌を侵入させないという目的で使ったように思います。
痛い治療にも意味があるのです。
■ ■
ポイントは、
穴を開けたラップです。
浸出液が出て、
感染が疑われる時は、
ラップで覆ってしまうと、
中で菌が増殖するリスクがあります。
ラップで重傷感染となる例があります。
■ ■
日本褥瘡学会では、
ラップ療法についての見解を出しています。
いわゆる「ラップ療法」は、医療用として認可された創傷被覆材の継続使用が困難な在宅などの療養環境において使用することを考慮してもよい。
ただし、褥瘡の治療について十分な知識と経験を持った医師の責任のもとで、患者・家族に十分な説明をして同意を得たうえで実施すべきである。
私は感染創にラップは使いません。
医学講座
褥瘡の治療法③
褥瘡の治療法②に、
さくらんぼさんからコメントをいただきました。
イソジンですが巻き爪の手術後退院後の消毒として、うがい薬より濃いイソジンを処方されました。
背中などの手術も背中中イソジンを塗るのでしょうか? 私は口の中も荒れやすくうがい薬もアズノールうがい薬を使ってます
■ ■
手術時に使う消毒薬として、
整形外科ではイソジンを多く使うと思います。
形成外科や美容外科では、
それほど多くイソジンは使いません。
消毒薬に対する考え方の違いがあります。
イソジンは強力です。
■ ■
整形外科の手術では、
金属などの異物を扱うことが多いので、
より強力な消毒効果があるイソジンを使います。
逆に形成外科や美容外科では、
顔の手術が多いため、
イソジンはあまり使いません。
■ ■
整形外科で使うイソジンを…
そのまま顔の消毒に使い…
もし目に入ったら痛いです。
添付文書の注意書きに、
眼に入らないように注意すること。
入った場合には、水でよく洗い流すこと。
…と書いてあります。
洗い流すのは水ではなく、
生理的食塩水でなければ目にしみます。
■ ■
巻爪の術後の消毒にイソジンを使うことはあります。
創がふさがっていれば、
それほど痛いことはありません。
褥瘡をイソジンで消毒するかどうかは、
キズの状態によります。
先生の考え方にもよっても違います。
滲出液が多くて感染が心配な時は、
私でもイソジンを使うことがあります。
■ ■
指をちょっと切ってケガをした時を考えてください。
血が出て痛いです。
イソジンを塗るとしみます。
生理的食塩水だとしみません。
傷を生理的食塩水で洗って、
適当な被覆材をつける発想がこれです。
浅い傷でしたら…
消毒をしなくても治ります。
問題なのは感染がある褥瘡です。
医学講座
褥瘡の治療法②
平成26年3月15日の院長日記、
第13回日本褥瘡学会北海道地方会への、
なっちゅんさんからのコメント。
母は寝たきりなのでマットレスを専用のにしても褥瘡がありました。
ガーゼにイソジンを付け穴を開けたラップを患部に貼り完治しました。
これって一般的な治療法なんでしょうか?
■ ■
ガーゼにイソジンを付け穴を開けたラップを患部に貼り完治しましたです。
褥瘡の治療法は、
日本褥瘡学会からガイドラインが出ています。
学会誌に掲載された、
褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
…はPDFファイルでこちらから読むことができます。
残念なことですが…
一般の方が読んでも難解です。
よくわからないと思います。
■ ■
どこの学会のガイドラインも同じです。
やたら【推奨度】C2が出てきます。
じゃぁ?
推奨度って何?ってことになります。
推奨度(すいしょうど)は、
○おすすめします。
×だめです。
…という指標です。
■ ■
わかりやすいのは、
あの子は性格もよくて可愛いのでおすすめです。
あの人は真面目で性格がよくて浮気もしないのでおすすめです。
こんな推奨度です。
ややっこしいのは、
これにエビデンスという証拠がついてこないとダメなことです。
性格がよくて浮気もしないという証拠は難しいです。
■ ■
学会が出すガイドラインは、
過去の論文をもとにして作成されています。
そもそも臨床論文でエビデンスの高いものが少ないです。
論文を調べて作ったのがガイドラインなので、
○おすすめします。
×だめです。
…がわかりにくいのです。
■ ■
推奨度
A行うよう強く勧められる
B行うよう勧められる
C1科学的根拠は少ないが、行うことを考慮しても良い
C2十分な科学的根拠がないので、明確な推奨ができない
D行わないよう勧められる
■ ■
結論を言います。
なっちゅんさんのお母さんが受けた治療、
ガーゼにイソジンを付け穴を開けたラップを患部に貼り完治は、
イソジンがしみる可能性はありますが、
傷も治っていますし間違ってはいません。
ただ私だったら…
軟膏を使ったりして、
もう少し痛くない治療法を選択します。
医学講座
褥瘡の治療法①
昨日の院長日記、
第13回日本褥瘡学会北海道地方会に、
なっちゅんさんからコメントをいただきました。
母は寝たきりなのでマットレスを専用のにしても褥瘡がありました。
ガーゼにイソジンを付け穴を開けたラップを患部に貼り完治しました。
これって一般的な治療法なんでしょうか?
■ ■
まずマットレスです。
褥瘡の予防に一番貢献したのが、
体圧分散式マットレスと呼ばれる製品です。
高機能エアマットレスを使うと、
寝たきりで人工呼吸器をつけた患者さんでも、
褥瘡の発生が減ったというご発表が昨日ありました。
■ ■
なっちゅんさんのお母様がお使いになったマットレス、
どんな製品かわかりませんが、
マットレスは日々進歩しています。
10年前と比べると…
高機能の体圧分散式マットレスが安くなりました。
以前は病院でも購入するのが大変なほど高価でした。
■ ■
保険制度も変わりました。
今は介護保険があります。
患者さんの状態によっても違いますが、
介護保険でレンタルできるマットレスがあります。
私は介護保険のことも…
マットレスのことも素人です。
住んでいる地域で、
褥瘡を専門になさっていらっしゃる看護師さんに相談なさってください。
■ ■
褥瘡は、
局所の傷を治すよりも…
まずできた原因を少しでも取り除き…
褥瘡が悪化しないように…
深くならないように…
マットレスや環境を変えたり、
患者さんを動かしてあげたり、
栄養をあげたりが大切です。
奥が深い分野です。
医学講座
第13回日本褥瘡学会北海道地方会
今日(平成26年3月15日土曜日)は、
札幌コンベンションセンターで、
第13回日本褥瘡学会北海道地方会がありました。
学会長は、
北海道大学病院看護部、
皮膚・排泄ケア認定看護師、
林みゆき先生です。
■ ■
とても素敵な看護師さんです。
日本褥瘡学会は、
大浦武彦先生が初代理事長です。
はじめての学会が東京で開催されました。
とても大きな学会になりました。
大勢の看護師さんが参加されます。
会員は圧倒的に看護師さんが多いです。
日本褥瘡学会北海道地方会は毎年3月にあります。
■ ■
褥瘡学会のおかげで、
日本の褥瘡が変わりました。
予防が一番です。
高性能のマットレスができました。
マットレスのおかげで、
褥瘡が減りました。
予防も進歩しました。
■ ■
看護師さんが、
自分で事業所を開設され、
地域医療に貢献しています。
よく勉強しています。
帯広のまみ子師長さんも参加されました。
私が高齢になっても、
優秀な看護師さんたちにケアーしていただいて、
褥瘡なしの生活ができそうです。
林みゆき会長お疲れ様でした。
医療問題
役員報酬引下2014
昨日の院長日記、
2014年4月からの料金に、
なっちゅんさんからコメントをいただきました。
昨年赤字だったのに大丈夫ですか?
ご両親が心配されるのではないでしょうか?
自由診療も患者さんが減りませんように・・・
■ ■
ご心配いただきありがとうございました。
昨年度は、
保険診療でわき汗ボトックス注射をはじめたため、
赤字決算になりました。
高齢の両親が心配していました。
申し訳ございませんでした。
■ ■
医療機関の経営は厳しくなってきています。
餃子の王将が一律1万円のベースアップ
…と報道されていました。
私も奥さんと…
よくイオン桑園店(そうえん)の餃子の王将に行きます。
安くて美味しいです。
二人で晩ご飯を食べても2,000円以下です。
ありがたいです。
■ ■
一律一万円のベースアップなんか…?
どこの医療機関も無理だと思います。
2014年4月の診療報酬改定では、
在宅診療をしている医療機関は大変です。
今朝の朝日新聞にも掲載されていました。
ベースアップどころか、
ベースダウンしなければやっていけません。
■ ■
札幌美容形成外科の見通しも楽ではありません。
開業して10年になります。
今年は私の役員報酬を引下げます。
もう60歳だし、
子どもの教育費もかからないし、
クリニックには借金もないし、
リースの医療機器もありません。
役員報酬を引下ても王将で晩ご飯は食べられます。
■ ■
札幌美容形成外科の本間先生、
いったいいくら役員報酬をもらってるの?
疑問に思われるかたは、
北海道庁に行って調べてください。
医療法人の役員報酬はどこの先生の分でも調べられます。
私の役員報酬は、
市立札幌病院の先生と同じ程度の年収です。
ぜいたくをしなければ…
これで十分暮らしていけます。
みなさまのご来院をお待ちしております。
医療問題
2014年4月からの料金
4月から消費税がUPします。
頭が痛いです。
札幌美容形成外科は保険診療が大部分です。
消費税がかかるのは、
自由診療だけです。
頭が痛いです。
■ ■
消費者庁から2013年7月25日に、
消費税に係わる表示について指針が出されました。
禁止された表現
消費税は転嫁しません
消費税率上昇分値引きします
消費税は当店が負担しています
消費税はおまけします
当店は消費税増税分を据え置いています
■ ■
許容される表現
春の生活応援セール
新生活応援セール
たまたま消費税率の引上げ幅と一致するだけの
3%値下げ
3%還元
札幌美容形成外科の料金表を…
何と書いたらよいか困っています。
■ ■
札幌美容形成外科は、
もともと内税表示です。
まつ毛育毛剤のルミガンは5,000円です。
5,250円ではありません。
他院より少しでも安く!
…という私の考えと…
端数がないので、
お釣りの手間が省けます。
私でしたら250円でも安いところで買います。
■ ■
この内税5,000円をそのまま3%分値上げが大変です。
税抜4,762円+消費税238円で5,000円です。
8%の税率になると消費税が381円。
税込5,143円になります。
とてもじゃないけど…
一円玉をたくさん準備して…
おつりも計算も大変です。
そこで4月からも…
同じ料金にする予定です。
つまり…
まつ毛育毛剤のルミガンは5,000円のままです。
■ ■
これを消費庁から不当表示と指摘されないように、
何と表現したら良いか困っています。
生命保険の診断書料のように…
診断書5,000円+消費税250円のは、
そのまま
診断書5,000円+消費税400円で5,400円です。
消費者庁から叱られないように…
どうやって記載しようか困っています。
院長の休日
札幌駅前通地下歩行空間_開通3周年
今日で札幌駅前通地下歩行空間が開通して3年です。
便利になりました。
札幌駅前通りの人の流れが変わりました。
地上を歩く人が減りました。
人が減って閉店した本屋さんがあります。
コンビニも閉店しました。
地下がおおにぎわいです。
■ ■
私も毎日地下を歩いて通勤です。
冬が便利です。
路面が凍結していないので、
転倒する危険がありません。
私と同じマンションの方は、
地下を毎日一万歩も歩くそうです。
地下ウォーキングマップもあります。
■ ■
札幌美容形成外科の近くも変わりました。
今年の夏には三井ビルがオープンします。
富国生命ビルは…
取り壊されて新しいビルになります。
三井ビルに入るとうわさされていた、
外資系ホテルは無くなりました。
オフィスビルになるようです。
あと一ヵ月もすると雪どけです。
雪がとけると春になります。

2014

札幌三井ビル2014

フコク生命ビル2014
2013
2012
2011
昔の記憶
2014年3月11日
2011年3月11日、午後2時46分頃、
私は50代男性の眼瞼下垂症の手術中でした。
身体が揺れている感じがしました。
患者さんが、
めまいのように…
身体が…
ゆれている感じがします。
…と言われました。
■ ■
東日本大震災から3年です。
記憶が薄れないうちに…
もう一度震災のことを考えたいと思います。
震災では、
電気も…
水道も…
ガスも止まりました。
マンションのエレベーターは使えません。
■ ■
震災後の仙台では…
マンションの高層階は嫌われ…
低層階から埋まると聞きました。
今も深刻な住宅不足で、
今年、仙台の大学へ進学する学生さんは、
高いアパートの家賃に困っているそうです。
防災や、
避難、
災害時の情報収集も、
もう一度考え直す時です。
■ ■
震災直後、
米国は日本への渡航を危険だと報道しました。
震災後に徳島で開催された、
第54回日本形成外科学会には、
外国人招待者が来日されませんでした。
今から考えると、
米国の報道が正しかったことがわかります。
毎日TVで会見していた人の家族は、
海外へ避難していたと後から知りました。
■ ■
福島の原発はまだ混乱のままです。
災害はいつかまた起こります。
将来に備えて、
安全な国を作るのが、
政治家の使命だと思います。
東京直下型地震が起きても…
生き残れるまちづくりが大切だと、
私は思います。