医学講座

定期健康診断

 今日はクリニックの定期健康診断の日です。
 医療機関も一般企業も従業員の定期健診が
 法律で義務付けられています。
 総合病院に勤務していた時代に、
 一番受診率が低いのが医師で、
 困ったことだと言われた覚えがあります。
      ■         ■
 われわれは医師は、
 他人の健康を心配するのが仕事です。
 自分たちの健康には…
 残念なことに無関心な人が多いとも言われます。
 婦人科と小児科以外は、
 自分の専門としている科の病気にかかる…
 とも言われていました。
 肺がんの専門家は肺がんに、
 白血病の専門家は白血病に。
      ■         ■
 健康診断の項目には、
 労働安全衛生規則という
 法律で義務付けられた項目があります。
 また結核については、
 医療機関、学校、社会福祉施設では、
 保健所への検診結果の届出義務があります。
 医療機関で結核が広がった、
 集団感染の例もありました。
 結核は、まだまだ怖い病気です。
      ■         ■
 健康診断は自由診療です。
 消費税もかかります。
 健康診断を保険で行うことはできません。
 新たに開業なさった先生は、
 注意なさってください。
 札幌美容形成外科では、
 自分のクリニックでできる検査は、
 自前で行っています。
 血液検査、尿検査、心電図などです。
      ■         ■
 胸部写真と聴力検査は、
 自前ではできないので、
 健診センターを利用しています。
 私は開業した当時から、
 財団法人結核予防会北海道支部、
 札幌複十字総合健診センターを利用しています。
 所長の中西昌美先生は、
 元市立札幌病院長でした。
 外科の先生です。
 札幌駅北口のエルプラザにあります。
      ■         ■
 婦人科健診や乳がん検診は、
 定期健康診断には入っていません。
 婦人科のがん健診と
 乳がん検診を同じ先生がする、
 健診センターがあります。
 私は…
 乳がんは乳腺クリニックなどで、
 乳がん専門の先生に、
 診ていただくのがよいと思います。
      ■         ■
 健診目的では保険は使えませんが、
 ちょっと『しこり』が気になる…
 片側のおっぱいだけ、
 小さな『しこり』があるような気がする…
 という症状があれば、
 保険で診察も検査も受けられます。
 健康診断より、
 しっかり診ていただけると思います。
 乳腺のことは、
 札幌でしたら
 札幌乳腺外科クリニックをおすすめしています。

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昔の記憶

弁当の晩ご飯

 昨日の開院5周年記念日、
 晩ご飯は…
 ほっともっとの…
 お弁当でした。
 家内が…
 とり天丼350円。
 私がサーロインステーキ重和風520円。
 合計870円。
 これに自家製サラダでした。
 お弁当は仲良く半分ずつです。
      ■         ■
 あぁ~らぁ…
 先生、可愛そうに…
 なんて思わないで下さい。
 ほっともっとのお弁当は美味しいです。
 昔より美味しくなったと思います。
 従業員が辞めて欠員になったり…
 病気で休んだりすると…
 頼りになるのは奥さんです。
 夜、8時過ぎまで働いていると…
 夕ご飯の支度はできません。
      ■         ■
 開業した5年前も…
 夕ご飯は、よくお弁当になりました。
 当時は、
 イトーヨーカドーのお弁当が、
 閉店間際になって割引になっていたのを買ったりしました。
 美容外科の先生は…
 毎日、ホテルで豪華な夕食…?
 なんてイメージがあるかも?知れませんが…
 私の知っている先生にそんな人はいません。
      ■         ■
 知り合いの先生(美容外科ではありません)は、
 ちょっと小柄で童顔です。
 一見すると先生には見えません。
 開業して…
 毎日とても忙しくて…
 仕事が終わるとどこのお店も閉まっていて…
 開いているのはお弁当屋さんだけ。
 毎日、買いに行くので、
 お弁当屋さんのおばちゃんと顔見知りになりました。
      ■         ■
 毎日、遅くまで大変ですね。
 今日は何にいたしましょうか?
 先生いわく、
 あのおばちゃん…
 僕のこと…
 絶対、医者だって思ってないですょ。
 とお話ししたことがありました。
 開業しても、
 閑古鳥が鳴いて…
 夜は当直のアルバイトに行く先生もいると聞きます。
      ■         ■
 ある意味…
 開院記念日が忙しくて、
 晩ご飯がお弁当なのは、
 幸せなことだと思います。
 さくらんぼさんのように、
 早朝から深夜まで働いて…
 その上、ご子息のご飯まで準備される方は、
 ただただ尊敬するだけです。
 お互いに、
 労働基準法の適用がない職種です。
 身体にだけは気をつけましょう。

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昔の記憶

開院5周年③

 お医者さん限定のサイトで、
 m3.com(エムスリー・ドットコム)というのがあります。
 そこには、
 開業医の苦悩がたくさん書かれています。
 開業して一番苦労するのが、
 一緒に働いてくれる職員です。
 どちらの先生も苦労しているようです。
      ■         ■
 その点、
 私は恵まれていると思います。
 こんな、
 わがままな頑固親父と、
 毎日、一緒に働いてくれる、
 私は札幌美容形成外科の職員に…
 ♡感謝♡しています。
 開業した時には、
 先輩の助言に従って
 人材派遣会社から、
 2人のお嬢さんにいらしていただきました。
      ■         ■
 人材派遣会社のベテラン副支社長さんが、
 先生、大丈夫です!
 太鼓判を押してくださった方が、
 一週間でお辞めになってしまいました。
 『私、何か悪いことしました…?』
 というのが正直な感想でした。
 辞められた後も、
 なかなか後任が決まらず…
 その後は私が直接面接をして採用しました。
      ■         ■
 札幌美容形成外科の職員は、
 自分の子どもと同年代の若い人です。
 5年間の間に、
 ♡結婚♡したり…
 ♡子どもさんが産まれたり♡しました。
 とても喜ばしいことです。
 5年前から働いているのは、
 私と家内だけです。
 職員が辞める時は、最初は戸惑いました。
      ■         ■
 ある先輩に相談したところ、
 無理に引き止めても駄目
 ありがとうございました
 快く、辞めていただき…
 引継ぎだけはしてもらってください
 と助言をいただきました。
 北海道医師協同組合の、
 社会保険労務士の田中猛先生には、
 何度もお世話になりました。
      ■         ■
 医師は‘医業’という自分の専門は勉強しますが、
 人事・労務管理など、
 経営者としての基本中の基本は…
 中学校で習ったことも忘れています。
 自分自身には、
 労働基準法はありませんでした。
 就職や失業で…
 苦労したことがなかったことも…
 無知な原因の一つだと思います。
      ■         ■
 5年間はあっという間でした。
 みなさんのおかげで…
 毎日診療を続けられています。
 日記のコメントから、
 毎日元気をいただいています。
 この日記を読んでいただいて、
 私に元気やる気をくださっている、
 たくさんの皆様に♡感謝♡しています。
 これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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昔の記憶

開院5周年②

 開業して苦労することは、
 いかにお客様にいらしていただくか?です。
 美容外科では…
 残念なことに、
 口こみは期待できません。
 広告宣伝費では、
 とても大手美容外科に太刀打ちできません。
 どこの美容外科でも苦労していることです。
      ■         ■
 開業してしばらくは…
 いくつかの媒体に小さめの広告を出しました。
 それでも…
 かなりの広告費がかかります。
 札幌には、
 フリーペーパーがいくつかあります。
 地元の月刊誌もあります。
 どの媒体が費用対効果で最も効率的であるかは、
 しばらく投資をしてみないとわかりません。
      ■         ■
 2006年3月に創刊された、
 リファインというフリーペーパーがあります。
 私は、創刊号から毎回、広告を出しています。
 他の美容外科の広告とは違い、
 形成外科の手術や施術を、
 なるべくわかりやすく解説する広告です。
 この広告には…
 私の形成外科医としての苦労の歴史があります。
      ■         ■
 市立札幌病院皮膚科で、
 形成外科の診療をはじめた時にも、
 最初は閑古鳥が鳴いて困りました。
 皮膚科外来の看護婦さんと、
 先生、ヒマだから…
 チラシでもまいてきましょうか?
 と話したことを覚えています。
 医学部や看護学校で講義をしても…
 わきが手術
 健康保険で受けられる?
 と言うと驚かれました。
      ■         ■
 先生!わきがって病気ですか?
 と何度も聞かれたものです。
 市立病院では…
 さすがに…
 フリーペーパーに広告は出せません。
 私は、形成外科という科を知っていただくのに、
 何十年も苦労しました。
 リファインでは…
 形成外科の手術や治療を、
 マンガで解説しています。
 私はこのマンガファンです。
 ネットではご紹介できないのですが、
 下のマンガの私が解説しています。


マンガの私です


リファインより引用
札幌市内のローソンなどにあります

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昔の記憶

開院5周年①

 平成16年(2004年)8月3日(火)に開院して、
 もう5年になりました。
 みなさまに支えられて、
 何とか頑張って来られました。
 こころから御礼を申し上げます。
 この5年間に世の中は大きく変わりました。
      ■         ■
 まず、私の年齢が49歳→54歳となりました。
 私が美容外科医を志し、
 帯広厚生病院を退職したのが、
 平成10年(1998年)でした。
 その時は43歳でした。
 下の子どもが、
 ちょうど中学校1年生になった時でした。
 その息子が23歳ですから…
 年のたつのは早いものです。
      ■         ■
 私が帯広厚生病院を辞める前年、
 平成9年11月17日に、
 拓銀(北海道拓殖銀行)が破綻しました。
 帯広厚生病院を辞めることは、
 一年前に、
 大学や周囲に伝えていましたので…
 この大変な時期に辞めなくても…
 と心配してくださった、
 親しい方もいらっしゃいました。
      ■         ■
 今の時代は、
 昨年秋からの100年に一度の大不況です。
 拓銀が破綻した、
 平成9年は…
 北海道以外の地域はまだ元気がありました。
 平成21年(2009年)は、
 経済危機に加えて、
 新型インフルエンザによる観光客の落ち込み。
 航空会社の搭乗率も軒並みダウンです。
      ■         ■
 私が利用しているANAも、
 秋から新聞の無料提供を中止。
 (以前は朝刊も夕刊もありましたが、
 いつの間にか夕刊のサービスがなくなり、
 週刊誌もなくなりました。)
 収益源だった…
 国際線ビジネスクラスの落ち込みが激しく、
 今期は赤字の予想です。
 路線の大幅な見直しをするそうです。
      ■         ■
 美容外科は不況に弱い業種です。
 美容外科のお客様は、
 激安チェーン店に流れているようです。
 私が開業する時に考えた…
 経験豊富な院長が
 リーズナブルな料金で
 最高の治療を提供しています
 ワキガ・眼瞼下垂・陥没乳頭などは…
 保険適応もOK
 という方針は、
 不況下でも健闘しています。
      ■         ■
 チェーン店にはできない、
 親切丁寧で、
 しっかりとした治療をしています。
 保険診療による手術は、
 医療費控除を受けたり、
 生命保険の手術給付金をいただいたりできます。
 経営は楽ではありませんが、
 患者さんに、
 先生、ありがとうございました
 と喜んでいただけるように、
 毎日頑張っています。
 これからも何卒よろしくお願い申し上げます。

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医学講座

日焼けマシンの危険性

 朝日新聞のWEBページ、
 asahi.comからの引用です。
 同じ内容の記事が平成21年7月31日の
 北海道新聞朝刊にも掲載されていました。
 日焼けマシン、発がんリスク最高レベル
 世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、日焼けサロンやスポーツジムで使われ、人工的に紫外線を出す「日焼けマシン」の使用は発がんリスクを確実に高めるとして、発がんリスク分類でもっとも危険性の高い「グループ1」に引き上げた。
      ■         ■
 IARCは、日焼けマシンと皮膚がん(メラノーマ)との関係を調べた19論文を分析。30歳未満で日焼けマシンを使った経験のある人は、使ったことのない人より75%もリスクが高いことがわかった。日焼けマシンの使用による、眼球の色素細胞にできるがんのリスクも高かった。
      ■         ■
 従来、紫外線のうちB紫外線(UVB)にだけ発がん性があると考えられていたが、A紫外線(UVA)もUVBと同じように発がん性があることもわかったという。地上に降り注ぐ紫外線の95%がUVAだ。
      ■         ■
 日焼けマシンは5段階の発がんリスク分類で危険性が2番目に高いグループだった。危険性が一番高いグループにはアスベストやたばこ、X線、太陽光などがある。
      ■         ■
 紫外線に詳しい名古屋市立大の森田明理(あきみち)教授(皮膚科)は、「黄色人種は白人に比べて紫外線によるがんのリスクは数分の1だとされるが、油断はできない。屋外で浴びる紫外線の量が、欧米の多くの都市よりもかなり多いからだ。外出のときは、皮膚が赤くなるような日焼けをしないように、日焼け止めや日傘で予防すべきだ」と警告する。(大岩ゆり)
 (以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 2008年7月5日の日記にも書きました。
 私は平成7年(1995年)1月から平成10年(1998年)3月まで、
 3年3ヵ月間、
 JA帯広厚生病院形成外科に勤務しました。
 帯広がある、
 北海道十勝地方は、
 日照時間が長く、
 北海道の穀倉地帯の一つです。
      ■         ■
 十勝地方で長い間、農業に従事された方、
 漁業で長い間、紫外線にあたった方には、
 皮膚がんができることがありました。
 お仕事で紫外線にあたったためにできた癌でも、
 労災保険の適応もなく、
 年をとってから、
 顔の皮膚を切除する手術は、
 ほんとうにお気の毒でした。
      ■         ■
 農業や漁業、
 ゴルフ場に勤務される方は、
 くれぐれも紫外線防御対策をしっかりなさってください。
 カバーマークも効果的です。
 小麦色の肌にあこがれて…
 お金を払って日焼けサロンに行かれる方が、
 今でもいらっしゃいます。
 皮膚科医の管理下にする、
 治療としての紫外線は別として、
 素人が安易に日焼けマシンを使うのは危険です。
 くれぐれも日焼けには注意してください。

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医学講座

デブリードマン

 デブリードマン、
 通称デブリといいます。
 英語表記はdebridementですが、
 もともとは、フランス語が語源だそうです。
 外科学の講義で習う、
 最初の医学用語の一つです。
 簡単に言うと、
 皮膚や組織などが、
 死んでしまった時【壊死(えし)といいます】に、
 その死んでしまった部位を、
 外科的に切除することをいいます。
      ■         ■
 人間や動物の身体は、
 血液が循環して生きています。
 元気な組織は、
 キレイなピンク色をしています。
 ホッペがピンクだったり、
 爪の色がピンクだと、
 健康な証拠です。
 血流が悪くなって、
 組織が死んでしまうと、
 どす黒い色になります。
      ■         ■
 かなり前になりますが、
 脂肪吸引手術の後で、
 感染症のために…
 皮膚や皮下脂肪が壊死になってしまい、
 大きな後遺障害が残った方がいらっしゃいました。
 PRSという米国形成外科学会誌に、
 症例報告として掲載されています。
 2007年5月15日の院長日記でご紹介しています。
      ■         ■
 そちらの写真を見ていただくとわかりますが、
 組織が死んでしまった部位(下腹部~大腿)は、
 黒く変色しています。
 この黒くなった部位をそのままにしておくと、
 感染症が拡大して…
 最悪の場合は亡くなってしまいます。
 そのために、
 その‘死んだ’部分を切除する必要があります。
 深いヤケドの場合も同じです。
      ■         ■
 全身麻酔で手術をして、
 壊死(えし)になった部分を切除します。
 切除した部位はキズになり、
 血が出てきますので、
 その部分を覆う必要があります。
 そのために、
 他部位から皮膚移植をします。
 皮膚移植のことを植皮(しょくひ)といいます。
 私は数多くデブリードマンと植皮手術をしました。
 どんなに丁寧に手術をしても後遺障害が残ります。
      ■         ■
 山形大学の患者さんの場合は、
 手術後にコンパートメント症候群になり、
 下腿の組織が一部壊死になったか、
 壊死になりそうな状況だったと推測します。
 そのような場合は、
 手術で縫合したところを開放し
 (縫ったキズを開き)
 パンパンに腫れた下腿を、
 少しでも楽にしてあげるようにします。
 これがコンパートメント症候群に対する、
 デブリードマンと植皮です。
      ■         ■
 患者さんは、
 キレイに治してほしいので、
 形成外科の先生に手術をお願いしたと思います。
 形成外科の手術で、
 コンパートメント症候群になることは、
 極めてマレなケースです。
 コンパートメント症候群は、
 形成外科医よりも、
 整形外科医や救急医が、
 遭遇することが多い病態です。
 手術後に変色した下腿を発見した先生は、
 何とか救済しようと努めたはずです。

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医療問題

他科再建(たかさいけん)

 他科再建(たかさいけん)
 他科手術(たかしゅじゅつ)
 聞き慣れない言葉だと思います。
 私が形成外科医になった、
 30年前には無かった言葉です。
 形成外科医が、
 自分が所属している科
 (つまり形成外科とか整形外科など)
 以外の科から依頼されて、
 再建手術を行うことを言います。
      ■         ■
 形成外科のことを、
 英語では、
 Plastic and Reconstructive Surgery
 (プラスティック アンド リコンストラクティブ サージェリー)
 といいます。
 プラスティックはプラスチックのことです。
 形をつくるという意味です。
 リコンストラクティブは、
 再建するという意味です。
      ■         ■
 再建という言葉は、
 赤字再建団体
 の夕張市にも使います。
 医学で再建というと、
 ガンや腫瘍(しゅよう)を取った後で、
 その部分を修復(しゅうふく)することを言います。
 形成外科には、
 私のように美容形成外科学といって、
 二重まぶたを作ったりするような分野と、
 再建外科学という、
 元に戻す修復手術の分野があります。
      ■         ■
 私の経験上、
 他科再建で一番多いのが、
 耳鼻科や口腔外科からの依頼でした。
 耳鼻科の先生が、
 顔や喉(のど)のガンを取って、
 その後を修復する手術です。
 形成外科の組織移植の技術や
 マイクロサージャリーという、
 血管吻合の技術が生かされます。
      ■         ■
 一般的な大学病院では、
 内科、外科、整形外科、皮膚科というは、
 それぞれ独立しています。
 教授を頂点とする教員も、
 病棟も、
 研究室もすべて別です。
 つまり、大学病院という大きな市場
 たくさんの商店が集まっていると考えてください。
      ■         ■
 一般の企業や商店でも…
 他の企業と合同事業をすることがあります。
 商店が忙しい時に、
 派遣会社に応援を頼むこともあります。
 そういう時には…
 もし、不測の事態があったら、
 責任は誰がどの割合で取るとか、
 費用はどのように分担するとかを、
 契約書で詳しく決めてからはじめます。
      ■         ■
 ここ10年くらいの間に、
 大学病院や大病院には、
 リスクマネージャーという制度ができました。
 医療安全委員会などもあります。
 つまり医療を安全に行うために、
 どのように業務を進めるか?ということを、
 詳しく決めています。
 ところが、
 私の知る限りでは…
 他科再建の責任をどちらの診療科が、
 どのように分担するか?
 というような取り決めは無いと思います。
      ■         ■
 大部分の大学病院や大病院では、
 他科再建の依頼は、
 電話か院内の‘他科受診’の手紙で、
 形成外科医の犠牲的精神で行われています。
 つまり…
 他科から頼まれて、
 12時間もかかるような手術をしても…
 時間外手当も、
 休日出勤手当ももらえないのが、
 私が勤務した大学病院であり大病院でした。
      ■         ■
 増えるのはストレス
 医療事故を起こさないように…
 という心配です。
 唯一、得られるのは…
 手術が成功して、
 患者さんが元気に退院される時の、
 先生、ありがとうございました。
 というお言葉による、
 満足感だけです。
 こんな状況下で、
 一人の形成外科医に責任を押しつける、
 山形大学の姿勢に問題があります。
 荻野先生には何としても
 勝訴していただきたいです。 

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昔の記憶

茶志内(ちゃしない)の今野先生

 昨夜、北海道新聞夕刊を読んでいました。
 美唄(びばい)の米作農家、阿部義一さんが、
 『おぼろづきを育てて』という連載で、
 今野巌(こんのいわお)先生のことを
 書いていらっしゃいました。
 今野先生は、
 私が卒業した、
 美唄市(びばいし)茶志内(ちゃしない)にあった、
 日東美唄(にっとうびばい)小学校の
 先生でした。
      ■         ■
 今野先生のお宅は田んぼの中にあり、
 昨日の新聞によると、
 小学校の教員を定年退職されてから、
 お米を作っていらしたと書かれていました。
 今野先生は、
 中国大陸で一時期を過ごされ、
 美唄に戻ってから、
 小学校の教員をなさったと伺っていました。
 スケールの大きな考えの先生で、
 他の先生が『今野先生は違う…』
 と話されていたのを覚えています。
      ■         ■
 今野先生のご子息は、
 私の札幌医大の先輩です。
 私が小学生の時に、
 美唄東高校から、
 札幌医大に進まれました。
 今野先生が、
 うちの息子は漢字を一つ間違えて
 札幌医大の入学試験に失敗した。
 漢字はしっかり覚えなさい。
 と言われたのを覚えています。
      ■         ■
 PTAの会合か何かで、
 私の母親に、
 息子さんはお医者さんにしなさい
 と言っていただいたそうで、
 母親は、
 今野先生がおっしゃっていた
 美唄を離れた後も言っていました。
 先生の何気ない一言が、
 心に残ることがあるものです。
      ■         ■
 北海道新聞に連載されている、
 阿部義一さんも、
 米の減反政策で、
 一時期は米作りを減らされたそうです。
 周囲の白い目を気にしながら、
 阿部さんだけが米を作られました。
 その時に、
 頑張りなさいと言ってくださったのが、
 今野先生だったそうです。
      ■         ■
 私も北海道産の
 おぼろづきを食べています。
 昔は北海道の米は美味しくない!
 といわれたそうですが、
 とても美味しいお米です。
 自分がお世話になった先生が、
 新聞で取り上げられていると、
 懐かしく嬉しく思います。
 私は今野先生のおかげで…
 しっかり漢字を覚えたので、
 入学試験の漢字では困りませんでした。
 今野先生、ありがとうございました。

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医学講座

眼の左右差

 履歴書には得意科目を書く欄があります。
 私の得意科目は…?
 今だったら、
 美容形成外科学、
 特に眼の手術、
 とでも書くでしょうか…?
 得意科目でも、
 症例数が増えて、
 手術が増えれば増えるほど、
 難しいと感じます。
      ■         ■
 眼瞼下垂症手術は得意科目の一つですが、
 微妙な左右差を調節するのは、
 何度やっても難しいと感じます。
 特に難しいのが、
 片側性先天性眼瞼下垂症です。
 片方の目だけが、
 生まれつき筋力が弱いので、
 どうしても左右差が出ます。
 もちろん手術中に確認します。
 それも何度も確認します。
      ■         ■
 手術してしばらくは調子がよくても…
 次第に筋力が弱くなることがあります。
 そうすると左右差が出ます。
 ハードコンタクトレンズで、
 眼瞼下垂症になった方にも、
 左右差がある方がいらっしゃいます。
 手術後に…
 またハードコンタクトを使うと…
 また眼瞼挙筋という筋肉が弱り…
 瞼が下がることがあります。
      ■         ■
 一般的に眼科や、
 コンタクトレンズの販売業者は、
 ハードコンタクトを長期間着用すると…
 将来、眼瞼下垂症になる可能性があります…
 とは言わないようです。
 札幌美容形成外科を受診される、
 大部分の方は、
 ハードコンタクトによる
 眼瞼下垂症を知りませんでした。
      ■         ■
 現在の医学教育では、
 医学部でも
 看護学部でも、
 ハードコンタクトと
 眼瞼下垂症の関係については教えません。
 医師国家試験にも
 看護師国家試験にも出ません。
 看護師さんでも…
 ハードコンタクトを使っていらっしゃる方は、
 たくさんいらっしゃいます。
      ■         ■
 ハードコンタクトを使うと、
 全員が眼瞼下垂症になるのではありません。
 私の印象では、
 眼球が少し出ていて、
 コンタクトによって、
 瞼の裏側が摩擦される方に多い印象です。
 眼が大きくて、
 キレイな方です。
      ■         ■
 微妙な眼の左右差は…
 誰にでもあるものです。
 どこまでを正常範囲と考え、
 どこからが異常で、
 どの程度だったら手術適応とするかは、
 医師の判断に委(ゆだ)ねられます。
 どこまで治したらよいかを判断するのも、
 なかなか難しいものです。
 眼の手術は得意科目でも、
 100点を取るのは難しいと感じます。

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