医学講座
                        
                            眼瞼下垂症講座③【小さな目】                                                    
    
                         生まれつき…
 目が小さな子どもさんがいます。
 赤ちゃんの時から…
 写真を撮るのに苦労します。
 少しでも大きな目にしようと…
 親はシャッターチャンスを狙います。
 なかなか目を開いてくれません。
      ■         ■
 視力そのものには影響はありません。
 小学校の視力検査でも、
 特に異常は認められません。
 幼稚園や…
 小学校に通うようになると…
 ○○ちゃん
 目あいてるの…?
 …なんてことを言われます。
      ■         ■
 お母さんに…
 どうして私の目は小さいの…?
 ○○ちゃんも…
 大きなお目めになりたいなぁ~
 と少女マンガの…
 目が大きな女の子に憧れます。
 ○○ちゃん
 眠っているの~?
 などという言葉で傷つきます。
      ■         ■
 男の子でも同じです。
 お前、目あいてないじゃん!
 ちゃんとしっかり見ろよ!
 などという言葉で傷つきます。
 可愛そうなケースですと、
 学校でいじめにあうこともあります。
 本人も親も…
 眼瞼下垂症なんて病気を知りません。
      ■         ■
 お父さんも…
 おじいちゃんも…
 親戚のおじちゃんも…
 おばちゃんも…
 みんな同じ目だから…
 仕方ないよね。
 そんな目のお父さんを選んだ、
 お母さんが悪い。
      ■         ■
 お父さんとお母さんが…
 私を不幸にしたんだ。
 …と親を恨みます。
 いつかは自分も…
 パッチリとした大きな目になりたいと…
 小さな時から…
 ず~っと思っている子もいます。
      ■         ■
 小学校になると…
 学級写真を撮るようになります。
 気をつけて見てみると…
 目が小さくて…
 眠そうな目をした子は…
 顎(あご)を上げて…
 カメラを見ています。
 1年生から6年生まで、
 同じような姿勢です。
      ■         ■
 写真屋さんでは…
 お嬢ちゃん
 あごを引いて
 といわれます。
 あごを上げないと…
 黒目の上がまぶたで隠れているので、
 よく見えないのです。
 視力検査では1.5もあって…
 異常がなくても…
 こんな子どもさんは…
 眼瞼下垂症です。
      ■         ■
 大きな目の
 二重まぶた
 に憧れますが…
 埋没法による手術では、 
 二重にならないことがあります。
 たとえ二重になっても…
 眠そうな目は、
 改善されません。
      ■         ■
 このような目で悩んでいる人は、
 意外と多いものです。
 高いお金を払って…
 二重の手術を受けたのに…
 二重になれなかった。
 このような方は、
 眼瞼挙筋という…
 まぶたを上げるモーターが弱いのです。
 眼瞼下垂症の手術をすることで、
 視界が広くなり、 
 ものが見やすくなります。
                        
                        
                     
                                    
                                    
                                                医学講座
                        
                            眼瞼下垂症講座②【赤ちゃん】                                                    
    
                         今日は先天性眼瞼下垂症についてです。
 赤ちゃんが生まれたら…
 目をつぶって眠っています。
 ちょっと目を開けると…
 あっ…
 目を開けた…
 ?かわいい?…
 と周囲は大喜びです。
      ■         ■
 赤ちゃんの時から…
 大きな瞳の子は…
 かわいいと言われます。
 ベビー用品の宣伝に出る赤ちゃんは、
 目が大きな子です。
 ペットでも…
 目が黒くて大きな仔犬は人気です。
      ■         ■
 生まれつき…
 目の開きが悪い子どもさんがいます。
 重症の子は、
 ほとんど目が開いていません。
 小児科の先生が診て、
 すぐに眼科へ紹介されます。
 片目だけ、
 開きが悪い子もいますし、
 両目とも開かない子もいます。
      ■         ■
 眼科医は…
 主に視機能を診ます。
 どの時期に手術をするかは、
 眼科医が慎重に判断します。
 形成外科医が、
 乳児期の眼瞼下垂症を診ることは、
 多くはありません。
 視機能のチェックが主目的だからです。
      ■         ■
 ご両親は…
 一日でも早く手術をして…
 早く大きな瞳にしたいと願います。
 お気持ちはとてもよく理解できますが、
 小さな赤ちゃんに、
 大きな瞳で、
 パッチリ二重の目をつくるのは…
 どんなに腕の良い形成外科医でも、
 とても難しいことです。
      ■         ■
 それは…
 大きな瞳にすればするほど、
 目を閉じることができないからです。
 目を閉じることができなければ、
 角膜という目の表面にキズがつきます。
 角膜は、
 角膜移植でご存知のように…
 傷ついて濁ってしまうと…
 視力が出なくなります。
      ■         ■
 ですから、
 赤ちゃんの眼瞼下垂症は、
 眼科医が主治医となります。
 先天性眼瞼下垂症の方は、
 生まれつき、
 眼瞼挙筋という…
 瞼(まぶた)を上げるモーターが、
 働いていないか…
 機能が悪い方が大部分です。
      ■         ■
 重度の下垂ほど、
 手術は慎重に行います。
 私が勤務医だった時には、
 眼科の先生と何度も連絡を取って、
 手術方法や時期を決めていました。
 症例数は多くはありませんでしたが、
 手術をしていました。
      ■         ■
 子どもさんを…
 大きな瞳で、
 ぱっちり二重にすると、
 目が閉じなくなることがあります。
 下を向いた時に、
 白目が出てしまう欠点もあります。
 赤ちゃんの眼瞼下垂症は、
 眼科と形成外科がある総合病院で、
 ベテランの先生に診ていただくのがベストです。
                        
                        
                     
                                    
                                    
                                                医学講座
                        
                            眼瞼下垂症講座①【加齢】                                                    
    
                         医学講座のつづきです。
 今日は…
 やさしい眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)①です。
 昨日の日記で、
 まぶたは、
 舞台にある、
 幕(まく)のような構造です。
 幕を上に上げるモーターが、
 眼瞼挙筋(がんけんきょきん)という筋肉。
 幕の一番下についている、
 縁(ふち)のしっかりした構造が、
 瞼板という板状の組織です。
 と書きました。
      ■         ■
 生まれつきモーターの機能が悪くて、
 瞼が上がりにくい人が…
 先天性眼瞼下垂症
 (せんてんせいがんけんかすいしょう)です。
 年齢とともに…
 幕の布が伸びてしまって…
 モーターでいくら引っぱっても…
 幕が上まで上がらなくなったのが…
 加齢による眼瞼下垂症です。
      ■         ■
 年齢とともに…
 誰でも瞼が垂れ下がってきます。
 その余分な皮膚を切除して、
 眼瞼挙筋という…
 モーターについている、
 幕を引っぱる綱(つな)を
 調節する手術が、
 眼瞼挙筋前転法
 (がんけんきょきんぜんてんほう)
 …という健康保険の手術です。
      ■         ■
 下垂の程度は、
 先天性の場合も、
 加齢による場合も、
 人によってちがいます。
 どの程度から手術適応にするか…?
 診断は医師によって異なります。
 眼科医と、
 形成外科医でも、
 手術に対する考え方は違います。
      ■         ■
 加齢による眼瞼下垂症手術は、
 余分な皮膚を切除する必要があります。
 どんなに丁寧に手術をしても、
 必ず腫れが出ます。
 大まかな腫れが取れるまで
 最低1ヶ月。
 キズが落ち着くまでは、
 3ヶ月近くかかることもあります。
      ■         ■
 お孫さんの結婚式、
 法事、
 同窓会など、
 大切な予定がある場合は、
 最低でも…
 3ヶ月以上は…
 余裕をみてください。
 血圧が高い方は、
 手術中に出血しやすくなります。
 お薬でコントロールしてから
 手術を受けてください。

加齢による眼瞼下垂症
 

手術前です
 

手術一ヵ月後です
 

手術3年後です
 
                        
                        
                     
                                    
                                    
                                                医学講座
                        
                            二重まぶたの仕組み                                                    
    
                         昨日の日記が…
 難解な医学用語ばかりで…
 大変申し訳ございませんでした。
 今日は、
 美容形成外科入門編として、
 二重まぶたの構造について、
 解説いたします。
      ■         ■
 医学部や
 看護学校…
 看護学部ですら…
 二重まぶたの構造とか…
 仕組み…
 なんて講義はありません。
 もし開講したら、
 きっと居眠りする学生はいないと思います。
      ■         ■
 目の構造は、
 下の図のようになっています。
 下の図は、
 一重(ひとえ)の人のまぶたです。
 睫毛(まつげ)の根元に、
 瞼板(けんばん)という厚い組織があります。
 この瞼板があるので、
 まぶたの縁(ふち)が…
 ふにゃふにゃにならず…
 しっかりと目を瞑(つぶ)ることができます。
      ■         ■
 まぶたは、
 舞台にある、
 幕(まく)のような構造です。
 幕を上に上げるモーターが、
 眼瞼挙筋(がんけんきょきん)という筋肉。
 幕の一番下についている、
 縁(ふち)のしっかりした構造が、
 瞼板という板状の組織です。
      ■         ■
 緞帳(どんちょう)のように厚い幕は、
 巻き上げ装置で上げても…
 シワやひだはできません。
 薄いレースのような幕は、
 巻き上げると…
 キレイなひだひだができます。
 瞼を上に上げると、
 瞼の構造が薄い人は、
 瞼板の上にくぼみができます。
 このくぼみが二重のラインです。
      ■         ■
 二重埋没法は、
 下の図のように、
 ナイロン糸という糸で、 
 瞼板と、
 皮膚を近づけて、
 二重の構造を作る手術です。
 さくらんぼさん
 ご理解いただけましたでしょうか?

目の構造
 

埋没法の糸
 
                        
                        
                     
                                    
                                    
                                                医学講座
                        
                            私の手術方針です                                                    
    
                         昨日の日記、
 ラインが消えかかてきたら…
 ラズベリーさんから
 コメントをいただきました。
 今のラインの癒着は弱く、中の組織は温存されていそうなので、手術で取れると仮定して、いくつか手術方法について考えたいと思います。
①現在のラインで切開したとします。ラインの食い込みが出来て、開きは良くなりますが、下垂がある為、中糸の役割が終了した頃、徐々に元に近付いていくと推察致します。
②今のラインの癒着を外して、皮膚を切り取って(脱脂、眼輪筋切除を含める)下に切開しラインを作ったとします。多少、開きは良くなると推察致しますが…。(軽度の眼瞼下垂症の方なら狭い二重で、下垂が解消されるかもしれません)
③この方の場合、眼瞼下垂の中でも中度?重度の間ではないかと推察致しました。②では解消出来ないかもしれないので、今あるラインより少し上から今の癒着を剥がし(糸を取り)、挙筋の調整、皮膚や脱脂などがベストな選択なのかなぁっと思いました。 
 そうは言っても、人によっておかれている状況も違う為、悩まれると思います。今すぐは、休みが取れず、対処的に埋没法でっとなる気持ち、わかりますね。
      ■         ■
 私のコメントです。
 ①現在のラインで切開だけしても、
 もともと挙筋機能(きょきんきのう)という…
 まぶたを開く筋肉が弱いので…
 ‘開き’はよくなりません。
 つまり大きな瞳にはなりません。
 ‘中糸’はすでに機能していません。
 二重の線もしっかりつきません。
      ■         ■
 ②この方は…
 埋没法による二重のラインが薄くなりました。
 今のラインの癒着はほぼゼロです。
 切開すると…
 埋没の糸に沿って…
 線状の瘢痕組織があるだけです。
 肉眼では見逃すこともあります。
 手術用顕微鏡でよく見ないとわかりません。
      ■         ■
 眉の下が少し膨らんでいるので、
 脂肪が多ければ、
 多少の脂肪切除はすることがあります。
 眼輪筋(がんりんきん)切除は、
 私は行いません。
 筋肉の中には、
 無数の微小血管があるため、
 眼輪筋切除をすると…
 ほぼ全例出血するからです。
      ■         ■
 出血を防ぐために…
 皮膚切除は行いません。
 皮膚切除をすると…
 どんなに丁寧に止血をしても…
 必ず皮下出血を起こします。
 これだけで…
 一週間はダウンタイムが延びます。
 札幌美容形成外科の腫れない手術の秘密です。
      ■         ■
 今より下に切開ラインは作らないと思います。
 今のラインの幅にもよりますが…
 眼瞼下垂症手術をすると…
 眉が下がり必ず幅が狭くなります。
 今のラインより下で切開をすると…
 狭くなりすぎる可能性があります。
 手術直後はそこそこの幅があっても…
 3ヶ月後には狭くなります。
      ■         ■
 私が手術をするとすれば…
 手術用顕微鏡を使って、
 約1㎝の切開をします。
 そこから…
 埋没の糸を捜して抜去します。
 癒着(ゆちゃく)は軽度なので…
 容易に剥離(はくり)できます。
 挙筋腱膜(きょきんけんまく)を出して、
 目の開き具合を見ながら…
 挙筋前転量を調節します。
      ■         ■
 この程度の眼瞼下垂症でしたら、
 手術用顕微鏡を使って丁寧に手術をして、
 片目が約1時間程度です。
 埋没の糸が何本も入っていると…
 除去に時間がかかりますが、
 埋没法を一回受けた程度でしたら…
 そんなに時間はかかりません。
 一週間後に抜糸をして…
 その2週間後に検診があります。
 以上、私ならこう治療しますという…方針です。
 少し専門的になりました。
 治療方針は先生によって異なります。

眼瞼下垂症の手術をすると
瞳が大きくなります
 

抜去した埋没の糸です