院長の休日

育児休業中

 孫の光希くんが来てくれました。
 すっかり重くなりました。
 育児休業期間は、
 あと半年を切りました。
 ♡かわいい孫♡から、
 お母さんをとってしまうのは…
 かわいそうな気もします。
      ■         ■
 現在の国の制度では、
 育児休業の後で、
 復職することが、
 前提になっています。
 クリニックとしては…
 ベテランの職員が戻ってくれると、
 とても助かるのは事実です。
 でも…
 お母さんを取ってしまうのは…
 に申し訳ない気がします。
      ■         ■
 孫は文句なくめんこいものです。
 私の年齢(55歳)になると、
 あまり楽しみがなくなります。
 若い頃は…
 車を買いたいとか…
 どこかへ行ってみたい…
 新しいパソコンを買いたい…
 というような、
 楽しみがありました。
      ■         ■
 今は…
 車を買っても…
 乗る時間もないし…
 どこかへ行っても…
 自分の家が一番いいし…
 パソコンは仕事で使うだけで十分。
 新しいのを買っても…
 設定に時間がかかり大変です。
      ■         ■
 孫の成長は、
 文句なく楽しみであり…
 私の心を癒(いや)してくれます。
 日本は少子高齢化で困っています。
 国民が安心して子どもを産んで、
 育てられる社会があれば… 
 将来も安泰です。
 子ども手当もいいですが、
 社会で子育てを支援できるような…
 システムの構築があればよいと思います。 


お母さんが働いていた
職場ですょ

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医学講座

コンタクトレンズ消毒液

 平成21年12月17日、北海道新聞朝刊の記事です。
 ソフトコンタクト用消毒液一部商品「効果低い」
 角膜感染症の恐れも
 洗浄から保存までを1本でできるソフトコンタクトレンズの消毒液「マルチパーパスソリューション(MPS)」の主な8商品のうち6商品は、消毒効果が低いことが16日、国民生活センターの調査で分かった。
 MPSはソフトコンタクト使用者の間で増えている「アカントアメーバ角膜感染症」の一因ともされ、同センターは、使用者にこすり洗いの徹底を呼び掛けるとともに、メーカーに効果を向上させるよう要望。「薬害オンブズパースン会議」(代表・鈴木利広弁護士)も16日、厚生労働省と消費者庁に、実態調査と原因究明を求めた。
 国民生活センターなどによると、アカントアメーバは室内のほこりや洗面所におり、感染すると充血や視力障害、激しい目の痛みが起こり、失明の恐れもある。
 同センターが、市販のMPS8商品を対象に、アカントアメーバの消毒効果を調査。その結果、消毒効果がはっきりしている(北海道新聞の記事を変えています:本間)過酸化水素タイプポビドンヨードタイプの消毒液と同程度の効果があったのは、
レニューマルチプラス【ボシュロム・ジャパン㈱】
エピカコールド【㈱メニコン】
の2商品だった。
 消毒効果が低いとされた6商品は次の通り。かっこ内は製造者または販売者。
①コンプリートダブルモイスト【エイエムオー・ジャパン㈱】
②バイオクレンゼロ【㈱オフテクス】
③シードゥソフトケア【㈱シード、日油㈱】
④フレッシュルックケア10ミニッツ【チバビジョン㈱】
⑤オプティ・フリープラス【日本アルコン㈱】
⑥ロートCキューブソフトワンモイストi【ロート製薬㈱】
 ロート製薬の話
 説明書通りなら効果
 今回の調査は、コンタクトレンズを消毒剤に漬け置きするもので、通常の正しい使用法ではない。消毒液の取り扱い説明書通りに使えば、消毒効果が出るように商品を製造している。
 (以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 今回の報道は、
 平成21年12月16日に
 独立行政法人国民生活センターから
 ソフトコンタクトレンズ用消毒剤のアカントアメーバに対する消毒性能
 -使用実態調査も踏まえて-
 という報道発表資料に基づいています。
 国民生活センターが
 日本コンタクトレンズ学会との共同研究で実施した調査です。
      ■         ■
 国民生活センターの資料によると、
 現在、我が国のコンタクトレンズ使用者は1500万人を超え、
 総人口の約1割がコンタクトレンズを使用しているとされる。
 一方で、コンタクトレンズ装用に伴う眼障害も増加傾向にあり、
 装用者の7~10 %に眼障害が発生していると推察されている。
 アメーバ角膜炎は、
 2009年11月30日の院長日記でご紹介しています。
      ■         ■
 私は‘二重まぶた’や
 ‘眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)’など、
 目の手術をよくしています。
 まぶたのお化粧に熱心なお嬢様でも…
 コンタクトをしたまま寝てしまったり…
 お手入れがおろそかな方をよく見ます。
 コンタクト屋さんの‘先生’に…
 ちょっとみていただくだけで、
 眼科専門医にはかかっていない人もいます。
      ■         ■
 残念なことですが、
 私でも明日から眼科という看板を出せます。
 眼科専門医ではない、
 医師免許だけの先生でも…
 コンタクトの処方は可能です。
 大切な目です。
 アメーバにやられないためにも、
 コンタクトの管理はしっかりしましょう!
      ■         ■
 レンズのこすり洗いとすすぎをきちんとすること、
 レンズケースは乾かし
 定期的に交換することを
 徹底してください。
 コンタクトは眼科医専門医の診察を受けて、
 適切に使いましょう。
 札幌美容形成外科では、
 道庁前眼科をご紹介しています。
 次の消毒液が消毒効果ありです。

画像は出していませんが、過酸化水素タイプのエーオーセプトやポビドンヨードタイプのバイオクレンエファールという消毒液には消毒効果があります

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医療問題

チェーン店の問題

 衣料業界で業績を伸ばしているのがユニクロ。
 良いものを安くが売れています。
 発音は同じでも、
 医療業界のチェーン店は、
 必ずしも…
 良いものが安くではありません。
 医療は中国で安く生産することはできません。
      ■         ■
 不景気になると、
 贅沢品(ぜいたくひん)は売れなくなります。
 美容医療は典型的な贅沢品です。
 売上を増やそうと思うと、
 どうしても無理に手術を組んでしまいます。
 手術適応がない…
 手術したらやばいケースでも、
 手術をしてしまうことが考えられます。
      ■         ■
 2009年7月19日に、
 臆病者と言われる勇気という日記を書きました。
 次の文章は私が考えた文です。
 美容外科のチェーン店には、
 売上目標や売上ノルマがあります。
 ないところでも…
 利益が出ていないと…
 院長の給与はゼロか大幅にダウンします。
 不景気になると、
 次々と‘閉店’する美容外科もあります。
 次の話しは架空の作り話です。
      ■         ■
 この患者さん…
 お腹も…
 腕も…
 太もも全周も…
 全部脂肪吸引して…
 がっつり5リットル以上吸引して…
 なんて言ってる…
 こんなに吸引したらヤバイよなぁ…
      ■         ■
 でも、
 これだけ脂肪吸引したら…
 180(万円)は取れる…
 ローンの審査もパスしている。
 今月の売上は低迷…
 受付からのプレッシャー
 先生、お願いします♡
 悪魔のささやきが聞こえてきて…
      ■         ■
 はいはい、脂肪吸引は簡単ですょ。
 眠っている間にすぐ終わりますょ。
 2~3日休めば、お仕事もすぐにできますょ。
 がっつり脂肪をとりますから…
 見違えるように細くなりますょ。
 みなさん、していらっしゃいますょ。
 心配なんて、いりませんょ。
 キズは残りませんょ。
 さぁ、手術をしましょう!
      ■         ■
 こんな美容外科は…
 実在しないと思いますが…
 広告を見ていると、
 多少やばいと思っても、
 強引に着陸してしまいそうな…
 美容外科も目につきます。
 医療も航空業界も…
 安全第一です。
      ■         ■
 私は臆病者と言われようと、
 感じが悪いと言われようと、
 無理な手術は絶対にしない主義です。
 日本国内で、
 脂肪吸引の手術によって、
 何人もの方が命を落としているのは、
 意外と知られていない事実です。
      ■         ■
 残念なことですが、
 品川美容外科熊本院でも、
 脂肪吸引手術の後で亡くなったことが、
 昨日報道されました。
 私は品川さんだけではないと思います。
 人を幸せにする医療で、
 死亡事故は絶対に避けるべきです。
 対策は消費者が賢くなることです。
 クリニック選びはくれぐれも慎重になさってください。

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医療問題

医療事故と航空機事故

 2008年8月9日に、
 美容外科価格破壊の弊害
 という日記を書きました。
 私が申し上げたいのは、
 医療の分野に
 あまり価格競争とか
 市場原理を働かせ過ぎると、
 ‘安全’という、
 医療にとって一番大切な、
 医療の根幹が脅かされるという危険性です。
      ■         ■
 飛行機と同じです。
 絶対に落ちないという‘保証’はありません。
 医療も…
 絶対に安全
 絶対に何もない
 という保証はありません。
 何かあった時に
 冷静に…
 的確に…
 対処できる能力、設備、人脈が必要なのが、
 医療業界の難しさです。
      ■         ■
 航空機事故は一度に大量の人命が失われます。
 航空機事故調査委員会で、
 事故原因が詳細に調査され、
 安全運行の指針となります。
 残念ながら…
 医療事故については、
 このシステムは生かされていません。
 大部分の死亡事故は、
 報道されていません
 私たちにも伝えられません。
      ■         ■
 私たちは…
 口伝えに…
 『○○美容外科でこんな事故があったそうだ』
 『○○先生が辞められたのは…』
 『サクション(脂肪吸引のこと)で…』
 『亡くなったからだって…』
 と聞くだけです。
 同じような事故を…
 自分も起こす可能性があります。
      ■         ■
 『そんな事故は下手な先生がするからだ』
 と考える‘先生’は、
 そのうち自分も事故を起こします。
 過渡期の医療過誤防止システムという日記を、
 2009年5月7日に書いています。
 偏差値が高くて、
 優秀な成績で有名国立大学医学部へ入学し、
 一発で医師国家試験に合格した‘先生’でも、
 一瞬にして医療事故を起こします。
 卒業した大学とか…
 成績とかは…
 関係なく医療事故が起こります。
      ■         ■
 私たちはフールです。
 ミスを犯す生きものです。
 学会でも…
 『私はこんな失敗をしました…』
 なんて発表はしません。
 医局制度があった頃は…
 あの先生でも…
 こんなことがあった…と
 先輩から口伝えに教えられたものです。
      ■         ■
 経験を積んだ医師が上手なのは…
 自分や
 他人の
 失敗からたくさん学んだだけです。
 私も同じです。
 偉そうなことは言えません。
 自分も同じ事故を起こす可能性がある、
 という認識をして、
 真摯(しんし)に聴く耳を持つことが、
 一番大切だと思います。
 (2009年5月7日の繰り返しです)

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医療問題

価格競争と医療事故

 世の中は不景気です。
 安いものしか売れません。
 繁盛しているのは100円ショップ。
 同じものなら、
 100円で買いたくなるのは人情です。
 ここ数年…
 美容外科業界にも…
 価格破壊が起こりました。
      ■         ■
 今回の脂肪吸引の事故が、
 安売りだったから…
 と言っているのではありません。
 高い美容外科でも事故は起きています。
 札幌美容形成外科HPの
 当院の料金についてというページ
 私の考えが書いてあります。
      ■         ■
 クリニックを選ぶ前にちょっと考えていただきたいことがあります。
 皆さんは美容室を選ぶ時に価格だけで選びますか?
 安い美容室や床屋さんがあります。
 高いところとどこが違いますか?
 安いところでも設備や人件費、広告費にはお金がかかります。
 一人当たりの単価が安いと一日に施術する人数を増やして売上を確保する必要がでますね。当然一人当たりにかける時間も短くなります。
 美容外科の手術は流れ作業ではできません。
 お一人お一人に合わせてデザインして0.1mmまで精密に手術します。
 たとえプチ整形でも自分の体にとっては一生に一度の大切な手術です。
 あとで後悔しないためにも美容室より慎重に選んでいただきたいと思います。
      ■         ■
 価格が安いクリニック…
 儲け第一主義のクリニックでは…
 一日に…
 信じられないほどの予約を取ることがあります。
 美容外科の自由診療では、
 ふつうは…
 料金は最初にいただくだけで、
 再診やアフターは無料です。
 再診の患者さんをなるべく…
 少なくするのが、
 儲かりの秘密です。
      ■         ■
 ‘タダ’の患者さんを何人診察しても、
 売上にはなりません。
 安売り店最大の欠点は、
 何かあった時の対応です。
 儲かるのは手術する患者さんです。
 再診の患者さんからは利益が出ません。
 前日に手術を受けた患者さんから…
 具合が悪いと連絡があっても、
 予約がいっぱいで…
 適切に対処できない可能性があります。
      ■         ■
 クリニックとしては、
 万一…
 死亡事故が起こると…
 毎月数千万円もかけている
 広告宣伝費が一瞬にして吹き飛びます。
 吹き飛ぶどころか…
 ○○美容外科で人が死んだという、
 負の広告が全国に発信されます。
      ■         ■
 チェーン店の美容外科では…
 事故は儲けの大敵です。
 一店が事故を起こすと全国へ波及します。
 大手美容外科ほど…
 医療事故には神経質で、
 事故を防ぐ万全の体制が必要です。
 私のような個人経営のクリニックでしたら、
 死亡事故倒産の危機です。
      ■         ■
 今回の事故原因は調査中です。
 何が原因かは捜査結果を待たなければわかりません。
 ご遺族がTVで話されていました。
 『大きな病院で診てもらってください』
 『どうして言ってくれなかった…?』
 ひとこと言っていただいていれば…
 最悪の事態は防げた可能性があります。
 二度と不幸な事故が起こらないように…
 私自身も気持ちを引き締めて診療にあたります。

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医学講座

脂肪吸引の手術

 脂肪吸引という言葉は、
 女子中学生でも知っています。
 この脂肪吸引を、
 正規授業で教えている…
 医学部、医科大学、
 看護学部、看護学校は
 おそらく日本のどこにもないと思います。
 形成外科専門医の試験にも…
 出るか出ないか…?
 脂肪吸引の手術ができなくても…
 形成外科専門医になれます。
      ■         ■
 私がはじめて脂肪吸引手術をしたのは、
 変形した顔に、
 脂肪注入の手術をするためでした。
 形成外科医になって…
 10年以上たってからでした。
 脂肪吸引で細くするためではなく…
 注入する脂肪を採取するために…
 脂肪吸引手術をしました。
      ■         ■
 手術手技自体は、
 難しい手術ではありません。
 脂肪吸引の器械があれば、
 比較的初心者の先生にもできます。
 ただ…
 キレイにするのは難しいですし…
 デコボコがなく、
 ほっそりスマートにするのは、
 かなりの技術を要します。
      ■         ■
 美容外科手術で一番事故が多いのも、
 脂肪吸引手術です。
 脂肪吸引→死亡吸引とも言われます。
 脂肪吸引の手術で事故になる原因は、
 麻酔関連のトラブルによるもの。
 脂肪の取りすぎによるもの。
 手術時の感染によるものなどです。
 以前にご紹介したトラブルは、
 感染症によるものです。
      ■         ■
 なぜ脂肪吸引でトラブルが発生するかというと…
 取りすぎるからです。
 日本美容外科学会などで報告されるトラブル症例は、
 多くは…
 ガッツリ取ります!
 根こそぎ脂肪吸引
 などと宣伝しているクリニックです。
 下手な先生が根こそぎ取って、
 デコボコになったケースは、
 どんな名医でも修復不能となります。
      ■         ■
 女性の身体は、 
 適度な皮下脂肪があって…
 適度な丸みを帯びているので…
 美しいのです。
 私に脂肪吸引を指導してくれた恩師は、
 取りすぎはダメ。
 足りなければまた取れるが、
 取った脂肪は戻せない。
 と教えてくださいました。
      ■         ■
 今回の品川美容外科での事故は、
 腹部の脂肪吸引で1時間の手術。
 1時間の休息後に徒歩で帰宅された…
 と報道されています。
 脂肪を取りすぎたとも思えませんし、
 手術後に徒歩で帰宅されていることから、
 手術中に…
 重大なトラブルが発生したとも考えられません。
 もし手術で腸管に損傷が起きれば、
 歩いては帰れないというのが…
 外科医の常識です。
 亡くなられた前田京様のご冥福をお祈りいたします。


札幌美容形成外科で使用している脂肪吸引器
予備のため2台用意しています

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医学講座

脂肪吸引の死亡事故

 平成21年12月11日、北海道新聞夕刊の記事です。
 品川美容外科を家宅捜索
 脂肪吸引の70代女性死亡
 東京都荒川区の女性が今月上旬、豊島区の品川美容外科池袋院で脂肪吸引手術を受けた2日後に自宅で死亡する事故があり、警視庁捜査1課は11日、業務上過失致死の疑いで港区や豊島区にある同外科の関係先3カ所を家宅捜索した。
 捜査1課によると、死亡したのは荒川区の前田京(みやこ)さん(70)。前田さんは今月2日、同外科池袋院で腹部の脂肪吸引手術を受けた。いったん帰宅し、4日に自宅で死亡した。捜査1課は司法解剖したが、死因は特定できなかった。
 手術は、腹部など脂肪を減らしたい部分に細い管を挿入して吸引する方法で行われ、美容整形では一般的とされる。
 捜査1課はカルテなどを押収し、手術の手順や術後管理などに問題がなかったか調べる。
 同外科は1988年に開業し、現在は全国21カ所で営業。脂肪吸引や豊胸、顔の美容整形などを専門としている。
 同外科広報は「捜索を受けたことは事実だが、詳しくは弁護士に聞いてほしい」としている。 (以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 残念な事故です。
 亡くなられた前田様のご冥福をお祈りいたします。
 昨夜のTVで遺影を拝見しました。
 ご遺族の方がお話しをされていました。
 遺影は…
 お若く…
 美しく…
 とても70歳には見えませんでした。
 せっかく美容外科にいらしていただいたのに…
 同業者の一人として申し訳なく思います。
      ■         ■
 報道されていない死亡事故は、
 他にもあります。
 今回の‘事故’は、
 ご自宅で死亡しているのが発見され、
 異常死として届けられ、
 司法解剖をされたことから、
 警察が捜査を開始しました。
 私が知っている‘事故’は、
 手術中や手術後に異常があり、
 そのまま大きな病院の、
 救命救急センターに搬送されました。
      ■         ■
 心肺停止状態で搬送されても、
 救命救急センターで蘇生(そせい)されます。
 生き返った状態で数週間存命し、
 その後に亡くなるというケースが大部分です。
 この場合も、
 異常死として警察に届けられ、
 司法解剖が行われます。
 警察に届けられても…
 マスコミに公表されることは少ないようです。
      ■         ■
 美容外科の手術で亡くなられた方が、
 実名を公表されて…
 遺影までTVで報道されるのは、
 極めて異例なことです。
 知らないところで、
 事故が起こり、
 そのまま示談で解決されているケースも
 私は何件か知っています。
      ■         ■
 事故がTVで報道されることにより、
 美容外科手術への‘警笛’となります。
 私はTVや新聞の報道でしか、
 事故の詳細がわかりません。
 ただ、美容外科医として言えるのは、
 脂肪吸引で腸管に穴をあけるのは…
 ありえないということです。
 何か他に原因があるように思います。
 品川美容外科が悪いように報道されていますが、
 もっと悪い美容外科がたくさんあります。
      ■         ■
 品川美容外科を擁護(ようご)するのではありません。
 美容外科業界では、
 ‘品川方式’と呼ばれて、
 無理な手術はしないというのが、
 私が知っていた時代の品川さんでした。
 残念に思うのは、
 手術後に…
 患者さんが痛みを訴えて電話した時に、
 すぐにいらしてもらえばよかったのに…
 という点です。
      ■         ■
 美容外科手術に限らず…
 外科手術の後には何が起きるかわかりません。
 札幌美容形成外科でも、
 70台の方の脂肪吸引をしました。
 手術後には、
 看護師が付き添って、
 ご自宅まで車でお送りしました。
 美容外科手術が悪いことだと思われると、
 とても残念です。
 私が夜間でも、
 連絡が取れるようにしているのは、
 事故を防ぐためです。
 亡くなられた前田京様のご冥福をお祈りします。

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昔の記憶

北大形成外科同門会2009

 昨日、北大形成外科から、
 同門会名簿が送られてきました。
 入局年度順になっています。
 私が28番目。
 一番若い先生は129番目でした。
 私の後に100人もいるのには驚きました。
      ■         ■
 2008年6月22日にも
 北大形成外科同門会というタイトルの日記があります。
 私を一人前の形成外科医に育ててくださった、
 北大形成外科の大浦武彦教授、
 同門の先輩にはいつも感謝しています。
 採血や点滴すら満足にできなかった私が、
 手術ができるようになったのは、
 北大形成外科のおかげです。
      ■         ■
 私は、大浦武彦教授が率(ひき)いる、
 北大形成外科へ入局しました。
 札幌医大を卒業して
 北大へ行くには少し勇気がいりました。
 私が北大へ行けたのは、
 松本敏明先生[札幌医大22期]、
 大岩彰先生[札幌医大26期]という、
 お二人の札幌医大の先輩がいらしたからでした。
      ■         ■
 特に大岩彰先生は、
 私が札幌医大に入学した時に、
 熱心に弓道部へ誘ってくださった先生でした。
 大岩先生の、
 『私でもやっているんだから大丈夫だょ』
 『おいで!』
 という一言で、
 私は安心して北大形成外科へ来ました。
 大岩先生はお忘れになっていると思いますが、
 私が北大を訪ねた時に、
 生姜焼き定食をごちそうしてくださいました。
       ■         ■
 私は…
 医師が有能かどうか…?
 仕事ができるか…?
 できないか…?
 は、卒業した大学よりも、
 医師としてどのような先輩について…
 どのような人生観を持って…
 どのような仕事をしたか…?
 によって決まると思います。
      ■         ■
 国立大学、
 公立大学、
 私立大学を問わずに…
 最近の医学生には…
 楽で儲かりそうだから…と…
 自分が将来進む科目を…
 決める人がいるそうです。
 美容外科は…
 お給料が高くて…
 当直がなくて…
 楽そうだから…
 なんて選ぶととんでもないことになります。
      ■         ■
 患者さんが急変しても…
 何もできずに…
 呆然(ぼうぜん)と…
 眺めているだけしかできない、
 ペパードライバーのような医師になる恐れもあります。
 将来後悔しないように、
 しっかりとした先輩がいる病院で、
 お給料が安くても、
 充実した研修先を選ぶべきです。
 若い時から高給を取りたければ、
 プロ野球選手を目指せばよいのです。
 明日は北大形成外科同門会総会があります。

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医療問題

よいお医者さんを育てるには…

 私は来年(2010年)で医師になって30年になります。
 医学部を志望して…
 一生懸命勉強していた頃には…
 まさか自分が美容外科医になるとは…
 夢にも思っていませんでした。
 予備校生の頃には…
 自治医大に入って…
 僻地のお医者さんになりたいとも思っていました。
      ■         ■
 医学部志望という日記を、
 2007年9月11日に書きました。
 医学部は他学部と比べると、偏差値が高く、
 今も昔も難関学部の一つです。
 苦労して医学部へ入学しても…
 授業時間数は多く、
 他学部と比べて学生時代の自由な時間がありません。
 とにかく覚えることがたくさんあります。
      ■         ■
 試験も多く、
 進級判定も厳しいため、
 ちょっと油断するとすぐに留年です。
 最後には医師国家試験があります。
 司法試験ほどではないですが、
 勉強しないと受かりません。
 卒業しても国家試験に受からないと、
 何の役にも立たないのが医学部です。
      ■         ■
 医学生にもいろいろな人がいます。
 男子学生にも、
 女子学生にも、
 いろいろな人がいます。
 他学部より個性的な人が多いと思います。
 (私自身も奇人変人の部類です)
 風俗が好きな医学生も先生もいます。
 お金儲けがしたいという医学生も先生もいます。
      ■         ■
 入学試験は公平な選抜試験です。
 どんな人を選ぶか…なかなか難しい問題です。
 国は『地域枠』で、
 僻地のお医者さんになる学生を募集していますが、
 18歳頃には…
 『僻地のお医者さんになりたい』と思っていても、
 入学後に心変わりすることもあります。
 心変わりした人を責めることもできません。
      ■         ■
 今の疲弊(ひへい)した医療を治療するには、
 僻地のお医者さんになってよかったぁ~
 と思えるような政策を考えることです。
 例えば…
 お金儲けばかり考えて…
 医療をお金儲けの道具にした‘先生’には、
 たくさんの税金を払っていただくのです。
 僻地のお医者さんになりたい。
 他人が敬遠する産科医になりたい。
 という政策を考えるのです。
      ■         ■
 お母さんから…
 信じられない金額の政治資金をいただいて、
 知らなかったという政治家では…
 とても解決できそうにはありません。
 一生懸命勉強して、
 医師になった人が、
 僻地の医師になってよかったと思えると…
 僻地のお医者さんも増えると思います。
 汗水たらして…
 一生懸命働いた人が、
 幸せになれるように、
 政策を考えていただきたいと思います。

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医療問題

医学教育の現場では…

 私は平成10年(1998年)から平成14年(2002年)まで、
 札幌医大形成外科の講師をしました。
 信じてはいけない人に騙(だま)されて…
 残念な形で大学を追い出されましたが、
 学生さんに講義ができた楽しい想い出もあります。
 医学教育に対する、
 私なりの思いがあります。
 ‘医学部定員増’が話題になると、
 ひとことふたことも言いたくなります。
      ■         ■
 2006年10月23日の、
 2回目の院長日記に、
 医学部の教育というタイトルで書いてあります。
 現在の日本の医学教育では
 内科、外科、産婦人科など国家試験に必要な科目を
 すべて勉強します。
 これは日本国中どこの医学部でも医科大学でも同じです。
 6年間に学ぶ量は膨大なものになります。
      ■         ■
 順調に卒業できると
 6年間で医師国家試験受験資格が得られます。
 自動車学校でいうと
 卒業検定を受ける資格を得るわけです。
 自動車学校と違うのは
 医師国家試験に合格するまでは
 仮免許で運転もできないのです。
 ですから国家試験に合格するまでは
 実際に患者さんを縫合することはありません。
      ■         ■
 私が卒業した30年前と比べると…
 医学は格段に進歩しました。
 新しい薬や治療法、
 診断機器も比べものになりません。
 6年間の医学教育で教える量は膨大になりました。
 医師国家試験の問題数も日程も増えました。
 医学部の学生さんは、
 膨大な医学知識をとにかく詰め込まれます。
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 ところが…
 今も…昔も…
 卒業までに…
 他人に針を刺して採血することすら…
 正規の医学教育ではありません。
 看護師も同じです。
 医学部では、
 針と糸を使って縫う‘実習’はありません。
 キズを縫うことができなくても、
 医師免許証はいただけます。
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 つまり、
 医師免許証をいただても…
 看護師免許証をいただいても…
 採血すらできないのが…
 新人のお医者さんや看護師さんです。
 免許証をいただいてから、
 実際のトレーニングがはじまります。
 ほんとうの意味で、
 優秀な医師か?優秀な看護師か?は、
 卒業後にどんな先輩について、
 どんな指導を受けたかによって決まります。
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 2008年9月8日に
 医学教育と運転教習という日記を書きました。
 大きな病院で…
 手術や検査を受けるとします。
・あなたの検査は、新人の研修医が行います
・当院では、十分な初期研修を行っています
・万一、不測の事態が起こっても、ベテランの指導医が対処します
・研修医がこの検査を担当するのは、3回目です
・2回の検査では、問題はありませんでした
・ただ、指導医が15分で終わる検査に、1時間を要しました
・以上の説明を受け、検査に同意します
 なんて同意書に署名・捺印ができますか?
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 実際には、上記のような同意書なしに、
 眠らされて…
 ぼぉ~っとしているうちに、
 検査や手術が終了します。
 練習台になる患者さんも大変ですが、
 詐欺のような…
 指導医を続けるのも疲れます。
 千葉県の安達智江先生が、
 朝日新聞への投稿で指摘した点はこれです。
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 いいお医者さんを育てるのは大変です。
 現場の医師が、
 疲れ果てている現実を放置して、
 医学部の定員だけ増やしても、
 日本の医療はよくなりません。
 来年には、
 診療報酬が改定されて、
 医療機関の経営はますます苦しくなりそうです。
 単に医学部の定員だけ増やせばよいと考えている、
 国の方針は間違っています。

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