昔の記憶
武藤靖雄先生を悼(いた)む
札幌中央形成外科理事長の
武藤靖雄(やすお)先生が
平成21年1月16日午前8時27分に
ご逝去なさいました。
心からご冥福をお祈り申し上げます。
お通夜:1月17日午後6時
告別式:1月18日午前9時30分
札幌市中央区南2条西21丁目
瑞龍寺花園会舘
喪主(妻)武藤紀子 様
施主(長男) 武藤英生 先生
(医療法人社団札幌中央形成外科院長)
■ ■
私が武藤先生とはじめてお会いしたのが、
日本形成外科学会の学術講習会でした。
先生は講習会の講師で、
私には雲の上のような存在でした。
私が釧路労災病院形成外科に勤務していた頃でした。
たまたま武藤先生が、
昔、手術をなさった患者さんが
釧路労災病院形成外科を受診されました。
■ ■
当時の私はまだ30歳くらいでした。
美容外科の知識もなかったので、
釧路→札幌まで行って、
武藤先生に診察を受けるようにお話ししました。
武藤先生のところで、
手術を受けられた患者さんの術後のケアーを
釧路労災病院でさせていただきました。
これが私と武藤先生のつながりのはじまりでした。
■ ■
その後、私は釧路労災病院→
函館中央病院→
市立札幌病院と転勤しました。
市立札幌病院に勤務していた時に、
武藤先生の手術を見せていただきました。
私が医師になったのが約30年前です。
医学部では二重まぶたの手術法は教えません。
今でも、二重の手術法を教えている医学部は、
ほぼゼロだと思います。
■ ■
私がはじめて美容外科で、
二重の手術を見せていただいたのが、
札幌中央形成外科の武藤靖夫先生でした。
まるで手品を見ているようでした。
(武藤先生は手品の名人でした)
大学病院や総合病院にしか
勤務したことがない私は、
武藤先生の患者さんに対する姿勢を拝見して、
カルチャーショックを受けました。
■ ■
『患者さんではなく、お客様です』
忘れられない言葉です。
美容外科医へ転向しようか?
と30台後半で考えたことがありましたが、
武藤先生のお仕事ぶりを拝見して、
自分には無理だ!
と一度は美容外科医になるのを諦めました。
その後、私は市立札幌病院→
帯広厚生病院へと転勤しました。
■ ■
平成9年4月のことでした。
私が東京の学会へ出張中に、
武藤先生からお手紙をいただきました。
そのお手紙には、
副院長として札幌中央形成外科へ迎えたいという、
私には身に余る光栄なお手紙でした。
妻や両親とも相談して、
武藤先生ご夫妻とお会いしました。
■ ■
北大形成外科の杉原平樹教授に許可をいただき、
一年後の
平成10年4月に
私は札幌中央形成外科の
副院長にしていただきました。
副院長に就任するまでは、
毎週、土曜日(休日)に
帯広から札幌まで通い、
武藤先生に手術を教えていただきました。
■ ■
患者さんへの接し方など、
美容外科医としての心得は、
この時に武藤先生から教えていただいたものです。
今でも足もとにも及びませんが、
先生の教えは深く私の脳裏に焼きついています。
その後、
私は札幌医大から形成外科講師として呼ばれ
札幌中央形成外科は、ご子息の英生先生が
後継者となられることになりました。
武藤先生は日本を代表する美容外科医でした。
心からご冥福をお祈りいたします。
故 武藤靖雄(やすお)先生
医学講座
刺青(いれずみ)の除去
弁護士の高橋智先生の日記に、
刺青のことが記載されていました。
以下に一部を抜粋させていただきます。
刑事事件で国選弁護に関わっていると、
被告人の中には、
刺青をしている男性が非常に多い。
過去に暴力団に関与したことがある男性が殆どだが、
中には、
女性の被疑者で全身に刺青があるという人もいた。
■ ■
検察官の中には、
公判廷で決まって被疑者に刺青はあるのか
と質問する方がいた。
被告人が、弁護人に対して、
かっこよく更生しますと誓ってくれた後、
検察官の質問に対して、
刺青が全身に入っています等と答えると、
結構ダメージが大きい。
■ ■
刺青は、あちらの世界に入って
二度と戻らないためにするものだから、
被告人の更生可能性を阻害する事由の一つになるし、
「それほどまでに暴力団と深く関わっていたのか、
暴力団から本当に抜けられるのだろうか」
という思いを裁判官に抱かせてしまう
という効果がある。
(以上、2009/01/08Sammy’sダイアリーより引用)
■ ■
私が形成外科医として申し上げたいのは、
美容外科や形成外科へ行って、
高いお金さえ出せば、
刺青が消せる?という誤解です。
レーザーでキレイになるのは、
刺青のほんの一部です。
高価なレーザー機器を売るために、
外国人でキレイになった写真を、
レーザーのパンフレットに記載しています。
■ ■
刺青治療は、
決して簡単ではありません!
レーザーで消えるのは、
墨汁(ぼくじゅう)で入れた浅い刺青だけです。
深い刺青は、レーザーでも消せません。
またレーザーをかけると、
かけた部分だけ赤くなるので、
黒い刺青を除去して、
白っぽいキズが残り、
結果的に、もともとの、
絵柄とか字とかが、
残る可能性が大きいのです。
■ ■
高いお金を払っても、
元のキレイなお肌に戻すことは、
できないのです。
取りたい理由として、
男性で多いのは、
自衛隊入隊での身体検査です。
入隊時には、
必ず医官(医師)による身体検査があります。
来月、身体検査があるので、
○○日までにキレイにしてください!
と懇願されても、
まず100%無理です。
■ ■
女性で多いのは、
外国でファッション感覚で入れた。
日本でおしゃれのつもりで入れた。
というような刺青です。
花柄やきれいな絵柄もありました。
付き合っていた男性の名前を、
イタズラで入れたけれど別れた。
などなど、たくさんの刺青を見ました。
■ ■
私がお願いしたいのは、
どうか刺青を入れないでください。
せっかく親からいただいた
キレイな皮膚です。
刺青は
プチ整形とは訳が違います。
安易に刺青を入れないで!
キレイにとるのは至難のワザです。
刺青のレーザー治療は、
札幌スキンケアクリニックをおすすめしています。
院長の休日
電子申告の問題点
昨年から何度か、
電子申告について書いています。
税務署からのお知らせには、
オンラインでらくらく
とか
自宅やオフィスのパソコンから
インターネットを利用して送信するだけで
簡単に手続きを済ませることができます。
と書かれています。
私は見事にこの誇大広告に引っかかりました。
■ ■
2008年7月16日の日記では、
平成20年7月13日付け朝日新聞、
声の欄に投稿された、
税の電子申告
親切な手引を
藤村義雄さん70歳(埼玉県杉戸町)の
税金を銀行から振り込んだのに
パソコンからの申告操作ミスで、
税務署に受理されていなかったために、
未申告として
追徴金2万円余りを納めました。
という悲惨な例もご紹介しました。
■ ■
電子申告でデーターを送信すると、
以下のデータを受信しました。
受信したデータは現在審査中です。
後ほど、メッセージボックス一覧表示で
審査結果を確認してください。
この即時通知を後で再度確認する場合は、
印刷又は保存を行ってください。
という表示が出ます。
親切なマニュアルや手引書もないので、
ふつうの人はこれでできた!と思います。
■ ■
私はこの数ヵ月間、
埼玉県の藤村義雄さん(70歳)の
敵(かたき)をとるつもりで、
札幌中(なか)税務署に電話しまくりました。
簡単便利なイターックスがわからないので、
簡単手短(てみじか)に教えてください!
と何度も電話しました。
担当者には気の毒なことをしました。
■ ■
何度か質問をしましたが、
この道何十年のベテラン税務署員ですら、
e-Taxは大変そうだ!
ということがよくわかりました。
コールセンターなどでは、
一人一台のPCが当たり前ですが、
どうやら税務署には、
e-Taxに接続できるPCが多くはなさそうです。
■ ■
簡単便利と宣伝するからには、
今年入ったばかりの税務署員が、
一週間も研修すれば、
十分指導も対応もできそうですが、
ちょっと細かなことになると、
ベテラン税務署員ですら、
少々お待ちください!
と苦戦している様子がわかりました。
その後、折り返しご連絡いたしますと、
親切に教えていただきました。
■ ■
私が得た結論は、
e-Taxは簡単ではありません。
ただ、一度覚えてしまえば、
HP作りやワード、エクセルなどと同じで、
とても便利なものです。
さくらんぼさんにも、
電子申告をおすすめします。
■ ■
e-Taxの一番の利点は、
税の仕組みがわかることです。
わからない点は税務署に確認すれば、
親切に教えてくれます。
税務署の担当者が指示するように申告すれば、
後から追徴されるわけがありません。
PCをお持ちのみなさん、
大変ですが電子申告を使いましょう。
5,000円の還付は今年までです!
医学講座
よかった♪
さくらんぼさんから、
うれしいお知らせをいただきました。
2009年1月13日(火)脳動脈瘤の疑いで、
再検査を受けられました。
結果は、異常なし。
2008年12月26日(金)にMRI検査を受けられてから、
18日間は長かったと思います。
ほんとうによかったと思います。
■ ■
医者を長くやっていると…
どうして?
この人がこんな病気に…
という状況に遭遇することがあります。
世の中には、
神も仏もいないのか…?
どうして神様は?
こんなにいい人に…
むごい仕打ちをするの?
ということを経験します。
■ ■
病院で検査を受けて、
悪性の可能性がある…
とか
手術をしなければならない…
とか
医師から宣告されたとします。
状況がよくわからないまま、
とても不安になります。
■ ■
自分はもしかしたら…
死ぬんじゃないか…?
とか
もう長くは生きられない…?
とか
今まで考えたこともないことを、
毎日、真剣に考えるようになります。
病気を宣告されてからでは、
生命保険に入ることもできません。
■ ■
病気以外でも、
不慮の事故に巻き込まれたり、
犯罪被害者になることもあります。
米国発の大不況で、
日本企業が壊滅的打撃を受けているように、
自分自身が、
病気や事故で打撃を受けることがあります。
医師や看護師などの医療従事者は、
そうした人をサポートするのが仕事です。
■ ■
私は特定の宗教を信仰していません。
でも、毎年、初詣(はつもうで)には行きますし、
厄年(やくどし)にはお祓(はら)いも受けます。
どんなに真面目に生きていても、
自分の力だけでは、
どうにもできない不幸や災難に
遭遇することがあります。
そういう時に、
とても不安になります。
■ ■
この不安の不を取って
少しでも安心させてくれるのが、
他の人からのサポートです。
医療に従事する人は、
病気で苦しんでいる人の、
不安の不をとる
のが職務です。
■ ■
病気以外のことでも、
自分自身で解決できないことは、
よいサポーターを見つけると楽になれます。
私もたくさんの人に、
サポートしていただいています。
さくらんぼさん
ほんとうによかった♪ですね。
昔の記憶
成人の日2009
昨日、平成21年1月12日は成人の日でした。
昨年も、一昨年も成人の日に書いています。
街では、晴れ着姿のお嬢さんが目立ちました。
今年、新成人を迎えた人は、
昭和63年から平成元年生まれです。
平成生まれの新成人に、
感慨深いものがあります。
札幌美容形成外科のカルテにも、
平成生まれの方が多数いらっしゃいます。
■ ■
私は不遇な青春時代を送ったので、
成人の日は予備校で迎えました。
昭和49年、1974年のことです。
当時は19歳で成人式の案内状が来ました。
来年も予備校で正月を迎えたくない!
というのが想い出です。
風邪を引かないように気をつけて、
運動不足は家の雪かきをして解消。
朝から夜まで勉強していました。
■ ■
当時でも、
医学部には3浪も4浪もして入る人がいました。
一番苦労された人は、
8浪でした。
8年間勉強を続けて合格されました。
今では立派な先生になられ、
医院も盛業中です。
何年かかっても、
初心を貫いたのはすごいことだと思います。
■ ■
青春時代には、
ニキビの悩み
恋の悩み
容姿の悩み
たくさんの悩みがあるものです。
私がお手伝いできるのは、
容姿の悩み程度ですが…
新しい人生の門出のお手伝いができます。
お悩みの方は、
是非勇気を出していらしてください。
医学講座
ニキビの新薬
平成21年1月11日(日)朝日新聞朝刊に
ニキビ新薬の記事が掲載されていました。
このお薬は、
ディフェリンという名前です。
一般名を
アダパレンと言います。
フランス生まれのお薬です。
1995年にフランスで発売され、
米国では1996年に発売されました。
■ ■
一部の報道では、
ニキビの特効薬!とまで書かれていました。
誤解していただきたくないのは、
この薬を塗るだけで、
すべてのニキビが、
一瞬にして消えるのではない!
ということです。
■ ■
最初にお断りしておきますが、
厚生労働省が保険適応のお薬として認めたのが、
2008年9月12日であるということです。
レチノイド製剤(ビタミンA誘導体)という種類のお薬で、
美容外科ではトレチノインとして、
かなり以前から用いられていました。
東大形成外科の吉村先生が第一人者です。
美容外科ではニキビよりも、
シミのお薬として使用されていました。
■ ■
問題なのは…
妊娠する可能性のある人に使用しないこと。
妊娠中の使用に関する安全性は確立していない。
動物実験において、
経口投与(ラット、ウサギ)で催奇形作用が報告されている。
ことです。
女性はしっかり避妊をして使うことです。
実際に生まれた赤ちゃんに問題があったかどうか…?
までは知りませんが、
美容外科でレチノイド製剤を使う時は
必ず避妊のことをお話ししていました。
■ ■
このお薬で、
かなりニキビ治療がよくなると思います。
ただしこりになって2週間以上治らないニキビには、
このお薬でも効かないと思います。
こういうニキビは芯を取らないと治りません。
2008年4月14日の日記に書いてあります。
■ ■
ディフェリンゲル0.1%の使い方です。
1日1回、就寝前に洗顔後塗布します。
薬価は1g当たり117.70円 。
包装単位は15g入りチューブなので、
一本1,766円とかなり高価なお薬です。
個人輸入したりせずに、
必ず皮膚科の先生からいただいてください。
■ ■
以下が朝日新聞の記事です。
医療
ニキビに新治療薬
「アダパレン」でき始めにも効果
ニキビ治療に昨秋、新タイプの治療薬が保険適用となった。赤いニキビの炎症を抑える抗菌薬と異なり、でき始めのニキビにも効果がある。皮膚を清潔に保つなど生活習慣の改善もあわせれば、ひどいニキビに悩む多くの人の役に立ちそうだ。(林 義則)
■ ■
和歌山県内に住む中学2年の女子生徒(14)が、額にできたニキビに悩み始めたのは1年生の夏ごろ。最初は、額にぱつぽつと膨らみができる「白ニキビ」がある程度だった。次第にほおや鼻にも広がり、炎症を起こした「赤ニキビ」も目立つようになった。
■ ■
和歌山市内の宮崎クリニックを受診。赤ニキビに1日2回、抗菌薬のクリームを塗り、漢方薬と抗菌薬を飲む治療を1年ほど続けた。ニキビの数はかなり減った。だが、苦みのある漢方薬を敬遠して服薬を中断すると、またニキビができてしまう状態が続いていた。
■ ■
宮崎孝夫院長が勧めたのは、昨年9月に公的保険が利くようになったばかりの薬「アダパレン」(商品名ディフェリン)。女子生徒は毎日1回、就寝前の洗顔後にニキビとその周辺部に広めにゲル状の薬を塗る治療も始めた。
使用開始から、1ヵ月後には、ひどいときは40個以上あったニキビが減り始め、2ヵ月で額に数個の白ニキビが残るだけになった。「新しいニキビができにくくなった感じがする」と女子生徒は話す。
■ ■
思春期にはホルモンの働きが活性化し、毛穴の奥から分泌される皮脂が増える。毛穴が狭まり、皮脂が毛穴の奥にたまると、白ニキビができる。開いた毛穴に、皮脂などがたまった場合は、毛穴が黒ずんだ「黒ニキビ」になる。
これに対し、毛穴が詰まってしまい、細菌が増殖して炎症を起こしたのが赤ニキビだ。
症状が進むとうみがたまり、傷口が広がって跡が残ることもある。
■ ■
従来の抗菌薬は、細菌を殺して炎症を抑える仕組みで、赤ニキビの治療にはよく効いた。
だが、白ニキビや黒ニキビといった初期段階での治療効果は高くなかった。
アダパレンは、この初期段階に働き、ニキビが悪化する前に抑える予防的な効果があるのが特徴だ。穴が詰まる原因となる表皮細胞の増殖を抑え、毛穴の表皮をはがれやすくする。
■ ■
藤田保健衛生大の皮膚科医、赤松前彦教授は「赤ニキビのように穴が燃え広がる状態になる前なら、治療も早く、跡を残さずに治すことができる」と説明する。
■ ■
ただ、副作用には注意が必要だ。長期試験では、使用開始後1週間以内に、参加者の64%に皮膚の乾燥やヒリヒリ感、赤みなどが出た。2週間以降、副作用は減る。いずれも軽い症状で、試験中止となった例はなかった。「副作用についての説明を事前に受け、気になる場合は、医師に相談して欲しい」と宮崎院長は話す。
■ ■
抗菌薬・保湿剤と組み合わせ
東京女子医大の林伸和准教授らが、医学生など約800人を対象にした調査では、9割以上がニキビを経験。病院で治療を受けたのは約12%で、うち治療に不満を持っている人が3割以上いた。3,900人を対象にした別の調査でも、ニキビを持つ人で通院したのは14%で、うち4割が治療途中で通院をやめていた。治療に満足していない様子がわかる。
■ ■
アダパレンにかかる期待は大きい。日本皮膚科学会が昨年9月、臨床研究の分析結果などに基づいて初めて作ったニキビ治療についてのガイドラインによると、従前からある抗菌薬の塗り薬は、軽症から最重症までの赤ニキビの治療で強く推奨されたのに対し、アダパレンは、赤ニキビ治療では軽症から重症まで。だが、炎症を起こす前の初期のニキビの治療でも、強く推奨されると位置づけられた。
■ ■
ガイドラインの策定委員会の委員長を務めた川島眞・東京女子医大教授は「アダパレンと様々な抗菌薬の組み合わせが、今後の治療の基本になるだろう。どのような種類の抗菌藁や保湿剤との組み合わせが、刺激感の少ない治療につながるか見極めていく必要がある」と話す。
■ ■
一方、ニキビ治療では日常生活での心がけも大切だ。川島教授は「ニキビを気にして触らないこと」とまず指摘する。皮膚への刺激は、毛穴の詰まりを悪化させ、炎症をひどくする。また、自分でニキビをつぶすと不潔になり、ニキビ跡を残すもとになる。
■ ■
ニキビを隠そうとして化粧を厚くすると、悪化させることもある。化粧品各社は、二キビのできにくい化粧品に「ノンコメドジエニック」の表示を付け、販売している。各社の評価基準によるもので、統一されていない問題はあるが、製品選びの目安にはなる。
■ ■
基本は洗顔だ。ガイドラインで推奨しているのも、1日2度の洗顔を欠かさないこと。せっけんで洗ったらしっかりすすぐ。
甘いものなど特定の食べ物が、ニキビを悪化させるとの明確な根拠はない。「極端な偏食を避け、バランスの良い食事を心がければよい」と川島教授話している。
以上、朝日新聞より引用
医学講座
ヒアルロン酸自己注射
さくらんぼさんから、
ヒアルロン酸を個人輸入し、
自分で注射した方のことで
ご質問をいただきました。
ネットで検索すると、
海外から日本へ発送しれくれる、
香港の業者などが出てきます。
私も詳しくありませんが、
少量の製品を個人輸入するのは、
可能なようです。
■ ■
美容外科で使用されている、
レスチレンなどのヒアルロン酸は、
日本では未承認です。
厚生労働省の承認を得るには、
臨床試験というプロセスが必要で、
莫大なお金がかかります。
また、承認までに長い年月を要します。
そのため、
私を含めた美容外科医は、
医師個人の責任で使用しますという、
‘念書’を書いて、
輸入を承認してもらいます。
■ ■
外国から医薬品や
注射器や針、
レーザー機器などを輸入するには、
医薬監証明(いやっかんしょうめい)という、
厚生労働省、
関東厚生局で発行してくれる書類が必要です。
この書類がないと、
成田空港で通関できず、
商品がストップしてしまいます。
■ ■
医師が使用するような医薬品でも、
少量を個人で輸入する時は、
医師免許証は必要ないようです。
これは薬事法という法律で決められています。
個人輸入して、
ヒアルロン酸を注射しようが、
リポスタビルを注射しようが、
自己責任なのです。
■ ■
私のところにも、
顔の脂肪を溶解しようとして、
リポスタビルを個人輸入し、
自分で注射して腫れがとれない…!!!
助けてください!
という方がいらしたことがあります。
シリコンプロテーゼなどと違い、
ヒアルロン酸やコラーゲンは、
一度注射してしまうと、
切除して取り除かなければ除去できません。
■ ■
ヒアルロン酸は、
ヒアルロニダーゼという酵素で溶かす方法もありますが、
これも注射なので、
自分で‘溶かす’のは危険です。
かなりベテランの先生が注射をしても、
コラーゲンやヒアルロン酸は、
ボコボコになることがあります。
私たちも細心の注意を払って注射します。
いくら安いからといって、
自分で注射するのは危険です。
絶対にしないでいただきたいです。
医療問題
「薄利多売」の歯科無料診療
平成21年1月9日(金)の
北海道新聞朝刊の記事の見出しです。
歯科無料診療
「薄利多売」の運営
背景に医院乱立
2008年12月11日の日記でご紹介した、
自己負担ゼロの歯科医院のことです。
厚生労働省北海道厚生局が、
健康保険法違反で指導をしました。
■ ■
北海道新聞の記事によると、
この歯科医院の一ヵ月の診療報酬は、
約450万円。
札幌市内の一般的な歯科医院に比べて
2倍以上。
患者一人当たりの単価は低いが、
患者数で稼いでいたとみられる。
昨年7月の開院以降、
患者数は延べ約3,000人。
■ ■
医療法人は歯科医師に
年600万円前後の給料を支払い、
収益は出ていないという。
札幌市内の歯科医院は
2006年度末で1,220ヵ所。
人口10万人当たりの歯科医師数は
103.8人で、
国の適正数(50人)と
全国平均(76.1人)を
いずれも上回る「乱立」状態。
■ ■
医療関係者は
「年収300万円以下の歯科医師も少なくないなど、
人件費は安く、無料診療がしやすい環境にあった」
とも指摘している。
(以上、北海道新聞の記事より抜粋)
正直に申し上げて、
年収300万円以下の歯科医師には驚きました。
年収300万円は、看護師の給与水準です。
夜勤をして、
もっと稼いでいる看護師さんも
たくさんいらっしゃいます。
■ ■
確かに歯科医師会などは、
この医療法人のことをかなり問題にしています。
私も100%賛成するものではありません。
ただ、今まで歯科にかかりたくてもかかれなかった、
社会的弱者の方が、
歯科診療を受けられるのはよいことだと思います。
以前から何回も書いたことがありますが、
新聞社も広告料収入が命です。
自社の一面の広告に、
インチキなワキガ手術の広告を掲載しておいて、
歯科医院だけを追及する姿勢に疑問を感じます。
■ ■
この問題の根幹は、
歯科医師をつくりすぎた国の責任と、
現在の保険診療制度の問題です。
憲法で保障された基本的人権には、
安心して歯科治療を受ける権利
安心して医療を受ける権利
安心して老後をおくる権利
も含まれるはずです。
■ ■
小学校で習った
健康で文化的な生活
とは何かを考えるべきです。
国の政策で、
お金をばら撒けばよい
というものではないはずです。
どうしたら国民が安心して、
医療や歯科診療をうけられるか?
もっと真剣に考えて欲しいものです。
医学講座
実験動物
さくらんぼさんから
縫い方の練習について
ご質問がありました。
私も血管の縫合(ほうごう)は、
ラットというネズミを使いました。
リスより少し大きな、
白いネズミがラットです。
小さなハツカネズミはマウスといいます。
■ ■
大きさや、系統によっても違いますが、
実験に使うラットは一匹3,000円程度でした。
専門の業者に注文して、
航空便で大学の動物実験施設に届きます。
各大学によって違いますが、
動物を使って実験や手術練習をするには、
まず学内の講習を受けて…
ちゃんと安楽死させます!
とか屍体処理の方法などを学んで、
許可をいただいてからでないと…
医師免許だけではできません。
また医師免許がなくても実験はできます。
■ ■
北大には立派な動物実験施設があり、
私はラットで動物実験をしていました。
そこでは、専任の飼育員の方が、
動物に餌をやり、
排泄物の始末など、
日常のお世話をしてくださいます。
私たちが施設へ行けるのは、
夜とか休日ですので、
動物のお世話をしていただけるというのは、
ほんとうにありがたいことでした。
■ ■
ラットのケージには、
そのラットの所属科と
担当者の名前が記載されています。
他の研究者と会うことはめったにありませんが、
ラベルを見て、
あぁ、あの先生のラットだ。
とか、
あぁ、あの先生も実験してるんだぁ。
などと思ったものでした。
■ ■
北大医学部の動物実験施設は、
各階ごとに、
動物の種類が決まっていました。
ラットとマウスの階。
ウサギやモルモットの階。
ニワトリの階。
私は使ったことがありませんが、
ブタやヒツジもいたようです。
山形大学整形外科の荻野教授は、
北大にいらした時には、
ニワトリで実験をなさっていらしたと記憶しています。
■ ■
私は市立札幌病院に勤務しながら、
病院長から許可をいただいて、
夜間や休日に北大で実験をしました。
手術の練習だけに、
動物を購入して、
実験施設を使うことは難しかったので、
実験をしながら、
ラットで血管吻合の練習をしました。
■ ■
私が血管吻合を教えていただいたのは、
日本マイクロサージャリー学会の講習会でした。
私の先生は、
オーストラリア人の女性でした。
学会へ招待された先生の
実験助手をしているという、
女性の方でした。
医師ではありませんでしたが、
とても上手でした。
この講習会は、
当時、山口大学整形外科助教授でいらした、
土井一輝先生が主催してくださいました。
■ ■
手術用顕微鏡にも慣れていなかったので、
最初は糸が絡(から)まったり、
血管が詰まったりで大変でした。
私が上手になるまで、
どの位のラットが犠牲になったことか?
ラットには申し訳ないことをしました。
ラットの血管はとても細くて弱いので、
ラットの血管を縫えるようになると、
ヒトの血管でも大丈夫です。
形成外科や整形外科で、
マイクロサージャリーをする先生は、
だいたいラットで練習をするのが一般的です。
今、顕微鏡を使って目の手術ができるのも、
ラットの犠牲があってのことです。
院長の休日
専門医更新
今日は休診日でした。
午前中は以前にご紹介した、
札幌市西区の五十嵐治療院へ行って、
マッサージをしていただきました。
年末から忙しい日が続き、
お正月の間も…
マッサージを受けたい!と思っていました。
■ ■
ようやく休診日となり、
ベテランの先生に、
全身のマッサージをしていただき、
とても楽になりました。
70歳とは思えないお元気な先生です。
一時間ちょっと全身をマッサージしていただき、
3,000円でした。
お値段以上です!
こちらの先生をおすすめします!
■ ■
自宅へ帰ってからは、
熱傷学会と形成外科学会の、
専門医更新の準備をしました。
前回の更新が2003年でした。
過去5年間の学会参加などをまとめ、
書類を提出します。
日本熱傷学会が1月10日締め切り。
日本形成外科学会が1月16日締め切りです。
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専門医の取得には、
筆記試験があります。
その他に、日本形成外科学会では、
自分が手術をした患者さんの写真で、
審査と口頭試問があります。
一定レベルの手術ができなければ、
合格できません。
自動車の運転免許と違うところは、
実技試験がないことです。
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形成外科専門医試験のために、
ボランティアで手術を受けてくださる方は、
おそらくいないと思います。
私が知っている範囲で、
実技試験がある専門医は、
麻酔科専門医と麻酔科指導医です。
一年に一度、大学病院で麻酔をかける時に、
他大学から教授クラスの試験官が来て、
麻酔管理を適切にしているかチェックしていました。
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形成外科専門医と
熱傷専門医は、
きちんと学会に出席していれば、
更新することができます。
学会に行って…
居眠りしていてもOKなので、
あまり厳密ではありませんが、
これ以上厳しくするのも難しいと思います。
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学会に参加した証拠として、
参加証を提出します。
下の参加証は日本の熱傷学会と
韓国のセミナーのものです。
韓国のセミナーのものは、
今回の申請には無効です。
しっかり勉強していないと、
専門医も維持できない仕組みになっています。
日本熱傷学会参加証
韓国の参加証