昔の記憶

うれしい春への感謝

 平成27年3月25日、朝日新聞朝刊、 
 ひとときへの投稿です。
 うれしい春への感謝
 中2で不登校、転校後も約10カ月教室に行けなかった子供に、うれしい春がきました。県立高校に合格したのです。
 受験で合格した中学校に行けなくなり、転校した学校でも心の傷から回復できず部屋にこもろうとしました。私は出席日数を気にして、嫌がっても車で連れて行きました。必死だった気持ちをほぐしてくれたのは不登校指導の経験が長い校長先生。いつも温かい声をかけてくれました。
 保育所、小学校と支援が必要な子でした。中学では不登校になり、形だけ登校、帰宅する日々。そんなとき、「お子さんは前に進んでいますよ」との言葉に勇気を奮い起こしました。
 確かに回復に向かう力がゆっくり育っていました。相談室などで折り紙を折り続け、そこでの友達が増えました。中3になると毎日元気に登校し、最後に成績は大きく伸びました。
 入試会場で「お母さん、これまでありがとうございました」としっかりと言って試験に臨んだ姿を忘れません。学校の見守り、カウンセラーや塾の先生方、地域の方々。どなたが欠けても、いったん閉じた子供の力を開花させられなかったと静かに感謝しています。
 (以上、朝日新聞より引用)

      ■         ■
 事件や事故など、
 あまり楽しくない記事が多い新聞の中に、
 このような、
 ちょっと、
 ほっとする投稿を見つけると、
 こちらまでうれしくなります
 よかったですね
      ■         ■
 校長先生の、
 温かい声かけが、
 どんなにはげみになったことでしょうか。
 以前の朝日新聞にも、
 先生の根回しで?いじめ防止
 …という投稿がありました。
 不登校の子を助けるのは、
 困っている親を助けることにもなります。
      ■         ■
 札幌美容形成外科にも、
 不登校の子どもさんが来院されます。
 事情はさまざまです。
 私は、
 不登校の原因と直接関係がなくても、
 少しでも、
 自分が気になっている部分を治して差し上げ、
 元気に学校へ行ってくれることを願って、
 いっしょうけんめい手術をしています。

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昔の記憶

冬に逆戻り2015

 昨日の院長日記の最後に、
 もうすぐ春ですと書いたら、
 今日は冬に逆戻りです。
 油断をすると、
 風邪をひきそうです。
      ■         ■
 自分の人生を振り返ってみても、
 冬に逆戻りや、
 思わぬところで失業したり
 いろいろな苦難がありました
 開業医も苦難の連続です
 決して楽な職業ではありません
      ■         ■
 札幌美容形成外科には、
 たくさんの若い方が受診してくださいます。
 桜さいた
 合格のたより♡もあれば、
 ◆みちのくの雪深し◆という、 
 不合格のたより◆もあります。
 人生は悲喜こもごもです。
      ■         ■
 今はインターネットで合否がわかりますが、
 昔は、
 大学の合格掲示板だけでした
 番号だけではなく、
 氏名が張り出されました。
 白地に筆で書いてあったように記憶しています。
 その合格掲示板を、
 地元の放送局がテレビ中継していました。
      ■         ■
 『ミチノクノユキフカシ』
 『みちのくの雪深し』は、  
 私が現役の時に不合格となった弘前大学医学部でした。
 私は不合格だと思っていたので、
 合格電報は頼みませんでした。
 3月下旬に、
 予備校の医進クラスの選抜試験がありました。
      ■         ■
 私が人生で一番勉強したのが予備校時代です。
 私の同期には、
 2浪
 3浪
 4浪
 8浪もいます。 
 みんないい先生です。
 女性で4浪の先生もいます。
 60歳を超えても若く見えるので、
 年齢のことなんかわかりません。
      ■         ■
 浪人は無駄ではない
 不合格だった人にも、
 がんばっていただきたいです。
 必ず春は来ます。 
 来年は桜さいたになるように、
 全力でがんばりましょう。
 最後まであきらめないことです

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院長の休日

自転車に乗りました2015

 昨日(2015年3月22日)、今年はじめて自転車に乗りました。
 桑園(そうえん)のイオンまで行きました。
 まだ風は冷たいですが、
 自転車は快適です。
 私の自転車は、
 息子のおふるです。
 もうぼろぼろです。
      ■         ■
 ちゃんとブレーキがきいて、
 ライトが点くことは確認しています。
 なぜ古い自転車に乗るか?
 一番の理由はけちだから。
 次に愛着があるから
 まだまだ乗れるからです。
      ■         ■
 春の訪れ
 2008年3月22日の院長日記です。
 私は、小さい頃に足を悪くしたためか…
 スポーツは苦手でした。
 唯一得意科目だったのが、スキーでした。
 走るのもダメ、
 球技もダメ、
 一番嫌いだったのが、体育のマット運動などでした。
 4月に学校が始まると、
 マット運動から始まるのでイヤでした。
 自転車だけは、運動神経と関係なく好きでした。

      ■         ■
 息子のぼろ自転車は、
 自転車屋のおじさんの店で購入しました。
 ブリジストンの自転車です。
 古い自転車ですが、
 半年近く放置していたのに、
 タイヤの空気は抜けていませんでした。
 さすがブリジストンは違うと思いました。
      ■         ■
 古い自転車は、
 ぎこぎこいっていたので、
 昨年油を差しました。
 ぎこぎこ言わなくなりました。
 まだまだ乗れそうです。
 息子さんが継がれた、
 フジニ商会に持って行って、
 整備できるか聞いてみようと思っています。
 もうすぐ春です
shu

シューパロ湖へ自転車で行った時
私は自転車が好きな少年でした

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医学講座

乳がんの手術は病院で

 昨日の院長日記、
 病院診療所ジョイントミーティングに、
 乳がん手術は、
 ビルの診療所で、
 簡単にできる手術ではありませんと書きました。
 ネットで検索すると、
 日帰りで乳がん手術ができて、
 しかもおっぱいの形まで元通り

 …というクリニックがヒットします。
      ■         ■
 仕事もあるし、
 入院しなくても手術が受けられ、
 おっぱいの形も変形しない

 夢のような治療
 …と誤解するような宣伝があります。
 私の奥さんが乳がんになったら、
 絶対にしっかりとした病院で手術をしてもらいます
      ■         ■
 乳がんは命にかかわる病気です。
 一度の手術で、
 全員が完治する病気ではありません。
 手術前の治療や、
 手術後の治療も大切です。
 今は乳がんのタイプを詳しく調べて、
 タイプ別に違った薬を使います。
      ■         ■
 昨日ご紹介した、
 札幌駅前しきしま乳線外科クリニック
 敷島裕之先生は、
 クリニックの診療が終了してから、
 無報酬で斗南病院まで回診に行かれます。
 交通費すら出ません。
 クリニックの収入にもなりません。
 すごい先生だと思います。
      ■         ■
 敷島先生の手術は、
 設備が整った斗南病院で行います。
 手術後も、
 病院の看護師さんが、
 24時間しっかり見てくださいます。
 ビルの診療所は、
 夜間はやっていません。
 手術後も見てくれる看護師さんはいません。
      ■         ■
 クリニックによっては、
 札幌に常勤医がおらず、
 東京から出張で来ている先生が院長のところがあります。
 そうすると、
 先生は手術が終わったら、
 たとえ乳がんの手術後でも東京へ帰ります。
 患者さんに何かあっても対応できません。
      ■         ■
 乳線外科の手術も進歩しました。
 札幌駅前しきしま乳線外科クリニック
 敷島裕之先生の手術は、
 再建用のバッグを使わなくても、
 乳房の形態がとてもきれいでした。
 手術後の病理組織検査や、
 化学療法もしっかり受けられます。
 若いうちから乳がんの検査を受けて、
 手術はしっかりとした病院で受けることを、
 強くおすすめします
 札幌駅前しきしま乳線外科クリニック
 敷島裕之先生は、
 信頼できる先生です

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医学講座

病院診療所ジョイントミーティング

 昨夜(2015年3月20日)、
 KKR札幌斗南病院と近隣診療所の勉強会がありました。
 2つの講演がありました。
 【講演1】
 難治性慢性頭痛の診断と治療
 北見クリニック 
 院長 北見公一 先生
 【講演2】
 乳線専門クリニックにおける乳がん診療の現状について
 札幌駅前しきしま乳線外科クリニック
 院長 敷島裕之 先生

      ■         ■
 北見公一先生は、
 市立札幌病院時代にお世話になった、
 脳神経外科の先生です。
 今は頭痛専門の
 北見クリニックを開業していらっしゃいます。
 私の身内も職員も診ていただきました。
 信頼できるいい先生です。
      ■         ■
 昨夜の講演会で、
 札幌駅前しきしま乳線外科クリニック
 敷島裕之先生のお話しが勉強になりました。
 日本人女性の12人に一人が乳がんになる時代で、
 女性のがんでは一番多いそうです。
 欧米女性と比べて、
 乳癌検診の受診率が低いそうです。
      ■         ■
 今まで乳がんについては
 札幌医大第一外科のおっぱいチームだった、
 札幌ことに乳腺クリニック(浅石和昭先生)
 札幌乳腺外科クリニック(岡崎亮先生)をご紹介していました。
 どちらのクリニックもとても混んでいます。
 会社を休んで行くにしても、
 なかなか予約が取れません。
      ■         ■
 札幌美容形成外科のすぐ近くにできた、
 札幌駅前しきしま乳線外科クリニック
 いいクリニックです。
 敷島裕之先生は、
 北大第二外科のご出身で、
 NTT札幌病院や、
 KKR斗南病院で乳がん手術をなさった先生です。
      ■         ■
 もっと驚いたのは、
 開業された後も、
 斗南病院で手術をなさって、
 斗南病院まで回診にも行かれていることです。
 これは開業医としては、
 実にすごいことです
      ■         ■
 ご自分のクリニックで、
 乳がんが見つかった患者さんは、
 KKR斗南病院で手術を受けられます。
 しかも先生が行って、
 手術を執刀してくださいます。
 患者さんにとっては実に安心です。
 乳がん手術は、
 ビルの診療所で、
 簡単にできる手術ではありません
      ■         ■
 敷島裕之先生の講演で私が質問しました。
 豊胸術を受けた患者さんの乳がんについてです。
 豊胸(バッグか注入か)2015
 豊胸手術の歴史2015に書いたように、
 シリコンバッグを使う方法は、
 たとえ乳がんになってもわかりやすい
ですか?と質問しました。
      ■         ■
 豊胸バッグを入れた方は、
 マンモグラフィーはできませんが、
 エコーで診断ができます
 注入は
 脂肪でもヒアルロン酸でも、
 わかりにくいそうです

 注入を受けた人は、
 ふつうの人の何倍も乳がんに気をつけてほしいです。
 大手美容外科の宣伝に気をつけてください。
 注入を受ける人は手術前に、
 先生の奥様にも、
 同じ手術をなさいますか

 …と質問してみてください。

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昔の記憶

国家試験合格率といい先生

 昨日の院長日記、
 医師国家試験合格発表2015に書いた、
 受験の難易度と、
 医師国家試験合格率は関係ありません。
 いい先生と、
 悪い先生も、
 医師国家試験合格率には関係ありません。
 美容整形に関して言うと、
 腕の良い先生と
 医師国家試験合格率も大学も関係ありません。

      ■         ■
 もっと私が言いたいことは、
 現役で国立難関大学医学部に合格し、
 6年間でストレートで卒業し、
 一発で医師国家試験に合格した先生と、
 優秀
 やさしく
 いい先生
 優れた人間性
 …はまったく関係ありません
      ■         ■
 残念なことですが、
 現在も過去も、
 医師国家試験は、
 医学的知識の記憶力をテストする試験です。
 人間性をチェックする機能はありません
 すべてマークシートです。
 膨大な記憶力のテストです。
      ■         ■
 私が知っている、
 やさしく
 いい先生は、
 苦労した先生です
 ストレートで医学部に進学し、
 ストレートで卒業した先生ではありません。
 国家試験に落ちた先生でも、
 いい先生はたくさんいます。
      ■         ■
 お医者さんを選ぶのに、
 出身大学を規準にする人がいます。
 ブランド物のバッグではないので、
 医師の人間性と、
 出身大学は比例しません。
 いろいろな先生がいます。
 大学教授だから
 外国に留学したから、
 やさしく
 いい先生とは限りません。
      ■         ■
 国家試験合格率にも秘密があります。
 合格率を上げるために、
 卒業させない大学があります。
 卒業認定を厳しくすると、
 国家試験合格率は上がります。
 高いお金をかけて私立医大に入ったのに、
 卒業できない学生もいます。
      ■         ■ 
 昨日ご紹介した、
 TECOMという医師国家試験予備校があります。
 そんな予備校があるの?
 …と思われた方も多いと思います。
 国家試験に通るためには、
 国立大学医学部といえども、
 大学の講義だけでは通らないこともあります。
      ■         ■
 国家試験対策が充実しているのは、
 いわゆるお金がかかる私立医大です。
 あえて名前は出しませんが、
 そのような大学の教員は必死で教えます。
 合格率を上げないと大学の存続にかかわります。
 国立大学医学部では、
 (私立医大にくらべると)
 熱心に国家試験対策を教えません。
 医学部の教育を読んで下さい。
 国家試験に2回も落ちたのに、
 とってもいい先生を私は知っています。

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昔の記憶

医師国家試験合格発表2015

 昨日(平成27年3月18日)、
 第109回医師国家試験合格発表がありました。
 医師国家試験合格発表
 2012年3月19日の院長日記です。
 私が受験したのは…
 今から32年前でした。
 私の時は、
 第69回医師国家試験でした。
 受験番号129番でした。
      ■         ■
 受験票は今でも持っています。
 『69』回の回数、
 受験地、札幌
 氏名、
 生年月日は、
 手書きでした。
 32年前は、
 国家試験合格者名が、
 北海道新聞に掲載されました。
 実は、
 私たちの時代には、
 国家試験の合否を、
 発表の前日に…
 北海道新聞社に電話で問い合わせていました。
      ■         ■
 詳しい理由はわかりませんが…
 当時の新聞は…
 活字をひろって紙面を組む時代だったと思います。
 厚生省から、
 各新聞社に前日午前に原稿が配られたようです。
 その原稿を見て…
 新聞社の人が合否を教えてくれました。
      ■         ■
 当時は4月に国家試験がありました。
 発表は5月でした。
 北大病院の研修医になっていた私は…
 おそるおそる…
 『受験番号129番の本間賢一』です…
 …と聞いた記憶があります。
 『おめでとうございます
 …と北海道新聞社の人が教えてくれました。
      ■         ■
 今から考えると…
 古き良き時代だったと思います。
 どきどきしながら… 
 合否を聞いた覚えがあります。
 実際に医師免許証を手にしたのは6月でした。
 合格発表の後で保健所に診断書や申請書を提出し、
 医籍という医師の戸籍みたいなところに登録されたのが、
 昭和55年(1980年)5月26日でした。

      ■         ■
 今は便利な時代です。
 ネットで合否が確認できます。
 大学別の合格率もわかります。
 TECOMという医師国家試験予備校のHPに詳しく書いてあります
 多くの医学生が、
 このTECOMの模試を受けたり、
 ネットを使った授業に参加しています。
 今年の医師国家試験合格率は91.2%でした。
      ■         ■
 興味深いのは、
 受験の難易度と、
 医師国家試験合格率は関係ありません。
 いい先生と、
 悪い先生も、
 医師国家試験合格率には関係ありません。
 美容整形に関して言うと、
 腕の良い先生と
 医師国家試験合格率も大学も関係ありません。
      ■         ■
 2015年の大学別合格率です。
【北海道・東北】
北海道大学医学部 113人受験 105人合格 92.9%
旭川医科大学 108人受験 101人合格 93.5%
札幌医科大学 108人受験 103人合格 95.4%
山形大学医学部 126人受験 118人合格 93.7%
【難関大学】
東京大学医学部 113人受験 100人合格 88.5%
京都大学医学部 118人受験 110人合格 93.2%
慶應義塾大学医学部 117人受験 110人合格 94.0%
【最高合格率】
浜松医科大学 107人受験 106人合格 99.1%
自治医科大学 112人受験 111人合格 99.1%
順天堂大学医学部 111人受験 110人合格 99.1%
20150319

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医学講座

眼窩ブローアウト骨折の診断

 小児ブローアウト骨折は24時間以内の緊急手術です。
 難しいのが、
 子どもさんの診断です。
 CTやMRIなどの診断機器が進歩しました。
 携帯がスマホ進歩したのと同じように、
 診断機器と診断技術が進歩しています。
      ■         ■
 昔だったらわからなかった、
 小さな病変でもよく見えます。
 ただし条件があります。
 CTやMRIを撮る時に、
 動かないことです。
 じっとしていないと、
 鮮明な画像は得られません。
      ■         ■
 CTやMRIを撮る部屋へ入ったことがあると思います。
 子供が一人で、
 おとなしくできる環境ではありません。
 診断機器は進歩しましたが、
 子どもを、
 安全に
 簡単に
 おとなしくさせる
 これが一番の難関です
      ■         ■
 学校で友だちと衝突して、
 保健室に運ばれます。
 救急車が学校に来て、
 救急病院に搬送される。
 これだけで大騒ぎになります。
 学校の先生、
 ご両親、
 おじいちゃんおばあちゃんまで病院に来ます。
      ■         ■
 子どもさんの顔は紫色になり、
 目を開くこともできません。
 たいていの子どもさんは泣き叫んでいます。
 お母さんは心配しておろおろ、
 泣き出すお母さんもいます。
 血が出ていると、 
 それだけ見て倒れるお母さんもいます。
      ■         ■
 この混乱した状況の中で、
 子どもさんも動揺します。
 採血ひとつするのも大変です。
 目の診察のために…
 上を向いて
 下を向いて
 …と言っても簡単に向いてくれません。
      ■         ■
 点滴を入れるのも大変です。
 せっかく点滴を入れても、
 大暴れして抜けてしまうこともあります。
 そうすると、
 また点滴のやり直しです。
 ごはんを食べたばかりだと、
 全身麻酔もすぐにかけられないことがあります。
      ■         ■
 CTやMRIを撮るために、
 全身麻酔をかけることも簡単にできません。
 麻酔科医もいません。 
 CTの部屋に麻酔装置はありません。
 MRIの部屋には、
 酸素ボンベなどの金属は持ち込めません。
 ボンベがロケットのようにMRIを壊してしまいます。
 MRIが磁石だからです。
      ■         ■
 自分の孫が学校でけがをしたら、
 まず落ち着くことです。
 採血や点滴は小児科医が上手です。
 意識不明だったら仕方がありませんが、
 意識があれば孫をよく観察します。
 ブローアウト骨折の診断は、
 CTが撮れなくてもできることがあります。
      ■         ■
 ブローアウト骨折があると、
 上口唇がしびれることがあります。
 孫に
 腫れている方の唇だけしびれていないか
 聞いてみます。
 物をかんだ時、
 片方だけ変な感じがしないか
 聞いてみます。
 眼窩下神経がんかかしんけいという三叉神経第二枝の麻痺症状です。
 日本形成外科学会HPも見てください。

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医学講座

眼科と形成外科のコラボ

 私は長い間、形成外科医として、
 救命救急センターがあるような大きな病院で働きました。
 勤務は大変でしたが、
 医師として得るものがたくさんありました。
 他の科の先生と仲良く仕事をすることです。
 たくさんの信頼できる先生と仕事をしました。
      ■         ■
 大きな病院には眼科があります。
 眼球を損傷するような外傷の時は、
 眼科の先生とよく手術をしました。
 眼科の先生は眼球、 
 形成外科は眼瞼(まぶた)を担当しました。
 順番としては、
 眼球が先です。
      ■         ■
 手術中にいろいろと話しをしながら、
 眼科の先生の手術を見たり、
 手伝ったりして学びました。
 一人の患者さんを通じて、
 眼科と信頼関係ができて、
 勉強になりました。
 いいことだと思います。
      ■         ■
 形成外科外来には、
 視力表や、
 視野測定の機器はありません。 
 眼圧を測定する機器もありません。
 患者さんは、
 眼科と形成外科を行き来して大変ですが、
 二人の医師に診てもらうことになります。
 より診断が確実になります。
      ■         ■
 眼窩床骨折を手術する眼科医でも、
 腸骨を採取して、
 薄く削って、
 眼窩床に移植する先生はまれです。
 私たち形成外科医は、
 腸骨採取も上手です。
 うすく削るのも得意です。
 眼科と形成外科が仲良く手術をするといい結果が出ます。
      ■         ■
 昨日の小児ブローアウト骨折のような例はまれです。
 救急外来に搬送されて、
 嘔吐している時などは、
 小児科医が診て小児科に入院することもあります。
 小児科医が気づくといいのですが、
 眼科や形成外科を受診するのが遅れることもあります。
 誰か一人でも、
 下直筋がはさまっていると気づくといいのですが、
 遅れることもあります。
      ■         ■
 小児はなかなかじっとしてくれないので、
 CTを撮ること自体が難しいこともあります。
 下直筋がはさまっても、
 失明することはありませんが、
 下を向いた時にものが2つに見えます。
 子供さんが目を強打したら、
 私の院長日記を思い出してほしいです。
 眼科と形成外科のコラボは大切です

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医学講座

子どもが目を強打した時

 平成27年3月14日に北大で開催された、
 第26回日本眼瞼義眼床手術学会
 私が一番勉強になったのがこの手術手技フォーラムでした。
 第一回眼窩手術手技フォーラム:
 「小児のブローアウト骨折
 小児のブローアウト骨折の特徴と手術加療の目標
 【座長】
 京都府立医科大学 眼科
 渡辺彰英 先生
 機能と解剖から考える小児の眼窩骨折
 群馬大学 眼科
 鹿嶋友敬 先生
 成人例との比較
 兵庫医科大学 形成外科
 藤原敏宏 先生
 治療の実際
 北海道大学 形成外科
 小山明彦 先生

      ■         ■
 ブローアウト骨折とは聞き慣れない言葉です。
 人間の頭蓋骨を思い出してください。
 ドクロ髑髏とか
 しゃれこうべとか
 されこうべ晒され頭とか
 あのがいこつです。
      ■         ■
 眼球が入る部分を、
 眼窩がんかと呼びます。
 頭蓋骨はとても硬い骨ですが、
 目が入る部分だけ、
 とても薄い構造になっています。
 卵の殻を少し厚くした程度です。
      ■         ■
 私は形成外科で手術をする時に、
 この卵の殻のように薄い構造は、
 車の衝撃吸収バンバーだと説明していました。
 つまり、
 目という大切な器官を守るために、
 強い外力が加わった時に、 
 卵の殻が壊れて、
 眼球を保護する役割を持っています。
      ■         ■
 子どもさんが目を強打したとします。
 体育で、
 自分の膝がぶつかることもあります。
 他人の頭が目に当たることもあります。
 そうすると、
 目に強い力がかかります
      ■         ■
 最悪なのは眼球破裂です。
 眼球が破裂しないように、
 目の入れ物である、
 眼窩の床が破れて、
 眼球内容が下に落ちるようになっています。
 これを、
 眼窩床骨折がんかしょうこっせつと呼びます。
 ブローアウト骨折と言います。
      ■         ■
 眼窩の下と内側が弱く、
 骨折しやすいです。
 私が形成外科をやっていた頃は、
 診断も単純レントゲン写真だけでした。
 CTスキャンの精度も今ほど高くありませんでした。
 今は画像診断がとても進歩しました。
      ■         ■
 新しい知見として、
 小児のブローアウト骨折で、
 下直筋という筋肉が骨に挟まっている時は、
 24時間以内に緊急手術が必要だと、
 土曜日の手術手技フォーラムで知りました。
 下直筋という、 
 目を下向きにする筋肉が、
 骨に挟まって、
 壊死になってしまうそうです。
      ■         ■
 小児の骨は、
 大人と違って若い竹のようにしなります。
 簡単に卵の殻が割れないのです。
 ですから、
 ひびが入った骨に、
 筋肉が挟まってしまい、
 下直筋が壊死になります。
      ■         ■
 救命救急の先生や、
 小児科の先生でも知らない人いるそうです。
 私も不勉強で知りませんでした。
 子どもさんが目を強打して、
 目が腫れて、
 動きが悪ければ、
 CTスキャンで精査して緊急手術です。
 学会に出て勉強になりました。

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