医療問題
保険診療の難しさ…
私は25年近く形成外科医をしてきました。
総合病院の形成外科は保険診療だけで、
自由診療はありませんでした。
婦人科の不妊治療など…
限られた‘治療’は自由診療で行っていました。
先月、
厚生労働省の
北海道厚生局医療指導課による、
集団的指導というのがありました。
■ ■
200人近く入るような会場で、
厚労省の担当官と、
医官(医師)による指導がありました。
保険医療機関は、
国からの通達を守って…
保険診療のルール通りに診療をしてください!
という指導です。
実際はスライドを使った講演形式でした。
知り合いの先生もたくさんいらしてました。
偉い先生も来ていました。
■ ■
大学の医学部や看護学部でも…
保険診療のルールについての講義はわずかです。
医師国家試験にも…
看護師国家試験にも…
保険診療のルールについては…
ほとんど出ません。
学生はあまり勉強しません。
知らなくてもお医者さんになれます。
でも…
私のように開業して診療をすると、
一番必要に迫られるのが…
保険診療のルールです。
■ ■
病院でも研修医を経て…
科長とか医長とか部長になると…
この保険診療のルールが必須科目になります。
ルールを無視して診療はできません。
しっかり勉強して開業しないと、
すぐに倒産の危機となります。
昨日書いた、
悪質な二重請求などは、
保険医取消しとなることもあります。
■ ■
美容外科で保険は使えません。
美容目的には使えないとはっきり書かれています。
『わきが』
『眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)』
『授乳障害がある陥没乳頭』は、
病気なので…
保険適応となります。
『わきが』は腋臭症(えきしゅうしょう)という病名になります。
■ ■
どの程度の『わきが』だったら…
保険適応になって…
軽度の『わきが』だったらならない…
というのも厳密な規定はありません。
保険医の判断になります。
『わきが』ではない人に、
手術をする医師はいないと思いますが…
世の中には悪い医者もいます。
生涯に悔いを残さないように…
慎重に先生を選んでください。
私は耳垢が湿っていて…
ワキを診察して臭いがすれば
保険適応にしています。
医療問題
眼瞼下垂(がんけんかすい)と『たるみ』取り
とける糸のことを昨日の日記に書きました。
残念なことですが、
医師免許を持っている人にも…
悪い先生はいます。
保険診療をしている先生にも…
悪い先生がいます。
次の例は…
実際にあったケースです。
■ ■
瞼(まぶた)が下がっています。
眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)です。
手術が必要です。
眼瞼下垂症の手術は保険適応ですが…
『たるみ』を取る手術には保険が効きません。
眼瞼下垂症手術は5万円ほどです。
その他に『たるみ』取り手術が20万円です。
合計25万円になります。
■ ■
上まぶたの皮膚に『たるみ』があって…
ものが見づらくなっているのが、
眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)です。
皮膚を切り取って、
『たるみ』を取るのは…
保険診療の眼瞼下垂症手術に入っています。
つまり…
保険の眼瞼下垂症手術に、
『たるみ』取り手術を追加して、
料金を請求するのは違法です。
■ ■
現在の保険医療システムでは、
上記のように請求することは、
二重請求として、
禁止されています。
悪質な場合は、
保険医を取り消されることもあります。
悪徳医は手術も下手で、
手術のトラブルになることもあります。
■ ■
もし、
このように請求された方がいらしたら、
厚生労働省の
北海道厚生局医療指導課
011-796-5105
〒060-0807
札幌市北区北7条西2丁目15番1野村不動産札幌ビル2階
(札幌駅北口_代ゼミの隣のビルです)
へご相談ください。
手術のトラブルは弁護士さんに相談してください。
払い過ぎた料金は取り戻してください。
医学講座
とける糸で通院不要
とける糸で縫いますから…
通院は不要です。
抜糸の手間も要りません。
何とも魅力的な言葉です。
遠方から手術に行く場合など、
通院不要で、
簡単に治る
簡単にキレイになれる
と信じてしまうことがあります。
■ ■
だまされないでください!
溶ける糸なんてうそです。
吸収糸と呼ばれる糸があります。
バイクリルという名前の商品名で売られている、
米国製の糸が一番有名です。
専門用語でとける糸は…
吸収糸きゅうしゅうしと呼びます。
とけるのではなく、
分解されて吸収されるだけです。
■ ■
しかも…
分解されて吸収されるまでには…
一ヶ月以上かかります。
分解される…
ということは、
自分の身体が糸を異物と認識するからです。
当然、糸がついている部位では、
炎症が起こり…
キズは赤く硬くなります。
つまりキズは目立ちます。
■ ■
形成外科でも、
とける糸を使います。
表面を縫うときに使うのは、
口の中などの粘膜。
鼻の奥で抜糸が難しい部位。
あとは身体の中の腸管粘膜など…
力がかからない部位に使います。
少しでもキズを残したくない部位…
(顔や瞼など…)
にはとける糸は
絶対に使いません。
■ ■
クリニックにとって…
抜糸の時間や、
通院で経過を診る時間は、
儲からない赤字部門です。
高いお金を取って…
短時間で手術を済ませ…
あとは抜糸も通院も不要というのは、
悪徳美容外科の一つの指標です。
お母さんにも相談できないのが、
性器の手術です。
くれぐれも気をつけてください。
院長の休日
老いても‘若い’秘訣
昨日の日記に引用させていただいた、
埼玉県狭山市の宇佐見照子様は…
80歳のご婦人です。
確実に老いていく身
と書かれていました。
世界の国々から来た人たちに
日本語を教える教室で
ポランティアをしています。
■ ■
私の想像では、
とても80歳には見えない…
お元気で…
はつらつとしたご婦人だと思います。
医者としての勘ですが…
おそらく…
あと20年はお元気でいらっしゃると、
私は思います。
■ ■
札幌美容形成外科にも、
お元気な80歳台の方が…
いらっしゃいます。
私も…
職員も…
元気をいただきます。
ご高齢でも…
お元気な方には…
共通点があります。
■ ■
まず例外なく、
痩せていらして、
スマートです。
美容外科へいらっしゃるせいか…?
皆さんおしゃれです。
80歳を越えていらしても、
女性らしさがあります。
言葉遣いは…
とてもお上品です。
■ ■
世の中には、
高い化粧品、
健康食品、
サプリメント、
お金のかかるものばかりが…
アンチエイジングの武器として、
宣伝されています。
■ ■
ほんとうの意味での…
アンチエイジングは、
自分が社会の役に立っている!
まだまだ他人から感謝されているという…
満足感ではないか…?
と思います。
私は80歳まで生きられる自信はありませんが、
少しでも宇佐美様に近づきたいと思います。
院長の休日
困窮者励ます寄付こそ「友愛」
平成21年12月18日、朝日新聞朝刊「声」の欄への投稿です。
困窮者励ます寄付こそ「友愛」
無職 宇佐見照子
(埼玉県狭山市 80)
鳩山総理のお母様へ、同世代の母親として一言、申し上げます。私たちは確実に老いていく身には違いはありませんが、大きな違いは、あなたが多額な財産をお持ちで、その使い道に悩んでおられることではないでしょうか。
私は独り暮らしの年金生活者ですが、会費を払い、世界の国々から来た人たちに日本語を教える教室でポランティアをしています。受講生は、私たちが持ってゆく新聞の折り込み広告の白紙部分を利用し平仮名や漢字を書いたりしています。年の瀬も迫り、新年を野宿して迎えねばならない人もたくさんいるでしょう。
悩んでおられると思われる財産の使い道ですが、息子さんの説く「友愛」を後押しし、困窮している人たちに寄付されたらいかがでしょうか。それこそが真の友愛精神と思います。一人の老婆として来年の漢字が「愛」でありますよう願いつつ、あなたが良きお年を迎えられますことをお祈り致します。
■ ■
毎月1,500万円ものお小遣いをいただける息子は、
日本中を探してもそう多くはいません。
もらった‘お小遣い’を…
‘知りませんでした’とか
‘修正申告’します。
でいいとも思いません。
一国の首相として、
‘ふさわしい人’なのか…?
と疑問も持ってしまいます。
■ ■
2008年5月27日に
内閣総理大臣という日記を書きました。
私が札幌西高校の生徒だった時に、
田中角栄さんが内閣総理大臣になりました。
‘コンピューター付きブルドーザー’とか
‘よっしゃよっしゃ’とか
‘小学校しか出ていない総理大臣’とか
‘田中のカナ振り英語’とか
いろいろ言われた内閣総理大臣でした。
■ ■
ロッキード事件で逮捕され、
晩年は病気になられました。
いろいろな批判はあると思いますが…
私は今でも田中角栄さんが好きです。
小学校しか出ていないのに、
苦学して内閣総理大臣にまでなって…
田中さんの時代に、
日本はよくなったと思います。
■ ■
ロッキード社からお金をもらうのは悪いことです。
お母さんからお金をもらって、
贈与税を納めないのは…
‘脱税’です。
どちらがより悪いことかは…
裁判所が決めることです。
でも…
私は田中角栄さんが好きです。
■ ■
何不自由なく育った‘お坊ちゃま’は、
ほんとうに困っている人の気持ちはわかりません。
私たち医療従事者は、
困っている人を助けるのが仕事です。
自分で病気を経験した人は、
患者さんの気持ちがより理解できます。
投稿者の宇佐美様は、
素敵なご婦人だと想像します。
海外から来た人に、
美しい日本語を教えていらっしゃることと思います。
内閣総理大臣には、
安心して住める豊かな国にしてほしいです。
院長の休日
育児休業中
孫の光希くんが来てくれました。
すっかり重くなりました。
育児休業期間は、
あと半年を切りました。
♡かわいい孫♡から、
お母さんをとってしまうのは…
かわいそうな気もします。
■ ■
現在の国の制度では、
育児休業の後で、
復職することが、
前提になっています。
クリニックとしては…
ベテランの職員が戻ってくれると、
とても助かるのは事実です。
でも…
お母さんを取ってしまうのは…
孫に申し訳ない気がします。
■ ■
孫は文句なくめんこいものです。
私の年齢(55歳)になると、
あまり楽しみがなくなります。
若い頃は…
車を買いたいとか…
どこかへ行ってみたい…
新しいパソコンを買いたい…
というような、
楽しみがありました。
■ ■
今は…
車を買っても…
乗る時間もないし…
どこかへ行っても…
自分の家が一番いいし…
パソコンは仕事で使うだけで十分。
新しいのを買っても…
設定に時間がかかり大変です。
■ ■
孫の成長は、
文句なく楽しみであり…
私の心を癒(いや)してくれます。
日本は少子高齢化で困っています。
国民が安心して子どもを産んで、
育てられる社会があれば…
将来も安泰です。
子ども手当もいいですが、
社会で子育てを支援できるような…
システムの構築があればよいと思います。
お母さんが働いていた
職場ですょ
医学講座
コンタクトレンズ消毒液
平成21年12月17日、北海道新聞朝刊の記事です。
ソフトコンタクト用消毒液一部商品「効果低い」
角膜感染症の恐れも
洗浄から保存までを1本でできるソフトコンタクトレンズの消毒液「マルチパーパスソリューション(MPS)」の主な8商品のうち6商品は、消毒効果が低いことが16日、国民生活センターの調査で分かった。
MPSはソフトコンタクト使用者の間で増えている「アカントアメーバ角膜感染症」の一因ともされ、同センターは、使用者にこすり洗いの徹底を呼び掛けるとともに、メーカーに効果を向上させるよう要望。「薬害オンブズパースン会議」(代表・鈴木利広弁護士)も16日、厚生労働省と消費者庁に、実態調査と原因究明を求めた。
国民生活センターなどによると、アカントアメーバは室内のほこりや洗面所におり、感染すると充血や視力障害、激しい目の痛みが起こり、失明の恐れもある。
同センターが、市販のMPS8商品を対象に、アカントアメーバの消毒効果を調査。その結果、消毒効果がはっきりしている(北海道新聞の記事を変えています:本間)過酸化水素タイプやポビドンヨードタイプの消毒液と同程度の効果があったのは、
①レニューマルチプラス【ボシュロム・ジャパン㈱】
②エピカコールド【㈱メニコン】
の2商品だった。
消毒効果が低いとされた6商品は次の通り。かっこ内は製造者または販売者。
①コンプリートダブルモイスト【エイエムオー・ジャパン㈱】
②バイオクレンゼロ【㈱オフテクス】
③シードゥソフトケア【㈱シード、日油㈱】
④フレッシュルックケア10ミニッツ【チバビジョン㈱】
⑤オプティ・フリープラス【日本アルコン㈱】
⑥ロートCキューブソフトワンモイストi【ロート製薬㈱】
ロート製薬の話
説明書通りなら効果
今回の調査は、コンタクトレンズを消毒剤に漬け置きするもので、通常の正しい使用法ではない。消毒液の取り扱い説明書通りに使えば、消毒効果が出るように商品を製造している。
(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
今回の報道は、
平成21年12月16日に
独立行政法人国民生活センターから
ソフトコンタクトレンズ用消毒剤のアカントアメーバに対する消毒性能
-使用実態調査も踏まえて-
という報道発表資料に基づいています。
国民生活センターが
日本コンタクトレンズ学会との共同研究で実施した調査です。
■ ■
国民生活センターの資料によると、
現在、我が国のコンタクトレンズ使用者は1500万人を超え、
総人口の約1割がコンタクトレンズを使用しているとされる。
一方で、コンタクトレンズ装用に伴う眼障害も増加傾向にあり、
装用者の7~10 %に眼障害が発生していると推察されている。
アメーバ角膜炎は、
2009年11月30日の院長日記でご紹介しています。
■ ■
私は‘二重まぶた’や
‘眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)’など、
目の手術をよくしています。
まぶたのお化粧に熱心なお嬢様でも…
コンタクトをしたまま寝てしまったり…
お手入れがおろそかな方をよく見ます。
コンタクト屋さんの‘先生’に…
ちょっとみていただくだけで、
眼科専門医にはかかっていない人もいます。
■ ■
残念なことですが、
私でも明日から眼科という看板を出せます。
眼科専門医ではない、
医師免許だけの先生でも…
コンタクトの処方は可能です。
大切な目です。
アメーバにやられないためにも、
コンタクトの管理はしっかりしましょう!
■ ■
レンズのこすり洗いとすすぎをきちんとすること、
レンズケースは乾かし
定期的に交換することを
徹底してください。
コンタクトは眼科医専門医の診察を受けて、
適切に使いましょう。
札幌美容形成外科では、
道庁前眼科をご紹介しています。
次の消毒液が消毒効果ありです。
画像は出していませんが、過酸化水素タイプのエーオーセプトやポビドンヨードタイプのバイオクレンエファールという消毒液には消毒効果があります。
医療問題
チェーン店の問題
衣料業界で業績を伸ばしているのがユニクロ。
良いものを安くが売れています。
発音は同じでも、
医療業界のチェーン店は、
必ずしも…
良いものが安くではありません。
医療は中国で安く生産することはできません。
■ ■
不景気になると、
贅沢品(ぜいたくひん)は売れなくなります。
美容医療は典型的な贅沢品です。
売上を増やそうと思うと、
どうしても無理に手術を組んでしまいます。
手術適応がない…
手術したらやばいケースでも、
手術をしてしまうことが考えられます。
■ ■
2009年7月19日に、
臆病者と言われる勇気という日記を書きました。
次の文章は私が考えた文です。
美容外科のチェーン店には、
売上目標や売上ノルマがあります。
ないところでも…
利益が出ていないと…
院長の給与はゼロか大幅にダウンします。
不景気になると、
次々と‘閉店’する美容外科もあります。
次の話しは架空の作り話です。
■ ■
この患者さん…
お腹も…
腕も…
太もも全周も…
全部脂肪吸引して…
がっつり5リットル以上吸引して…
なんて言ってる…
こんなに吸引したらヤバイよなぁ…
■ ■
でも、
これだけ脂肪吸引したら…
180(万円)は取れる…
ローンの審査もパスしている。
今月の売上は低迷…
受付からのプレッシャー
先生、お願いします♡
悪魔のささやきが聞こえてきて…
■ ■
はいはい、脂肪吸引は簡単ですょ。
眠っている間にすぐ終わりますょ。
2~3日休めば、お仕事もすぐにできますょ。
がっつり脂肪をとりますから…
見違えるように細くなりますょ。
みなさん、していらっしゃいますょ。
心配なんて、いりませんょ。
キズは残りませんょ。
さぁ、手術をしましょう!
■ ■
こんな美容外科は…
実在しないと思いますが…
広告を見ていると、
多少やばいと思っても、
強引に着陸してしまいそうな…
美容外科も目につきます。
医療も航空業界も…
安全第一です。
■ ■
私は臆病者と言われようと、
感じが悪いと言われようと、
無理な手術は絶対にしない主義です。
日本国内で、
脂肪吸引の手術によって、
何人もの方が命を落としているのは、
意外と知られていない事実です。
■ ■
残念なことですが、
品川美容外科熊本院でも、
脂肪吸引手術の後で亡くなったことが、
昨日報道されました。
私は品川さんだけではないと思います。
人を幸せにする医療で、
死亡事故は絶対に避けるべきです。
対策は消費者が賢くなることです。
クリニック選びはくれぐれも慎重になさってください。
医療問題
医療事故と航空機事故
2008年8月9日に、
美容外科価格破壊の弊害
という日記を書きました。
私が申し上げたいのは、
医療の分野に
あまり価格競争とか
市場原理を働かせ過ぎると、
‘安全’という、
医療にとって一番大切な、
医療の根幹が脅かされるという危険性です。
■ ■
飛行機と同じです。
絶対に落ちないという‘保証’はありません。
医療も…
絶対に安全
絶対に何もない
という保証はありません。
何かあった時に
冷静に…
的確に…
対処できる能力、設備、人脈が必要なのが、
医療業界の難しさです。
■ ■
航空機事故は一度に大量の人命が失われます。
航空機事故調査委員会で、
事故原因が詳細に調査され、
安全運行の指針となります。
残念ながら…
医療事故については、
このシステムは生かされていません。
大部分の死亡事故は、
報道されていません。
私たちにも伝えられません。
■ ■
私たちは…
口伝えに…
『○○美容外科でこんな事故があったそうだ』
『○○先生が辞められたのは…』
『サクション(脂肪吸引のこと)で…』
『亡くなったからだって…』
と聞くだけです。
同じような事故を…
自分も起こす可能性があります。
■ ■
『そんな事故は下手な先生がするからだ』
と考える‘先生’は、
そのうち自分も事故を起こします。
過渡期の医療過誤防止システムという日記を、
2009年5月7日に書いています。
偏差値が高くて、
優秀な成績で有名国立大学医学部へ入学し、
一発で医師国家試験に合格した‘先生’でも、
一瞬にして医療事故を起こします。
卒業した大学とか…
成績とかは…
関係なく医療事故が起こります。
■ ■
私たちはフールです。
ミスを犯す生きものです。
学会でも…
『私はこんな失敗をしました…』
なんて発表はしません。
医局制度があった頃は…
あの先生でも…
こんなことがあった…と
先輩から口伝えに教えられたものです。
■ ■
経験を積んだ医師が上手なのは…
自分や
他人の
失敗からたくさん学んだだけです。
私も同じです。
偉そうなことは言えません。
自分も同じ事故を起こす可能性がある、
という認識をして、
真摯(しんし)に聴く耳を持つことが、
一番大切だと思います。
(2009年5月7日の繰り返しです)
医療問題
価格競争と医療事故
世の中は不景気です。
安いものしか売れません。
繁盛しているのは100円ショップ。
同じものなら、
100円で買いたくなるのは人情です。
ここ数年…
美容外科業界にも…
価格破壊が起こりました。
■ ■
今回の脂肪吸引の事故が、
安売りだったから…
と言っているのではありません。
高い美容外科でも事故は起きています。
札幌美容形成外科HPの
当院の料金についてというページに
私の考えが書いてあります。
■ ■
クリニックを選ぶ前にちょっと考えていただきたいことがあります。
皆さんは美容室を選ぶ時に価格だけで選びますか?
安い美容室や床屋さんがあります。
高いところとどこが違いますか?
安いところでも設備や人件費、広告費にはお金がかかります。
一人当たりの単価が安いと一日に施術する人数を増やして売上を確保する必要がでますね。当然一人当たりにかける時間も短くなります。
美容外科の手術は流れ作業ではできません。
お一人お一人に合わせてデザインして0.1mmまで精密に手術します。
たとえプチ整形でも自分の体にとっては一生に一度の大切な手術です。
あとで後悔しないためにも美容室より慎重に選んでいただきたいと思います。
■ ■
価格が安いクリニック…
儲け第一主義のクリニックでは…
一日に…
信じられないほどの予約を取ることがあります。
美容外科の自由診療では、
ふつうは…
料金は最初にいただくだけで、
再診やアフターは無料です。
再診の患者さんをなるべく…
少なくするのが、
儲かりの秘密です。
■ ■
‘タダ’の患者さんを何人診察しても、
売上にはなりません。
安売り店最大の欠点は、
何かあった時の対応です。
儲かるのは手術する患者さんです。
再診の患者さんからは利益が出ません。
前日に手術を受けた患者さんから…
具合が悪いと連絡があっても、
予約がいっぱいで…
適切に対処できない可能性があります。
■ ■
クリニックとしては、
万一…
死亡事故が起こると…
毎月数千万円もかけている
広告宣伝費が一瞬にして吹き飛びます。
吹き飛ぶどころか…
○○美容外科で人が死んだという、
負の広告が全国に発信されます。
■ ■
チェーン店の美容外科では…
事故は儲けの大敵です。
一店が事故を起こすと全国へ波及します。
大手美容外科ほど…
医療事故には神経質で、
事故を防ぐ万全の体制が必要です。
私のような個人経営のクリニックでしたら、
死亡事故=倒産の危機です。
■ ■
今回の事故原因は調査中です。
何が原因かは捜査結果を待たなければわかりません。
ご遺族がTVで話されていました。
『大きな病院で診てもらってください』
『どうして言ってくれなかった…?』
ひとこと言っていただいていれば…
最悪の事態は防げた可能性があります。
二度と不幸な事故が起こらないように…
私自身も気持ちを引き締めて診療にあたります。