医学講座
手を使う職業
私たちは手を使う仕事です。
私は手を大事にしています。
手をけがすると…
仕事ができません。
ちょっとしたけがでも…
仕事に支障が出ます。
■ ■
私の手の指は…
とてもやわらかです。
角層という…
一番外側の皮膚が薄いです。
ちょっとしたことで、
すぐに皮膚にキズがつきます。
薄皮まんじゅうの皮みたいです。
■ ■
他人の手を診ることがあります。
手を見ると…
その人の職業がわかることがあります。
マッサージ師さんの手は、
私と同じようにやわらかです。
違うところは…
指に力が入るので…
私の2倍くらいの太さがあります。
■ ■
マッサージ師さんの手のおかげで、
肩こりや筋肉痛がよくなります。
とてもありがたいことです。
ご自分の手も…
疲れるのだろうなぁ…
…と思うこともあります。
■ ■
農家の方や、
ゴルフ場で働くキャディーさんの手は、
どうしても日焼けしてしまいます。
日焼け止めをつけても、
汗や手洗いで取れてしまいます。
紫外線から手を守るのは、
手袋です。
■ ■
私たちは…
ほぼ一日中薄い手袋をして…
手術をしています。
紫外線防御ができる…
薄い手袋があれば…
手の日焼けも防止できますが、
そんな手袋はなかなかありませんね。
■ ■
これからの季節は、
紫外線が強い時期です。
手も顔も気をつけてください。
手を使って仕事をして、
人に喜ばれるのは嬉しいことです。
手が覚えた仕事は、
年をとっても忘れないものです。
手を大切にしましょう。
医学講座
ひげの脱毛
男性は毎日ひげを剃ります。
ひげを伸ばす人もいますが、
お手入れはしています。
最近は…
男性もおしゃれになりました。
ひげ剃り道具もたくさんあります。
■ ■
私が札幌医大の教員だった時です。
男子学生のひげが伸びていました。
臨床実習は、
そのひげじゃだめだょ。
患者さんに失礼だからね。
服装や身だしなみにも注意します。
■ ■
その男子学生は…
先生、僕かみそり負けがひどくて…
電気かみそりも…
T字もだめなんです…
たしかに…
その学生さんのひげは濃く…
かみそり負けのあともありました。
■ ■
私に注意された学生さんは、
札幌市内の美容外科へ行き、
そこでレーザー脱毛を受けた…
…と後から聞きました。
ひげに悩む男性は…
意外と多いのです。
■ ■
札幌美容形成外科にも、
ひげの脱毛で通院される男性が増えました。
みなさん清潔で
おしゃれです。
昨日も素敵な男性がいらっしゃいました。
困っていらっしゃいました。
■ ■
男性のひげ脱毛は、
ひげが濃ければ濃いほど…
痛みがあります。
脱毛はひげを焼く治療なので、
レーザーを照射した後で赤くなります。
日焼けした顔には照射できません。
■ ■
女性の毛と違って…
太くて黒いので…
照射時の痛みがあります。
毛の本数も多いので…
回数もかかります。
それでも継続していただくと…
少しずつ毛が減ります。
■ ■
昔、私が注意した学生さんは、
医師になってからも脱毛を続け…
今は…
昔の濃いひげが嘘のようになくなりました。
レーザー脱毛は白髪には効きません。
私のように…
ひげが白くなる前に…
治療を受けてください。
男性のひげ脱毛料金を改定いたしました。
医学講座
気づかない臭い
旅行から帰って来て、
自分の家に入ると、
なつかしいにおいがします。
自分の家のにおいです。
しばらくすると…
においを感じなくなります。
鼻が慣れてしまうからです。
■ ■
おやじくさい
口がくさい
うさんくさい
くさいという言葉から、
良い印象は受けません。
私も、
おやじくさくないか?
口くさくないか?
うさんくさくないか?
いつも気をつけています。
■ ■
おやじくさい原因は、
資生堂の研究所により、
不飽和アルデヒドの2-ノネナール(C9H16O)
であることが発見されました。
2009年5月1日の院長日記に書いてあります。
資生堂により「加齢臭」という名称が付けられました。
私たち中高年にとっては…
不名誉な名前です。
■ ■
わきの臭いも、
口の臭いも、
細菌が原因です。
口の菌は歯周病の原因にもなります。
私は定期的に、
歯科医院でPMTCという、
クリーニングをしていただいています。
■ ■
残念なことですが、
自分の臭いには、
気づかないことがあります。
鼻が慣れてしまっているからです。
札幌美容形成外科を受診される方にも、
自分の臭いがわからないという人が、
たまにいらっしゃいます。
■ ■
家族や恋人に指摘された人もいます。
そんな人に限って…
自分では気づかないので…
かなり強烈な臭いがする人もいます。
私も…
街で思わず…
名刺を差し上げようか…?
…というほどの臭いの人がいました。
さすがの私でも差し上げませんでしたが…
■ ■
ワキの臭いは、
制汗剤で汗を減らして…
湿り気を少なくするだけでも改善します。
細菌を減らす薬が入った制汗剤は、
より臭いに効きます。
制汗剤が効かない、
多汗症の方には、
ボトックス注射をおすすめします。
うさんくさくないクリニックで受けてください。
医学講座
わき汗対策の季節
新聞で女性週刊誌の広告を見ました。
わき汗が見苦しいという、
とてもお気の毒な文が目に入りました。
女優さんでも、
女子アナさんでも、
どんな美人でも、
わき汗は隠せません。
■ ■
美容外科医として…
ボトックス注射をすればいいのになぁ~
…と思いました。
多汗症は手術をしても…
汗をゼロにすることはできません。
交感神経という、
神経の働きで汗が出るためです。
手術をしても神経は再生します。
吸引法で手術をした方など、
100%汗が出てきます。
■ ■
ワキガと多汗症は別の病気です。
両方を合併するする人もいます。
ワキガに比べると、
多汗症の手術治療は難しいです。
手術で治すのが難しい多汗症には、
ボトックスという特効薬があります。
保険は効きませんが、
効果はばっちり効きます。
毎年6月に受けられる、
リピーターの方がとても多い治療です。
■ ■
夏にはじめて白い服を着れました。
毎年受けています…
とても快適です。
服を選ばなくてもよくなりました。
たくさんのお喜びの声をお聞きします。
6月にボトックス注射を受けると…
一番汗が気になる…
6月7月8月が快適に過ごせます。
■ ■
今年は節電対策で、
冷房が弱くなります。
がまんしなくてはなりませんが、
そんな時に限って無情の汗が出ます。
仕事中に制服を着替える時間もありません。
信頼できる美容外科で、
しっかりと治療を受けてください。
週刊誌に書かれていた女性に、
教えてあげたいです。
これがワキボトックスの仕組みです
医学講座
傷の消毒2011
よく勉強している看護師さんほど…
傷を消毒するのは古い
傷を消毒してはいけない
傷は生理的食塩水で洗う
…と考えています。
1990年代に、
傷を消毒してはいけないという考えが、
広く啓蒙されました。
■ ■
この傷の消毒について、
新しい考えが出てきています。
第37回日本熱傷学会の、
ランチョンセミナーで、
東北大学形成外科の、
館(たち)正弘教授から、
皮膚創傷面の細菌感染
バイオフィルムに対する最新の管理方法
を教えていただきました。
■ ■
館(たち)教授は、
東北大学のご出身です。
聖路加国際病院で外科研修をなさった後、
東京大学形成外科に入局されました。
波利井清紀先生のお弟子さんです。
東大形成外科から、
帝京大学形成外科講師、
東北大学形成外科助教授となられ
東北大学形成外科教授に就任されました。
■ ■
ランチョンセミナーの座長をなさった、
波利井先生がとても嬉しそうにご紹介されました。
館(たち)先生は信頼できる形成外科医です。
館先生の東北大学では、
難治性皮膚潰瘍などの、
皮膚創傷面の細菌感染の研究をされています。
今回のランチョンセミナーでは、
消毒剤の使用について…
とても有意義なお話しを伺いました。
■ ■
ネットでキズのことを検索すると、
新しい創傷治療のページとか、
ラップ療法のページが出てきます。
このネットの情報を鵜呑みにして…
傷がとんでもない状態になって…
私のところへいらした赤ちゃんがいました。
全国的には、
やけどが重傷化してしまった例もあります。
■ ■
ネット上の情報は、
確かに目につきやすいですが、
かたよった考えや、
行き過ぎた考えもあります。
誰も検証できず、
被害者になっても補償は受けられません。
日本熱傷学会でも問題になっています。
■ ■
館先生のご研究によると、
汚染創に消毒剤を用いるのは、
有益です。
消毒すると細胞が死ぬので良くないというのは、
培養された細胞であって、
生体の汚染創に消毒剤を使うのは、
正しい方法だと教えていただきました。
■ ■
座長の波利井先生からは、
難治性の緑膿菌感染には、
マーキュロクロムという赤チンが有効であると、
とても参考になることを教えていただきました。
キズを消毒するのは古い考えではなくなり、
古くからある良い方法であると、
認識を新たにしました。
医学講座
第37回日本熱傷学会②
学会第一日目のシンポジウムは、
救命と形成のコラボレーションの追求でした。
日本熱傷学会は、
救急の先生と形成の先生が、
毎年交代で学会を開催しています。
救急⇔形成が仲良く連携しています。
■ ■
救急科専門医、
形成外科専門医、
もちろん熱傷専門医と、
専門医を3つも持っていらっしゃる先生が、
日本には何人かいらっしゃいます。
すごいことです。
■ ■
昨日のシンポジウムでも、
救急と形成の両方の専門医である、
スーパーマンのような先生が、
発表してくださいました。
実に素晴らしい結果でした。
よく身体が続くなぁ~
休日はあるのかなぁ~
…と思いました。
私にはとても真似ができません。
■ ■
形成外科医として…
結果が素晴らしいと思ったのが、
岸和田(きしわだ)市民病院形成外科の、
久徳(きゅうとく)茂雄先生です。
スーパーマンのお一人です。
専門的になりますが、
①深筋膜上でのデブリードマン、
②一回に20%、採皮も8%程度までの手術範囲、
③手術時間も2時間半まで。
という手術で素晴らしい結果でした。
■ ■
早期手術は治療期間を短縮できる
…という考えは、
今までの熱傷治療の常識を変えるものです。
私にはできませんでしたが、
熱傷治療にかかわった者の一人として
後世に残る仕事だと思いました。
医学教育の分野でも、
将来は教科書が変わると思います。
■ ■
残念なことに…
一般の方には知られていません。
簡単に言うと…
深く焼けてしまったやけどは、
早く手術をしてもらって、
治してもらいましょう。
その方が…
早くキレイに治ります。
医学講座
第37回日本熱傷学会①
東京ドームホテルで、
第37回日本熱傷学会が開催されました。
今年の会長は、
日本医科大学形成外科教授の、
百束(ひゃくそく)比古(ひこ)先生です。
日本医科大学では、
熱傷治療を古くからなさっています。
■ ■
百束先生が選ばれた、
今年の学会のテーマは、
社会復帰をめざした熱傷医療の追求です。
百束先生はかづきれいこさんと、
リハビリメイクもなさっています。
焼けてしまった皮膚は、
元に戻せませんが、
少しでも目立たなくして、
社会復帰をしやすくしています。
■ ■
今年の学会は、
一日しか参加できませんでしたが、
印象に残ったことを書きます。
私が医師になって30年です。
日本の熱傷治療は世界でも最先端です。
救命率も向上しました。
手術も変わりました。
■ ■
重症のやけどを救命するには、
救命救急センターの力が大きいです。
急性期と呼ばれる…
受傷後早期に手術をするようになりました。
最近は…
超急性期手術と呼ばれる、
やけどをしてすぐに手術をすることで
早く回復できるようになりました。
■ ■
深く焼けてしまった皮膚は、
焼けてしまった時点で死んでいます。
この死んだ皮膚にばい菌がついて、
その菌が原因で状態が悪化します。
やけどで回復しない皮膚を、
なるべく早く手術で切除して、
その部分に植皮をします。
そうすることで感染も減ります。
これが超急性期手術のメリットです。
■ ■
今から20年も前に、
大浦武彦先生が、
この超急性期手術を提唱していました。
本間君やってみろよ…
…と言われてましたが…
私には、できませんでした。
大浦先生の予言は見事に的中し、
今や最先端の医療です。
■ ■
美容形成外科を開業していると、
やけどの手術をすることはありませんが、
熱傷治療の勉強は、
創傷治療というキズの治りの勉強になります。
昔を思い出して、
感慨深く発表を聞くこともあります。
毎年、大浦先生はすごいと思います。
医学講座
難しいやけどの診断
形成外科は手術で治すので、
誤診は少ない科です。
皮膚腫瘍の診断をすることはありますが、
大きな手術をする前には、
必ず皮膚科の先生の意見を聞いたり、
生検(せいけん)という検査をするので、
診断を間違うことはまずありません。
■ ■
外傷の診断は、
CTやX線写真を撮ります。
骨折の診断を間違うことも、
あまりありません。
手術前には慎重に診断して、
手術計画を立てます。
■ ■
難しいのがやけどの深さです。
特にあかちゃんのやけどは、
深さを誤りやすいです。
泣いているので…
痛みの程度を聞くこともできません。
見た目で判断しますが、
赤ちゃんの皮膚は薄く、
大人と同じ基準で判断すると間違います。
■ ■
私が判断を間違った痛恨の例が、
アルカリによる、
化学損傷といわれるやけどです。
広範囲の、
アルカリによるやけどは、
今までに一例しか見たことがありません。
ふつうのやけどより、
ずっと浅く見えます。
■ ■
教科書には、
アルカリ損傷は深くなると書かれていますが、
実際に経験してみて、
はじめてその恐ろしさを知りました。
一度経験するとわかりますが、
広範囲のアルカリ損傷は怖いです。
北海道で起こった事故で、
複数の救命救急センターが治療しました。
■ ■
ドクターヘリで搬送して、
東京のスキンバンクからも、
皮膚をいただきました。
残念なことに…
どの施設でも救命できませんでした。
今でもよく覚えています。
明日から熱傷学会なので、
東京へ来ています。
今日の東京は過ごしやすいです。
昔の記憶
誤診の経験
私も‘誤診’をしたことがあります。
わきがではありません。
手術の必要はありません。
…と診断した方…
どうしても手術をしてほしいと来院され、
実際に手術をしてみると…
アポクリン腺がたくさんあって、
患者さんに謝ったことがあります。
■ ■
私が36歳頃だったでしょうか?
市立札幌病院に勤務していました。
当時のわきが診察法は、
ガーゼを脇にはさんでいただき、
しばらくしてからそのガーゼを外し、
その臭いをチェックする方法でした。
教科書に書いてある方法です。
■ ■
私が臭いを嗅いでも…
外来の看護婦さんが嗅いでも…
臭いは感じられませんでした。
今から考えると、
わきが診察法としては不十分です。
若い患者さんは…
気にする人ほど…
きれいにして病院に来ます。
臭いが無いこともあります。
■ ■
今は直接わきの皮膚を見たり、
水のような汗(エクリン汗腺からのふつうの汗)か?
クリームのような汗(アポクリン腺からの汗)か?
汗の範囲はどの程度か?
毛の太さや…
毛を抜いた痕などもチェックします。
毛を抜いている人には…
粉瘤(ふんりゅう)という
腫瘍ができていることもあります。
■ ■
制汗剤のつけすぎで、
脇の皮膚が黒くなっている人もいます。
必要に応じて…
皮膚の炎症を治す薬を出すこともあります。
私がわきがを誤診した患者さんは、
制汗剤で様子をみていましたが…
どうしても臭いが気になるとのことでした。
■ ■
自己臭恐怖症でないことを確認して、
市立札幌病院で手術をしました。
手術でメスで切ってみると…
たくさんのアポクリン腺がありました。
臭いの原因でした。
ガーゼをはさんだだけで…
わきがでないと診断したことを後悔しました。
せっかく勇気を出して…
市立札幌病院まで来て下さったのに…
■ ■
手術後に…
私は患者さんに謝りました。
患者さんは…
怒りもせず…
治してくれたから、
感謝しています…
…と言ってくださいました。
今でも忘れられない患者さんです。
医学講座
高木章好先生の教え
帯広の高木章好先生を検索したところ、
先生が書かれた文章を見つけました。
携帯では読めないPDFファイルなので、
かなり長文ですが…
院長日記に入れてみました。
医学を志す人や、
医療関係者にはぜひ読んでいただきたい文です。
■ ■
″誤診″から得た教訓
痛痒い発疹
皮膚病診療(2003.06)25巻Suppl、2:140~141
高木章好(帯広市・高木皮膚科)
医学の細分化、治療の専門化へ向かう傾向にある現在の医療行為の中で、「木をみて森をみない」医者が増えていると思う。これから臓器別専門医の時代が来るかもしれない。幸いわれわれ皮膚科医は皮膚という1つの臓器の疾患を扱うので、細分化されにくい科だが、ヒトの表面をおおう、広く大きい臓器であるとともに、疾患が他人および患者本人にもみることができるで、誤診も多くの人に知られやすく、ごまかしのできない、巌しい科であると思う。
われわれ小都市の開業医は大学との関係を密にして、むずかしい疾患、診断できない疾患の紹介等連携を保つことは必須であり、小院はこれらの連携が整っているので、むずかしい疾患の誤診例はほとんどない。しかしcommon diseaseの誤診がときどきあり、後に恥ずかしい思いをし、訂正することが度々ある。初診時われわれは問診で「痒いですか?」「痛みはありますか?」と尋ねるが、このとき「痛痒い」と答えられ、発疹をみると、片側に帯状に並んだ、丘疹、および漿液性丘疹をときどきみる。このときはまだ中心に凹みのある水疱がないのに、帯状疱疹と診断し早期に治療を受けなければ神経痛が後遺症で残り、長い間痛みに苦しむと説明し、高い抗ウイルス剤を投与して、2日後、痒みが増し、発疹も増加してきたと来院され、丘疹だけが増加していたため、発病する前の日に木の下か公園に行かなかつたか質問すると、「行っていた」という。毛虫皮膚炎であった。
たまたま薬剤費の負担のない人であればよいが、負担のある患者さんに投与した後であったときは申し訳なく、どのように対処してよいか、戸惑うことがときどきある。市販されている抗ウイルス剤はもう少し安くならないものか、今年10月から老人にも薬剤費の1割、2割負担が導入されるとますます使いにくくなり、さらに患者さんも治療コストに意見をいう機会が多くなるので気をつけなければと思う。
またこれから皮膚科医は往診の機会が増えてくると思う。この際、手ぶらで出かけ発疹をみて即断し、病名を決めなければならず、検査をして、その結果をみてから診断しましょうとの時間かせぎができない科である。ある日病院の往診を頼まれ、ある病室だけ皮膚病が多発し、介護病棟で寝たきり、自覚症状もわからない。1例にノルウェー疥癬と思われたが、私は本症をみるのが初めてであり、他の患者は多彩な皮膚変化をもっていて、感染源を確定できず、病院の事情も考えて、カンジダ症として治療しましょうと治療開始したところ、数日後職員も痒い発疹が出現したとの報告を受け、すぐに往診しカバーグラス、スライドグラスをもって行き、ノルウェー疥癬の患者の落屑を調べた。多数の疥癬虫を確認したので、病院長と話し合い、疥癬の治療を始めて、職員、患者とも1ヵ月ですべて沈静させたが、このような場合には相手の病院の事情もあり、すぐに確定診断を伝え、パニックにならないよう配慮して、ワンクッション置いてから治療を始め、いたずらに不安を煽るような言動は避けるほうがよいと考えた。また疥癬は老健施設、療養型病室でときどきみられるので、治療法、予防法等を習得しておき、パニックのおきないように指導をする義務を皮膚科医がもつべきと考えている。
これからもcommon diseaseをしっかり診断し、むだな検査、高価でむだな薬を使う医者といわれないよう、これを機会にさらに気をひきしめて外来に座っていたい。
■ ■
高木章好先生の素晴らしいところは、
ご自分の失敗談を、
正直に文章になさることです。
患者さんにも、
正直に謝っていらっしゃいます。
これがなかなかできません。
■ ■
私も療養病棟で疥癬を誤診したことがあります。
なかなか虫が見つかりませんでした。
皮膚科は専門外です。
虫が見つかると診断できますが、
見つからないこともあります。
皮膚科の先生に見つけていただきました。
■ ■
高木先生は医療費のことまで、
細かく心配されて、
申し訳なく、
戸惑うことがときどきある
…と書かれています。
なかなか文章にできないことです。
医療に携わる方に、
読んでいただきたいと思いました。
心のどこかに記憶していたい文章です。