院長の休日

札幌駅前通りのチューリップ

 さくらんぼさんから、
 お母様のご指導で…
 業務日誌をつけていると伺いました。
 私は先輩である実母に
 作業日記を書くように 教わりました。
 6年前まで母が 書いていましたが、
 5年前から 3年日記を買い
 私が書いています。
 天気や どんな作業をしたか、
 他に山形の桜満開とか ・・
 去年の今日は何をしていたかよくわかります。
      ■         ■
 私の院長日記を読んでみると…
 去年のチューリップはいつ開花したかなぁ~?
 というような…
 くだらないこともわかります。
 昨年は
 4月23日に白いチューリップが写っていました。
 桜の開花も早かったようです。
 一年前には…
 まさか100年に一度の経済危機が訪れるとは…
 トヨタが赤字に転落するとは…
 夢にも思っていなかったことと思います。
      ■         ■
 経済危機になっても…
 ありがたいことに…
 チューリップは開花してくれるし…
 桜もキレイでした。
 元気で働けるということに、
 感謝しながら…
 毎日、がんばって働いています。
 札幌駅前通りの地下工事も、
 来年には完成の予定です。
      ■         ■
 下の写真は…
 昨日の朝に撮影したものです。
 昨年のチューリップは白でしたが…
 今年は同じ場所の花が
 赤と黄色になっていました。
 歩道も…
 工事中で…
 まだ歩きにくい状態です。
 来年のチューリップの頃には、
 経済危機も回復していて、
 平和で安心できる生活になって…
 ほしいと願っています。


2009年5月8日


雪印パーラー


2008年4月23日

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医学講座

先輩からの教え

 どんなに偏差値の高い医学部に入っても、
 名医になれるという保証はありません。
 外科医は…
 自分の目で先輩の手術を見て、
 技(わざ)を盗めと教えられました。
 名医の手術をいくら見ても…
 見るだけでは上手になれません。
 自転車に乗る…
 車の運転を覚える…
 すべて同じです。
      ■         ■
 昨日のTVで、
 年間300例以上の心臓手術をする、
 名医と、
 それを覚える若い先生が、
 放送されていました。
 大学医学部で
 機械を使ったシュミレーションも、
 放送されていました。
 医学部長が得意そうに…
 説明をしていました。
      ■         ■
 フライトシュミレータだけで、
 ベテランパイロットができるなら…
 航空会社も苦労はしません。
 自動車運転のシュミレーターだけで、
 F1のドライバーにはなれません。
 車の運転も…
 飛行機の操縦も…
 外科手術も…
 すべて先輩からの教えが役に立ちます。
      ■         ■
 困難にぶつかった時に、
 先輩はどう対処したか?
 困った時に…
 どうやって切り抜けたか?
 自分一人で手術をしていて、
 ほんとうに困った時に…
 助けに来てくれる先輩がいるか…?
 ここが運命の分かれ道です。
 手術は独学では上手になれません。
      ■         ■
 大学病院の偉い先生が、
 世の中で一番手術が上手か?
 というと…
 必ずしもYESではありません。
 大学の先生にとって一番大切なのは…
 1、研究、
 2、教育、
 3番目くらいが臨床(手術など)、
 というところでしょうか?
 大学院に重点が置かれるようになって、
 研究をしない教員は肩身が狭くなっています。
      ■         ■
 私は、
 よい先輩に恵まれました。
 ほんとうに感謝しています。
 大浦武彦先生が築かれた、
 北大形成外科という医局で、
 たくさんのことを教えていただきました。
 私が卒業した当時は、
 北海道に北大形成外科と
 その関連病院しか
 形成外科がありませんでした。
      ■         ■
 卒後6年目で、
 形成外科専門医を取得すると、
 すぐに地方病院の医長になりました。
 そこで…
 北大から出張にいらしていただいた先生に、
 手術を教えていただきました。
 下の先生と苦労してした手術も…
 たくさんありました。
      ■         ■
 最初から手術ができたのではありません。
 先輩からたくさん教えていただいて、
 手を加えていただき、
 時には、
 手を代わっていただき、
 【手術を交代することを手を代わるといいます】
 少しずつ上達しました。
 先輩を頼りにしなくても、
 一人でできるようになったのは…
 40歳を過ぎてからでしょうか?
      ■         ■
 患者さんから、
 ご指摘を受けて、
 改善することもあります。
 常に改善【カイゼン】を考え、
 注意深く、
 耳を傾けることが大切です。
 ほんとうに役に立つ、
 大切なことは、
 教科書にも書いていないし…
 学会でも発表されません。
 先輩から口伝えに教えていただいたことです。

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医療問題

過渡期の医療過誤防止システム

 平成21年5月4日、
 北海道新聞の記事です。
 過渡期の医療過誤防止システム
 ネットで“医師暴発”は論外
 東大名誉教授_村上陽一郎(むらかみよういちろう)
 医療の安全をめぐる問題は、筆者が「安全学」という領域を探し当てるきっかけをつくったもので、長年の関心事である。一つには、医師やその周辺の関係者に、品質管理や、システムの立場から安全に取り組む発想が、過去に極めて乏しかったからだ。
 1980年代初め、ある医学者の集まりで、医療の品質管理という言葉を使ったとたんに、激しい反発が起こったことはいまだに忘れられない。あるいは、システムの立場からの安全対策として、フール・プルーフ(ミスがあっても事故に至らないような設計)の必要性を説いたときに、ある医師はいみじくも、「われわれはフールではないから、その概念は医療にはなじまない」と言い放った。1986年のことだった。
 航空界が先例
 現在事態は急速に改善されつつある。まともな医療機関は、ほとんどすべて安全管理室を備え、「インシデント・アクシデント・リポート」 (ひやり・はっと体験申告)の制度も立ち上げてきた。日本医療機能評価機構も、安全にかかわる情報収集とその共有化に努力を重ねるようになった。もとより、制度ができても、医療界が本気で取り組む機運をつくり出し、そのための人材の養成や確保に努力を重ねなければ、画餅(がぺい)にすぎないが。
 航空業界では、過誤や事故、不都合などが起こったとき、民事はともかく、当事者の責任を刑事的に追及することよりも、第三者機関の調査によって起こったことの詳細を正確に把握し、将来同じような状況を防止できるようシステム上の対策を立てることに活用すべきだ、という考え方が国際司法の間で定着しつつある。
 それを教訓に、医療界でも、第三者調査機関の可能性が検討されるようになった。それにも医師側からの反発が大きくて、なかなか実現されない状況にあるにしても、問題意識は明らかに改善されつつある。また、裁判でなく話し合いでの和解を目指すADR(訴訟外紛争処理)という論点も、浮上してきている。
 そうした方向をすべての当事者が確認し、実効あるものにするに当たって、過渡期的に、過誤が刑事として問題化されることも、やむを得ない側面もある。航空機業界の歴史でも、そうであった。
 「暗黙の支持」
 そういう状況にあって、医療界にいくつかの刑事事件が生まれた。それらが刑事に当たるかどうか、当然議論のあるものもある。裁判上は無罪になった事例もあるから、なおさらだろう。しかし、ここで問題にしたいのは、そうした事件にかかねる人々(被害者、報道者、支持者、検察など)に対して、ネット上で、医師(とおぼしき人々)が、想像を絶する罵言雑言(ばりぞうごん)を浴びせかけている、という事実だ。
 鳥集徹氏の「ネットで暴走する医師たち」(WAVE出版)は、そのありさまを克明に伝えてくれる。被害者の訴えに同情的な発言をした医師へ「U(実名)は日本の全ての医師の敵」 「Uとその家族を皆殺しにする勇者募集中!」などの言辞が浴びせかけられる。被害者やその家族が問題人物であるという虚報を垂れ流す。「フールでない」はずの、人一倍理性ある知識人であるはずの医師たちから発せられる言葉とは、およそ信じられないほどだ。
 もちろんこうした言辞を弄(ろう)する医師は、数から言えばごくわずかだろう。苦々しく思う医師も多いと信じたい。しかし医師の間に暗黙の支持が広がっていることも、鳥集氏は見逃していない。医師たちにすれば、黙って批判にさらされるばかりの自分たちの鬱屈(うっくつ)が暴発しているのだ、と言いたいのだろう。しかし、どう弁護しても、このような言動が正当化される余地はない。
 同時に、しかしネットという媒体がなかったら、いくら鬱屈した医師たちでも、こんなひどい言動はしないだろう。そう考えると、ネットという媒体の持つ問題点も浮かび上がってくる。
 ネットのある種のサイトは、便所の落書きと同じだと割り切るほかはないのか。自己管理の強化が切に望まれる。
 (以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 医療従事者以外の方は、
 病院で医療事故?と思われるかも知れません。
 逆に医療従事者の方は…、
 事故がないのが不思議?と、
 感じることも多いと思います。
 私は北海道内の何箇所かの…
 500床以上の大病院に勤務しました。
 医療事故がなかった病院はゼロでした。
      ■         ■
 私の日記は…
 医学生や医療関係の方にも
 読んでいただいています。
 新聞を読む習慣がない、
 若い医療関係者や、
 医学生、
 看護学生さんなどに、
 この村上先生の文章を読んでいただきたくて…
 長い文章を引用させていただきました。
      ■         ■
 2008年8月9日の美容外科価格破壊の弊害
 2008年12月30日の医者は横暴?
 の日記にも医療事故について書いてあります。
 偏差値が高くて、
 優秀な成績で有名国立大学医学部へ入学し、
 一発で医師国家試験に合格した‘先生’でも、
 一瞬にして医療事故を起こします。
 卒業した大学とか…
 成績とか…
 は関係なく医療事故が起こります。
      ■         ■
 私たちはフールです。
 ミスを犯す生きものです。
 学会でも…
 『私はこんな失敗をしました…』
 なんて発表はしません。
 医局制度があった頃は…
 あの先生でも…
 こんなことがあった…と
 先輩から口伝えに教えられたものです。
      ■         ■
 経験を積んだ医師が上手なのは…
 自分や
 他人の
 失敗からたくさん学んだだけです。
 私も同じです。
 偉そうなことは言えませんが、
 ネットで暴走したりしないで、
 真摯(しんし)に聴く耳を持つことが、
 一番大切だと思います。

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医学講座

わきが手術と年齢⑦

 ご質問に対する回答②です。
 先生に質問です。
 ブログにあるように
 年齢とともに
 アポクリン腺がなくなることはないようですが、
 それに比例して汗の量も増えるのでしょうか?
 唾液線は高齢になるにつれ弱り、
 唾液量が年齢とともに減りますよね。
      ■         ■
 加齢と発汗量について、
 本を調べてみました。
 年齢とともに、
 基礎代謝(きそたいしゃ)
 【車のアイドリングで消費するガソリンのようなもの…】
 は低下します。
 ですから、発汗量も減少するのが一般的です。
 ただ、女性は閉経に伴ってホルモンバランスが乱れ、
 発汗しやすくなる人もいらっしゃいます。
      ■         ■
 発汗は全身的な感染症でも多くなります。
 ‘熱’が出ると、
 ‘汗’をかきます。
 残念ですが…
 わきが治療の本にも、
 年齢とアポクリン腺の関係は書いていませんでした。
 一般的には、
 年齢ととともにアポクリン腺の数は減らなくても、
 機能は低下すると考えられます。
      ■         ■
 私は70代以上の方に、
 わきが手術をしたことがありません。
 解剖学教室でも、
 ご遺体でアポクリン腺の数を
 調べたことはありません。
 性腺や唾液腺は、
 ご高齢のご遺体でも‘存在’します。
 高齢になっても、
 臭いが気になるのは、
 入浴回数とか…
 脇が病気のために動かないので
 蒸れやすい…
 というような理由ではないでしょうか?
      ■         ■
 私はよく説明に使うのですが…
 どんなに可愛いペットでも…
 シャンプーをしなかったり、
 うんこや
 おしっこの
 始末をしないと臭います。
 ペットショップのお姉さんは、
 スプレー片手にいつもがんばっています。
      ■         ■
 わきが手術は奥が深く、
 難しい手術です。
 その割りに…
 形成外科医で…
 わきがを専門に研究している先生も
 いないように思います。
 元東京女子医大第2病院で、
 現在、新宿でクロスクリニックを開業していらっしゃる、
 石川浩一先生が、
 腋臭症の治療という本に次のように書かれています。 
      ■         ■
・腋臭症治療の評価は,治療効果,術後の整容的問題,術後合併症の危険性など総合的に考える必要がある。治療効果は真皮内の汗腺組織をより完全に切除することにより得られるが,皮膚を薄くすればそれだけ術後合併症の危険性や瘢痕拘縮の可能性が増える。
・血腫形成,皮膚壊死など合併症の防止は,術中の止血と術後の固定が重要であるが,患者にとっては,逆に固定期間の短縮,軽減が社会的にも重要である。
・切開の短縮と術後瘢痕の軽減は,患者,とくに若い女性にとって重要であるが,それにより,手術が煩雑になったり手術時間の延長を来すこともある。
・理想としては,傷をつけず,日常生活の制限なしに完全に臭いをとることであるが,これらの点はそれぞれが表裏の関係にあり,すべてを満足する方法はない。そこで患者の性別,年齢,症状,希望に合わせて,インフオームドコンセントを含めバランスの良い手術法を選択すべきと考えている。
・腋臭症には多くの手術法の報告があるが,それぞれに欠点があり,どの方法を行なうかは術者,施設により一定していない。
 (以上、腋臭症の治療、克誠堂出版、1998年、ISBN4-7719-0200-3の内視鏡下手術より引用)
      ■         ■
 つまり、たくさんの手術法があるということは、
 どの手術法にも欠点があるということです。
 また、
・臭いも汗も限りなくゼロに近づけたい!
・お休みは取れない!
・キズ痕も残したくない!
 という患者さんの要望を
 100%満たす手術はないということです。
 何歳で手術を受けるにしても…
 ご自分でよく調べて!
 この先生だったら!
 という方にお任せして下さい。

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医学講座

わきが手術と年齢⑥

 ご質問に対する回答です。
 手術後、ワキを固定して・・・
 固定が解除された後、
 肩を上げる動作などの指導も
 先生が行っているのでしょうか?
 それとも看護師さんが
 指導されているのですか?
      ■         ■
 固定解除後の、
 肩を上げる…
 つまりワキを動かす運動は、
 私がしております。
 一番痛いと言われます!
 筋肉が発達した、
 筋骨隆々とした男性が…
 『いって~~ぇ!』
 と足をバタバタして痛がります。
      ■         ■
 わきがの原因となる部位の皮膚は、
 薄く削られています。
 注意深く腕を上げないと…
 うすく削った皮膚の下に、
 漿液腫(しょうえきしゅ)という
 水がたまることがあります。
 (実際には黄色の液体です)
 これができると硬くなりやすいのです。
      ■         ■
 軟膏を塗ったりするのは、
 看護師が行いますが、
 ワキの運動については私(医師)がしています。
 硬くなった皮膚を…
 柔らかくするのが大変です。
 皮膚は大丈夫でも、
 皮膚の下に‘スジ’ができることがあります。
 これを瘢痕(はんこん)と言います。
      ■         ■
 チェーン店の美容外科で手術を受けると、
 お金を払うのは最初だけです。
 20万円~30万円というところが一般的です。
 (100万円は異常です)
 チェーン店としては、
 お客さんの来院回数が増えると、
 経費がかかります。
 できるだけ少ない通院で済むと、
 クリニックとしては助かるわけです。
      ■         ■
 ですから…
 『通院は不要です』とか
 『抜糸の後は通院の必要はありません』
 と説明するのです。
 ところが、
 しっかり手術をすればするほど…
 皮膚の下にキズができます。
 臭いをとるための手術です。
 おっぱいの横まで広範囲に手術をすると…
 それだけ回復に時間がかかります。
      ■         ■
 50歳を過ぎた男性は…
 肩の動きが悪いので硬くなりやすいのです。
 それと…
 10代の高校生でも…
 硬くなることがあります。
 わきが手術の目安は、
 脇毛が親と同じ程度になった時期です。
 中学生や高校生は多感な時期です。
 人生でもっとも傷つきやすい時期です。
      ■         ■
 少しでも早く手術をしたいというお気持ちは、
 本人だけではなく、
 親にとっても同じです。
 ところが…
 15歳程度で手術をすると、
 キズが赤く硬くなることがあります。
 肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)と言います。
 人生でもっともキズを目立たせたくない時期が、
 一番キズが目立ちやすい時期なのです。
      ■         ■
 形成外科医になりたての頃に、
 先輩から教わりました。
 キズが目立ちにくいのは、
 生まれたばかりの赤ちゃん。
 小学校入学までの子ども。
 一年間に身長が何センチも伸びる、
 成長期の子どもはキズが目立ちやすい
 形成外科医の言い伝えです。
 高校卒業から大学生までが、
 社会的に時間もあり、
 わきが手術の適齢期だと
 私は考えます。

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医学講座

わきが手術と年齢⑤

 松居一代さんが、
 ‘わきが’かな?
 と思って…
 30分で治るというクリニックを受診しました。
 『あなたは範囲が広いから100万円です』と…
 その‘先生’に診断され…
 ご主人が…
 『わきがではありません!』
 と手術を受けずに帰って来たという話を
 何年か前にTVで放送していたと、
 家内が言っていました。
      ■         ■
 今朝も…
 北海道新聞朝刊の一面下の、
 書籍広告に…
 このクリニックの広告が出ていました。
 新聞の一面に広告が出ていると…
 その新聞社が認めているような…
 誤解をしてしまいます。
 実際に私のような小さなクリニックが
 北海道新聞に広告を出すには、
 北海道新聞社広告局の審査を受けます。
      ■         ■
 以前は、
 『わきが手術は健康保険で受けられます』
 ですらダメでした。
 わきが手術腋臭症手術
 にしなさいという指導を受けました。
 札幌美容形成外科の看板に出ている、
 腋臭症手術の字が読めないと、
 友人から指摘されたこともあります。
 私は新聞でこの30分で治るという広告を見る度に、
 腹が立ちます。
      ■         ■
 高い広告料を払って宣伝できるということは…
 それだけたくさんの人が、
 騙(だま)されて
 北海道から受診しているということです。
 わきがに悩んでいる方が
 それだけ…
 たくさんいらっしゃるということです。
 わきが手術は奥の深い手術です。
 患者さんの精神的な悩みで…
 ‘臭う’こともあります。
      ■         ■
 札幌市内の総合病院で、
 入院して…
 全身麻酔で…
 手術をしても…
 残念なことに、
 アポクリン腺の取り残しがある方が…
 何人かいらしゃいました。
 形成外科専門医ですら、
 取り残していました。
 私も過去に同じ失敗をしました
      ■         ■
 わきが手術で再発はありませんか?
 とよく聞かれます。
 私も過去に同じことをしていたので、
 大きなことは言えませんが…
 再発といわれる症状の大部分は…
 取り残しです。
 わきが手術でしっかり汗腺を取れば、
 必ず色素沈着や赤味が残ります。
 この色素沈着や赤味を取るのが…
 一番時間がかかります。
      ■         ■
 年齢を問わず、
 自分が…
 ‘臭い’
 と思われるのは…
 耐えられないことです。
 ネットで検索すると、
 いろいろな症例が載ったサイトがあります。
 どんなに悩んでも…
 30分で治るクリニックは行かないでください。

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医学講座

わきが手術と年齢④

 中高年のアイドル、
 ‘綾小路 きみまろ’さんの漫談が好きです。
 中高年世代には、
 人生の悲哀があります。
 TVでしか見たことがありませんが、
 いつかライブでお聞きしたいと思っています。
 医学的にも、
 40歳を過ぎると身体に変化が出てきます。
 一番最初に気付くのはでしょうか?
 幸い、私は眼鏡なしで新聞が読めますが…
 40代には眼鏡を何個も作りました。
      ■         ■
 わきがに関係がある、
 アポクリン腺は、
 高齢になっても存在します。
 年齢とともに衰えてくれるとよいのでしょうが…
 40代や50代でも元気です。
 私や家内も
 40歳を過ぎた頃から…
 臭いが気になるようになりました。
 これは主に汗の臭いです。
 汗が多くなると加齢臭の原因物質が増えます。
      ■         ■
 皮膚は年齢とともに弾力性がなくなります。
 セーターを長い間着ていると…
 伸びてしまうのと同じです。
 皮膚の中にある弾性線維という…
 セーターの糸のような組織が伸びてしまいます。
 そうすると、
 若い方と比較して、
 皮膚の張りが低下します。
 顔のシワや『たるみ』が気になるのも…
 これが原因です。
      ■         ■
 40代と50代では違いますが、
 若い方と比べると…
 ワキの皮膚も伸びています。
 わきが手術では…
 ワキの皮膚を薄く削ります。
 そうすると…
 削った後の皮膚が硬くなります。
 手術後に、
 色素沈着や赤味、
 皮膚の拘縮(こうしゅく)という硬さが、
 若い人に比べて高率に出ます。
      ■         ■
 四十肩、五十肩という‘病気’があります。
 肩の動きが若い人に比べると落ちます。
 私は48歳から水泳をはじめましたが…
 最初は肩が上がらずに苦労しました。
 わきが手術の後はワキを固定します。
 手術後に辛いのが、
 固定後に肩を上げる動作です。
 特に50歳過ぎの男性が大変です。
 若い方でも…
 女性より男性が苦労しています。
      ■         ■
 ぼったくりの美容外科では、
 わきがは30分で治ると宣伝しています。
 手術後の通院も不要です!
 と無責任なことを言っています。
 わきが手術をして、
 一番大変なのは、
 手術後の後療法(こうりょうほう)なのです。
 50代になってわきが手術をすると、
 特に男性は苦労します。
 わきが手術は10代後半から、
 20代前半の若いうちに受けてください。

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医学講座

わきが手術と年齢③

 40歳を過ぎてから…
 わきが手術を…
 ご希望になる方がいらっしゃいます。
 15歳前後から気になるので…
 もう25年は…
 なんとか対処してきたわけです。
 『今さら…』と思う反面…
 共通した悩みがあります。
      ■         ■
 40歳を過ぎるということは…
 親は少なくとも…
 60歳以上になっています。
 私は、現在54歳です。
 親は、83歳と81歳です。
 幸い、今のところ…
 2人とも元気です。
 ところが、
 私たちの世代になると…
 親の介護という問題に直面することがあります。
      ■         ■
 介護を受ける側になって気付くことがあります。
 今までは…
 臭いが気になれば…
 一日2回シャワーに入ることもできるし…
 シャツを2回取り替えることもできます。
 ところが…
 体の自由が利かなくなると…
 好きな時間にシャワーに入ったり、
 着替えすら…
 一人でできなくなることもあります。
      ■         ■
 自分の親がそのようになって…
 お風呂に入れてあげたり…
 着替えを手伝う時に…
 臭いが気になることがあります。
 もし…
 自分も身体の自由が利かなくなって…
 好きな時にシャワーができなくなったら…
 どうしよう???
 死んでもいいけど…
 臭いのはイヤだゎ!
 と思うことがあります。
      ■         ■
 自分の親が…
 介護を受ける側になった方だけではなく、
 介護の仕事をするようになって…
 はじめて介護の厳しさを知り、
 自分が同じ立場になった時に、
 ワキの臭いで介護をしてくださる方に…
 イヤな思いをさせたくない!
 という方もいらっしゃいます。
 介護福祉士になる勉強をなさって、
 実習に行かれて感じる方もいらっしゃいます。
      ■         ■
 わきが手術のピークは、
 10代後半から、
 20代前半までです。
 数は多くはありませんが、
 40代~50代で、
 わきが手術を希望する方の多くが、
 こうした老後の不安のために受診されます。
 40代でも、
 50代でも手術はできますが、
 若い方とは違った問題が出てきます。
 続きは明日の日記に書きます。

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医学講座

わきが手術と年齢②

 加齢臭という言葉があります。
 ウィキペディア(Wikipedia)によると…
 加齢臭(かれいしゅう)は、
 中高年特有の体臭の俗称。
 2000年12月11日に、
 資生堂の研究所により、
 中高年特有の体臭の原因が
 不飽和アルデヒドの2-ノネナール(C9H16O)
 であることが発見された。
 この体臭は、
 資生堂により「加齢臭」と言う名称が付けられました。
      ■         ■
 まさに中高年である私も家内も…
 40歳を過ぎた頃から…
 お互いに臭いが気になるようになりました。
 私も家内も、
 耳垢は乾いています。
 わきが体質ではありません。
 私は家内のすすめで、
 アリナミンEXという
 ビタミン剤を飲むようになった時期でした。
 今もアリナミンの後発品である、
 ビタミン剤を飲んでいます。
      ■         ■
 このビタミン剤を飲むと…
 独特の臭いがします。
 黄色の錠剤なので、
 おしっこも黄色くなります。
 40歳代になると…
 仕事も忙しくて疲れもたまりやすくなります。
 それでビタミン剤を飲み始めました。
 (よく週刊誌に宣伝が出ています)
 ちょうどその頃から、
 いままでとは違う臭いが気になりました。
      ■         ■
 一日に2回も下着を取り替えるので…
 洗濯物が増える!
 と家内から苦情を言われます。
 美容外科の先生が汗臭かったら…
 洒落(しゃれ)にも…
 商売にも…
 ならないので…
 気をつけています。
 患者さんへの説明でしたら…
 汗の臭いと説明します。
      ■         ■
 耳垢が乾いている人でも気になるのに…
 もともとワキガ体質だった人は、
 もっと臭いが気になることがあります。
 40歳前後で…
 わきがのご相談にいらっしゃる方は、
 大部分が汗が原因の臭いです。
 わきがの臭いではないことをご説明して…
 自分も下着をマメに取り替えたり…
 (奥さんに文句を言われても…)
 気をつけていれば大丈夫ですょ…
 とご説明しています。
      ■         ■
 40歳前後は、
 仕事が忙しく…
 『わきが手術』をするにもお休みが取れません。
 今の世の中…
 生活するだけでも大変なのに…
 『わきが』ごときで仕事を休めるか?
 という方もたくさんいらっしゃいます。
 お金はあるけれど…
 休みがないという方もいらっしゃいます。
 そういう方にはボトックスがおすすめです。
      ■         ■
 雑誌の取材のために…
 家内に一度ボトックスを注射しました。
 (原価が高いので一度だけです)
 その年は、夏でもとても快適だったそうです。
 リフレアという制汗剤が、
 本間家の脱衣所から姿を消しました。
 加齢臭は、
 われわれ中高年にとって…
 不名誉な臭いですが…
 こまめに対策をすることで防げます。
 どうしても気になったらいらしてください。

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医学講座

わきが手術と年齢①

 ワキガは思春期になって、
 腋毛が生えてくると気になります。
 子どもの頃は、
 アポクリン腺が発達していないからです。
 女の子の方が、
 早くから気になるようです。
 私たちの世代でも、
 小学校高学年から中学校では、
 女子の方が体格がよかったものです。
      ■         ■
 よく、小学生でも手術ができますか?
 というご質問を受けます。
 私の考えでは、
 小学生や中学校低学年では無理です。
 手術をしてアポクリン腺を切除しても…
 その後に発達したアポクリン腺で、
 また臭いがするようになる可能性があります。
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 女の子はお母さん、
 男の子はお父さん、
 と同じ程度に腋毛が濃くならないと、
 手術をするべきではないと思います。
 一番大切なのは…
 本人が手術を希望しているかどうかです。
 親が必要以上に神経質になっていることもあります。
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 自分が苦労したから…
 子どもにだけは同じ思いをさせたくない…
 親の私の責任だから…
 私から遺伝したから…
 お気持ちはよく理解できます。
 親の責任を感じるのも理解できます。
 親にできることは、
 本人のために一番良い治療を受けさせることです。
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 わきが手術は手術の後が大変です。
 ワキの皮膚を薄く削る手術です。
 腕を動かせませんし、
 ある程度経ってからは…
 マッサージなどをしないと、
 手術した部位が硬いままになってしまいます。
 手術後のマッサージが…
 一番痛かったとよく言われます。
      ■         ■
 中学生は、
 高校受験に向けて勉強をしなくてはならない時期です。
 私は中学生でわきがのご相談にいらした方には、
 高校受験が終わるまで待つようにお話しします。
 高校一年生でも、
 男の子ですと、
 まだまだ脇毛が薄い子もいます。
 そういう子どもさんには、
 大学受験が終わってからの手術をすすめます。
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 心ないクリニックによっては、
 小学生に手術をして、
 高額の治療費を請求するところもあるようです。
 私は…
 本人が気にしていて…
 他覚的(たかくてき)に
 【医師や看護師が臭いをチェックしてみて】
 臭いが強ければ中学生でも手術をすることもあります。
 ワキガ手術こそ
 保険診療で受けていただきたいと思います。

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